第94話:赤ん坊還り

 

やばい、僕も相当溜まっているのか、ロリロリなレイちゃんまで色っぽく見えてしまう。

ちょっとした隙間から覗ける肌が僕を誘っているような気がして、ふらふらと吸い寄せられそうだ。

子供っぽい、高い声さえも僕の耳を犯してくるような・・・そんな語りがじめじめした空気を切り裂きはじめた。

 

「知り合いにね〜、すっごい霊感のある女の子がいてその子から聞いた話なんだけど〜、ほら道端にたまに花が置いてあって、

 あ〜ここで事故かなんかあったんだな〜っていう場所あるじゃない、その女の子のクラスメイト、男の子なんだけど〜、

 特にそこでどういう人が亡くなったとか深く考えずに手を合わせちゃったんだって〜、で、見ちゃったんだって、その時に、

 置いてある花のあたりから若いお母さんと赤ちゃんの霊が出てきて、赤ちゃんの霊がその男の子の中に入っちゃって〜、

 お母さんの霊が体にまとわりつくようにくっついちゃったのを!慌てて近寄って『やばいよ、なんか憑いてるよ!』って

 忠告したんだけど〜、そういうの無視って感じでさっさと行っちゃって〜、そのときくるりとこっちを振り向いた霊が、

 すっごく怖く、そしてすっごくいやらしい感じでニターって笑ったんだって〜、こういうのってまわりがどれだけ

 やばい、まずい、危険だって言っても本人がその気にならないと、お払いとか除霊とかっていうのはできないのね、

 その翌日からそのクラスメイトの男の子が毎日毎日、みるみるうちにおかしくなっていったんだって〜、最初の数日は〜、

 ぼ〜っとする時間が多かったり、ぞくぞくっ、てたまに震える程度だったんだけど〜、一週間過ぎてからやつれてきね、

 体調が悪いとか病気になってるとかそういうのじゃなくって、あきらかに『生気を吸い取られてる』感じがしたんだって〜」

 

楽しそうに怖い話を続ける・・・かわいらしい声と内容のギャップが妙に恐ろしさを際立たせる。

 

「もうその頃には話しかけても返事がまともにできなかったり、よだれまで垂らしはじめて、やっばーって思ってたら数日後、

 やっぱり学校に来れなくなっちゃって、さすがに原因知ってる訳だし、放っておくと多分、憑り殺されちゃうのが目に見えてたから

 お見舞いっていう建前でその子の家まで行ったんだって〜、やっぱり親も凄く困ってて〜、部屋に篭り始めた頃はまだ、

 頭の悪い小学生みたいな感じで駄々こねる程度だったらしいんだけど〜、そのうち食事も散らかすようになったりとか、

 窓からおしっこするようになったりとか、どんどんどんどん幼くなっていくような感じ〜?それが続いてから落ち着いたと思ったら、

 今度は部屋から出ずに、ず〜っと引きこもっちゃったって話でね〜、それで見舞いに行ったその子、部屋の鍵を借りて恐る恐る様子を

 見たんだけど〜、すっかりやつれたクラスメイトの男の子がうわ言のように『ママ、ママ』って呟きながら口をクチュクチュしてて、

 普通の人なら単にベッドで丸まってるだけに見えるんだけど〜、霊感強いその子が見るとぉ・・・やっぱり若いお母さんの霊のおっぱいを

 チュパチュパ吸ってたんだって!しかもそれだけじゃないの〜、部屋からむわぁ〜っとした嫌な匂いがしてね、それは、

 お風呂に入ってない匂いとか、閉め切った部屋でじめじめしたカビ臭さとかじゃなくって、ハッキリ言うとぉ・・・精液の匂いだったの」

 

う・・・聞いてるだけで匂ってきそうだ、でも他の女の子たちは引くどころか話にさらに食いついてるような姿勢だ。

 

「おっぱいを、母乳をいっぱい飲まされながら手でおちんちんしごかれちゃって絶えず射精させられててね〜、

 息継ぎみたいに口を放すと今度は跨られて犯されちゃって『ママ、ママ、イク、ママァ』って一際多く射精して〜、

 部屋に篭ってるっていうより、その幽霊に部屋から出してもらえなくなってる状態で、ああ、これはやっぱり、

 最初に見たときに男の子の中に入って行った赤ちゃんの霊が体を乗っ取って、母親の霊も絶えず快感を与え続けて

 抵抗できないようにして同化させよう、乗っ取ろう、さらには魂を入れ替えようとしてるんだな〜って気付いて・・・

 こういう『情の深い色情霊』はかなりやっかいだから大きなお寺の尼さん霊媒師にお願いして、何とか祓ってもらって、

 命だけは助かったんだけど〜・・・赤ん坊還り状態で頭が結構、バカになっちゃったみたいでぇ、学校に復帰するのに

 そこからさらに10ヶ月もかかっちゃったんだってぇ〜、だから無縁仏とかぁ〜、知らないお供えの花とかになんにも考えないで

 手を合わせちゃうと危険かも〜っていうお話、『今でも夢の中でその霊に母乳飲まされながらイカされちゃうらしいよ〜』って言ってた〜」

 

ゆ、幽霊の母乳プレイ、赤ちゃんプレイで本当に赤ちゃんにさせられる・・・恐ろしいなぁ・・・

 

「きっと快感が強すぎてー、脳の小さな細胞がブチブチ切れちゃった感じかなー」

「今でも犯されてるってトラウマになっちゃってるのかなぁ?エロいトラウマに今でも犯されてるってゆぅ?」

「そのままお祓いしなかった場合、赤ん坊還りからさらに進んで胎児にまでなってたかも知れませんわね」

「ん〜、獲り殺されてたんじゃないかな〜、あとは魂が入れ替わってまったくの別人みたいになって育ったり〜?」

「こ、怖いね・・・よ〜く考えると、母親の霊が自分の赤ちゃんの霊を犯してる、とも考えられる訳だから・・・」

 

まあ魂の新たな、生きた入れ物が欲しくて壊そうとしてただけかも知れないけど。

 

「消す〜〜〜」

 

バケツの水を掬いかけて消した・・・ジュウッ、と焦げた匂いがし、

すっかり短くなった蝋燭までも倒れた。さあ次は僕だ、さっさと終わらせて・・・・・・

 

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