第8話:無数の舌

 

さやかちゃんが2順目の番になり、語り始める。

 

「今からもう4年くらい前でしょうか?過疎地宿泊ブームというのが少しだけありまして、

 これは青森や秋田の山岳部など、かなりさびれた奥地の村へ泊まるといったものでして、

 そういった過疎の村でひっそりと80代のおばあさんが1人で運営している民宿へ泊まり、

 村に伝わる郷土料理をいただだきながら古くからのお話を聞いて過ごすといったような、

 風変わりなものが大手の新聞から火がついて家族連れや女性友達同士、キャンプ気分のグループなども

 泊まりに行ったそうでして、真似する過疎地も増えまして、岩手のかなり過疎が進んだ村で、

 村を丸ごと宿泊施設にしてしまおうと、空き家一軒一軒全て民家風の宿にして、まあ民宿ですわね、

 その村は住民が1人しかおらず、そこのおばあさんが全て取り仕切っている、という訳でもなく、

 隣村が人口27人いるものですから、昼間はそこからヘルプの方が何人もいらっしゃって、

 空き民家をきちんと清掃したり、料理の材料を運んだり、お客様が多いときは一緒にもてなしたり・・・」

 

すごいな、ちょっとそそられる、行ってみたいかも?廃墟マニアとか喜びそうだ。

 

「それで一人旅の男性が泊まりに行ったのですが、どの民家も変に小奇麗にされていて、面白くないと。

 まあ一応、民宿な訳ですからきちんとした家を用意するのは営業している方としては当然の事なのですが、

 もっとこう、ミステリアスな、ゾクゾクするようなものが欲しいと・・・そう思いながら村唯一の住民、

 おばあさんの家で夕食をいただいていたのですが、鍵の開いている家ならどこに泊まってもいいかわりに、

 沼の先にある集落だけは絶対に行かないようにと・・・こういう方は行くなと言われれば行くものですわね、

 夕食とお風呂をいただいた後、眠る場所に選んだのは当然、行くなと言われた集落の方へ・・・暗い中、突き進みましたわ。

 懐中電灯を照らすとどれも酷く荒れ果てていて、とても住めるような家ではなかったのですが、さらに奥、

 大き目のお屋敷を見つけまして、これはかなりしっかりしている木造の家で、ここにしよう、といいますか、

 もうここしかないという感じで玄関を開けると・・・ビリッ、という音がしまして、何かと思って電燈を照らすと、

 どうやら貼ってあったお札を破いてしまったらしいと・・・中はがらんとしていましたが綺麗で寝るには申し分ない、

 それよりも部屋の空気とでもいいましょうか、雰囲気が尋常ではないくらい不気味で、さすがに少し躊躇したそうです」

 

なんとなくわかる、そういう独特な雰囲気・・・きっと得体の知れない気配でもしているのだろう。

 

「丁寧に一番近くの民家からランプと布団を運び、そこで敷いて眠ったのですが・・・夜中になってふと目が覚めたそうです、

 というのも、あきらかに何かきつい視線を感じる・・・そして、天井裏から物音はまったくないのに気配がする。

 ドキドキしながらその気配を目で追っていたのですが、丁度自分の顔の真上でそれが止まり、自分をじっと見てるような気がしました。

 見つめ返すようにじーーーっと見ていると、天井が少しずつ湿ってきて、ピチョン、と水滴が垂れてきました、それも生臭い。

 何かいる!と思った刹那、そこから降りてきたのは・・・紅い紅い、舌だったのですわ、それも長い・・・おそらく女性の。

 思わず逃げようと掛け布団を放り出したのですが、そのとたん、体が動けなくなりまして、金縛りですわね、倒れるように、

 いえ、まるで敷布団に貼り付けにされるかのように仰向けになって・・・その紅く長い舌はまるで軽くいたぶるかのように、

 頬をぺちょり、ぺちょりと舐め叩いてきました、ぞぞぞーーーっと全身鳥肌が立ちながらも、その奇妙な舌の感触に、

 少し興奮なさいまして、金縛り中にもかかわらず股間がムクムクと・・・舌は頬だけではなく喉や唇も丁寧に舐めはじめ、

 さらには唇に割って入り、舌を絡めてきたのです、その唾液を飲まされると興奮がより火をつけられ、もう股間が膨張しきって、

 ディープキスだけで放出させられそうになっていましたわ、そんな状態でふと見た天井、そこからは、また新たな舌が降りてきて・・・」

 

わざとなのか唇が乾いたのか、軽く舌なめずりするさやかちゃん、舌がなんだか特に紅く見える・・・。

 

「いくつもの、無数の舌が次々と襲い掛かってきて、舌で下着を脱がし、体中を舐め回しはじめたのですわ、

 金縛りで身動き取れないのをいい事に、それはもう執拗に・・・その気色良さに身悶えながらもすぐ恍惚の表情となり、

 肉棒や睾丸も上下に舐め回され続け、乳首も舌で転がされ続け、脇や首筋などの汗もすぐにしゃくり取って・・・

 体中が舌に埋め尽くされながら、全身が女性の膣内に埋もれたような錯覚に陥りながら、すぐに射精してしまったそうです、

 しかし本当に恐ろしいのはこれから・・・射精した精液を舌が掬い取ると、さらに精を出させようと射精中にもかかわらず、

 さらに肉棒を、筋を中心に上下に舐め続け、さらにお尻の穴の奥まで別の舌が侵入し、前立腺をえぐるように・・・

 口には最初の舌が絡み続けたままですから、嗚咽のような叫び声をあげても声は風に掻き消されて誰にも気付かれない・・・

 全身唾液まみれになりながら、舌が這うたびに凄まじい快感が走り抜け、同時に汗や精気をしゃぶり尽くされる、

 それはもう快楽地獄と呼ぶに相応しい、性感を苛め抜く魔の拷問を休む暇なく受け続けたのですわ、そして朝になって、

 ようやく見回りに来たおばあさんに発見された時は、全身ずぶ濡れにもかかわらず、酷い脱水症状で死にかけていたそうです」

 

・・・まさに吸い尽くされた、という話だ、古い家に憑く霊ってほんと、やっかいだな。

 

「長い舌ってテクニックありそうだよねー」

「きっと干からびてても、ちんこは起ったままだねっ」

「無数の舌だけの霊というのは、どのような背景だったんでしょうね」

「きっとそれ『あかなめ』の一種だよ〜、そ〜ゆ〜妖怪ぃ〜」

 

舌に犯される、かぁ・・・う、さやかちゃんが舌をチロチロさせて唇を濡らしてる・・・ちょっとエロい。

 

「あ、おしまいですわこの話は・・・では消しましょう」

 

両手であおいで火を消した・・・。

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