第2話:死のささやき

 

続いてナミちゃんの番だ、

すでに長期戦を覚悟してあぐらをかいている。

デニムの際どい半ズボン、その脇からピンクのショーツがちらりと・・・

 

「どうしたのぉ?こんな座り方、女の子らしくないとかぁ?」

「い、いや違うって!その、膝が火に近づいてるから・・・」

「うおっ!?ほんとだ、あっぶなぁ・・・あんがとぉねぇ・・・」

 

良かった、ショーツとTシャツの色を揃えてるんだなって考えてたのがばれなくて。

 

「でも見てたの膝じゃなくなかったぁ?」

「あ、あと、虫に刺されてるなあって」

「こんな山ん中だからしょうがないってっ!」

「それより、お、お話しないと時間が・・・」

「そだね、フリートークしててもしょーがないから行くよっ」

 

ナミちゃんは一転、真剣な表情になり話をはじめた。

 

☆ナミちゃん☆

「これは私の友達の友達の知り合いの友達の男の子の話なんだけどぉ、

 夜中にコンビニに行ったら電柱の前でしゃがみこんでた女の子がいたんだって、

 なんだろ、と思って近づいてみたら肌がすっごく白い女の子で、

 服も着てるんだけどそれも全て白で、あきらかにこの世のものじゃない、

 幽霊だってわかったんだって、やばい!って。そしたら目が合った瞬間、

 透き通るような声で『寂しいの、来て』この声が信じられないくらい綺麗で、

 聞いただけで耳に吐息を吹きかけられたみたいになったんだってぇ。

 その声にまるで催眠術にかかったみたいに頭がぼーっとなっちゃって、 

 誘われた通りその声に誘導されて、高架下の茂みでその女の子、

 高校生か大学生くらいに見える子だったんだけど、服を脱ぎ始めて、

 その裸も人とは違った白さで、もちろん唇も大きいおっぱいも下のヘアも、

 何もかも真っ白で、綺麗すぎて気がついたら抱きついちゃっててぇ・・・」

 

真っ白な大きいおっぱい・・・

ナミちゃんくらいの巨乳かな?

彼女は鍛えた小麦色の肌だけど・・・。

 

「気がついたら押し倒して何度も何度もヤッちゃったんだって、

 それも犯してるはずなのに、操られて犯させられてるみたいに。

 過去に女の子の経験はそこそこあったんだけど、その誰よりも気持ちよくって、

 麻薬ってこういうのなんだろうなって思ったくらいとんでもない快感でぇ・・・

 とにかく肌の感触とか、中に出したときの持って行かれる感じぃ?が、

 全身に鳥肌が立つどころか、魂を吸い尽くされるみたいな凄まじさで、

 何十回もイッちゃって全身身動きできなくなって、ようやく女の子は消えたんだけどぉ、

 その消えた瞬間に『また呼ぶから・・・来て』ってささやいたんだってぇ」

 

うわ、それでそこへ通うようになって精を吸い尽くされる、とかかな?

 

「次の日、さすがにへばって一日中寝てたんだけどぉ、夜中に耳元で、

 あの透き通った声がしかもすんごい近く『ねえ・・・来て』ってささやいて、

 その声の瞬間、右の耳から脳を通って左の耳に突き抜けるような快感が駆け巡って、

 恐る恐る声のほうを向いたら・・・いたんだってぇ、部屋の中に、その女の子がぁ!

 すでに服を脱ぎはじめてて、真っ白な乳房がぷるんってふるえて、

 気がついたらベッドから雪崩落ちるようにして彼女のおっぱいに顔をうずめて、

 夢中で舐めながら押し倒して・・・彼女の『あん、あんっ』っていう喘ぎ声も、

 聞くたびに背筋がゾクゾクッてして股間も痺れるように疼いて疼いてたまらなくなって、

 またそのまま押し倒して・・・結局そのまま朝までやっちゃって、気絶しちゃってぇ」

 

魔物に魅入られた、っていうやつか。

 

「それで声が聞こえるのが夜のうちはよかったんだけどぉ、

 そのうち昼間でも学校で『たまらないの、来てぇ』って声がして

 ふらふらと体育倉庫に吸い込まれたりぃ、プロ野球観に行ってたら

 球場のトイレで声がして中でやっちゃったりぃ、体はふらふらなのに、

 幽霊の綺麗な声がすると逆らえなくなって、もう魂が抜けたみたいに、

 その方向へ行って抱いてしまうんですってぇ、そうした毎日をおくっていたある日ぃ、

 駅のホームで電車を待っていると、いつもの声で『こっちまで、真っ直ぐ来てぇ』って・・・

 見ると線路挟んだ向こう側のホームであの白い女の子が両手を広げて誘っているの!

 声に命じられたまま、目はとんでヨダレをたらしながら、条件反射で真っ直ぐ歩くと、

 線路に落っこちて、そこへ電車がやってきて・・・その男の子は・・・電車に・・・」

 

ナミちゃんの前の蝋燭、その炎が静かに揺れた。

 

「と、間一髪で親切な人が助けに降りて避難スペースまで引き込んでくれたんだってぇ、

 命は助かったんだけどぉ、そのとき耳元で『来てって言ったのにぃ、こっちの世界へー・・・』

 っていう声が聞こえたっていう。それ以来、その霊の声も姿も出なくなったんだってぇ」

 

危ない・・・霊に殺されそうになって助かった話か。

 

「でもぉ、その話をしてくれた2ヵ月後にその子、学校の屋上から飛び降りて死んじゃったんだってぇ」

 

助かってないし!!

 

「遺書も見つかってなくってぇ、でも自分から飛び降りててぇ、原因は不明だってぇ。おしまいっ」

 

モモちゃんたちが感想を述べる。

 

「助かった、と油断させておいて2ヵ月後にまたささやいたんだねー」

「そうだねっ、ホームから落ちてしばらくは警戒するだろうから」

「極上の快感を毎日味わった後、2ヶ月間もじらされたのでしょうから逆らえませんわね」

「きっとあの世でえっちなことしてるかな〜、今もしてそ〜だね〜」

 

死へと導く女幽霊のささやき・・・恐ろしい話だった。

 

『ふうっ!』

 

大きな息の塊で火を消した、

これで残り98本、終わったら蝋燭はちゃんと片付けなきゃ。

あ、なぜか水のないバケツがあると思ったらそこに放り込んだ!

 

「お水もちょっと入れておくねっ」

 

消火用のバケツから水を少し分ける・・・

僕は自分のペットボトルの水を少し飲んだ。

さあ、次は・・・オカルトホラー系腐女子?の、さやかちゃんだ。

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