第3話:妹の友達

 

静かにすっく、と立ち上がる、さやかちゃん。

 

「私の番ですが、その前に、百物語実行委員会副委員長として言っておきたい事がありますわ」

 

そんな委員会だったのか、しかも副委員長って!

 

「儀式の作法についてあまり細かいことは言いませんが、ルールというよりは守っていただきたいマナーがあります、

 まず今回は『いやらしくて怖い話を百話する』というのが最優先事項ですから、お話のクオリティについては、

 多少目を瞑っていただくというか、まあ無粋な突っ込みは無しという事です、その話は矛盾があるですとか、

 昔どこかで聞いた話の改変だとか、似た話で飽きたですとか、さすがに同じ話をしたら注意していただきたいですが、

 場の空気を汚す程のふざけたものでない限りは、いかなる物語も許容していただきたいのです、お願い致しますわね」

 

まあ百も話をするんだから、クオリティが劣る話も出てくるだろう、

僕だって自信がない・・・テレビで「すべらない話」とかやってる芸人さんって、本当に偉大だ。

 

「なおペナルティは休憩時間の15分、丸々くすぐりの刑ですから」

 

それはそれで怖いような、でもちょっとだけ、されてみたいような・・・。

 

「では行きますわね」

 

後ろで束ねた髪を揺らしながらお嬢様座りをし、話を始めた。

 

☆さやかちゃん☆

「これは、友信くんという高校1年の男の子が本当に体験した話なのですが、

 彼には優希ちゃんという中学2年の妹さんがいまして、勉強会と称して、

 いつも家に妹さんとそのお友達グループが数名集まっていたそうですの、

 ご両親の帰りがいつも遅かったり帰って来ない事も多かったため、勉強会も

 そのまま夜遅くまで、時には朝までお泊りするような日も頻繁にあったのですが、

 友信くんはたまにうるさいなあと思う事はあっても、大して関わらず、

 廊下で会ったら挨拶する程度で特に気にもしていなかったのですが・・・

 ある日、部屋でくつろいでいた友信くんの部屋に、知らない間に音も無く、

 1人の少女が立っていたのですわ、大人しい感じの中学生くらいの子で、

 ああ、きっと妹の友達なんだろう、でもノックもドア開いた気配もないし

 ちょっと変だなあ、と思いながらも『どうしたの?』と聞くと、その少女は・・・」

 

さっきの2人と違い今回は登場人物に名前がついてる、

きっとさやかちゃんなりに物語のディテールを上げたかったのだろう。

 

「みんな相手にしてくれなくって寂しいの、と言ってきたそうですわ、

 友信くんも『優希のやつ、酷いなー・・・俺が言ってきてやろうか?』と部屋から出ようとすると、

 『行かないで』って言って抱きついてきたそうです、妹の友達といえども、中2だとしても、

 かわいい女の子に抱きつかれてドキドキしない男の子なんていませんわ、『わかったよ、じゃあ』と

 慌てて離れ、しばらくその子を部屋に置いておく事にしたんですの、はじめはぼーっと、

 テレビを見てたり何か考え事をしてたり、意味も無く窓の外や時計を見てたり・・・

 時間はもう0時を過ぎていたそうで『寝なくていいの?』と聞いても無言でうなずくのみ・・・

 そのうち座っているスカートの中とか、中2にしてはそこそこある胸の谷間とか気になって、

 焦った友信くんは『そろそろ寝るから、君もみんなの所へ・・・』と言い終わらないうちにその少女が」

 

う、そんな話を聞くとつい、さやかちゃんのスカートが気になる、覗こうと思えば覗けちゃう座り方・・・

 

「あそこへ戻ってもつまらないから、楽しい事しよ、とゆっくり股を開いて白いショーツを見せ付けたのです、

 かわいらしい、大人しいタイプに見えていた中学生くらいの少女のその妖しい誘いに友信くんは、

 理性なんて保てる訳がありませんわね、お人形さんみたいにして座らせ、丁寧に靴下から脱がせてあげて、

 1枚1枚まるで自分の理性も剥ぎ取るように衣服を外してあげると、すでにある程度実の生った乳房が・・・

 思わず手が止まると逆に少女の方が友信くんの服を脱がし始め、そしてお互い下着姿に・・・あとはもう・・・

 でもひとつだけ、どうしても友信くんが確認しておきたい事がありました、少女にひとこと、ぼそりと・・・

 『その・・名前は・・・何ちゃんかなぁ・・・』その問いにそっと『ありさ・・・です』と答え、唇を重ねてきました、

 少女の方から唇を奪われた友信くんはすっかり興奮してしまい、自分とありさちゃんの下着をずらせて、

 勢いに任せて・・・女性経験もなく、本能だけで突っ走った、盛りのついた高校生男子ですから、

 それはもう荒々しく、犯すように夢中になって・・・しかしありさちゃんはそれを必死でどころか余裕で受けて、

 逆に下から強く強く抱きついたり腰を救い上げたりして、最後の方はどっちが犯しているのかわからないくらいに・・・」

 

想像すると、す、すごいな・・・さやかちゃんも乱れるとそんな感じなんだろうか?

 

「少女の中にも外にも出し尽くした友信くんは、精根尽き果てて気絶してしましましたわ。

 翌朝、股間が涼しいまま目を覚ました友信くんがまわりを見ると誰もいない、もう帰ったのかな?と思い、

 お風呂に入ろうとドアに手をまわすと・・・鍵がかかってるじゃありませんか、この部屋の鍵は、

 内側からしかかけられず外からではどうやっても開かないようになっていて、もちろん窓もしっかり閉まっている。

 つまり、誰か来たなら鍵はかかっているはずはない!でも確かに夕べ、ありさちゃんを抱いた温もりが体に・・・

 おかしいと思いながら妹の優希ちゃんに聞いてみたところ、確かに夜中まで部屋で遊んでいたものの、

 ありさちゃんなんていう女の子はいないと。特長を言ってもそれにあてはまる少女はいなかったそうですわ、

 じゃあ、夕べ初体験をした相手は、一体、誰?という、恐ろしいお話・・・でした、以上ですわ」

 

恐ろしい・・・かな?うん、怖いといえば、怖い、な。

 

「あーその少女、その幽霊って妹の友達が集まってて楽しそうだったから来たんでしょうねー」

「霊だったって証拠はないのっ?男が、友信だっけ?その子が背中を引っ掻かれたとかさっ」

「物理的な証拠が残っていますと、逆に霊ではなく人間の悪戯という可能性を疑ってしまうかと」

「じゃ〜実は夢だったってゆ〜ことかな〜、一回だけでも〜こないのかな〜、もったいないね〜」

 

何がどうもったいないんだ?

友信くんがかな、霊相手ならいくらでもやれるとか・・・

初体験が少女の霊、か・・・うん、確かに怖い話だ。

 

「それとみなさん、百物語の炎というのは・・・こう消すものですの」

 

手で蝋燭の炎をあおぎ消す・・・

消し方なんかどうでもいいのに、儀式に拘るなんてさやかちゃんらしいや。

 

「一巡目はマイルドに責めさせていただきましたわ」

 

あれでマイルドなのか・・・

じゃあ最後の一巡は、ど、どんな話になるんだろう・・・。

あと97本!ってカウントダウンはもう、あと10本くらいになってからにしよう。

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