第1話:真夜中のキャンプ場

 

打ち合わせ☆

蝋燭を全て点け終えると、部屋の中全体が揺らめいて見える。

 

「これだけ火が立ってると迫力あるねー」

「障子開けたら虫が入ってくるからぁ、気をつけてねぇ」

「部屋全体が炎で焼かれてるみたい・・・儀式っぽくってうっとりしますわ」

「ほんとに焼かれるの嫌だから倒さないようにしよ〜・・・この干し杏おいし〜」

 

中央の蝋燭を見つめるモモちゃん、

楽しそうに時間を待つナミちゃん、

周りを見渡して感慨深げなさやかちゃん、

食が遅いためデザートのドライフルーツをはむはむしてるレイちゃん。

そして僕は時計係・・・さあ、いよいよ時間だ!外はまだ薄明るいけど、日没の時間がやってきた。

 

「あと30秒・・・順番はどうするの?」

「最初はわたしー、次はナミちゃん、さやかちゃん、レイちゃんでー」

「一番最後、頼んだよっ」

「パスは無しですから、輪廻というものを守らないと儀式は成立しませんから」

「寝ちゃったら〜、おでこペシペシしちゃうよ〜?」

 

・・・・・18時46分00秒、時間だ!!

 

「はい、スタート!」

 

僕のその声に、

100本の炎が一斉に勢いを増した。

気のせい、だよ、な?と思いながら、モモちゃんの第一話が始まったのだった。

 

☆モモちゃん☆

「これはー、来る途中にあったキャンプ場で本当にあった話なんだけどー、

 私たちと同じくらいの歳の男の子がねー、テントで1人で寝てたんだけどー、

 まわりをぐるぐる人が回ってる気配がしたんだってー、初めはトイレに出た人が、

 自分のテントを探してるのかなーって思ってたんだけどー、なーんとなく気配が、

 薄い感じがしたんだってー、本当に人がいる感じがしてるのに実態は無い感じー?

 しかも気配なのに髪が揺らめいてる感じがして、あ、女の子だー、って気付いたんだけど、

 それが逆に怖くなっちゃったんだってー、気配があきらかに一緒に来てる女の子じゃない、

 得体の知れないものだ、ってそう確信した時にはもう金縛りにあっててー、

 そのうちぐるぐるぐるぐるまわりを回ってる女の人が、こっちを狙ってるーって気がして、

 声を出そうにも出ない、ランプをつけようとしても手を伸ばせられない、

 テントの中は真っ暗、助けて!って思ったんだけど、信じられない事にその男の子はー・・・」

 

僕はごくり、と唾を飲む。

 

「その男の子はー、怖いはずなのにー、女の子がまわりを回って自分を狙ってるって思ったら、

 勃起しちゃったんですってー、もう自分でも信じられないくらいにビンビンにー、興奮しちゃってー。

 それで襲われる!って思った瞬間にテントの中にその気配が入ってきてー、女の子の甘い髪の匂いがして、

 クスクスッ、て笑う声が頭の中で響いたかと思ったら、トランクスもジャージも履いたままなのに、

 女の子の手の感触がビンビンのそこに触れてきて、さわさわと撫でて、さらにやさしく揉んできて、

 それだけじゃなく、もう片方の手の感覚も体中をまさぐってきて、首筋には髪の毛がかかる感触まで・・・

 あまりの快感と恐怖が入り混じったまま、その男の子は今まで経験したことのないくらいの勢いで、

 一気にピューーーーーって射精してしまって、そのまま気絶してしまったそうなの、ここで終われば、

 単なるいやらしい夢って話なんだけど、朝起きてみると、首筋に何十本もの長い髪の毛が絡みついていたそうなのー・・・」

 

ひいぃ・・・想像して背筋がゾクッてなっちゃった。

 

「その男の子、怖くなって翌日にはキャンプ場から逃げちゃったんだけどー、

 気絶しちゃったせいで憑りつかれちゃったのか、毎晩寝るたびに体中まさぐられて、

 イカされ続けちゃってー、される事も舐められたり抱きついてきたりエスカレートしてきて、

 あきらかに命を吸われてるって実感してー・・・2週間後なんとかお祓いしてもらったんだけど、

 かなりゲッソリやつれちゃってて、あと1週間遅かったら憑り殺されてたって言われたんだってー」

 

恐ろしい・・・お祓いできてよかった、

もし快感に弱い男だったら、その霊にハマっちゃってたら、

最後までやっちゃって、命を吸い尽くされていたんだろうな。

 

「今でもその時の事を思い出しただけでイッちゃうらしいよー、はいおしまーい」

「うんっ、最初の話にしてはまあまあなんじゃないっ?」

「もうすこし細かく描写を聞きたい所ですが、1人5分では仕方ありませんわね」

「その幽霊、ど〜してキャンプ場なんかにいたんだろ〜ね〜?」

 

うーん、憑りついて移動できるくらいだから、

地縛霊じゃなく浮遊霊だったんだろうな、それで、

ふわふわしてたら男が寝てるテントを見つけて、と・・・。

 

『ふーーーっ・・・』

 

蝋燭の火が一本消された、

これであと99本・・・先は長い、

これは聞き流す程度で楽しんだ方が良さそうだ。

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