プロローグ |
2月上旬、年度末と言う時節柄、泊まり掛けの「旅」はまず無理な状況でしたが、とりあえず今の
ところ休日は出勤しなくて済んでいたので、その休みを利用して私は旅行記第12弾や小旅行記第2弾
などの日帰り近距離「旅」に出掛けていました。
そして2月16日の日曜日も休める事になったので何処かに出掛ける事にしたのですが、移動時間を
掛けずに行ける近場となると、なかなか良いところがありません。
いちおう休みは休みなんですが、何かあった時はすぐに会社に駆けつけなければならない為、近場
をウロつくにしても移動に時間が掛かる所には行けません。
大阪からの距離だけで考えれば、乗り潰したい路線として加古川線や播但線、三セクの三木鉄道や
北条鉄道などは比較的「近場」にあるのですが、いかんせん、これらの路線に乗ってしまうとダイヤ
の都合で大阪に戻るのに数時間は掛かってしまうので諦めなければなりません。
逆に、距離は遠くても名古屋や岡山は新幹線で1時間で行けるので、いちおう「射程距離内」と言
えます。その辺で考えてみましょう。
あれこれ検討した結果、旅行記では未だに未踏査となっているJR四国エリアの「下見」の為に高
松まで行く事にしました。これならば何かあっても2時間で大阪まで戻れます。
この内容ならば小旅行記扱いかなと考えていましたが、時刻表を眺めている内に欲が出て来た私は
例によって「抱き合わせ」列車をついつい付け加えてしまい、プランの策定が終わって見れば、高松
に加えて津山線の急行『つやま』、快速『ことぶき』、吉備線、山陽本線の快速『サン・ライナー』
などの乗車が追加されており、「旅」は旅行記本編級の内容に拡大していました・・・。(^^;
この「旅」のミソは、岡山を起点として各路線を往復するようにしている事であり、いざと言う時
は、何処にいても2時間程度で大阪に戻れるようになっていたのです。
第1部:「ちょっとこだわりの列車」その11/急行『つやま』 |
まず最初に乗るのは岡山と県北の津山とを結ぶ津山線を走る急行『つやま』です。キハ58系気動
車で編成された同列車は1日1往復が運転されています。
全国的にJRの急行が減少しつつある現在、JR西日本が運行する急行も昼行の『つやま』、『み
よし』と夜行の『きたぐに』、『だいせん』のわずか4本しか残っておらず、それらの「乗覇」を急
がねばならないところです。
で、「旅」の当日。あいにく外は大雨になっていました。今回の「旅」は、9:26に岡山を出発する
『つやま』に合わせての移動となります。
本日の「スターティング・トレイン」として大阪から新大阪まで乗った高槻行の普通列車では、デ
カいヴィトンのカバンを抱えた女性が乗っていました。
たぶん旅行用のカバンなんでしょうが、そんな物にまでブランド物を使いたがる女性の趣向が私に
は理解出来ませんでした。
新大阪駅14番ホームから出発して行く高槻行・普通 列車1106Bです。 【大阪府・新大阪駅】 |
岡山までの移動は、7:50新大阪発の博多行『ひかり359号/レール・スター』に乗る事にしてい
ました。新大阪始発の列車ですから、早く行って待っていれば指定券を買わなくても自由席に座れる
でしょう。
岡山までの新幹線自由席特急券と乗車券です。いつも 不思議に思うのですが、指定席を買うと切符は1枚物な のに、自由席だと何で2枚になるんですかね? |
8両編成の「レール・スター」は1〜3号車が自由席となります。私は博多方の先頭車となる1号
車に乗り込みました。
「レール・スター」の指定席は2+2列ですが、自由席は通常の 新幹線と同じく3+2列になっています。 【山陽新幹線『ひかり359号RS』車内】 |
座席のシート・カバーには「レール・スター」の小さ なロゴ・マークが刺繍されていました。これまで気づき ませんでしたな。 【山陽新幹線『ひかり359号RS』車内】 |
『ひかり359号RS』は定刻通りに新大阪駅を出発しました。我が1号車の乗車率は30%と言う
ところでした。以外と少ないですな。
列車は新神戸、姫路と停車した後、8:41に岡山駅に到着しました。本日、まず1回目の岡山駅来訪
となります。
岡山駅2番ホームから出発して行く『ひかり359号 RS』です。博多までは、まだ2時間近い旅路が残って います。 【岡山県・岡山駅】 |
私はまず津山までの乗車券と急行券を買いに行く事にしました。急行『つやま』にはグリーン車も
連結されていますが、今回は自由席で行く事にしました。
「みどりの窓口」に行き、愛想の良い女性係員に「急行で津山まで」と告げると、女性係員は一瞬
「は?」と言う表情をした後、すぐに笑顔を戻して「急行で津山まですね。ありがとうございます」
と応えました。
切符を受け取った私は、女性係員のキョトンとした表情の理由が気になったので、自動券売機の所
に行って見ました。
すると、案の定、券売機には、ちゃんと急行券のボタンがありました。わざわざ「みどりの窓口」
に行く必要はなかったんですな。(^^;
岡山から津山までの急行券です。券売機で買うと津山 の駅名は入らないんじゃないスかね? |
急行『つやま』が出る時刻まではまだ30分以上時間があったので、私は改札を通り、在来線コン
コース内の待合所で待つ事にしました。
待合所の近くにあった「ジパング・サロン」です。シルヴァー年 齢層を対象としたJRの特典サーヴィス『ジパング倶楽部』会員専 用の待合室ですな。このような「役得」サーヴィスをして貰えると 入会するだけの値打ちがあると言うものです。 【岡山県・岡山駅】 |
発車15分前まで時間を潰した後、私は『つやま』が出るホームへと行きました。路線の利用率か
ら判断して混んでいるとは思えませんでしたが、自由席に乗るのですから少し早めに行っときません
とね。
ホームに行くと、やはりまだ『つやま』の姿はありませんでした。岡山駅の西端に位置する津山線
/吉備線ホームから他のホームを眺めると、特急『しおかぜ』や『スーパーやくも』、瀬戸大橋線の
快速『マリンライナー』などが着発するのが見えました。
山陽本線を始め、赤穂線、瀬戸大橋線、宇野線、伯備線、吉備線、津山線など7路線の列車が着発
する岡山駅の在来線ホームは、いつ見ても活気があります。
それにしても『つやま』の入線は遅いなぁ・・・。寒いのでさっさと来て欲しいのですが、なかな
か姿が見えません。
定刻の7〜8分ぐらい前だったでしょうか、ようやく『つやま』が入線するとの放送があり、間も
なく津山方に列車の姿が見えましたが、エラくゆっくりと向かって来ます。
姿が見えてからたっぷり2分ぐらい掛けて『つやま』はホームに入って来ました。こないにゆっく
り入るのは何か意味があるんかいな?
岡山駅16番ホームにゆっくりと入線する急行『つや ま』です。車両にはキハ58系・急行型気動車が使用さ れています。 【岡山県・岡山駅】 |
モノの本によりと、この7000番台の車両はJR西日本 にて座席換装工事を行った車両なんだそうです。 【岡山県・岡山駅】 |
行先表示は、旧型車の定番であるプレート式でした。号車番号も 「自由席」の座席種別もプレートで表示してあります。 【岡山県・岡山駅】 |
急行型の証であるデッキです。旅行記第12弾で乗った小浜線のキ ハ58は普通車化改造されていてデッキ・ドアが撤去されていまし たが、「本職」たる急行として運用されている『つやま』には、ち ゃんとドアがありました。 【岡山県・岡山駅】 |
外の写真を一通り撮り終えた私は、自由席の1号車に乗り込みました。車内は暖房が充分に効いて
いて快適でした。気動車で満足に暖房が効いていたのはこれが初めてかも知れません。
急行『つやま』の1号車の車内の様子です。オリジナ ルのキハ58はボックス・シートがずらりと並んでいる のですが、『つやま』使用車両はサーヴィス向上のため 座席が簡易タイプのリクライニング・シートに換装され ています。 【急行『つやま』車内】 |
『つやま』の簡易リクライニング・シートです。どっかで見た事 があるんですが、これって以前、新幹線に装備されていたシートじ ゃないスかね? 【急行『つやま』車内】 |
元々ボックス・シートだったのをリクライニング・シートに変え たものですから、座席と窓のピッチが合っていませんでした。 【急行『つやま』車内】 |
足下には「気動車お約束」の暖房用ダクトが通ってい ました。 【急行『つやま』車内】 |
そして定刻の9:26、急行『つやま』は岡山駅を出発しました。1号車の乗車率は10%と言ったとこ
ろでした。乗車率は低いのは、13分後に出る普通列車と比べて津山までの所要時間が30分程度し
か変わらないからでしょうか・・・?
轟音と共に加速を始めた列車の窓からは、白煙がたなびくのが見え、排気の臭いすら感じられまし
た。これまで乗った気動車では体験しなかった事です。
岡山を出て7〜8分で列車は谷に入りました。右手には、岡山県を縦断する三大河川のひとつ旭川
が見えました。
岡山を出て10分も経たない内に列車は谷間へと入っ て行きました。 【急行『つやま』の車窓より】 |
20分程度で最初の停車駅である金川に到着。同駅の構内は複線になっており、その両外側にホー
ムが1線ずつありましたが、なぜか『つやま』右側のホームに停車しました。津山線には特急は走っ
ていませんから、このような変則な停車をする意味が私には理解できません。
ひょっとして右側ホームに駅の出入口があって、少しでも近い方に停めると言う気配りでもしてい
るんですかね・・・? この駅では一人が下車しました。
金川を出たところで検札がありました。列車はここで川の対岸に渡り、間もなく川と別れを告げて
山の中を登り始めました。
その先にあったトンネルの入口手前には、「55キロ・キハ120に限る」なる制限速の標識が立
っていました。キハ58は、この制限速より速いのか遅いのか・・・?
本日の1本目。岡山駅の新幹線ホームで買った山陽飲料の『ブレンド・コ ーヒー』です。名前の下には「キリマンブレンド・天然の湧水使用」と謳っ てありました。御当地でしか見られない、いわゆる「地コーヒー」ってやつ ですな。味は甘味が少なくてあっさりしていました。 |
トンネルを過ぎると列車は降り始め、下り切った所に町が見えましたが川は見当たりませんでした
・・・。と、思ったら川が現れて橋を渡りました。(^^; ひと山越えたようだけど、この川も旭川な
のかな・・・?
間もなく列車は福渡駅に到着しました。福渡は一度だけ来た事がありますが、その時は車だったの
で駅周辺には見覚えがありませんでした。同駅での乗降はありませんでした。
福渡を出た所で撮った沿線風景です。左側を流れるの は旭川です。 【急行『つやま』の車窓より】 |
しばらく川沿いを走った先には、かつて仕事の途中で昼食に立ち寄ったうどん屋が見えました。懐
かしいなぁ・・・。この辺は食事する所が少ないんですよねぇ・・・。うどん屋の所を過ぎると再び
列車は山の中へと入って行きました。
次の停車駅である弓削では、初めて上り列車と交換しました。私はチラっと見ただけで車両型式を
言い当てられるほどマニアじゃないのでよく分かりませんでしたが、対向列車はキハ40系だったと
思います。
その次の亀甲駅では、何と駅舎の屋根が亀の格好をしていました。名前からして亀と何らかの関わ
りがあるのでしょうか?
亀甲を出て間もなく、左手に見慣れたレストランが見えて来ました。かつて津山近辺で仕事をして
いた時は、ここの駐車場にある自販機コーナーで缶コーヒーを調達していました。
レストランを過ぎると、もう津山は間近です。ほどなく津山到着と乗り替え列車を案内する放送が
ありました。
放送が終わる頃には列車は津山駅構内に進入していました。10:27、岡山からの1時間1分の旅を
終え、急行『つやま』は終点の津山に到着しました。
ホームに降りてビックリ! 何と対面ホームと、その向こう側のプラットフォームの両線に計3両
のキハ120系気動車が待っていました。
津山駅に到着した急行『つやま』(左)と、それを待 っていたキハ120系気動車(右)です。 【岡山県・津山駅】 |
上の画像より右手を撮ったところです。驚いた事に隣 のプラットフォームの両側ホームにもキハ120が停ま っていました。 【岡山県・津山駅】 |
案内放送をよく聞いていなかったので、3両のキハ120は、どれが何処行かさっぱり分かりませ
んでしたが、時刻表によると姫新線上り佐用行2826Dに同線下り新見行859D、それに津山線上り
岡山行651Dのようです。
キハ120は未乗車の車種なので乗りたかったのですが、このあと岡山までの帰路は11:43発の愛称
付快速『ことぶき』に乗ると決めていたので、残念ながら今日は見送る事にしました。
その快速『ことぶき』が出るまでは、まだたっぷり1時間以上あったので、久々に訪れた津山市内
を散策する事にしました。
津山駅前の様子です。ちょい先の右手にある短いアー ケード街はすっかり寂れていました。 【岡山県・津山市】 |
津山駅です。姫新線が通るほか、津山線、因美線列車 の起終点駅でもあります。構内はそこそこ広いのですが 駅舎は、ちょっと大きめのローカル駅と言った風情です 【岡山県・津山駅】 |
津山は新見と並ぶ岡山県北の主要都市です。ここを訪れるのは実に久しぶりです。以前、市内で仕
事をしていた事があるのですが、その時は岡山市から車で「通い」だったので、ゆっくり市内を見回
る時間もなく、未だに市街地の地理には不案内のままです。
その証に、駅を出た私は駅の位置が記憶の場所とぜんぜん違う所にある事に気が付きました。うー
む・・・。
例によって津山の観光スポットについてはリサーチしていなかったので、何処に行くかまったく決
めていませんでした。
さーて、どーしましょーかねぇ・・・。とりあえず記憶にある場所を巡ろうと思い、私は駅前の道
を吉井川方向に向かって歩き始めました。あいにく津山に来ても雨は上がっておらず、傘をさしての
散策になりました。
間もなく、国道53号線が通る津山でいちばん大きな橋、今津屋橋に出ました。この辺は何となく
見覚えがあります。
橋を渡り吉井川の北岸側に着いた所で左を見ると、川沿いの堤防に城をイメージしたと思われる細
工が施されている事に気が付きました。
吉井川北岸側の堤防には、城をイメージしたと思われ る細工がしてありました。その向こうに見える橋は今津 屋橋です。 【岡山県・津山市】 |
堤防沿いを西へと歩くと、その周辺は道路が綺麗に整備されていました。どうやら、右手に見える
巨大なアミューズメント・ビルの建設に合わせて、この堤防も含めて辺りを整備したようですな。
道路はそこから川添いを離れて北西へと向かっていたので、私は近くにあった橋(今井橋)を渡っ
て川の南岸に戻りました。
今井橋から吉井川の下流方向を写したところです。川 辺には遊歩道が整備されており、川面では白鷺みたいな 鳥が餌を探していました。 【岡山県・津山市】 |
南岸に渡った私は国道53号まで出てから東に曲がりました。この辺は見覚えがありますが、歩い
て通ると市街地との位置関係が一目瞭然です。
とりあえずそのまま進んで津山駅前に戻ると、ちょうど大阪行のハイウェイ・バスが出発するとこ
ろでした。見ると、そこそこ大勢の人が乗っていました。
戻ってはみたものの、まだ時間はあります。私は再び今津屋橋を渡り、津山の市街地中心部を見に
行ってみる事にしました。
今津屋橋の手前から見える巨大アミューズメント・ビ ル『アルネ津山』です。中には中国地方をフランチャイ ズとする百貨店『天満屋』も入っているようですな。 【岡山県・津山市】 |
今津屋橋を渡って真っ直ぐ行った道路の両側には商店が並び、人通りは別としてそこそこ派手やか
な雰囲気でした。
そのまま歩き続けると、「津山城復元」みたいな事を謳った看板が見えました。そう言えば津山城
は何処にあるのだろう? 街の周囲を見渡してみても周辺の山の中腹や頂にはそれらしいものは見当
たりません。
たぶん城は街の北側の山腹にでもあるのだろうとそのまま進み続けると、「鶴山公園→」の案内標
識が見えました。
〈鶴山公園とはなんぞや?〉と、標識が示す方向を見てみると、ものすごく高い石垣が目に入りま
した。どうやら城壁のようです。
案の定、そこが津山城跡だったのです。後に調べたところでは、明治維新後の廃藩置県に伴い、明
治6年に廃城となり天守閣を含めて敷地内の建物はすべて撤去されてしまったとの事でした。
簡易な山城ではない「レギュラー」の城を解体するなんて実に勿体ない話です。ただ、現代を生き
るの私たちにとっては、城はひとつ残らず貴重な文化財となりますが、当時の人々から見れば旧体制
が築いた単なる要塞に過ぎず、残しておけば厄介事のタネになりかねないと思われていたのかも知れ
ませんね・・・。
城壁の頭頂部には、いかにも仮設っぽく見えるプレハブらしき青色の建物がありました。天守閣の
復元でもやってるのかな?
城壁に沿って反時計回りに歩いていると、やがてチケット売場らしき建物が見えて来ました。見学
は有料なのかな?
とか何とかやっている内に、気が付けば時間がヤバくなっていました。私は右手にあった階段を降
りて津山駅に急ぎました。
鶴山公園(津山城跡)を南から見たところです。城壁の上には仮 設っぽい建物が見えました。 【岡山県・津山市】 |
商店街の道路脇の管理設備には、このような「飾り」が付けられ ていました。 【岡山県・津山市】 |
マジで時間が無くなって来たので、今津屋橋を渡り始めた辺りから私は早足になりました。まだ1
本目の列車をクリアしただけなのに、もし乗り遅れたら後の予定がすべてパーです。
駅に戻り、自動券売機で次の目的地である総社駅までの切符を買った私はすぐにホームに入りまし
た。何とか間に合ったようです。
津山駅に停車中の11:43発・快速『ことぶき』3637Dで す。列車はキハ47系の2両編成でした。 【岡山県・津山駅】 |
例によって『ことぶき』のドアは保温のために閉じられており、ドアはボタンを押して開けるタイ
プでした。
乗車率は20%以下でしたが、各ボックス・シートにはひとり以上の乗客が座っていたので、私は乗
降口横のロング・シートに座りました。
間もなく、定刻の11:43が来て『ことぶき』は津山駅を出発しました。途中、弓削駅で列車交換が
見られましたが、そこから先、私は寝て行く事にしました。往路の急行『つやま』で沿線風景は堪能
済みだったので・・・。
しかし、これまで乗った気動車のほとんどがそうだったように車内の暖房は効きが不充分であり、
12:49に岡山に帰着した時には、私は少々凍えていました。
第2部:「ちょっとこだわりの路線」その5/JR吉備線 |
さて、次は吉備線の乗車です。吉備線は岡山と総社を結ぶ営業キロ20.4キロのローカル線で、気動
列車の各駅停車のみが運行されています。
一方の起終点駅である総社は、山陽本線倉敷経由で岡山←→米子間を結ぶ伯備線の途中駅でもあり、
吉備線は伯備線をショートカットするようなルートを通っています。
で、何で吉備線に乗るのかと言いますと、単に私が好きな気動列車が走っていたからで、別に沿線
風景とかが目当てではありません。(^^;
とは言え、吉備線沿線には最上稲荷や高松城などの歴史的建造物が幾つもあるので、立派な岡山観
光のルートのひとつなのです。
岡山に着いた快速『ことぶき』から次の吉備線列車への乗り替え時間は23分だったので、私はホ
ームで待つ事にしました。
不思議なもので、大阪で23分待ちと言えばイライラするほど長く感じるのに、「旅」では「バタ
バタせずに済む、程良い時間」に思えてしまいます。
待っていた13:12発・吉備線・総社行・普通列車747Dは、13時過ぎに到着しました。残念な
がら車両は快速『ことぶき』と同じキハ47系でした。違う車種だと嬉しかったのですが・・・
岡山駅に到着する13:12発・吉備線・総社行・普通列 車747Dです。列車はキハ47系の3両編成でした。 【岡山県・岡山駅】 |
車体のトイレ外側部分にはJRのロゴ・マークと「WEST JAPAN」 の文字が描かれていました。 【岡山県・岡山駅】 |
キハ47の車内です。同車種は座席配置のヴァリエー ションが様々ありますが、吉備線に使われている車両は ボックス・シートの数が多いですな。 【吉備線・総社行・普通列車747D車内】 |
乗車率は10%程度のガラガラ状態で列車は定刻に発車しました。岡山を出ると線路はすぐに北へと
進路を変え、ローカル線とは思えないような高架上をしばらく走りました。
3分で最初の停車駅である備前三門に到着。ここは住宅街の中にあり、傍らには県北の主要都市で
ある新見へと通じる交通量の多い国道180号線が通っているにも関わらず駅は無人でした。
同駅を出ると右手に関西高校が見えました。スポーツが盛んな学校で、岡山ではけっこう有名な私
立高校です。
さらに3分で次の大安寺に到着。旅行記第7弾で乗った五能線や第8弾で乗った可部線もそうでし
たが、このように駅間距離が短いのが地域密着型であるローカル線の特徴です。
大安寺駅も無人で、周辺には住宅地と田んぼがありました。ここで気づいたのですが、この747
D列車もドアは手動扱いなのですが、前2両は手でドアを横に引いて開けるタイプで、最後尾の1両
はドア・ボタン式になっていました。
大安寺を出ると線路の両側は田んぼになりました。5分走って備前一宮駅に到着。ここは有人駅で
あり、左手には吉備津彦神社がありました。
さらに3分で吉備津駅に到着。ここでは上り列車との交換がありました。同駅から歩いて5分の所
には、本殿と拝殿が国宝になっている吉備津神社があります。同神社には何と398メートルもの長さ
を誇る回廊などもあるそうです。
吉備津から4分で備中高松駅に到着。到着前に山陽自動車道の高架を潜りました。同駅の近くには、
京都の伏見稲荷、愛知の豊川稲荷と並ぶ日本三大稲荷のひとつ最上稲荷があります。
また駅の北側には、天正6年(1578年)、当時、織田信長軍の中国地方攻略司令官だった、あの羽
柴秀吉が水攻めをした事で知られる高松城があります。
備中高松駅の手前北側にある最上稲荷の大鳥居です。 その高さは何と27.5メートルにも達します。 【吉備線・総社行・普通列車747Dの車窓より】 |
備中高松駅を出た辺りの沿線風景は、住宅と田んぼが半々と言ったところでした。4分で次の足守
駅に到着。
同駅ではまとまった人数(と、言っても全部で10人程度ですが)が降りました。何があるのだろう
と周りを見渡して見ると、列車の左手は見渡す限り住宅地で、反対の右手は見渡す限り田んぼでした。
足守を出たところで再び山陽道の高架を潜りました。5分で服部駅に到着。同駅は典型的なローカ
ル駅の趣でした。
さらに4分走って東総社駅に到着。終点総社のひとつ手前とあって駅周辺は住宅が建ち並び街の雰
囲気でした。同駅で乗客はほとんど降りて我が車両の乗客は僅か3人となりました。
この駅では2本目の上り列車と交換しましたが、対向列車の車内を覗いて見ると、同じキハ47な
がら座席はすべてロング・シートに換装されていました。
東総社から3分で終点の総社駅に到着。岡山から33分間のミニ・トリップでした。
総社駅1番ホームに到着した747Dです。同駅の吉 備線ホームは行き止まり式になっていました。右に見え る線路は伯備線です。 【岡山県・総社駅】 |
吉備線はローカル線とは言え、比較的開けている岡山県南の平野部を走っているだけあって、沿線
には住宅が多く見られ、ローカル然とした風景だったのは僅かに服部駅付近だけでした。
しかし、とある鉄道雑誌の記事によると乗車率は低迷しているそうで、JRはコストの安い軌道線
への転換も考えているとか・・・。
まぁとりあえず廃線にするつもりはないようですが、最上稲荷や高松城等々、見所はそこそこある
のですから、これからも列車は走り続けさせて欲しいと思います。
さて、ここからは伯備線の普通列車で岡山まで戻りますが、せっかく来たので駅前を少し見ておき
ましょう。
第3部につづく・・・。
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