2008年6月22日掲載
『列車まかせの旅』小旅行記第13弾(2005年5月1日)


第6部:南海電鉄&
    「ちょっとこだわりの列車・その46」/特急『こうや1号』

 パート1から明けて第2日目の5月1日。今日は、まず南海電鉄から行きます。南海電鉄は、大阪
南部から和歌山方面に路線を持つ大手私鉄で、下記の8路線を有しています。

路線名区 間路線長
南海線難波←→和歌山市64.2
和歌山港線和歌山市←→和歌山港2.8
高師浜線羽衣←→高師浜1.5
空港線泉佐野←→関西空港8.8
多奈川線みさき公園←→多奈川2.6
加太線紀ノ川←→加太9.6
貴志川線和歌山←→貴志14.3
高野線汐見橋←→極楽橋64.5

 ただし、この中で貴志川線は利用者の低迷から、この「旅」の後、2006年4月に南海は経営から撤
退しましたが、現在は岡山電気軌道が出資設立した和歌山電鐵が経営を引き継いでいます。

 ちゅー事で、それでは南海の難波駅に移動しましょう。

 列車18本目。地下鉄・梅田駅に到着する御堂筋線な
かもず行です。車両は相互乗り入れしている北大阪急行
の8000系。
【大阪府・大阪市営地下鉄・梅田駅】

 8分の乗車で、なんば駅に到着。エスカレータを昇って南海の難波駅へと向かいます。まず高野線
に乗りますが、列車は、前々から乗りたかった特急『こうや』です。

 特急『こうや』は、南海線の『サザン』と違い全席指定なので、私は3階の特急券売場に向かいま
したが、南海の3特急(『サザン』、『ラピート』、『こうや』)の各特急毎に専用の窓口がある売
り場は、なぜか『こうや』の窓口だけが閉まっていました。(←なんでやねん!!)

 まだ時間が7時台と早いせいやろか? 仕方が無いので2階の特急券売場に行くと、こちらは3特
急とも売っていました。

 ふつう高野線を終点の極楽橋まで乗る人は高野山の観光に向かうのですが、私の目的は鉄道だけな
ので高野山には用がありません。

 しかし、窓口の係員氏から「乗車券はケーブルの高野山までにしときますか?」と尋ねられたので、
勧められるがまま極楽橋までの特急券と高野山までの乗車券を購入しました。まぁここで、駅以外は
何もない極楽橋までの切符を主張して不審がられてもなんですからな。

 乗車券/『こうや1号』の特急券です。『こうや』に
乗るのは極楽橋までで、そこから先はケーブル・カーの
乗車になります。
 列車19本目。難波駅の高野線ホームに停車中の特急
『こうや1号』です。車両は南海の特急型30000系。現
在では後継の31000系も就役しており、両車が共通運用
されています。
【大阪府・南海電鉄・難波駅】
 30000系の車内です。正規の特急型車両だけにハイ・
グレードな内装です。座席は並みのリクライニング・シ
ートですが、座り心地は良好です。
【特急『こうや1号』車内】

 発車前の案内放送では、極楽橋でのケーブル・カー乗り換えで高野山までの到着時刻が告げられま
した。ほどなく、『こうや1号』は定刻に難波から発車。

 私の乗る車両の乗車率は15%ほどと少なかったのですが、まだ朝早いからでしょうか? 車内を見
渡すと、やはり観光客の姿が多く見えます。

 最初の停車駅である新今宮ではホームに大勢の待ち客がいました。同駅はJRとの乗り換え駅であ
り、南海とJRを乗り継ぐ客は、ほとんどが新今宮で乗り換えているようです。

 待ち客の中で我が車両に乗ったのは、ひとりだけでした。まぁ、高野線の沿線利用者は有料特急な
んかにゃ乗らんわな。

 次に停まった、大阪市営地下鉄・堺筋線との乗り換え駅である天下茶屋では乗降は無く、ホームの
待ち客もまばらでした。

 同駅を出たところでモーニング・コーヒーにしました。今回はサントリーの『ボス/地中海ブレン
ド』です。ミルク入りで甘さ控えめ、程よいコクのある味でした。

 天下茶屋を出ても列車は特急らしく飛ばさず、控えめなスピードで走っていました。デッキ・ドア
上にあるLED表示器では新幹線と同じくニュースが流されています。

 道中、女性アテンダントが何度か車内を通りましたが検札はありませんでした。『こうや』は着席
チェック方式なんでしょうか?

 これは車掌が、購入されている座席番号を予めチェックしておき、購入されていない座席に乗客が
座っている場合のみ検札するやり方です。

 堺東では、ひとり乗りましたが前の車両へ移動。中百舌鳥を通過したところで、ようやく特急らし
く飛ばし始めました。

 次に停車した金剛では初老の3人組が乗りました。どうやら難波から乗っていたオバさんの友人た
ちのようです。皆で高野山に出掛けるのでしょう。

 私の予想では『こうや』の乗客は、もっと多いと思っていたのですが外れました。高野山自体の観
光客は多いと思うのですが、やはりバスで行く人が多いんやろうか・・・?

 河内長野でもひとり乗車。ここからなら特急に乗らんでも急行で行っても大して変わらんような気
もするが・・・。

 河内長野は近鉄・長野線の起終点駅でもあり、隣に近鉄線のホームが見えます。同駅を出ると路線
は山手に入って行きました。

 美加の台を通過し、石仏トンネルを抜けると沿線は、すっかりローカル風景となりました。車内で
は、金剛から乗った初老グループの男性が、列車の停車駅についてうんちくを披露していました。

 このしゃべり好きの男性、けっこうな物知りで、駅のこと以外にも様々なうんちくを披露していま
した。果たしてこの人の「専門分野」は何やろか?

 列車は、さらにいくつかのトンネルを潜り、紀見峠トンネルを抜けると和歌山に入りました。すぐ
に林間田園に到着。

 林間田園駅周辺は、かつては山村風景だったと思われますが、今やマンションが林立しており、周
りの緑の風景と相まって何とも異様です。同駅では3人降りました。

 高野線では、この先の橋本止めの特急『りんかん』も走っているのですが、それは、この林間田園
駅周辺住民の便宜を図ってのものなのでしょうか・・・?

 林間田園を出た列車は下りとなった路線をすべるように走ります。そして難波を出て44分後、列
車はJR和歌山線との乗り換え駅である橋本に到着しました。

 同駅では対向ホームに難波行の急行が停まっており、その向こう側のホームにはJRの列車も入っ
て来ました。

 橋本での乗降はなく2分停まって発車。橋本から先、線路は単線となり、ほどなく『こうや』は紀
ノ川を渡りました。

 すると例の物知りオジさんが「こっからが時間が掛かるんだよ」とひと言。これまたよくご存知で
すなぁ。

 橋本までで、距離的には高野線の3分の2を走破しているのですが、ここから先は山間部に入り路
線は急曲線の連続となってスピードが出せなくなるのです。

 紀ノ川の南岸に渡った列車は川に沿って西へ走り、意外とスピードを出しています。学文路(かむ
ろ)を過ぎると紀ノ川と別れて内陸に向かい、列車のスピードがガクンと落ちました。すかさず物知
りオジさんが学文路についての講釈しています。

 次の九度山の手前には保線基地がありました。同駅を過ぎると、列車はいよいよ山間に分け入って
行きました。ここからが高野線の本領発揮です。

 沿線の家屋は一気に減り線路はカーブが連続します。高野下を過ぎるとカーブがさらにキツくなり、
スピードは徐行並に落ちました。

 この辺りのカーブのキツさときたら相当なもので、曲がる度に車輪が軋むキーキー音が聞こえ、4
両編成と短い列車の前方車両が見えるほどでした。

 車内では、例のオジさんの講釈がずっと続いています。ほんまにようしゃべる人やなぁ。上古沢を
通過したところで高野山に関する自動放送の案内が流れました。

 案内では、空海のこと、高野山の歴史、歴史的建造物などの紹介、それに何とお墓が20万(!!)
もあるとか。その中には名家のお墓も数々。

 案内放送が終わった頃、列車は紀伊細川で上り列車と交換しました。短いトンネルを幾つも潜り紀
伊神谷を通過。

 同駅は、鉄道ファンの間では秘境駅として知られており、周辺には駅舎以外は森しか見えませんで
した。見れば駅舎の前で駅員が『こうや』の通過を見守っていました。

 それからほどなく列車は終点の極楽橋に着きました。降りてみると、そこそこの人数がホームを歩
いていました。

 極楽橋の構内は中間改札なしでケーブル・カーに乗り換えられるようになっており、降りた全員が
そちらへ向かいました。

 聞けば、歩いているオバさんのひとりがグループの仲間に向かって「みんな(ケーブル・カーで)
座れるの?」と尋ねるのが聞こえました。

 『こうや』の乗車率は高くなかったものの、それでもケーブル・カー1両分では余るような人数に
見えます。

 極楽橋駅のケーブル・カー乗場に停車中の高野ケーブ
ルです。けっこうな人数がホームを歩いています。
【和歌山県・南海電鉄・極楽橋駅】

 ケーブル・カーに乗り込むと思わず前につんのめりました。車両の床は最急勾配の所で水平になる
ようにしてあるので、麓に停まっている時は山側に傾いているのです。

 結局、立ち客も出て乗車率110%ほどでケーブル・カーは発車しました。もの凄い急勾配を5分
掛けて上り高野山駅に到着。見れば30〜40人ぐらい降りたでしょうか?

 私は高野山に来るのは始めてて、駅前から参道が続いているのかと思っていたら、何とそこにはバ
ス・ターミナルがあるだけでした。

 高野山の駅前には多数のバスが停まっていました。こ
こは南海りんかんバスの独占路線のようですな。
【和歌山県・南海電鉄・高野山駅】

 地図を見ると、駅前から高野山中心部方面に伸びている道路はバス専用道で、距離は2キロほどで
しょうか?

 一方、一般車は駅前からぐるりと西側を迂回させられるので、距離は4キロ以上になってしまいま
す。もし歩行者がバス専用道を通れないのならば、倍以上の距離を歩かされる事になるので、嫌がお
うにもバスかタクシーを利用する事になる分けですな。

 バス乗場に並ぶ人々。大人800円で1日フリー券も
あるみたいです。
【和歌山県・南海電鉄・高野山駅】

 せっかく世界遺産の高野山に来ているのですが、私には用がありません。とっとと引き返して次に
参りましょう。

 駅舎の中には券売機が無かったので窓口に行き、泉北高速線の和泉中央までの切符を申し出ると、
係員氏はソラで金額を口にしました。高野山から和泉中央に行く人間なんてそうそうおらんやろに、
すげぇなぁ。

 高野山駅に停車中の極楽橋行ケーブル・カーです。登
りは車両番号21でしたが、この車は11ですな。
【和歌山県・南海電鉄・高野山駅】

 ケーブル・カーは乗車率15%ほどで発車。まぁ、この時間から下山する人は少ねぇわなぁ。自動
放送では「高野山での1日は、いかがでしたか?」と流れていましたが、正味15分ぐらいしかおら
んかったな・・・。

 下りながら、日本最急勾配ケーブル・カーと呼ばれる急勾配を見ていると、思わず<ケーブルが切
れたらどうなるうやろ?>などと考えてしまいます。

 この勾配では、まずブレーキは用を成しません。車輪とレールの粘着力で止められる限界を遥かに
超えているはずだからです。

 まぁ、ケーブルの荷重は充分過ぎるほど余裕があるだろうし、ケーブルだって何本ものワイヤを束
ねているので、1〜2本切れたってどってこたぁないでしょうがね。

 途中で登りのケーブル・カーとすれ違い5分で極楽橋に到着。駅に着いて立ち上がると平衡感覚が
狂っており、ふらつく女の子や尻餅をつくオジさんまでいました。

 電車とケーブルの乗り換えのためだけに存在するよう
な極楽橋駅周辺には文字通り何もありませんでした。ケ
ーブルと電車ホームの連絡通路から撮った写真です。中
央やや左に微かに赤いものが写っているのが駅名となっ
ている極楽橋です。
【和歌山県・南海電鉄・極楽橋駅】
 列車20本目。極楽橋駅に停車中の急行・なんば行で
す。車両は高野線の急行用に新造された最新鋭の230
0系でした。
【和歌山県・南海電鉄・極楽橋駅】
 2300系の車内です。近郊型車両であり、転換クロ
ス・シートがずらりと並んでいます。今日びの新型車両
にしては珍しく座席の座り心地は、まずまずでした。
【南海電鉄・高野線・急行・なんば行車内】

 ちなみに、高野線の橋本←→極楽橋間に乗り入れる車両は、急勾配に加えて急曲線にも対応しなけ
ればならないため、他の路線の車両より車体が短く、強化されたブレーキ類や急曲線による車輪の磨
耗を防ぐ特別な装備を備えており、それは、この2300系もしかりです。

 急行・なんば行は定刻の10:08に極楽橋から発車しました。次の紀伊神谷では下りの急行と交換し
てから発車。

 2300系は車両の妻面にも窓があり貫通路も広いため前の車両が見渡せるので、急カーブで列車
が曲がっている様子がよく分かります。

 その次の紀伊細川でも交換停車5分。電車は気動車と違って停車中は、ほとんど音を発しないので、
ウグイスの鳴き声がよく聞こえました。同駅では特急『こうや』と交換。同列車には、けっこう乗客
が乗ってました。

 その後、高野下で2300系列車と交換。九度山でも3分停車して新型特急車31000系の『こうや』
と交換しました。ほんと、交換の多い路線やな。

 個人的に思い出のある紀伊清水でも下りの快速急行と交換。対向列車の車内から、こちらの列車を
珍しそうに眺める人がいました。たぶん、南海の一般車標準色ではないオレンジ系のカラーリングが
気になったのでしょう。

 紀伊清水を後にし、紀ノ川を渡って橋本に到着。同駅では車両を2両増結するとの事で、駅手前で
いったん停車してからホームに進入してドアを開けました。

 連結作業で5分停車との事でしたが、停車中の連結には、まったく気づきませんでした。見れば増
結したのは一般塗装の旧型車です。2300系は在来車との連結が出来るようにしてあるんですな。

 6両編成となった我が列車は、そこそこ乗客を増やして橋本から発車。次の林間田園都市では立ち
客も出る混雑になりました。さすがに増結するだけの事はありますな。

 次の予定は中百舌鳥からの泉北高速線の乗車ですが、急行は同駅に停まらないため、手前の北野田
で降りて各停に乗り換え中百舌鳥に到着しました。

 列車21本目。中百舌鳥駅に停車中の各停・なんば行
です。北野田で写真を撮れなかったので、降りてから撮
りました。南海・高野線では各駅停車の列車種別は「普
通」ではなく「各停」です。車両は6000系。
【大阪府・南海電鉄・中百舌鳥駅】


第7部:泉北高速鉄道

 泉北高速鉄道は、第三セクターの大阪府都市開発が運営する路線であり、南海・高野線の中百舌鳥
駅と泉北ニュータウン間を結ぶ泉北高速鉄道線(中百舌鳥←→和泉中央間)14.3キロの1路線を有し
ます。

 列車は南海・高野線と相互乗り入れが行われており、難波←→和泉中央間の直通列車も設定されて
います。

 同鉄道は第三セクターですが、赤字国鉄線存続のため開業した地方の三セク鉄道とは異なり、都市
部の通勤/通学輸送の必要性から新たに開業した路線です。

 列車22本目。中百舌鳥駅に到着する準急・和泉中央
行です。車両は泉北高速の5000系。
【大阪府・南海電鉄・中百舌鳥駅】

 私の乗る車両の乗車率40%ほどで中百舌鳥から発車した列車は、すぐに中百舌鳥トンネルに入り、
ほぼ90度右へカーブして南西に向かいます。

 この5000系は、何やら独特のモーター音がします。たぶんVVVFインバータ方式だとは思うので
すが、まるでリニア・カーみたいな感じです。

 トンネルを出ると高架路線となりました。沿線は住宅地が続きます。最初の停車駅である深井の右
手には広大なアパート団地が広がっています。たぶん府営の八田荘団地でしょう。地図でアパートの
数を数えて見ると、何と55棟もありました。

 深井付近で大きく左へカーブした路線は南東に向かいますが、ここから先はニュー・タウン路線得
意の両側道路が並びました。

 見れば路面が濡れています、雨が降っているのでしょうか?次の泉ヶ丘付近で90度右へカーブし、
再び南西へ。泉北高速の路線は、カミナリ・マークっぽいルートを通っているのです。

 栂・美木多、光明池と停車し、我が車両の乗客は12人で列車は終点の和泉中央に到着しました。

 和泉中央駅です。泉北高速線の起終点駅です。ニュー
・タウンにあるターミナル駅らしく、大きくて近代的駅
で、バス・ターミナルも充実しています。
【大阪府・泉北高速・和泉中央駅】

 さて、とっとと引き返したいのですが、せっかくなので難波までは泉北高速車に乗りましょう。和
泉中央では、到着した各列車は、降車ホームで乗客を降ろすと、いったん駅より奥にある引き上げ線
に出て行きます。そして引き上げ線から転線して乗車ホームへと入って来ます。

 次発の準急・なんば行は南海車だったのでパス。その次も南海車だったのでパス。ひょっとして泉
北高速線を走る列車は南海車の方が多いんかな?

 などと私が訝っていると、次に入って来たのは泉北高速車でした。よしよし。

 列車23本目。和泉中央駅に停車中の準急・なんば行
です。車両は泉北高速の3000系。
【大阪府・泉北高速・和泉中央駅】

 この3000系、どこかで見たような気がしたと思ったら、先発して行った南海の6200系とま
ったく同じ車体でした。

 泉北高速は1971年の開業後、長らく列車の運行や設備の保守を南海に委託していた関係で同形の車
両を購入したのでしょう。ちなみに、1990年以降は自社の乗務員による運行に変わっています。

 準急・なんば行は定刻の12:53に和泉中央から発車。同車の座席は柔らかく座り心地は良好でした。
列車は中百舌鳥から南海・高野線に乗り入れ、和泉中央から35分で終点の難波駅に到着しました。

 さて、お次は、飛行機にも乗らないのに関西空港行の特急『ラピート』に乗りましょう。


第8部:「ちょっとこだわりの列車」その47/特急『ラピートα15号』

 ここで昼食として難波駅構内にある立ち食いの『南海そば』で天ぷらそばを食べてから特急券の窓
口に行きました。

 特急『ラピート』は、JRの『はるか』と同じ関西空港アクセス特急であり、南海の難波駅←→関
西空港間で毎時2本が運行されています。

 車両の設備はJRの『はるか』よりも優れているとの評判を聞きますが、いかんせん、新大阪や京
都に直接出られる『はるか』と、難波から他方面に向かうのに何度か乗り換えが必要となる『ラピー
ト』では不利は否めず苦戦を強いられていると聞いています。

 特急『ラピートα15号』の乗車券/特急券です。運
賃890円と特急料金500円で関空まで1,390円とな
ります。

 『ラピート』には専用のホームがあり、女性アテンダントが立っている有人の中間改札を通って入
ります。

 が、しかし、私が切符を差し出してもアテンダントの娘は、おじぎをするだけで切符をチェックし
ませんでした。持っているのを見るだけなんかな?

 列車24本目。難波駅に停車中の関空行・特急『ラピ
ートα15号』です。車両は南海の50000系特急型車両
で、日本の鉄道界からすると浮世離れした強烈な外観を
しており、鉄道ファンからは「鉄人28号」と呼ばれて
います。
【大阪府・南海電鉄・難波駅】
 50000系一般車の車内の様子です。楕円形の車体断面
そのまんまの形状です。外も中も凝ってますなぁ。荷棚
はなく、飛行機と同じ方式です。またデッキにも大型の
旅行カバンが置けるスペースが用意されています。
【特急『ラピートα15号』車内】
 リクライニング・シートの座り心地は良好でした。これは「レギ
ュラー・シート」と呼ばれる一般席で、他に上級クラスの「スーパ
ー・シート」があるそうです。
【特急『ラピートα15号』車内】
 座席には大型テーブルがない代わりに肘掛の中に小テ
ーブルが収納されています。乗車時間は30分そこそこ
なので、これで充分です。
【特急『ラピートα15号』車内】

 ほどなく、定刻の14:00となり列車は難波駅から発車しました。車内を見渡すと我が車両の乗客は
9人です。

 動き出してから、開けっ放しになっていた自動のデッキ・ドアが一斉に閉まりました。おぉー、素
晴らしい!客の事を考えた造りになっとるがな。

 車内を観察して見ると、父子連れが二組いましたが、片方の組は荷物をまったく持っていません。
ひょっとして関空見物にでも行くんかな?

 新今宮、天下茶屋に停車するも乗車なし。ゴールデン・ウィークも3日目なので、海外脱出組は、
皆さん出発した後なのでしょうか?

 新鋭特急車両の定番として、デッキ・ドア上にはLED表示器がありましたが、上下二段になって
いて、上段で日本語、下段で英語のニュースが流れていました。やるなぁ。

 列車は時速100キロほどで快調に走っています。ほどなく、後ろの車両から男性車掌が入って来
ましたが、検札はせずにそのまま車内を通り抜けて前に行きました。ありゃりゃ?女性のアテンダン
トじゃないんかいな?

 列車が空港線の分岐駅となる泉佐野に着くと、何と例の荷物なしの父子連れと、もうひとり降りま
した。おいおい、泉佐野行くのに特急かい!まぁ、父子の方は、子供が乗りたがっただけなのかも知
れませんが・・・。

 泉佐野を出ると高架路線になり、りんくうタウンに到着。すると、もうひと組の父子連れと、さら
に1名降りました。なんなんだいったい?関空に行くんじゃないんかい!

 りんくうタウンを出ると空港連絡橋を渡り始めましたが、雨が降っているせいか海は白くモヤって
遠くの景色が見えません。

 連絡橋を渡り終え、地下に降りると列車は終点の関西空港駅に到着しました。難波からは35分の
乗車でした。実に快適でしたが、乗る時間が短いのが惜しいところです。

 関空までやって来ましたが、旅行記第10弾で『はるか』に乗って訪れた際にターミナル・ビルは
見物していたので、今さら見る所はありません。先を急ぐとしましょう。

 列車25本目。関西空港駅に停車中の難波行・空港急
行です。車両は7000系。
【大阪府・関西空港駅】

 JRは関空快速としてクロス・シートの223系を使用しているのに対して南海の空港急行はロン
グ・シートの通勤型でした。

 さっきまでの『ラピート』のデラックスなリクライニング・シートからロング・シートに乗り換え
たので、何とも落差を感じてしまいますな。

 空港急行は、途中、りんくうタウンに停車しつつ泉佐野に到着。ここで南海線に乗り換えて和歌山
市を目指します。外はにわかに大雨になっています。くそっ!

 列車26本目。泉佐野駅に停車中の普通・和歌山市行
です。高野線では各駅停車の列車種別は「各停」なのに
南海線では「普通」なんですな。なんでやろ?車両は7
100系。
【大阪府・南海電鉄・泉佐野駅】

 次に乗るのは貴志川線なんですが、同線は他の南海電鉄路線とは独立しており、JR和歌山駅を起
点としているため、南海・和歌山市駅からJRに乗り換えて和歌山駅を目指します。約1時間半の乗
車で和歌山市駅到着。外は大雨に加えて風が出てきました。くそっ!

 列車27本目。和歌山市駅に停車中のJR列車・和歌
山行・普通246Mです。車両は105系。
【和歌山県・南海電鉄・和歌山市駅】

 ガラガラの246Mは5分で終点の和歌山に到着。それでは貴志川線に乗り換えますが、切符はど
こで買うのだろう?


第9部:ちょっとこだわりの路線・その30/南海電鉄・貴志川線

 南海・貴志川線のホームはJR和歌山駅の構内にあり、外から直接行く事は出来ません。いったん
改札を出た私は、とりあえずJRの券売機の所に行ってみました。

 券売機を見ると、「南海連絡」なるボタンがあり、それで貴志川線の切符が買えるようになってい
ました。貴志までの切符を買っている内に16:15発の列車は出て行ってしまいました。次の16:45発に
乗りましょう。

 切符を買い、JRの改札を入って地下通路を通って貴志川線のホームに上がると、そこには自動改
札機がありましたが、これはJRのICOCAの改札用でした。

 列車28本目。和歌山駅に停車中の貴志川線・貴志行
です。車両は貴志川線のみで使われる2270系です。
【和歌山県・和歌山駅】

 2270系は2ドアのロング・シート車で、ドア間のロング・シートは文字通りの超ロングです。
座席は柔らかくて座り心地は良好でした。

 列車は2両目の乗客は20人ほどで和歌山から発車しました。1両目には、もっと大勢乗っていま
したが、これは当列車がワンマン運行のため、途中駅で降りる乗客なのでしょう。

 500メートルで田中口に到着、同駅での乗降はありませんでした。さらに800メートルほどで
次の日前宮に着。同駅では二人ずつ乗降。ここでは列車交換がありました。

 続く神前では4人下車、竃山(かめやま)で4人下車、交通センター前で2人下車。交通センター
前駅の目前には和歌山県の運転免許センターがあります。こりゃ便利やわ。

 この辺りまで来ると和歌山の町からは出ており、沿線は田んぼ。道路沿いには建物が建ち並んでい
るローカルな風景になっています。

 次の岡崎前で3人下車。吉礼でも3人下車。同駅の南には菖蒲ヶ丘団地があり新しいコーポが立ち
並んでいるのが見えました。

 続いて停車した伊太祁曽(いだきそ)は有人駅であり貴志川線の車庫があります。同駅では3人が
降り列車交換もありました。

 次の山東では1人下車。同駅には「乗って残そう貴志川線」なる看板がありました。結局、南海は
撤退する事になりましたが貴志川線は残りました。良かったですな。

 鉄道ファンとして私も嬉しいのですが、いかんせん、地元の方々の利用が無ければ今後の存続も難
しいでしょう。これからも利用して貰うのを祈るだけです。

 山東を出ると路線は山間に入り民家は見えなくなりました。貴志川町に入って最初の停車駅となる
大池遊園の南側には、大池なる池と大池遊園が広がります。同駅での乗降なし。

 大池遊園を出たところで山中に忽然と町が出現しました。地図によると長山団地との事。団地に接
する位置にある西山口に着くと4人降りました。その中のオバちゃんが運賃箱の所で小銭を床に落と
してしまい降りるのにモタついていました。

 西山口を出ると、何やら盆地みたいな所に出ました。最後の途中停車駅甘露寺前では7人下車。そ
して和歌山から約30分で終点の貴志に到着。ホームに降りてみると、列車全体では15人ほど降り
たようです。

 貴志駅です。南海・貴志川線の起終点駅です。現在は
和歌山電鐵の駅になっています。
【和歌山県・南海電鉄・貴志駅】

 せっかく貴志まで来たのですが、何と5分後の折り返し列車で戻ります。私は駅の写真を撮ると、
すぐに戻りました。

 列車29本目。貴志駅に停車中の貴志川線・和歌山行
です。乗って来た列車の折り返しです。
【和歌山県・南海電鉄・貴志駅】

 列車は乗客3人で貴志駅から発車。途中駅で多少の乗降があり、我が車両の乗客は15人で終点の
和歌山に到着。

 和歌山に着くと、貴志からの切符と引き替えに精算証
が渡されました。これでJRの改札を通ります。

 和歌山で列車から降りた私は、いったん改札を出てからJRの券売機で南海・加太駅までの連絡切
符を買いました。

 再び改札を入って和歌山市行列車の出るホームへ上がると、7番線に和歌山線の橋本行の紀勢線色
(エメラルド)塗装の117系が停まっているのが見えました。あの鮮やかなエメラルド色の塗装は、
いつ見ても目を惹きます。

 ふと見れば、やみかけていたはずの雨は、風を伴った本降りになっていました。くそっ!

 列車30本目。和歌山駅に停車中の和歌山市行・普通
259Mです。車両は105系。
【和歌山県・和歌山駅】

 7分の乗車で18:26に和歌山市に到着。それでは次の目的である加太行の列車に乗り換えますが、
あいにく列車は出たばかりで、次は18:53発でした。

 ホームで待っていると、18:34に次の加太行が早々と到着しました。堅いホームのベンチで待つよ
りは列車の座席の方が快適なので助かります。

 列車31本目。和歌山市駅に停車中の加太行・普通で
す。車両は7100系の2両編成。
【和歌山県・南海電鉄・和歌山市駅】

 見るとワンマン運行と思われる加太行列車の7100系は、車内にワンマン用の設備(運賃箱や整
理券発行機)を備えていませんでした。全駅に自動改札機が設置されているのでしょうか?

 ほどなく定刻が来て加太行は110%の乗車率で和歌山市駅から発車しました。加太線は南海の中
でもローカル線なので、これは予想外の混み具合です。

 加太線は、和歌山からひと駅難波寄りの紀ノ川←→加太間ですが、すべての列車が和歌山←→加太
間で運行されています。

 外を見れば、すでに日は暮れて暗くなっており、私のカメラの性能的に撮影は困難です。今日は加
太線で打ち止めにしましょう。

 列車は紀ノ川を渡ると紀ノ川駅に到着。同駅では5〜6人が下車。ここから先、列車は本線を離れ
て加太線に入りました。

 次の東松江で6人下車。同駅では和歌山行列車との交換がありました。続く中松江では意外にもひ
とり乗車。

 次の八幡前では3分の2の乗客が一気に降りました。地図を見ても周辺には大きな団地や住宅地も
なさそうなのですが、スーパーのオークワや他のショッピング・センター、ホテルや和歌山労災病院
などがあるので、この辺りでは主要な町なのでしょう。

 次の西ノ庄で6人降りて残り7人。沿線にはマンションらしき建物がチラホラ見えます。続く二里
ヶ浜で2人下車、列車交換あり。同駅の南には、住友金属工業の敷地に沿って何と全長2キロにも及
ぶ河西公園があります。

 同駅を出ると左に海が見えるはずですが、もちろん真っ暗で見えません。次の磯ノ浦で2人下車。
同駅の南200メートルほどには二里ヶ浜が広がり、磯ノ浦海水浴場があります。

 そして列車は我が車両の乗客は3人で終点の加太駅に到着しました。和歌山からは25分の乗車で
した。加太は有人駅で自動改札も設置されています。

 加太駅です。南海・加太線の起終点駅です。この時は
駅をよく観察しなかったのですが、駅舎は歴史のある古
びた物です。
【和歌山県・南海電鉄・加太駅】

 空気には潮の香りがするし駅前には「潮干狩り入場券発売中」の立て看板などもありましたが海は
見えません。

 後で地図を見ると海は西へ600〜700メートルほど行ったところで、そこには加太港と加太海
水浴場がありましたが、今日は見に行くつもりはありません。私は早々に駅へ戻りました。

 折り返し列車を待つ間に駅の構内を観察して見ると、加太駅のホームは不思議な構成になっていま
した。

 ここまで乗って来た列車が着いた駅舎寄りの1番線以外に、北側に2番線ホームがありましたが、
なぜかホームの位置が西側にずれています。

 後にネットで調べたところ、この2番線からは早朝に数本の列車が出るだけだそうですが、優に5
〜6両編成が停まれそうな長さがあります。

 これはいわゆる、かつては難波あたりから長編成の直通列車が乗り入れていた名残りってやつでし
ょうか・・・?

 加太駅の2番線ホーム途中から和歌山方を写したとこ
ろです。右奥の駅舎寄り1番線には列車32本目の和歌
山市行が停車中。
【和歌山県・南海電鉄・加太駅】

 さてと、それでは帰りましょう。和歌山行列車は列車全体の乗客2人で加太から発車しました。ま
ぁ、この時間ならこんなもんでしょう。列車は途中駅で若干乗客を増やして和歌山市に帰着。

 列車33本目。和歌山市駅に停車中の難波行・急行で
す。車両は新しい感じがする1000系。
【和歌山県・南海電鉄・和歌山市駅】

 南海の1000系に乗るのは、これが初めてですが、座席はロング・シート主体で両車端に1組ず
つボックス・シートがある珍しい座席配置でした。こんなのは見た事がありませんな。和歌山市を出
た我が列車は約1時間で終点の難波に到着。

 列車34本目。なんば駅に到着する地下鉄・御堂筋線
の千里中央行です。車両は新20系。
【大阪府・大阪市営地下鉄・なんば駅】

 梅田に着いて第2日目の「旅」は終了です。

 パート3につづく・・・。



小旅行記
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第13弾
パート1
第13弾
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