2008年5月24日掲載
『列車まかせの旅』小旅行記第13弾(2005年4月30日)


 2005年のゴールデン・ウィーク。諸般の事情により私は関西から外へは出かける事が出来ませんで
したが、家でじっとしているのも勿体ないので、この機会を利用して在阪私鉄の乗り潰しに行く事に
しました。

 軽い気持ちで始めたこの小旅行。終わって見れば、延べ5日間で、単一の旅行記としては史上最多
となる136本の列車に乗り、計1661.2キロを走破する大旅行と相成りました。


第1部:山陽電鉄

 で、「旅」初日の4月30日。まずは山陽電鉄から始めましょう。同電鉄は、神戸から西方面に路
線を持つ中規模私鉄で、下記の2路線を有します。

路線名区 間路線長
本線山陽姫路←→西代54.7
網干線飾磨←→山陽網干8.5

 山陽電鉄の路線は、旅行記第18弾で本線の山陽姫路←→飾磨間以外は、すべて乗っていたので、
今回は、この未乗車区間を乗り潰します。

 山陽姫路からスタートして神戸方面に戻って来るので、まずはJRに乗って姫路を目指します。

 本「旅」における列車1本目。大阪駅に到着する網干
行・快速715Kです。車両は221系の12両編成。
【大阪府・大阪駅】

 今回、新快速ではなく快速に乗ったのは、新快速が慢性的に混んでいて座れるかどうか分からなか
ったからです。

 それが図に当たり、快速715Kの乗車率は20%ほどで座る事が出来ました。姫路までは新快速
より時間が24分ほど余分に掛かりますが、1時間立ちっパで行くよりは遥かにマシです。

 快速715Kは、途中、加古川で後着の新快速を先行させました。同駅の構内を見渡すと、昨年1
2月に電化された加古川線の電車が停まっているのが見えます。

 同線には、小旅行記第11弾で電化前の記念乗車をしましたが、今度また電化後の乗車に来なけれ
ばなりませんな。加古川を出た我が列車は16分で姫路に到着。

 山陽電鉄の山陽姫路駅です。JR姫路駅と道路を挟ん
で北側に隣接する山陽百貨店の1階に駅があります。
【兵庫県・山陽電鉄・山陽姫路駅】
 山陽百貨店の脇にあるバス・ターミナルには、レトロ
風なボンネット・バスが停まっていました。これは神姫
バスが運行する「城周辺観光ループバス」です。
【兵庫県・山陽電鉄・山陽姫路駅】

 新開地までの切符を買ってホームに出ると、10:01発の直通特急・阪神梅田行が停まっていました
が、車両が旅行記第18弾で乗車済みだった阪神電鉄の9000系だったためパスしました。せっか
くなので、今回は山陽の車両に乗りましょう。

 列車2本目。山陽姫路駅に停車中の10:16発・直通特
急・阪神梅田行です。車両は山陽電鉄の5000系6両
編成。
【兵庫県・山陽電鉄・山陽姫路駅】
 5000系の車内です。同じ直通特急用車両だった阪
神9000系はロング・シートでしたが、こちらは転換
クロス・シートでした。座席は柔らかくて座り心地は良
く、ここまで乗って来たJRの221系の座席がカタく
感じられるほどでした。
【山陽電鉄・阪神梅田行・直通特急車内】

 車内で待っていると、隣のホームに阪神の新鋭9300系が到着しました。見れば、この車両は転
換クロス・シートです。ホームでは、同車両の写真を撮るファンらしき人がいました。

 我が列車は乗車率70%ほどで山陽姫路から発車。飾磨の停車を挟んで到着した大塩駅では、何と
私が乗る6両目のドアは開きませんでした。

 たぶんホーム長が足りないからでしょうが、大都市圏を走る私鉄の特急停車駅でドア・カットがあ
るとは驚きです。

 高砂の停車を経て東二見に到着。同駅では乗務員の交代がありました。列車は次に山陽明石に停車
しましたが、意外と乗客は降りませんでした。てっきり同駅でJRに乗り換える人が多くいると思っ
ていたのですが・・・。

 山陽明石を出るとJRの山陽本線と平行し、舞子公園に停車。同駅到着前の車内放送では駅名に加
えて「明石大橋前」とアナウンスされました。ちなみに、直通特急が同駅に停車するのは土日休日の
みとなっています。

 続いて山陽垂水に停車。同駅もJRの垂水駅と隣接しています。明石←→須磨間で山陽電鉄とJR
は平行していますが、この間の駅数はJRが4駅に対して山陽が2.5倍の10駅。私鉄得意の地元密
着ぶりがここでも伺えます。

 また、同区間では、明石、舞子公園、垂水、塩屋、須磨で両鉄道の駅は隣接しており、山陽はJR
のフィーダー列車的な役割も果たしていると思われます。

 我が列車はJRの201系と併走しつつ山陽須磨着。同駅を出て地下に降りると板宿に到着。板宿
から6分で新開地に到着しました。

 神戸高速・新開地駅に到着した阪神梅田行の直通特急
(左)です。右側のホームには、阪急の梅田行・特急が
停車中。
【兵庫県・神戸高速・新開地駅】

 ちなみに、神戸高速鉄道と言う会社は、阪急、阪神、山陽、神戸電鉄の4社の路線を連接するため
に設立された路線保有会社であり、自前の車両は持っていません。私鉄各社は、線路使用料を払って
同路線に乗り入れています。

 神戸高速は下記の2路線を有します。

路線名区 間路線長
東西線(山陽)西代←→(阪急)三宮5.7
高速神戸←→(阪神)阪神元町1.5
南北線新開地←→(神戸電鉄)湊川0.4

 山陽と阪神は同鉄道線を通って直通特急を運行。また山陽は一部の普通列車が阪急の三宮まで乗り
入れています。阪急は特急が新開地まで乗り入れています。

 神戸電鉄は全列車が新開地を起終点としており、神戸高速の東西線と南北線が交わる新開地駅では
4社の列車が集います。

 さてと、これで山陽電鉄は全線乗覇。お次は神戸電鉄の乗り潰しです。私は階段を上り神戸電鉄の
ホームに向かいました。


第2部:神戸電鉄

 神戸電鉄は、神戸から北方面、六甲山系を南北に縦断するエリアに路線を持つ中規模私鉄で、下記
の4路線を有します。

路線名区 間路線長
有馬線湊川←→有馬温泉22.5
三田線有馬口←→三田12.0
公園都市線横山←→ウッディタウン中央5.5
粟生線鈴蘭台←→粟生29.2

 有馬線の神戸方面の実質的な起終点駅は新開地ですが、新開地←→湊川間0.4キロは、路線保有会
社である神戸高速鉄道の所有区間となっています。

 列車3本目。新開地駅に停車中の11:31発・神戸電鉄
・準急・粟生行です。車両は同電鉄の5000系。
【兵庫県・神戸高速・新開地駅】

 まずは粟生線からです。神戸電鉄は、かつて仕事でよく利用した事があり馴染みの鉄道でしたが、
粟生に向かうのは久しぶりです。

 定刻、我が列車は、私の乗る車両は乗客20人ほどで新開地から発車しました。湊川を過ぎて地上
へ。長田を出ると列車は山間へと分け入りました。

 勾配とトンネルの連続する区間をクネクネ曲がりながら走り、有馬線と粟生線が分岐する鈴蘭台に
到着。ここで大勢降りるかと思いきや、意外や多くの乗客が車内に留まっています。

 我が列車は準急ですが、同駅を出て粟生線に入ると終点まで各駅に停まります。鈴蘭台を出た列車
は神戸電鉄で最急勾配となる50パーミル(1000分の50)の勾配を登り始めました。

 鈴蘭台西口の停車を経て西鈴蘭台に到着。かつて粟生線を利用して仕事に向かっていた頃は、新開
地から粟生への直通列車がなく、西鈴蘭台で列車を乗り換えさせられていたような気がします。

 同駅を出たところで車内を見渡すと乗客は10人いました。過去に乗った時も粟生線は乗客が少な
かった印象があります。

 沿線は両側とも森になりました。まさにローカル線の雰囲気です。木幡駅では、左手に広大な住宅
地、西神戸ニュー・タウンが広がっていました。

 ここに住んでいる人々は、どこへ向かって通勤しているのだろう?もし神戸方面ならば、粟生線の
利用者数は相当なものになっているはずですが・・・。

 押部谷で列車交換あり。同駅を出ると線路は単線になり急勾配で登り始めました。志染は、チェー
ン店も見える少し大きな町でした。同駅を出た時点で残る乗客は5人。

 それにしても、この記事を書くために地図を見てみると、木幡駅から先、沿線には延々と住宅地が
続いていました。これだと沿線人口は相当なものになりそうなんですが、ここの住人は神鉄を利用し
ていないのだろうか?

 ほどなく、列車は三木の町に入り三木駅に到着。同駅では列車交換があり、残りの乗客たった3人
で発車しました。

 2駅先の樫山で再び列車交換あり。思い出深い市場駅の停車を挟んで小野に到着。小野は、この周
辺では大きな町であり、駅舎も橋上タイプの立派な物でした。同駅で、車内は、とうとう私ひとりに
なってしまいました。

 小野を出た列車は、葉多の停車を挟んで終点の粟生に到着。新開地からは1時間6分の乗車でした。
私を含め列車から降りたのは3〜4人でした。

 粟生駅では神鉄のホームから直接外へ出られるようにはなっておらず、かつては切符を車掌に渡し
てから、いったんJRのホームへ出てJR線に乗り換えたり駅舎に向かっていましたが、見ればJR
ホームとの連接部に自動改札機と清算機が設置されていました。

 自動改札を抜け、JRホームへ出て駅舎に向かっていると、私と共に神鉄から降りた老夫婦が加古
川線への乗り換え方が分からずに戸惑っていました。

 折り返しの神鉄列車まで時間があったので、駅舎へ入ってベンチでメモを整理していると、旅行者
風の女性が誰もいない窓口に声を掛けていました。ここは無人駅なのだが・・・。

 すると、驚いた事に奥から係員が出てきました。時間制の駅員配置駅なんだろうか?女性は駅員に
途中下車印を求めていました。わざわざ呼び出してまで押して貰うとは、この人は鉄道ファンか?

 粟生駅です。JR加古川線が通るほか、神戸電鉄・粟
生線、第三セクターの北条鉄道の起終点駅です。3線の
鉄道が集まり、立派な駅舎がありますが無人駅です。
【兵庫県・粟生駅】

 時間つぶしに駅前の道まで出てみましたが、かつては商店が並んでいたであろう町並みも、今は民
家が建ち並ぶだけで人影も見えません。

 ここから鉄道を利用する人は少ないと思われ、そのため駅は無人化されたのでしょう。粟生駅は乗
り換えがメインの駅なのです。

 何かないかと思い北へ向かって少し歩いて見ましたが、民家以外には見るものもありません。駅の
北側にある踏切まで出て駅の方向を撮っていると、踏切を通る道を西からやって来た若いカップルが
何と踏切から線路を歩いて駅に向かいました。おいおい。

 駅に向かって線路上を歩く若いカップル。地方の閑散
ローカル線では、よく見られる光景ですが、わたし的に
は加古川線は閑散路線ではないため少々驚きです。
【兵庫県・粟生】

 私も駅へと向かいましたが、カップルと同じ真似は出来ないので来た道を引き返しました。駅舎に
入り、ベンチに座って小説を読みながら次の神鉄列車を待っていると、西側のプラットフォームに気
動車が到着する音が聞こえました。たぶん北条鉄道の気動車です。


第3部:ちょっとこだわりの列車・その45/北条鉄道・フラワ1985形

 気動車が好きな私が条件反射的にそちらをチラ見したころ、

 <おおっ、なんてこったい!!>

 そこに入って来た北条鉄道の気動車は、全国でも、もはや数両しか残っていない貴重な2軸レール
・バスの1両であるフラワ1985形だったのです。

 2軸レール・バスには、まだ乗った事がありません。小旅行記第11弾で北条鉄道に乗りに行った
際には、フラワ1985は北条町駅の留置線に停められていて乗ることが出来なかったのです。

 今回の乗車予定に北条鉄道は入っていませんし、アレに乗ってしまえば、この後の予定がワヤにな
りますが、いつ廃車されても不思議でない貴重な車両に乗れるのであれば、今日の予定が全部オシャ
カになっても、その値打ちは充分あります。私は0.5秒と考える事なく立ち上がると北条鉄道のホー
ムに走りました。

 鉄道ファンの間には「乗れる時に乗っておけ。でないと後で後悔する」と言うことわざがあり、コ
レがまさにその機会なのです。

 列車4本目。粟生駅の北条鉄道線ホームに停車してい
る同鉄道のフラワ1985形軽快気動車です。全国では、ほ
とんど姿を消した第一世代の第三セクター鉄道用軽快気
動車であり、バス用のボディにバス用のエンジンを積ん
だ文字通りのレール・バスです。現在、三セク鉄道で主
流となっている鉄道車両形軽快気動車と比べても、ずい
ぶんと小さい印象を受けます。
【兵庫県・粟生駅】
 この車両はフラワ1985形の1号車でした。北条鉄道は
開業当初、この車両を3両保有していましたが、車両の
老朽化に伴い、現在では2両が後継のフラワ2000形に置
き換えられ、1985形は、この1号車が残るのみです。
【兵庫県・粟生駅】
 フラワ1985形の車内です。座席は、オール・ロング・
シートですが、車幅が狭いため座席間の通路も狭くなっ
ています。窓は観光バスと同じく天井まで回り込むタイ
プの物です。
【北条鉄道623列車車内】

 車内で待っていると加古川線の西脇方面行列車が到着しました。加古川線は電化されたため、車両
は気動車から125系の電車に変わっていました。もはや粟生駅に着発する列車で気動車なのは北条
鉄道のみとなったのです。

 加古川線列車から我が列車へ、そこそこの乗り換え客があり、乗車率は70%ほどになりました。
北条町方面に行く人ってけっこうおるんやなぁ。

 623列車は定刻の13:12に粟生駅から発車しました。普通の鉄道車両は、車両の前後に2軸の台
車を装備しており、線路の繋ぎ目を通過する際に「タタン・タタン・・・タタン・タタン」と音がし
ます。

 それがフラワ1985のような前後1軸ずつの2軸車だと、「タン・タン・・・タン・タン」と独特の
走行音となります。初めて聞く走行音に、私は「コレが2軸車かぁ・・・」と感動していました。

 現在では旅客用車両は、ほとんどが2軸台車式の「ボギー車」と呼ばれる物が主流であり、2軸車
はレール・バス以外には貨車を改造したトロッコ客車ぐらいしかないのです。

 北条町への道中、法華口駅で我が列車の写真を撮っている人がいました。この車両の「価値」が分
かると言う事は「その筋」の人でしょう。

 粟生から30分ほどの乗車で北条町に到着。同駅でもフラワ1985の写真を撮っている人がいました。
今回は北条鉄道が目的ではないため、すぐに折り返します。

 列車5本目。北条町駅に停車中のフラワ1985形です。
全長は、標準型軽快気動車であるフラワ2000形の18.5メ
ートルに対して1985は12.5メートルと短く、ホームに停
まっている感じも実にこじんまりしていますな。
【兵庫県・北条鉄道・北条町駅】

 折り返しの624列車に乗って再び粟生に帰着。これで2軸レール・バスの乗車を旅行記に加えら
れました。よしよし。

 今や2軸レール・バスが現役で走っているのは、北条鉄道と紀州鉄道(北条鉄道のフラワ1985形2
号車を譲渡)しかなく、大変、貴重な経験でした。

 それでは、「本題」に戻りまして神戸電鉄の乗り潰しを続けましょう。

 列車6本目。粟生駅の神戸電鉄線ホームに停車中の普
通・新開地行です。車両は神鉄の1000系。
【兵庫県・粟生駅】

 新開地行に乗り込んで待っていると、定刻の14:15に何の放送もなしにドアが閉まり発車しました。
普通は「発車します」ぐらい言うやろに・・・。52分の乗車で乗り換え駅の鈴蘭台に到着。

 鈴蘭台では、有馬方面から来た新開地行の準急と並んで停車し、我が列車から多くの人々が先発す
る準急に乗り換えました。私も、ここで降りて有馬方面行の列車に乗り換えます。

 列車7本目。鈴蘭台駅に到着する普通・新三田行。車
両は神鉄の5000系です。
【兵庫県・神戸電鉄・鈴蘭台駅】

 鈴蘭台を出た列車は、北鈴蘭台に停車。ちなみに、鈴蘭台周辺には、鈴蘭台、鈴蘭台西口、西鈴蘭
台、北鈴蘭台と鈴蘭台と付く駅が4つもあります。

 次の山の街を出ると急な下りになりました。箕谷の停車を挟んで谷上に到着。同駅は六甲山を貫い
て神戸方面とを結ぶ北神急行線との乗り換え駅であり、同線と相互乗り入れを行っている神戸市営地
下鉄の緑の電車が停まっていました。

 谷上では北神線からの乗り換え客と思しき人々がそこそこ乗りました。同駅を出ると沿線は緑の多
い山間となりましたが、その緑の合間に真新しいマンションや住宅が多数建っており、何とも異様な
風景です。

 4駅の停車を挟んで有馬口に到着。ここで有馬温泉行の列車に乗り換えます。神鉄の有馬線は湊川
←→有馬温泉間を結ぶ路線ですが、日中、同線を走る列車は新開地←→三田間で運行されており、有
馬口←→有馬温泉間は区間運転となっています。

 新開地←→有馬温泉間の直通列車は朝夕しかなく、これはたぶん、利用状況に合わせた運行形態な
のでしょう。

 列車8本目。有馬口駅に停車中の有馬温泉行区間運転
列車です。車両は1000系。
【兵庫県・神戸電鉄・有馬口駅】

 有馬温泉行は、私の乗る車両の乗客10人程度で発車。わずか4分の乗車で列車は終点の有馬温泉
に着きました。

 有馬温泉駅です。神戸電鉄・有馬線の起終点駅で、文字通り有馬
温泉街の出入口に位置しています。
【兵庫県・神戸電鉄・有馬温泉駅】

 駅から前の通りに出て見ると、そこは観光客と、行き交う車でゴチャゴチャしていました。さすが
に有名な温泉地だけの事はありますな。

 全国的に名を知られる有馬温泉は、愛媛の道後温泉、和歌山の白浜温泉と共に「日本三古湯」に数
えられているそうです。

 同温泉街には、たくさんの温泉旅館やホテルが建ち並ぶほか、金の湯、銀の湯、太閤の湯などの外
湯もあるそうです。

 私は有馬温泉には泊まった事はありませんが、超有名なのに加えて立派な宿泊施設群を見ると、い
かにも敷居が高そうに感じてしまいますな。

 さてと、今回の「旅」は先を急ぐので、とっとと先に進みましょう。

 列車9本目。有馬温泉駅に停車中の有馬口行です。車
両は往路と同じ1000系。
【兵庫県・神戸電鉄・有馬温泉駅】

 再び有馬口に戻ると新開地行の準急が待っていましたが、私は反対の三田行の列車に乗ります。ほ
どなく、私が乗る14:03発の列車がやって来たので乗り込みました。

 有馬口から先の路線は三田線に変わります。列車は山間を抜けて五社に停車。その次の岡場駅付近
では沿線は一気に都市っぽくなり、大きなビルやダイエーなんかも見えます。岡場では大勢が降りま
した。

 同駅を出ると沿線は新興の住宅地となりました。道場南口では列車交換があり、同駅から先は単線
になったようです。16:20に横山に到着。ここで公園都市線に乗り換えます。

 列車10本目。横山から発車して行く普通・三田行。
車両は3000系です。有馬口で乗車する際に撮りそび
れたので、ここで撮りました。
【兵庫県・神戸電鉄・横山駅】

 横山からはウッディタウン中央に至る公園都市線が分岐しています。同線の列車は区間運転ではな
く三田方面と直通運転を行っています。

 これは付近の新興住宅地の住民が、神戸方面ではなく、JR三田駅を経由して大阪方面に通勤して
おり、その流動に合わせた運行形態をとっているからでしょう。

 列車11本目。横山駅に到着する普通・ウッディタウ
ン中央行・です。車両は1000系。
【兵庫県・神戸電鉄・横山駅】

 横山を出た列車は、すぐにトンネルに入り、出ると森、またトンネルに入り、出ると、そこには緑
の中に真新しいマンションが建ち並ぶ別世界のような新興住宅地が広がっていました。

 その住宅地の中にあるフラワータウン、南ウッディタウンの2駅に途中停車したのち、公園都市線
の終点であるウッディタウン中央に到着。横山から、わずか9分の乗車でした。

 ウッディタウン中央駅。神戸電鉄・公園都市線の起終
点駅です。駅舎は、けっこうデカいのですが、ホームは
1面2線しかありません。
【兵庫県・神戸電鉄・ウッディタウン中央駅】

 神鉄・公園都市線は、北大阪急行線や泉北高速線みたく、両側を広い道路に挟まれた、典型的なニ
ュータウン路線でした。

 ウッディタウン中央駅も東西を道路に挟まれていましたが、駅の北側にある線路末端部の先では、
両側の道路が寄って来て収束しており、中央に線路用地は確保されていませんでした。ここから先の
路線延伸予定は無いようですな。

 駅周辺には、マンションが建っていて通路も綺麗に整備されており、緑もたくさんありましたが、
人影は少なく返って殺風景に感じてしまいました。

 とは言え、建物は建て混んでおらず景観的にゆとりがあり、緑も多くて静かなので、住むには良い
ところかも知れませんな。

 少し離れた所には、ワーナー・ブラザーズの映画館を併設したサティの大型店舗もあり、日常生活
にも不自由しないでしょう。

 不思議なのは、エラく立派な新阪急ホテルがあった事です。ここは観光地でもないし、大阪や神戸
からも少々離れています。

 たぶん、婚礼やイヴェントでの利用を目的として建てられたのでしょうが、それらの利用者からす
ると、ここは都市部とのアクセス的に利便性が良いとは言いがたく、果たして商売として成り立つん
やろか・・・?

 ま、それはともかく、先を急ぐので次に参りましょう。

 列車12本目。ウッディタウン中央駅に停車中の普通
・三田行・です。車両は1000系。
【兵庫県・神戸電鉄・ウッディタウン中央駅】

 ウッディタウン中央を出た列車は、横山で三田線に入り、三田本町に停車しつつ13分で終点の三
田駅に到着しました。

 三田駅です。神戸電鉄・三田線の起終点駅であり、J
R三田駅と隣接しています。駅前にはペデストリアン・
デッキが造られていました。
【兵庫県・神戸電鉄・三田駅】

 三田には、阪神大震災当時に仕事の関係でJRで訪れて以来でしたが、駅前には大きなペデストリ
アン・デッキなどが出来ており、風景は、ずいぶん変わっていました。

 さて、これで神戸電鉄は全線完乗です。次は谷上まで戻って北神急行線に乗りましょう。

 列車13本目。神鉄・三田駅に停車中の準急・新開地
行です。車両は5000系。
【兵庫県・神戸電鉄・三田駅】

 準急・新開地行は定刻の17:08に三田から発車しました。路線の観察は往路で終わっているので単
に谷上まで移動するだけです。ウトウトしていると17:40に列車は谷上に到着しました。


第4部:北神急行

 谷上で列車から降りると、目の前の北神急行線ホームには、神戸市営地下鉄の車両が待っていまし
たが、私は北神急行が自前で保有している7000系に乗りたかったのでパスしました。

 北神急行は、神戸電鉄の谷上駅と神戸(三宮)間を短絡すべく六甲山を貫通して開通した路線で、
北神急行線(谷上←→新神戸間)7.5キロの1路線のみを有します。

 新神戸駅で神戸市営地下鉄の西神・山手線と接続しており、全線に渡って地下鉄との相互乗り入れ
を行っています。

 有馬方面と神戸を行き来する場合、神鉄で新開地に出るよりも北神急行に乗り換えた方が早いし便
利なのですが、運賃が高く設定されていたため利用者が増えず、経営的に苦しいとか・・・。

 まぁ六甲山を貫く大工事をしたわけですから莫大な費用が掛かっているはずであり、それの償却や
維持費の問題もあるとは思うのですが、運賃を高くして乗って貰えなければ元も子もないような気が
します。

 ホームで次の列車を待っていると、入って来たのは残念ながら、また地下鉄車でした。もはや時間
は18時前であり、これ以上乗るのを遅らせる分けにも行きません。私は、その17:54発の西神中央
行に乗る事にしました。

 列車14本目。谷上駅の北神急行線ホームに停車中の
西神中央行です。車両は神戸市営地下鉄の1000系。
【兵庫県・神戸電鉄・谷上駅】

 神戸市営地下鉄1000系の座席は柔らかくて座り心地は良好でした。少し古い車両ですが、新鋭
車両の座席は、コスト削減のためか少々堅いものが多くなっており座り心地は、むしろ悪くなってい
るので私は古い車両のほうが好きですな。

 西神中央行は、神鉄の新開地方面行列車の到着を待って発車しました。さっき私が着いた時もそう
でしたが、神鉄の列車に合わせたダイヤにしているようですな。

 ただし、神鉄の列車が着くと同時に、北神線列車の発車を告げる放送が繰り返され、乗り換え客が
急かされるのが少々気に入らないところです。お年を召した方もいるでしょうし、もう少しゆとりを
持たせてもいいのではないでしょうか?

 私の乗る車両は乗車率30%ほどで谷上を後にした列車は、すぐに北神トンネルに入りました。真
っ黒な車窓をぼんやり眺めていると、何とトンネルの中ほどで窓の外に女の子とウサギのパラパラ絵
みたいなものが見えました。

 どうやら乗客を退屈させないために、トンネルの内壁にLEDか何かでパラパラ絵を描いてあるん
でしょうな。

 約8分で北神トンネルを抜け新神戸駅に到着。何ともあっさりですが、これで北神急行は完乗です。


第5部:神戸市営地下鉄

 新神戸から先は神戸市営地下鉄(神戸市交通局)の路線に入りますが、引き続き、この列車に乗っ
たまま行きます。

 神戸市営地下鉄は、下記の2路線を有します。

路線名区 間路線長
西神・山手線新神戸←→西神中央22.7
海岸線三宮花時計前←→新長田7.9

 新神戸では少し乗客が増えました。神戸市営地下鉄は、JRの在来線が通っていない新神戸駅と三
宮間のアクセス鉄道の役割も担っているのです。

 列車が三宮に着くとドッと乗車があり、乗車率は、ほぼ100%になりました。三宮から先は、徐々
に減って行くのかと思えば、何と新長田までは乗車の方が多く、150%ほどで新長田に着きました。

 そこから先は徐々に乗客は減り、名谷駅の直前で路線は地上に出ました。名谷の次に停車した総合
運動公園駅の南側には、オリックス・バファローズのホーム球場であるスカイマーク・スタジアムを
擁する神戸総合運動公園が広がっています。

 その次の学園都市駅の周囲半径1キロ以内には、大学5つに高専、高校、中学がひとつずつあり、
まさに学園都市の名にふさわしい町ですな。

 続く西神南で乗客の半分が下車し、乗車率40%ほどで列車は終点の西神中央に到着しました。

 西神中央駅です。ガラスか透明プラスチック張りのド
ーム型天井のモールがあり、駅名が取り付けられている
上の半円形の部分にはステンドグラス(?)がはめ込ま
れています。
【兵庫県・神戸市交通局・西神中央駅】

 西神中央駅の周辺は典型的なニュー・タウン風で、そごう、ダイエー、オリエンタル・ホテルなど
もありました。

 緑は少ないのですが、大型店舗があるぶん人通りも多く、ウッディタウン中央よりは、かなり活気
があります。

 さあ、もう外も暗くなって来ました。先を急ぎましょう。お次は地下鉄の海岸線です。

 列車15本目。西神中央駅に停車中の新神戸行です。
車両は1000系。
【兵庫県・神戸市交通局・西神中央駅】

 新神戸行は、私の乗る車両の乗客は12人で西神中央から発車しました。17分で海岸線の乗り換
え駅である新長田に到着。

 乗り換え駅なので、すぐに乗り換えられると思っていたのですが、海岸線ホームまで優に100メ
ートルは歩かされたような気がします。

 列車16本目。新長田駅の海岸線ホームに停車中の三
宮花時計前行です。車両は同線専用の5000系。
【兵庫県・神戸市交通局・新長田駅】

 三宮花時計前行は、私の乗る車両の乗客は10人で新長田から発車しました。真っ直ぐ海へと向か
った路線は、次の駒ヶ林を過ぎて左にカーブすると海沿いに出て海岸に沿って走りますが、あいにく
地下路線のため海を眺める事は出来ません。

 長田から4駅目で列車は和田岬に到着しました。同駅は旅行記第11弾で訪れたJR「和田岬線」
の和田岬駅の近くにあります。

 朝夕の通勤列車しか走らない「和田岬線」は、鉄道ファンにとって特別な路線なのですが、列車本
数の多い地下鉄・湾岸線が開通した事により利用者が減って廃止されていまうのではないか、などと
心配してしまいます。

 しかし、その私の心配は杞憂に終わり、現在でも「和田岬線」は通勤客で賑わっているとのことで
す。なんせ同線ならJR兵庫駅で乗り換えて、ひと駅ですからな。

 我が三宮花時計前行列車は、途中の停車駅ごとに多少の乗客を乗降させながら乗車率50%ほどで
終点の三宮花時計前に到着しました。新長田からは15分の乗車でした。

 三宮花時計前駅は、三宮と名は付くものの、JRや阪急の駅とは300メートル、近いほうの阪神
電鉄の駅でも200メートルは離れており、乗り換えるには、いささか不便です。

 JRから海岸線に乗り換えるのであれば、JR神戸駅と隣接するハーバーランド駅、阪神電鉄に乗
り換えるのならば阪神元町駅から100メートルの旧居留地・大丸前駅の方がよほど近く、果たして
三宮花時計前駅の存在価値があるものかどうか・・・。

 ま、それはさておき。時間は19時半、すでにとっぷりと日は暮れています。今日は、ここまでに
してきましょう。

 それでは大阪に戻りますが、我がホーム鉄道の阪急には、しょっちゅう乗っているので、今回は阪
神で帰りましょう。私は三宮地下街を200メートル歩いて阪神電鉄の三宮駅に向かいました。

 阪神電鉄の三宮駅です。地下駅であり、阪神電鉄本線
が通ります。
【兵庫県・阪神電鉄・三宮駅】

 ホームに出てほどなく、阪神梅田行の直通特急が来ましたが、急ぐ必要もなかったのでパスし、次
の普通列車に乗る事にしました。

 列車17本目。三宮駅に到着する普通・阪神梅田行で
す。車両は5000系。阪神電鉄の車両は、普通列車系
はクリームと紺色のツートン、急行系はクリームと赤の
ツートンに塗り分けられているそうです。
【兵庫県・阪神電鉄・三宮駅】

 1時間10分ほどの乗車で阪神梅田駅に到着。これで第1日目は終了です。

 パート2につづく・・・。



小旅行記
第13弾パート1

第12弾 第13弾
パート2
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