2002年10月13日
『列車まかせの旅』第9弾


プロローグ

 それは寝耳に水でした・・・。私が気にしている車両に165系と言うのがあります。私はマニア
ではないので詳しい説明は省きますが、要するに古い電車です。

 ある時、鉄道関連のHPを物色していると、165系のファン・サイトを見つけました。そこの記
事を見てみると、全国のJR線においてオリジナルの165系は、すでに定期運用からは全車が退役
しており、僅かに改造車が夜行快速の『ムーンライトえちご』として走っているのみとの事でした。

 その後、同HPのトピックスを見てビックリ。何と、東北新幹線の盛岡←→八戸間の開業に伴う同
地方の特急再編成と新型車両の投入により、余剰となる旧型特急車両と現用の『ムーンライトえちご』
の改165系が置き換えられてしまう可能性があるとの事でした。

 なんてこった! 定期運用の165系が消えてしまう・・・。私は、いても立ってもいられない気
持ちになりました。

 現在、日本中で僅か2本しか走っていない常設の夜行快速の1本である『ムーンライトえちご』は、
いずれは「乗覇」せねばならない列車でしたが、165系が好きな私としては、165系の「えちご」
に乗らなければ意味がありません。

 165系ファン・サイトのトピックを見た時は、すでに11月に入っていました。盛岡←→八戸間
の新幹線開業は12月1日、もうあまり時間がありません。今年の旅行は第8弾で終わりにするつも
りだったのですが、私は急遽、第9弾の旅行プラン策定に入りました。

 当初は「えちご」に乗れれば充分と考えていたので、新宿発の下り「えちご」に乗って終点である
新潟県の村上まで行き、そこからは日本海沿岸の在来線で、これまた乗ってみたいと思っていた41
9系と言う車両を探しつつ大阪まで戻るプランを考えました。

 しかし、改めて盛岡←→八戸間・新幹線開業の情報を吟味して見ると、これによって廃止となる列
車の中に青森←→函館間を走る日本最後の常設客車式普通列車である快速『海峡号』が含まれている
のを見つけました。

 『海峡号』は、旅行記第3弾と第7弾で青森や函館に立ち寄った際に、ホームに停車しているのを
さんざん見ていた列車でした。いま思えば乗っときゃ良かったですね。

 列車の近代化が進む現状を考えると、今後、常設の客車式普通列車が復活する見込みは、まず無い
と思われました。と、なれば、今回の「旅」で『海峡号』も乗っておきたいところです。

 今回の「旅」は、土、日の2日間で回らなければならない為、土曜日出発の1泊2日でプランの検
討を行いました。

 ルートとしては、まず青森まで移動して同駅発の『海峡号』で北海道に渡り、取って返して新潟県
の村上駅まで移動し、そこから22:26発の新宿行の上り『ムーンライトえちご』に乗る事にしました。

 が、しかし、いかなる交通機関を利用しようとも、土曜日の朝に大阪を発って青森に到達可能な時
間以降の『海峡号』に乗ったのでは、『ムーンライトえちご』に間に合うような旅程が組めませんで
した。

 新大阪発の初電の新幹線はもちろんの事、不本意ながら青森や函館までの飛行機移動までをも考慮
しましたが、どうしても「えちご」の発車時間までに村上まで辿り着く事が出来ません。

 と、なると、「えちご」と『海峡号』のどちらか一方を諦めるしかありません。客車式普通列車で
ある『海峡号』は非常に貴重な存在ではありますが、165系の方は車両そのものの存在が消えかけ
ているのです。どちらかを選ぶとなれば、やはり「えちご」の方でしょう・・・。

 私は半ば『海峡号』の乗車を諦めかけましたが、そこでふと思いついたのが得意の寝台列車でした。
そう、金曜日の夜に出る青森行の寝台列車ならばどうだろう?

 まず大阪発の『日本海3号』をチェックしましたがダメ。次に、まだ乗った事がない東京発の『あ
けぼの』を見ましたがこれもダメでした。

 続いて、旅行記第7弾の帰路で乗った『はくつる』を調べたところ、同列車ならば「えちご」に間
に合う時間に戻って来られる『海峡3号』に乗れそうでした。おっしゃ、これで行こう!

 しかし、22:23に上野駅を出る『はくつる』に乗るには、金曜日の19時より早い新大阪発の新幹線
に乗らなければなりません。もし金曜日に手間取る仕事が入ったら一巻の終わりですが・・・。

 とりあえず出発日を11月8日の金曜日と定め、東京までの『のぞみ』の指定席、青森までの『はく
つる』のB寝台、青森から北海道・木古内駅までの往復の『海峡号』の指定席、新潟県村上駅から新
宿までの『ムーンライトえちご』の指定席の各切符を購入しました。

 さあ、後は8日に出発できる事を祈るのみです・・・。


第1部:「夜行列車愛好家への道」その8/寝台特急『はくつる』(2回目)

 そして当日の11月8日金曜日。飛び込みの仕事もなく夕方を迎えました。同僚のほとんどは、まだ
忙しそうにしていましたが、私は仕事に区切りを付け、少々後ろ髪引かれつつ会社を後にして新大阪
へと向かいました。

 18:53新大阪発『のぞみ26号』の特急券です。座席
は何とA席の1番でした。ちなみに、旅行記企画におい
て新幹線の切符を事前購入したのはこれが初めてです。
 大阪から北海道・木古内駅までの乗車券です。本当は
函館まで行きたかったのですが、時間の制約により木古
内で引き返さねばなりません。
 新大阪駅の新幹線ホームで待っていると『のぞみ26
号』が入って来ました。車両は日本最速を誇るJR西日
本の500系でした。
【大阪府・新大阪駅】
 500系の車内の様子です。車体が筒状をしている関
係で窓側の壁が湾曲しているのが特徴です。ちなみに、
最新鋭の700系を始め他の新幹線車両はすべて箱形車
体をしている為、壁は限りなく垂直に近くなっています
【東海道新幹線『のぞみ26号』車内】

 今回の座席であるA席1番は、東京方面行では車両最後部の席となるので、後ろに気兼ねする事な
く思い切り背もたれを倒す事が出来ました。

 少々高くつく『のぞみ号』とは言え、週末だけあって乗車率は高く、二人掛け側の席はほぼ満席で、
私が座っている三人掛け側も窓側席と通路側席は、ほぼ埋まっていました。

 発車後にあった車内販売に関する案内放送では、何でもオーストラリア産のワインを販売している
との事でした。これも「のぞみ」ならではなのかな?

 検札が来ると、私がいる三人掛けの通路側席に座っていたサラリーマン風の男性はビジネス切符を
取り出し座席指定を受けていました。へー、ビジネス切符って「のぞみ」の指定もイケるんだ。

 名古屋駅では、私の隣の中間席(B席)にも白いコートを着た初老の男性が座りました。この男性
は席に座ると、おもむろにワインの瓶を取り出して座席前のネットに差し込みました。ほほー。

 『のぞみ26号』の次の停車駅は新横浜です。名古屋を出て車内が落ち着くと、白いコートのおじ
さんはワインの瓶を開けてチビチビと飲り始めました。おいおい、東京に着くまでにぜんぶ空けるつ
もりなんかいな?

 名古屋出発後1時間24分で『のぞみ26号』は新横浜駅に到着しました。同駅では、そこそこの人
数が降りましたが、驚いた事にひとりの男性が私がいる車両に乗って来ました。

 おいおいマジかい。かつて新横浜着発の新幹線が少なかった頃は、博多方面の列車に乗る為に新横
浜から東京まで折り返しのキセル乗車をしていた客もいたようですが、JRもそれを見過ごすほど抜
けてはいません。

 案の定、待ってましたとばかりに車掌が検札に来ましたが、男性が切符らしき物を見せると、車掌
はあっさりと下がって行きました。どうやらキセル乗車ではなかったようですな。

 『のぞみ26号』は定刻の21:26に東京駅に到着しました。旅行記企画にて東京駅で下車するのは、
これで8回目になります。

 とりあえずトイレを済まそうと思い、手近な所にあったトイレに入ると、何と入口にカウンターが
あり、中におばちゃんがいました。まさか有料トイレ?

 他の利用者でカウンターに近づく人はいなかったので、私も素通りしてトイレに入り、用を済ませ
て出て行こうとすると、私より先に出て行こうとしていた若い女の子がカウンター前にポッカリ口を
開けている投入口に小銭を入れているのが見えました。

 その投入口に掲げられている但し書きを見ると、どうやら有料ではなさそうなのですが、カンパを
お願いしたい旨が書かれていました。

 なるほど、そーゆー事ね。メンテナンスの人達も色々と大変なんでしょうな。私はカウンターのお
ばちゃんには見えないように小銭入れから10円玉を取り出すと投入口に入れました。するとおばちゃ
んから「ありがとうございます」と声を掛けられました。

 それにしても、東京駅のトイレ全部がこんなシステムになってしまったのでしょうか? そうなると、
ちとやりにくいですな。

 さて、それでは青森行の寝台特急『はくつる』が出る上野駅へと向かいましょう。普段ならば山手
線を利用するところですが、たまには京浜東北線にでも乗ってみましょうか。

 東京駅に到着する京浜東北線の209系です。鉄道関
連HPで得た情報によると、従来の車両より車体寿命が
半分になる事と引き替えに、価格半分、軽量、省電力、
メンテナンスフリーを目的に開発された車両なんだそう
です。現在は、京浜東北線と南部線で運用されているそ
うです。
【東京都・東京駅】

 東京駅に入って来た京浜東北線の209系は初めて乗る車両です。車内は典型的な通勤型電車のそ
れでしたが、荷物棚の支柱がロング・シートの途中にも幾つかあったのが印象的でした。

 東京→上野間は、4駅、7分間の乗車です。上野に着いたのは21:40頃。寝台特急『はくつる』が
出るまでは40分ばかしインターヴァルがあります。私は上野駅構内を少し探検して見る事にしました。

 以前、旅行記第7弾の帰路で上野駅を訪れた時は、構内のレイアウトに不案内だった為、少々戸惑
いましたが、今回は、もう少し把握して見たいと思い、1階から3階までウロついて見ました。

 上野駅17番ホームに停車している新型特急車両E6
53系です。この列車は22:30発の勝田行・特急『フレ
ッシュひたち65号』でしょうか?
【東京都・上野駅】
 上野駅の驚くべきホーム配置です。左手の高架の上(12番ホー
ム?)に103系の列車が止まっているのが見えるでしょうか?
これではまるで高架線路の途中に駅を造ったかのように見えます。
右下の16番ホームに停車している185系は高崎行の特急『あか
ぎ15号』でしょうか?
【東京都・上野駅】

 上野駅には22本ものホームがあり、東北、秋田、山形、長野、上越の各新幹線と、東北本線、高崎
線、常磐線、京浜東北線、山手線の特急から各駅停車に至る列車が着発する大ターミナルです。ここ
で列車ウォッチングすれば、さぞかし多種多様の車両を見る事が出来るでしょう。

 さてと、ぼちぼち『はくつる』が出る15番ホームに行きましょう。列車が出るまでには、まだ30
分近くありますが、入線するところの写真が撮りたかったのです。

 待つこと十数分、寝台特急『はくつる』の入線を告げる構内放送があり、列車がゆっくりとホーム
に入って来るのが見えました。この15番ホームは行き止まりのホームである為、『はくつる』は後
ろ向きで入線して来ました。

 すかさず鉄道マニアや他の観光客が一斉にカメラを構えて撮影を始めると、「カメラ撮影されてい
る方は黄線の後ろまで下がって下さい」との放送がありました。

 上野駅15番ホームにバックで入線する寝台特急『は
くつる』です。行き止まりホームへのバック入線とあっ
て徐行しており、さらに最後尾車両の後部ドアの所では
車掌が後ろを確認していました。
【東京都・上野駅】

 『はくつる』が停車しドアが開くと私はさっそく乗り込みました。今回は出発1週間前の予約だっ
た為、当然、いちばんハズレである上段の荷物置き場のない寝台でした。まぁ致し方ないでしょう。

 乗り慣れたB寝台ですが、このようにベッドの両端にアームが見
えるタイプの寝台は初めてです。
 『はくつる』に使用されているこの24系と呼ばれる客車式寝台
車の上段寝台は、電動で収納/セットが出来るようになっているそ
うです。
【寝台特急『はくつる』車内】
 寝台の通路側です。ブース内でいちばんハズレ・ポジションの寝
台であり、例によって通路側には荷物置場がありませんでした。
【寝台特急『はくつる』車内】

 今回の「ハズレ寝台」でも通路側はパネルで塞がれており「業務用」の文字が書かれていましたが、
覗いて見ると、その中の荷物置場には業務用の荷物袋が入れられていました。ほほう、この「業務用」
とやらも伊達じゃないようですな。

 『はくつる』は定刻の22:23に上野駅を発車しました。結局、上野では私がいるブースの下段には
両方とも乗って来ませんでした。

 発車後の車内放送によると本日は満席との事で、立席乗車も出来ない旨がアナウンスされました。
前回、青森から上野行の『はくつる』に乗った時もそうでしたが、この列車ってけっこう人気がある
ようですね。

 毛布に縫いつけられていたタグです。寝具を広げてい
る時に見つけました。
【寝台特急『はくつる』車内】

 今回の乗車では、隣のブースに子供を連れた一家が乗っていました。例によって子供が騒いでいま
したが、始末の悪い事に大人までもがはしゃいでいました。

 どうやら親の方は過去にも『はくつる』に乗った事があるようですが、子供の方は初めての様子で、
見る物すべてが珍しく、はしゃぎまくっていました。どーでもいーけど、車内灯減光までには静かに
してくれよな。

 とか何とか考えていると、いきなり車内放送休止のアナウンスがありました。まだ最初の停車駅で
ある大宮にすら着いていないと言うのに、これは驚きです。

 今回も私は、ひたすら寝るだけのつもりだったので、さっさと着替えて布団にもぐり込みました。
例の家族連れは未だに騒いでいましたが、23時過ぎに車内が減光されると両親は子供に寝るように言
いつけるのが聞こえました。やれやれ。

 子供の方は静かになりましたが、親の方は寝台に収まったまま、「寝心地は悪くないんだけどねー」
とか何とか小声で話をしていました。

 やがて大宮への停車に向けて列車が減速した事を示す「ドカン」と言う衝撃が走ると、「こーゆー
のがくっから眠れないんだよねー」とボヤくのが聞こえました。ごもっとも。

 その後は、意識が行ったり来たりしている内に6時間半が過ぎ、一戸駅到着前にチャイムの『鉄道
唱歌』で叩き起こされました。今回も寝られたような寝られなかったような・・・。(^^;

 青森までは、まだ2時間近く掛かります。私はそのまま布団の中でうとうとし続け、青森到着の20
分前に起きて降りる準備を始めました。

 『はくつる』は遅延する事なく8:17に青森駅に到着しました。これで青森を訪れるのは、旅行記第
3弾、第7弾に続いて3回目となります。

 ホームに降りるとさすがに冷えたので、三段峡に行った時にも着ていたインナー付のジャンパーを
さっそく羽織りました。

 見ると、着いて間もないと言うのに、早くも列車をホームから「片づける」為にDE10型ディー
ゼル機関車が現れ、最後尾に連結すべく向かって来るのが見えました。

 列車を「片づける」役のDE10が『はくつる』の最後尾に連結
されたところです。
 青森駅は列車の着発が多い駅ですから、長時間停めておく分けに
はいかないんでしょうな。
【青森県・青森駅】
 連結を終えたDE10ですが、しばらくはホームに留
まっていました。
【青森県・青森駅】

 さてと、お次は第1目的である快速『海峡3号』の乗車ですが、同列車が出るまでには1時間近い
インターヴァルがあるので、何処かで時間つぶしをしなければなりません。私は『はくつる』が出て
行くのを見る事なく陸橋を登りました。


第2部:「ちょっとこだわりの列車」その4/快速『海峡3号』

 快速『海峡3号』の木古内駅までの座席指定券です。
ラッキーな事に窓側のA席でした。

 快速『海峡号』は、青函トンネルを通って青森←→函館間を往復する唯一の普通列車であり、同時
に青函トンネル内にある「竜飛」、「吉岡」両海底駅の見学列車としての役割も兼ねています。

 列車は、青函トンネル専用の電気機関車であるED79型と、14系もしくは50系の客車で編成
されており、現在、日本で唯一の客車式普通列車です。

 残念な事に、新幹線の盛岡←→八戸間が開業すると、この『海峡号』は廃止となり、以後、その役
割は八戸←→函館間を走る新設の特急『スーパー白鳥』へと引き継がれる事になります。

 その事もあって、今回の乗車では青森から終点の函館まで乗りたかったのですが、それでは『ムー
ンライトえちご』に間に合わなくなってしまう為、残念ながら北海道側で2番目の停車駅となる木古
内で引き返す事になってしまいました。(T^T)

 ま、それはそれとして、とりあえず陸橋を渡り、「海峡」が出る6番ホームに行って見る事にしま
した。

 6番ホームの案内板には、9:15発の『海峡3号』の案
内が表示されていました。
【青森県・青森駅】

 『海峡3号』が出るまでには、まだかなり時間があった為、列車はホームには止まっていませんで
した。他の列車も止まっておらず、何も見るものが無かったので私は陸橋上へと戻りました。

 陸橋上の通路には木製のベンチがあったので、そこに座って待っていると、鉄道マニアらしき人が
壁に掲示されていた「海峡」の編成案内を写真に収めているのが見えました。ふむ、確かに、そーゆ
ーのも撮っておかんといけませんな。

 陸橋上の通路の壁に掲示されていた『海峡3号』の編
成案内です。同列車は通常6両編成ですが、この日は土
曜日とあってか9両編成になっていました。
 指定席5両、自由席4両の編成で、1号車(指定席)
は海底駅見学者専用の車両になっています。
【青森県・青森駅】

 他に何か「海峡」に絡む掲示物が無いもんかと探しましたが見つかりませんでした。そこで陸橋の
窓越しにホームを眺めて見ました。

 ホームに停車中の気動列車(左)と盛岡行の特急『ス
ーパーはつかり8号』(右)です。
 ちなみに、特急『はつかり』も新幹線延線開業後に廃
止となる列車のひとつです。
【青森県・青森駅】

 まだまだ時間があるので、しばらく構内をウロついて見ましょう。

 はるばる大阪から到着した函館行の寝台特急『日本海
1号』です。ここで機関車をED79型に交換して函館
へと向かいます。この日は、ED79機関車が重連(2
両連結)になっていました。
 画像の右側に見えているのが、『日本海1号』を大阪
からここまで牽いて来たEF81型機関車(トワイライ
トエクスプレス塗装車)です。
 ちなみに、この『日本海1号』は、私がいちばん気に
入っている寝台列車です。
【青森県・青森駅】
 特急『スーパーはつかり8号』が出た後に、何とまぁ
新型特急車両である789系の試運転列車が入って来ま
した。
 この789系こそが新幹線延線開業後に『海峡号』の
後を継ぐ特急『スーパー白鳥』となる車両なのです。
【青森県・青森駅】
 789系の車内を見てみると、座席には、まだビニー
ルが被せてありました。
 試運転と言う事は、やはり実運用区間と同じ八戸←→
函館間を走らせているのでしょうか?
【青森県・青森駅】
 今回の1本。青森駅ホームの自販機で買った、りんごジュースです。ブランド
名は「はやて」でいいのでしょうか?(^^;
 発売元はJA青森で、見ての通り新幹線の延線開業を記念した缶で、値段は10
円お高い130円でした。
 本場青森のりんごを濃縮還元した果汁100%のジュースであり、味もなかなか
良かったです。

 他に見る列車も無くなったので、青森駅構内をさらに広範囲にウロついていると、待望の『海峡3
号』の入線を告げる放送が聞こえてきました。さあ、撮影、撮影。

 青森駅6番ホームに入線した快速『海峡3号』です。
「ドラえもん塗装」が施された先頭のED79型電気機
関車は青函トンネルを通る他の列車の牽引にも使用され
ていますが、この塗装は、そもそもこの『海峡号』用の
ものなのです。
 右下にチョコっと見える頭は、一緒に写真を撮ってい
た二人のマニアさんの内のひとりです。
【青森県・青森駅】
 客車の乗降口付近にある行先表示です。残念ながら、
この『快速・海峡』の行先表示が見られるのもあとわず
かなんですね・・・。
【青森県・青森駅】
 最後尾車両です。貫通ドアの下部には『海峡』のマー
クが掲出されています。
【青森県・青森駅】
 『海峡3号』の編成に使用されていたのは、14系と
呼ばれる特急型の客車でした。ご覧のように車体側面に
は「ドラえもん」の図柄(ステッカー?)が施されてい
ます。これは子供を連れた海底駅見学客への配慮みたい
です。
【青森県・青森駅】
 『海峡3号』の5号車(指定席)の車内です。車内は
まさに特急車両そのものでした。シートはリクライニン
グ式ではありませんでしたが、座席部分が前後に動き、
背もたれも連動して傾くタイプでした。
【快速『海峡3号』車内】

 私は写真を撮り終えると、さっさと左窓側のA席に座りました。後は出発を待つばかりです。お思
い起こせば、客車式の普通列車に乗るのは、物心着いてからはこれが初めてです。

 朧気な記憶では、幼少の頃、郷里を走っていたローカル線が電化される前にディーゼル機関車に牽
かれた客車に乗った事があるような気もするのですが、いまいち自信がありません。

 その路線には、私が高校に通っていた頃には113系らしき電車が走っており、それはハッキリと
覚えています。

 車内で待つことしばし。私が乗る車両は乗車率90%と言ったところで『海峡3号』は定刻の9:15に
青森駅を出発しました。一見したところ、乗客のほとんどは旅行者のように見受けられました。

 客車式の特徴で、「ガタン」と言う衝撃と共に列車は発車しました。車体下にモーターを搭載して
いないため車内は静かであり、走行中に聞こえるのは線路の継ぎ目を過ぎる際の「カタン、コトン」
と乗客の話し声だけでした。これが客車なのです!

 青森駅を出て間もなく、左手に見えた車両ヤードには、車体側面に「訓練車」と描かれた485系
ボンネット型と583系らしき車両の混在編成の列車が見えました。

 列車はほどなく単線の津軽線に入り、15分ほどで最初の停車駅である奥内駅に停車しました。ここ
では、ホーム長の都合でしょうか、1号車から5号車までしかドアは開かないそうです。

 また奥内では、函館発・盛岡行の特急『はつかり10号』の通過待ちをしました。この『はつかり
10号』は、かつて旅行記第3弾の帰路で乗った列車です。

 奥内を出たところで雨が降り始めました。青森に着いた時点で空はどんよりと曇っていたので、た
ぶん降るだろうとは思ってましたが・・・。

 次の停車駅である蟹田では、今度は3〜9号車のみドアを開けるとの事でした。停車駅によって前
半を開けたり後半を開けたりするのに何か根拠があるのでしょうか?

 蟹田では15人ほどの人々がホームで待っていました。へー、ここから北海道へ渡る人も少しはいる
んですな。また、車内放送曰く、この駅で乗務員がJR北海道の職員と交代したとの事です。

 あと、蟹田駅では、対面ホームに停車していた青森方面行の貨物列車が、『海峡3号』の到着を待
って出発して行きました。

 蟹田を出ると、列車は津軽線から分かれて津軽海峡線へと入りました。次の停車駅である津軽今別
駅の手前にあった田んぼには、たくさんの白鳥がいました。この時期は、ここでエサを獲りながら過
ごすのでしょうか?

 9:45に津軽今別駅に到着。ここでは1〜5号車のドアが開けられました。津軽今別を出る頃に、雨
は雪へと変わりました。

 9:55頃、「お約束」である青函トンネル関連の案内放送がありました。次に停車するトンネル内の
見学専用駅である吉岡海底駅の予定到着時刻は10:31ですが列車は3分ほど遅れているとの事でした。

 列車が青函トンネルに入ってほどなく、車掌が現れ、何かを乗客に配っていました。渡されたもの
を見ると、それは『海峡号』の記念乗車証でした。何とも嬉しいサーヴィスです。

 『海峡3号』の車内で配られた記念乗車証です。「さ
ようなら海峡」の文字と、1988年3月13日・青函トンネ
ル開業〜2002年11月30日・LAST RUNと書かれていまし
た。JRさんも、なかなか「粋」なサーヴィスをしてく
れますな。
 記念乗車証を裏返すと、『海峡号』に替わる特急『ス
ーパー白鳥』デビューの案内が書かれていました。

 しばらくして列車はトンネル内で減速を始め、ほどなく吉岡海底駅のホームで停車しました。案内
放送があり、ここでは1号車しかドアが開かない事と、見学整理券を持っていない者は降りられない
旨がアナウンスされました。

 吉岡海底駅に停車中の『海峡3号』の車窓からのワン・ショット
です。写っている2本の蛍光灯の内、左側のは窓に写り込んでいる
車内灯ですが、右側のは海底駅の照明灯です。
 元々、トンネル掘削工事の際の作業用の駅であった吉岡海底駅の
ホームの幅は、わずか1メートル足らずしかありません。画像で、
照明が列車のすぐ間近にあるのが分かるでしょうか?
【快速『海峡3号』の車窓より】

 ここで降りた見学客は、トンネル構内を見回った後、約2時間後に到着する『海峡5号』に乗り込
んで函館へと向かいます。

 見学者を降ろした『海峡3号』は青函トンネルを抜け、吉岡海底駅を発車してから約20分後に北海
道最初の停車駅である知内に到着しました。同駅では1〜6号車のドアが開けられました。

 知内駅から見える風景です。車両左側には田んぼしか
見えませんでした。
【快速『海峡3号』の車窓より】

 そして知内から10分ちょいで列車は木古内駅に到着します。残念ながら私が乗車できるのはここま
でです。私は駅着の数分前にデッキへと移動しました。

 14系客車の乗降口です。オリジナルの14系のドアは折り戸式
ですが、北海道地区で使用されている車両は、ご覧の通り引き戸式
に改造されています。
【快速『海峡3号』車内】

 木古内では、私の他にも7〜8人が降りましたが、いずれも地元っぽい人達ばかりであり、旅行者
風の身なりをした人はひとりもいませんでした。

 木古内駅から発車して行く『海峡3号』です。次に停
車するのは、五稜郭駅になります。このまま終点の函館
まで乗って行きたかったなぁ・・・。
【北海道・木古内駅】
 ホームを陸橋へと歩きながら右手を見ると、気動列車
が止まっているのが見えました。これは江差線の普通列
車でしょうか?
【北海道・木古内駅】

 陸橋を登ると、木古内駅の改札は2階にありました。私は切符を渡して改札を抜け、いったん駅舎
の外に出てみました。北海道だけあって外はさすがに冷えました。

 木古内駅です。駅の事務室や窓口、待合室や改札は2
階にあります。1階の入口を入ったすぐ左手には土産物
屋、右手にはトイレがあります。
【北海道・木古内駅】
 木古内駅前の道路です。商店街になっているようには
見えませんが・・・。
【北海道・木古内駅】
 上の画像より、ちょい右を写したところです。この建
物はバスの待合所なのでしょうか?
【北海道・木古内駅】
 駅前にあった木古内町の観光案内マップです。右上に
は「歓迎・道中みそぎの街」とありました。
【北海道・木古内駅】

 駅前の写真を撮っていると、すでに降っていた雪がやや強くなってきたので私は駅舎に戻りました。

 駅構内の壁には「みそぎ」のポスターがあちこちに貼
られていました。ここは「みそぎ」で知られているので
しょうか?
【北海道・木古内駅】

 木古内からは、11:46発の青森行快速『海峡4号』に乗る予定です。結果的に往復で『海峡号』を
堪能できる分けですが、意図的の同列車を選んだ分けではなく、たまたまです。

 同列車が着くまでは、まだ30分近くありましたが、外は冷えるので、私は暖房の効いている待合室
で待つ事にしました。

 待合室には数列のベンチがあり、10人前後の人達がいました。室内にはキオスクと清涼飲料水の自
販機なども置かれていました。

 私が座ったベンチの隅には何やら箱が積まれていました。テレビか何かでむかし見た、北国を題材
にした作品で駅の待合室や列車内のシーンで、こーゆー箱を積んでいるのを見た事がありますな。

 11:30頃、江差線列車の改札を始める旨の放送があり、待合室にいた人々の3分の2ぐらいが立ち
上がって改札の中へと入って行きました。

 人々が行ってから数分後、ディーゼル・エンジン音を轟かせて江差行の普通列車122Dが出て行
くのが見えました。

 40分頃、今度は私が乗る快速『海峡4号』の改札が始まりました。改札を抜けた所の窓から外を見
ると、外は少々吹雪いていました。こりゃ大雪になる前触れなのかな?

 画像からは分かりにくいのですが、外は吹雪始めてい
ました。
【北海道・木古内駅】

 陸橋の階段を降りると、階段下には5〜6人のおじちゃんやおばちゃん達が固まって列車を待って
いました。

 木古内駅の陸橋はホームの青森側末端にしかありません。陸橋の出入口からホーム途中までは屋根
があるのですが、雪が横殴りに吹雪いていたので、皆さんは濡れるのを嫌って陸橋の出入口で待つ事
にしたようです。

 しかし、私が乗るのは3号車であり、青森行だと列車の後ろの方になるので、陸橋付近に停車する
先頭車付近で乗ったのでは車内をかなり歩かなければなりません。

 車内を延々と歩くのは好きではないので、私は人々の間を抜けホーム上を歩き始めました。ホーム
は吹雪いていましたが、この程度ならば北海道では吹雪いている内には入らないでしょうな。

 ホーム上には、函館方末端に歩いて行く数人の他に一眼レフ・カメラを抱えた人がひとりだけいて
何やら写真を撮っていました。この人はマニアさんなのでしょうか? しかし、高そうなカメラなの
に濡れても大丈夫なんかいな?

 木古内駅の青森行ホーム上にたくさん立てられていた、特急『ス
ーパー白鳥』のデビューを宣伝する「のぼり」です。
【北海道・木古内駅】

 間もなく『海峡4号』の到着を告げる構内放送が聞こえて来ました。

 木古内駅に到着する青森行・快速『海峡4号』です。
ホームが吹雪いているのが分かるでしょうか?
【北海道・木古内駅】

 ホームには停車位置がまったく書かれていなかったので、私は適当な位置に立っていたところ、目
の前には5号車が停まりました。

 私は列車に乗り込み、両開き式の貫通ドアを通りながら自分の指定席がある2両後ろの3号車へと
向かいました。

 自分の席に落ち着いたところで車内を見渡すと、ほぼ満席に近い状況でした。『海峡4号』の客車
は3号と異なり50系と呼ばれる一般型客車でした。

 『海峡4号』の50系客車の車内の様子です。指定席
車両でしたが、座席は9割方埋まっていました。画像中
央のやや右、デッキへの出入口ドアの上には、青函トン
ネル通過中に列車の位置を表示する小さな表示盤があり
ます。この表示盤は3号の14系客車には付いていませ
んでした。
【快速『海峡4号』車内】
 『海峡4号』指定席の座席です。オリジナルの50系客車の座席
はボックス・シートのはずですが、この車両は転換式クロス・シー
トに換装されていました。ちなみにこのシートはリクライニング出
来ないタイプでした。
【快速『海峡4号』車内】
 なんとも懐かしい灰皿が付いていました。しかも往年
の国鉄マーク入りです。この灰皿を見たのは、かなり久
しぶりです。
【快速『海峡4号』車内】

 『海峡4号』は青函トンネルに入ると、まず吉岡海底駅に停車して見学客を降ろした後、次に竜飛
海底駅に停車して先発の『海峡2号』で降りていた見学客を乗せて出発しました。

 その後、列車は問題なく走り続け、13時半頃に青森駅に到着しました。9:15に『海峡3号』で青
森駅を出発してから4時間半近くが経過していました。

 さて、これで『海峡号』の乗車は完了です。悲しいかな、客車式の普通列車に乗れるのは、これが
最後となる分けですね・・・。

 今度来た時は『海峡号』に替わり、最新鋭789系の特急『スーパー白鳥』と、リニューアル48
5系の特急『白鳥』が、ここを走っている事でしょう・・・。

 さてと、お次は第2目的の夜行快速『ムーンライトえちご』乗車です。それには、まず「ながら」
の始発駅である新潟県の村上駅まで移動しなければなりません。

 しかしこの時の私は、村上への移動の途上で、旅行記史上最大(そして超間抜け)の失敗をしでか
してしまう事を知る由もなかったのです・・・。(^^;

 第3部につづく・・・。


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