2002年12月28日
『列車まかせの旅』第8弾


第2部:「三段峡散策記」その1

 さて、可部線から降りたところで、三段峡の散策へと参りましょう。

 戸河内町のHPによると、三段峡はJR三段峡駅から聖湖に至る全長約13キロに及ぶ峡谷で、その
途中途中には名前が付けられた景勝が多数あり、その中には「五大壮観」と呼ばれる、黒淵、猿飛、
二段滝、三段滝、三ツ滝などの名勝もあるとの事です。

 三段峡の案内図です。「五大壮観」の内、三ツ滝だけが図中には
ありませんが、三ツ滝は案内板のさらに上方、聖湖のすぐ南にあり
ます。
 峡谷の川沿いには幅の狭い遊歩道しかないので車やバイクは通れ
ませんが、図中の、ほぼ真ん中にある出合橋には一般車も止められ
る駐車場があり、国道経由で乗り入れる事が出来るようです。
 また、出合橋と三段峡駅間には定期のマイクロ・バスが運行され
ているので、猿飛、二段滝、三段滝を見たいが脚に自信がないと言
う人は、このバスを利用して出合橋まで行けば歩く距離を短縮する
事が出来ます。

 今回の私の持ち時間は4時間です。「五大壮観」をぜんぶ見て歩きたいのはヤマヤマなんですが、
それには8〜9時間は必要みたいです。

 いちばん遠くにある三ツ滝を除く4カ所を回るとしても5〜6時間は必要みたいなので、今回は三
ツ滝、猿飛、二段滝は諦め、片道約2時間で行けるらしい三段滝を目標にする事にしました。うまく
行けば、その途中にある黒淵とやらも見られるでしょう。

 ただ、戸河内町HPの三段峡散策ガイドによると、三段滝までの距離は片道約7.5キロとなってい
ました。人間の平均的な歩行速度は時速約4キロですから、単純に考えると片道2時間の道程となり
ます。しかし、往路はたぶん登りになっているでしょうし、遊歩道自体にもかなりのアップ・ダウン
があると予想されます。

 それに、往路の7.5キロを歩いた後では、かなりバテているはずですから、復路の7.5キロを往路と
同じペースで歩けるとは思えません。

 そうなると、往復15キロを4時間でイケるかどうかは微妙なところです。かなり気合いを入れて歩
かねばならんでしょう。

 私自身は、これまでに最高で約10キロを歩いた事がありますが、それは平坦な市街地での話なので、
今回、歩き通せるかどうかは分かりませんでした。

 とりあえず行くだけ行ってみて、2時間経った時に三段滝まで達していなければ、諦めて引き返す
しかないでしょう。

 いざ、出発! 私が駅付近の写真を撮っている内に、観光客らしい人影は、駅前からほとんど消え
ていました。皆さん、バスで出合橋の方に行ってしまったのかな?

 とりあえず私は商店街の間を抜け、三段峡の入口向けて歩き始めました。

 三段峡入口手前にある橋の、そのまた手前の道のド真ん中に立て
られている進入禁止の立て看板です。三段峡遊歩道は車両乗り入れ
禁止です。
【広島県・三段峡】
 上の画像のすぐ先にある橋の上から峡谷方向を写した
ところです。ここは「長淵」と呼ばれる第1の景勝ポイ
ントですが、のっけから感嘆させられる景色でした。
【広島県・三段峡】

 手摺りが赤く塗られた橋を渡ると、そのすぐ先には三段峡の入口である事を示す看板と石柱があり
ました。

 三段峡遊歩道の入口です。頭上には木が生い茂り、何
ともいい雰囲気でしょう。
【広島県・三段峡】
 上の画像の入口を過ぎるとすぐ右に立てられている注
意書きの立て看板です。散策に際しての注意事項が書か
れています。
【広島県・三段峡】

 注意書きの立て看板を過ぎると、すぐ左手に「長淵」なる小さな看板がありました。ここが第1の
見所みたいです。いきなりかい!

 三段峡第1の見所「長淵」です。ここには遊歩道から
降りられるようになっています。スゴく水が綺麗で、夏
場は水浴を楽しむ事も出来るそうです。
【広島県・三段峡】
 三段峡の遊歩道です。ここら辺の歩道の幅は広い方ですが、それ
でも1メートル足らずです。
【広島県・三段峡】
 上の画像より、ちょい先の遊歩道の様子です。何ともいい雰囲気
でしょう。
 遊歩道はすべてコンクリート舗装されていますが、ほとんどの箇
所で谷側に落下防止柵がないので、歩くのには注意が必要です。
【広島県・三段峡】
 「長淵」のすぐ先にあった「姉妹滝」です。趣がありますねぇ。
滝は1本しか見えませんでしたが、なぜか姉妹滝なのです。
【広島県・三段峡】
 「姉妹滝」の先にある「竜ノ口」です。ゴツゴツした岩の間を川
が流れています。
【広島県・三段峡】

 「竜ノ口」付近から先は、右手が剥き出しの岩壁になっています。何ら土留め処置を行っていない
ので、やはり落石があるようです。

 遊歩道のいたるところにある落石注意の看板です。遊歩道は土留
めをしていない岩壁に沿って走っているので、やはり落石が多いよ
うですね。
 道路標識の落石注意は、すでに落ちてコロがっている岩に衝突し
ないように注意をうながすものですが、ここの落石注意は文字通り
落ちてくる石に当たらないように注意するためのものでしょう。
【広島県・三段峡】
 途中の川面を写してみました。とても綺麗な川で、川
底が透き通って見えます。
【広島県・三段峡】
 「兜石」です。なるほどそれらしく見えますな。「兜
石」のすぐ先の川岸の岩の上では、ひとりの男性が休憩
していました。
【広島県・三段峡】

 「兜石」に至るまで遊歩道を歩いている人は誰もおらず、その先の岩の上で休憩していた人が初め
て見た人でした。

 さらに歩き続けると、何と、おじいさんやおばあさんも含めた熟年の家族連れに追い付きました。
家族連れは、後ろから来る私に気づくと横に寄って道を譲ってくれました。

 そこの道幅は脇をすり抜けられるほど広くはなかったので、無理に追い抜こうとしてつまづいたり
すれば、ソッコーで谷底行きです。

 私は「すみません」、と、声を掛けると、家族連れを追い抜いて先に行きました。しかし、このア
ップ・ダウンの激しい道はお年寄りにはキツいでしょうなぁ・・・。

 その後は、登り降りする人々とポツリポツリと出会うようになりました。ほとんどの方がすれ違う
時に「こんにちわ」と声を掛けて来たので私もそれに応えました。皆さん、マナーがよろしいですね。

 遊歩道の途中には、このような隧道が2カ所あります。隧道内は
岩が剥き出して照明設備もありません。
【広島県・三段峡】
 「女夫淵」です。これより右手にも、もうひとつ小さ
目の淵があります。「女夫淵」手前の道の脇には、工事
現場などでよく見掛ける仮設のトイレがありました。
【広島県・三段峡】
 「女夫淵」より先にあった遊歩道の降り坂です。手前の水平な部
分から急激に降っている様子が分かるでしょうか? ちなみに、こ
こに至るまでは急激な登りでした。お年寄りが通るには、相当キツ
いと思います。
【広島県・三段峡】
 上の画像にある急坂を降って少し行くと、ご覧のよう
な休憩所がありました。「坂の登り降りお疲れさまでし
た」と言う意味で造られているのでしょうか?
【広島県・三段峡】

 しばらく行くと遊歩道が二手に分かれていました。左の道は、やや降っており、「黒淵」の渡船場
へと続いているようです。

 右の道は急激に登っており、渡船をスルーして先に進むのなら、こちらの道を行くようです。「黒
淵」を堪能するのなら渡船に乗るべきなのでしょうが、私にはその時間も無かったので右側の道を進
みました。

 右の道はどんどん登っており、やがて少し前のめりにならなければ進めないほどの角度になって来
ました。思い起こせば、遊歩道の中でここが一番の難所でした。

 キツくて長い登り坂が終わり、高台の上で、ぜいぜいと息をしていると、下の方からエンジン音ら
しき音が聞こえてきました。見ると、下の川で渡船が向きを変えているところでした。

 方向転換中の渡船。客は乗っていませんでしたが回送
船なんでしょうか?
【広島県・三段峡】
 対岸に見えた茶店「黒淵荘」です。「黒淵」の北側に
あり、渡船の整備施設などもありました。ここではヤマ
メの炭火焼も食べさせてもらえるそうです。
【広島県・三段峡】

 「黒淵荘」が見えた位置辺りから遊歩道は急激な降りになっていました。急な降りと言うのは登り
より疲れるんですよねー。(^^;

 坂を降り終えたところで左後方より道が合流して来ました。見ると、その道の先には吊り橋があり、
「黒淵荘」へと渡れるようになっていました。

 先の道が分かれていた所からここまでの間に「黒淵」があったようですが、上からでは何も見えま
せんでした。たぶん、「黒淵」は渡船でなければ見られない景勝なのでしょう。

 見ると、道の合流点と吊り橋までの間の道の傍らで、男女5〜6人のグループがシートを広げて食
事をしていました。

 私は先を急ぎました。2時間以内に目的地である三段滝に辿り着かなければなりません。

 景勝ではありませんが、何か雰囲気が良かったので撮
った一枚です。白い岩と緑の木々のコントラストが気に
入りました。
【広島県・三段峡】
 もう一枚、「何か良かった」スナップです。黒い岩肌
が何となく気になったので撮りました。
【広島県・三段峡】

 「黒淵」を過ぎると、まったく人と出会わなくなりました。どうやら皆さんは、「黒淵」を見た後
は三段峡駅前まで引き返して、そこからバスで出合橋へと向かい、そこの三箇所の名勝を回っている
ようですね。三段峡駅から出合橋までを踏破するには、それ相応の体力と時間を要するからなのでし
ょう。

 昼間とは言え、人家のまったくない峡谷をひとりで歩いていると、ちょっぴり不安になりました。
ここでは、仮に落石の直撃を受けて倒れても、すぐには見つけてもらえそうにありません。

 「黒淵」より先の遊歩道の様子です。ほんっと、「自
然の中を歩いてる」って気分になれます。
【広島県・三段峡】
 川の中に多く見られる巨岩です。写真では分かりづら
いと思いますが、この岩だって高さは優に5〜6メート
ルはあります。
【広島県・三段峡】

 やがて前方に吊り橋が見えて来ました。へー、吊り橋なんかあるんだ。

 「蛇杉橋」です。渡っていると上下に揺れ始めたので、ちょっと
だけビビりました。橋の袂にある、蛇のようにくねくねと伸びた老
杉の名前にちなんで名付けた橋なんだそうです。
【広島県・三段峡】

 それまでの遊歩道は川の左岸側を通っていましたが、ここで「蛇杉橋」を渡って右岸側に移る事に
なりました。しかし、ほんの100メートルも行かない内に、次の橋が見えて来ました。

 「蛇杉橋」の上流側にある「南峰橋」です。こちらは比較的短い
橋だったので、渡っている最中も余り揺れませんでした。
【広島県・三段峡】
 「南峰橋」の上から上流側を写したところです。川の中に巨岩が
ゴロゴロしているのが見えます。
【広島県・三段峡】

 「南峰橋」を渡ると再び左岸側に戻りました。こんな短いスパンで左岸、右岸を行ったり来たりさ
せるのは、その途中を迂回させているのではないでしょうか?

 「南峰橋」の上から下流側の左岸を観察して見ると、遊歩道らしき跡が見えました。やはり「蛇杉
橋」と「南峰橋」間の遊歩道も、元々は左岸側を通っていたのでしょう。

 「南峰橋」のすぐ先には、トイレ付の休憩所がありました。休憩所横に掲示されていた案内図によ
ると、出合橋までは、もうひとガンバりです。

 「南峰橋」の先にあった大淵の休憩所です。トイレも
付いていますが照明設備はありません。
【広島県・三段峡】
 休憩所横に掲げられていた案内板です。現在地は画像の通りです
目的地である三段滝までの道程としては、ほぼ半分と言うところで
しょうか。
【広島県・三段峡】

 大淵の休憩所に到達した時点で経過時間は1時間15分。駅前で写真を撮ったりしていてロスった時
間を差し引くと、実質、歩いた時間は1時間ちょいでしょうか。

 現在の所、散策ガイドに書かれている参考所要時間より20分程度は早いペースで歩けているようで
す。これなら何とか三段滝までイケるかも・・・。

 第3部につづく・・・。


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