第1部:「ちょっとこだわりの路線」その3/JR可部線 |
今回の「ちょっとこだわりの路線」は、広島駅から、広島県中西部に位置する戸河内町にある三段
峡駅に至るローカル線である可部線です。
広島から三段峡まで営業キロで63.2キロの可部線は、列車運行上、広島←→可部間、可部←→加計
間、加計←→三段峡間の3つの区間に分けられています。
この内、広島←→可部間は通勤区間であり、1時間に3〜4本程度の列車が運行されています。こ
れが可部←→加計間になると一気に減って1日8往復となり、加計←→三段峡間はさらに減って1日
5往復となります。
可部線の終点にある三段峡は、太田川上流の柴木川、八幡川に沿って広がる渓谷で、 国の特別名
勝にも選ばれている日本屈指の名渓なんだそうです。
で、なんで今回、可部線を選んだかと言いますと、「旅行記」の企画ネタを探して日本各地
のローカル線の情報を物色している時に、たまたまインターネットで可部線の存続問題の記事を見た
からです。
その記事によると、可部線の可部←→三段峡間は乗客数が低迷しており、今後も乗客数の増加は見
込めないとして、JRは2003年11月いっぱいをもって同区間の廃線を決めたとの事でした。
その後、存続を希望する沿線自治体により第三セクター化の道も模索されましたが、各自治体の税
収額では、予想される三セク会社の赤字を補填する余裕がない事が判明し、残念ながら三セク化の道
も絶たれてしまいました。
列車の旅を愛する私としては、路線が廃止になるのは、例えそれがどこであろうと悲しい事です。
そこで廃線になる前に可部線に乗りに行く事にした次第です。
可部線を走る列車は各停の普通のみで、土日休運行のジョイフル・トレインの類も走っていなかっ
たので、今回は「旅行記」第2弾[リヴェンジ]以来、久々のアポなし(事前購入切符なし)の「旅」
になりました。
今回のメインは可部線の列車に乗る事ですが、せっかく名渓、三段峡まで行くのですから、現地の
散策もするつもりでいました。
時刻表を検討した結果、まず8:26広島発→9:03可部着の列車で可部まで行き、そこで9:25可部発→
10:57三段峡着の列車に乗り換えて三段峡まで行く事にしました。
そして4時間ほど掛けて三段峡を散策した後、15:05三段峡発→15:50加計着、15:46加計発→16:43
可部着、16:52可部発→17:35広島着と3本の列車を乗り継いで帰って来る事に決めました。
ちなみに、散策の時間を4時間と決めたのは、単に三段峡から出る次の列車が4時間後だったから
です。つまり、それより早く帰りたくても選択の余地が無い分けなんですな。(私が乗って行く予定
の列車は三段峡到着の7分後に折り返し発車しますが、たった7分間では何も見られないので・・・)
と、言う事で、いざ新大阪へ!
8:26広島発の可部線列車に乗る為に、私は6:25新大阪発、7:54広島着の『ひかり353号』に乗る
事にしていました。
今回の1本、株式会社トーインの『J's/ブルー・マウンテン・ブレンド ・コーヒー』です。「朝の一杯」用に新大阪駅の新幹線ホームの自販機で購 入しました。 余り聞かない社名とコーヒーの銘柄からして、これもいわゆる「JR構内 限定」ってやつなんでしょうか? 味の方は、"ブルマン" ながら少し甘めで、私は好きでしたね。 |
新大阪始発の『ひかり353号』です。JR西日本オ リジナルの「ひかりレールスター」の1本です。 時間はまだ朝の6時。この列車は、始発から数えて3 番手の列車になります。 【大阪府・新大阪駅】 |
「ひかりレースルター」は、これまでにも何度か乗りましたが、今回、初めてコンパートメントが
あるところの通路を通りました。個室は落ち着けてなかなか良さそうですね。
『ひかり353号』は定刻通り新大阪駅を出発しました。朝早かったからでしょうか、指定席はガ
ラガラでした。これなら自由席でも良かったかな?
「ひかりレールスター」の指定席の座席です。座席は 2+2の4列しかありませんでしたが、元からそうでし たっけ?(^^; 【『ひかり353号(レールスター)』車内】 |
「ひかりレールスター」は、定刻の7:54に広島駅に着きました。学校の行事だったか、家族旅行だ
ったかは忘れてしまったのですが、原爆ドームを見た憶えがあるので広島は確実に来た事があります。
しかし、広島駅で新幹線ホームから下に降りてみると、そこのフロアのレイアウトにはまったく覚
えがありませんでした。こりゃ、前は車で来たのかな?
とりあえず広島駅の写真を写そうと外へ出てみると、何と! 雨が降っていました。駅を対面の歩
道上から写すため、いったん地下街へ降りてそれらしい所から地上に出ました。
広島駅です。この駅は、山陽新幹線、山陽本線が通る ほか、呉線、可部線、芸備線の各列車の起点駅でもあり ます。 パっと見、見覚えがありません。やっぱ前は車で来た のかな・・・? 【広島県・広島駅前】 |
広島の路面電車(広島電鉄)です。超低床の新型電車 でした。路面電車は、富山、高知、岡山、函館などで数 々見ましたが、いずれも年代物、あるいは「いかにも路 面電車!」と言わんがばかりの高床車両ばかりだったの で、このような新型車両を見たのは初めてです。 【広島県・広島駅前】 |
それにしても、メチャメチャ雨が降ってきました。この降りっぷりだと三段峡に着いても散策は無
理そうです。さて、どうしましょうか・・・。
ま、せっかく広島まで来た事ですし、手ブラで帰るのもなんなんで、とりあえず可部線だけでも乗
るとしましょう。
と、言う事で私は駅に戻りました。可部線は終点まで乗っても63(営業)キロちょいなので近距離
切符で行ける範囲です。券売機上の運賃表を見て三段峡までの1110円の切符を買いました。
まだ少し早かったのですが、改札を抜け、陸橋を渡って可部線の列車が出るホームに行ってみると、
列車はすでにホームにいました。
ふとホーム上の行先表示を見ると、何と「三段峡」となっていました。え? え? これって直通列
車? そげな列車は時刻表には載っとらんぞ。
ま、いっか。今日は土曜日ですから、たぶん土日のみに出る特別な列車なんでしょう。何はともあ
れ、これで可部駅で乗り替える手間が省けます。
後で知った事ですが、やはりこの列車は、土日のみ運行されている『三段峡ハイキング号』と言う
唯一の直通列車だったのです。
ホームに停車していた可部線の列車は、キハ47系気動列車の2両編成で、車体は、この方面の気
動車の標準色である黄色と白のツートンに塗装されていました。
記念に、ホーム上で列車の写真と先の「三段峡」の行先表示の写真を写したのですが、発車してか
ら画像を再生して見たところ、何とメディア不良により画像が潰れていました。(T^T)
私が乗り込んだ時は、車内はまだガラガラだったので、列車右側列のボックス・シートに座りまし
た。しかし、発車時間が近づくにつれどんどんと乗客が増え、私がいたボックスにも二人連れのおば
ちゃんが座りました。
結局、乗降口付近にもけっこう立っている状態で列車は広島駅より発車しました。ガラガラと思い
きや、可部線て、そこそこ混んでいるじゃないですか。
案内放送が始まり、やはりこの列車が三段峡行の直通列車である事が確認されました。何でも途中
の可部駅では23分も停車するとの事です。
案内放送が終わるか終わらないかの内に、相席しているおばちゃん達が、何やら1枚の紙を取り出
してぶつぶつ言い始めました。
どうやら手に持っている紙は時刻表かそのコピーのようですが、乗っている列車が見つけられずに
悩んでいるようです。そりゃそうでしょうな、この列車は私が持って来ていた携帯時刻表にも載って
いないんですから・・・。
列車が次の横川駅に着くと大勢の乗客が降りました。この横川駅は山陽本線の駅であり、本当の可
部線はここから分かれています。なんや、皆さん可部方面の乗客じゃなかったんですな。
可部線に入ると線路は単線になりました。安芸長束駅では105系の列車と交換しましたが、対向
の列車はずいぶんと混んでいました。
次の下祇園駅では、シティライナー色に塗装された115系の列車と交換しました。この辺りの可
部線沿線は住宅街であり、線路際まで住宅が迫っていました。
そのまた次の古市橋駅でも105系の列車と交換しました。何だか知りませんが、上り列車がやた
らと多いですな。
私が対向列車の多さに目をパチクリさせていると、相席しているおばちゃん達の話し声がだんだん
と大きくなっていました。
おばちゃん達の服装を見ると、長袖の登山シャツにトレッキング・ベスト、厚手のズボンに全周囲
に「ツバ」のある帽子と言った山歩き用の完全武装をしています。ひょっとしたら三段峡まで行くの
かな?
聞こえてくる会話によると、どうやら可部駅で友達と待ち合わせをしているようですが、予定と違
うこの列車は約束の時間より早く可部に着いてしまう為、友達と会えないかも知れないと騒いでいま
した。おばちゃん曰く、「こんな時、携帯があれば連絡できるんやけどねぇ・・・」
私は携帯を持っていましたが、見ず知らずの人に貸すのには抵抗があったので、この時は黙ってい
ました。
古市橋の次の大町駅到着前の車内放送では「・・トラムラインは乗り替えです」なる案内がありま
した。
ほどなく、大町に近づくにつれてコンクリートの高架が見えて来ました。どうやらあれが「トラム
ライン」とやらで、おそらく新交通システムの一種でしょう。
後日、調べたところでは、私の予想通り、タイヤを備えた車両がコンクリート製の軌道上走る新交
通システムで、名称は「アストラムライン」が正解でした。
大町を出た時にも例のおばちゃん達は、ぶつぶつと言い続けていました。せっかく三段峡行の直通
列車に乗っているのに、列車を変更した事を友達に伝えられなければ、いったん可部で降りて次の列
車に乗るしかありません。なんとも勿体ない話です。
「携帯さえ持って来てればねぇ・・・」、これでこのセリフを聞くのは三回目です。別段、おばち
ゃんは私に向かって言っている分けではなさそうでしたが、さすがに私もたまりかねて、「あの・・
・、良かったら使って下さい」と自分の携帯を差し出しました。
おばちゃん「あ、いいのいいの。ごめんなさいね、つまらない話を聞かせてしまって。何とかなると
思いますから・・・」
私「構いませんから使って下さい」
おばちゃん「そうですかぁ・・・、じゃあお言葉に甘えて・・・」
私はおばちゃんが口にした電話番号をプッシュしてから電話機をおばちゃんに渡しました。電話の
結果、お友達はすでに自宅を出発しており、どうやら可部で合流できそうな様子でした。
おばちゃんは二人して私に感謝し、私の手に100円玉を押し付けて来ました。「100円分もしゃべっ
てませんよ」と私が返そうとしても頑として受け取ろうとしません。まぁそれでおばちゃんの気が済
むのなら・・・、と、言う事で私は受け取る事にしました。
友達の動向が把握できて安心したおばちゃん達は、良かった良かったを連発をした後、今日の段取
りについて会話を弾ませていました。
そんな中、列車が梅林駅に着くと、ここでも対面のホームには115系の列車が止まっていました。
これで4本目?
中島駅の手前辺りから山が見えて来ました。いよいよ市街地を離れて山手へと入って行くのでしょ
う。そこからこそが本来のローカル線の「旅」の始まりです。
中島を出て3分で列車は可部駅の2番ホームに到着しました。車内放送によると、ここで2両増結
するとの事です。
駅に着くとおばちゃんのひとりが立ち上がり友達を探しに行きました。僅か1分足らずで友達は見
つかり、おばちゃんは戻って来ました。良かったですな。
そして私は3人のおばちゃんに囲まれるハメになりました。無事、合流できて盛り上がる中、おば
ちゃんは私から携帯を借りた事を友達に話して聞かせ、またしても3人から感謝の言葉を掛けられま
した。いや、もう、いーですから・・・。(^^;
車窓から可部駅構内を見ると、右隣のホームに105系の列車が止まっているのが見えました。ほ
んっと、広島←→可部間は本数が多いようですね。
駅に着いてあらかた乗降が終わったあと車内放送があり、連結作業の為、間もなくドアを閉めるの
で、三段峡方面に行く人はそのまま乗っているようにとの事でした。
可部駅ではかなりの人が降り、車内には空席が出来ていました。間もなくドアが閉まりました。こ
のまま移動して連結するのでしょうか?
ドアを閉めたまま列車は停車していました。しばらくするとまた車内放送があり、その後、何と列
車はバックを始めました。
はて? 増結車両は後ろにいるのか? とか何とか考えていると、列車はどんどん加速してかなりの
スピードでバックを続けています。おいおい、どこまでバックするつもりなんや?
やがて列車は、駅から400〜500メートルは離れたところにある踏切を越えた位置までバックしてよ
うやく停車しました。え〜、こんな所で連結すんの?
しかし、列車はそこから動きません。何をしているんだろう? と・・・、見ると、ひとりの外人
男性(たぶんアメリカ人)が車内をツカツカ歩いて来て運転室の窓をノックしました。
その時、運転室には、連結作業の為なのか二人の乗務員がいましたが、ひとりが振り向いてドアを
開け、外人さんに「ちょっと待て」みたいな素振りをすると、すぐにドアを閉めてしまいました。
今は連結作業中ですから相手にしてくれるはずがありません。それに運転席のすぐ後ろの壁には、
「運転中の運転士には話し掛けるな」と、しっかり注意書が貼られているのですが、外人さんには読
めませんわな。
運転席の後ろの壁に貼られている注意書です。まぁ外 人さんには読めませんわね。 【可部線『三段峡ハイキング号』車内】 |
門前払いを食らった外人さんは、外人がよくやる大げさな身振りで両腕を振り上げると、思い切り
空を切って両側に振り下ろしました。言葉は聞こえて来ませんでしたが、後ろからその身振りを見て
いるだけで「Shit!(くそっ!)」と言っているのが分かるようでした。
その後、外人さんは運転室の出入口前で腕を組んで仁王立ちになり、運転士たちの後頭部を睨みつ
けていました。相手にして貰うまでテコでも動かないつもりなんでしょう。
停車してから何分経ったでしょうか、ようやく列車はゆっくり前進を始めました。窓から外を見る
と、先程、バック中に通過した踏切に、バックしている時にも見掛けた女性が同じ場所に立ったまま
「いったい何なの?」といった表情で通過する列車を見ていました。どうやら踏切が開かずにずっと
待たされているようですね。お気の毒に・・・。
やがて列車は再び可部駅のホームに入線しましたが、先程着いた時はホームが左側にあったのに、
今度は右側にホームが見えます。
列車がホーム途中で止まると、「只今より連結を行いますので席を立たないで下さい」と車内放送
がありました。もっとも、その放送があっても例の外人さんは通路のド真ん中で仁王立ちしたままで
したが・・・。
放送が終わると列車は微速前進を始めました。見ると前方の小さな窓越しに前に止まっている列車
が見えて来ました。
ホームを見ると、連結作業を写しに来たのか、マニアらしい人々が数人、カメラを構えてホームを
行ったり来たりしていました。さすが「通」は違うなぁ・・・。
間もなく、「ガシャン」と言う音と衝撃が走り、連結が終了しました。再びドアが開き、例の外人
さんが、ホームにいる駅員に招かれました。
微かに漏れ聞こえてくる会話によると、外人さんは「この列車は広島に行くのか?」と聞いていた
ようですが、駅員から「ノー」と言われ、対面ホームに止まっている広島行の列車を示されました。
さらに運転士と駅員1名がこの会話に加わり、4人でしばらく何やら話していましたが、やがて外
人さんは広島行列車の方向に歩いて行きました。
車両前方では、貫通ドア(車両間ドア)を開けたりパイプ類を繋いだりと連結作業が続いていまし
た。改めて可部駅構内を見渡して見ると、列車右側にある1番、2番ホームの線路はここで行き止ま
りとなっており、1番ホームには先程まで止まっていた105系の列車に代わり、キハ40系の広島
行列車が止まっていました。
どうやら我が『三段峡ハイキング号』は、まず始めに、行き止まりの2番ホームに到着し、乗降を
行ったのち、いったん駅を出て広島方へ引き返し、改めて3番ホームに入り直し、そこで三段峡から
到着していた列車と連結したようですな。ずいぶんと手間な事をするもんですが、たぶん、安全上の
配慮なんでしょう。
連結やら何やらで可部に23分間留まったあと、列車は4両編成となり三段峡へと向けて発車しまし
た。車両数は倍増しましたが乗客はそれほど乗っておらず、乗降口付近のロング・シートには空席す
らありました。
可部を出ると、可部線は山間の川沿いを走るようになり、風景は一気にローカル線ぽくなりました。
そこから先は、駅に止まる度に乗客がじりじりと減って行きました。まぁ下り列車ですから、ここか
ら先は乗って来る人は少ないでしょうね。
と、ピシパシと何か窓に当たって行きました。見ると線路際の木の枝が目の前までせり出していま
す。その中で飛び出しているやつが列車に当たっているのです。
基幹路線だと、列車に接触する物が無いかどうか検測車を走らせて定期的にチェックしていますが、
可部線は、やってないのかな?
ところで、私は未だにボックス・シート内で例の3人のおばちゃんに囲まれたままでした。車内を
見渡すと、空いているボックス・シートはありませんでしたが、ロング・シートの方には、まるまる
空いている席がありました。
4人で座っていると窮屈だし、おばちゃん達が賑やかなせいで落ち着けないし、私はボックスを明
け渡してロング・シートに移ろうかと思い始めていました。
そこへ車掌が通り掛かり、おばちゃんのひとりが可部から田之尻駅までの乗越切符を車掌に頼みま
した。なんや、おばちゃんたち三段峡まで行くんと違うんかいな。
車掌は切符を渡しながら「田之尻では後ろ2両はドアが開きませんから、前の2両から降りてくだ
さい」と言いました。どうやら田之尻駅はホームが短いようですね。
その後のおばちゃん達の会話からすると、どうやら可部線沿線のハイキングは、これが初めてでは
なさそうです。
しかし、田之尻に何があるのだろう? 後日、インターネットで調べたところ、駅から少し離れた
井仁と言う所に「日本の棚田100選」に選ばれるほどの見事な棚田があるとの事でした。それを見に
行くのかな?
列車が安野駅の手前にあるトンネルに入った時には、車内は凄まじい騒音に包まれました。その凄
まじさときたら、大声で怒鳴っても横にいる人と話が出来ないほどです。こんなにうるさいトンネル
通過は初めてです。
安野駅を出たところで、雨が止んでいる事に気が付きました。安野から2つ目の坪野駅付近では晴
れ間すら見えて来ました。この調子なら三段峡の散策はイケそうです。
坪野を出たところで、おばちゃん達が立ち上がりました。次はおばちゃん達が降りる田之尻駅なの
で、前の車両に移動しておくつもりなのです。
携帯を貸してあげたおばちゃんが、席を立った時に「お世話さまでした」とお辞儀をしたので、私
は「お気を付けて」と応えました。
私が乗る車両は広島を出た時は2両編成の先頭車でしたが、可部で2両増結してからは3両目にな
っていました。
田之尻駅に着くと、なるほど、私が乗る車両のドアは開きませんでした。田之尻駅のホームが短い
のは、たぶん、可部線の列車の標準編成が2両だからなんでしょうな。ただし、列車のドアが部分的
にしか開かなかった駅は、この田之尻だけでした。
田之尻から二駅を経て列車は加計駅に到着しました。この辺りの途中の駅では、乗降がまったくあ
りませんでした。
加計駅では、けっこうな人数(と、言っても7〜8人ですが)が降りました。加計駅は、アイラン
ド型プラットフォーム1線と待機線が数線、小ぶりな2階建てのビルが隣接する、これまた小ぶりな
駅舎がある駅でした。
本来ならば、この駅で可部←→加計間と加計←→三段峡間の列車を乗り替えるところなのですが、
今回乗っている列車は三段峡直通なので降りる必要はありません。
加計駅に停車中の列車から見えた看板です。どうやら ここは神楽が盛んな街のようですね。 【可部線『三段峡ハイキング号』車窓より】 |
加計駅で乗った人はいなかったと思います。数分の停車の後、『三段峡ハイキング号』は加計を出
ました。三段峡までは、あと30分程度です。
加計の次、木坂駅到着前に写した沿線風景です。この 辺りは、川沿いの斜面に家屋が建てられています。 【可部線『三段峡ハイキング号』車窓より】 |
筒賀駅到着前に写した太田川です。この川の上流に三 段峡はあります。 【可部線『三段峡ハイキング号』車窓より】 |
おばちゃん達も降り、周りに座っていた乗客も少なくなったので、三段峡到着前に車内の写真を撮
っておく事にしました。
キハ47系のボックス・シートの窓側の足元には、こ のような出っ張りがあります。中には暖房用のパイプで も入っているのでしょうか? これがあるせいで窓側に 座ると脚を少し通路側に寄せなければなりません。 【可部線『三段峡ハイキング号』車内】 |
たぶんエアコンです。いかにも後から付けましたと言 わんがばかりですな。 【可部線『三段峡ハイキング号』車内】 |
ご覧のように乗降口付近はロング・シートになってい ます。同じセミ・クロス配置の115系と比べると少し 長目のシートですね。 【可部線『三段峡ハイキング号』車内】 |
運転席方向を写したところです。広島駅を出た時は、 ここの運転席が使用されていました。運転席後ろの付近 には座席がありませんが、車椅子用のスペースとして確 保してあるのでしょうか? 【可部線『三段峡ハイキング号』車内】 |
三段峡駅に着いたところで車内を写したところです。 ボックス・シートは4つしかなく、後は全部ロング・シ ートになっています。 【可部線『三段峡ハイキング号』車内】 |
広島駅を出てからきっかり2時間30分後、『三段峡ハイキング号』は、終点の三段峡駅に到着しま
した。
三段峡駅の線路末端です。その先は三段峡の峡谷その ものです。 【広島県・三段峡駅】 |
三段峡駅に到着した『三段峡ハイキング号』です。前 2両が可部で増結されたキハ40系、後ろ2両が広島か ら私が乗って来たキハ47系です。 ちなみに、キハ40系は、「旅行記」第7弾の五能線 で乗ったのと同じタイプの車両です。 【広島県・三段峡駅】 |
列車の写真を撮り、トイレを済ませたあと改札を出ました。改札で切符を回収していた人物は私服
を着ており、JRの職員なのかどうか分かりませんでした。
三段峡駅の駅舎内は狭く、改札兼窓口の他にはベンチが10脚ほどあるだけで自動券売機すらありま
せんでした。
駅舎を出ると、すぐ右手にはC11型蒸気機関車が展 示保存されていました。この機関車は運転席に入る事が 出来ます。 【広島県・三段峡駅前】 |
上の画像よりちょい左を写したところです。駅前には 土産物屋や食堂などが並んでいます。 画像右手の人が固まっているところに止まっている赤 いバスは、三段峡の中間点とも言える出合橋との間を往 復している定期マイクロ・バスです。 【広島県・三段峡駅前】 |
上の画像からさらに左を写したところです。「ようこ そ三段峡へ」の大きな立て看板があります。これより左 手は民家だけで店はありません。 【広島県・三段峡駅前】 |
上の画像よりさらに左手を写したところです。案内看 板があり、その向こうの道沿いには駐車場があります。 |
三段峡駅です。比較的小さな駅なんですが、デザイン はちょっぴり凝ってますね。 【広島県・三段峡駅前】 |
上の画像より右手を写したところです。駅舎が小ぢん まりしているので、4両編成の列車がやたらと長く見え てしまいます。 【広島県・三段峡駅前】 |
ちょい加計寄りに歩いたところから駅舎方向を写した ところです。駅舎は正面から見るとけっこう幅があるの ですが、ご覧のように奥行きは7〜8メートル程度しか ありません。 【広島県・三段峡駅前】 |
上の画像より、ちょい左に寄って駅前方向を写したと ころです。この先に三段峡の入口があるのですが、車両 は進入できないので、車やバイクで来た人は道路両側の 駐車場に止めてから徒歩で行く事になります。 【広島県・三段峡駅前】 |
私はここから徒歩で三段峡の見所である三段滝を目指すつもりでしたが、列車から降りた人々の大
半はマイクロ・バスで途中の出合橋に向かったようです。
三段峡を楽しむのならば、ここから歩いて峡谷の景色を楽しみながら行かなければ意味がないよう
な気もしますが、まともに歩くと三段滝までたっぷり2時間は掛かるそうなので、年配の方や子供連
れにはかなりキツい距離ですわな。
ま、三段峡の話は、また次回と言う事で・・・。
第2部につづく・・・。
トップ・ページに戻る← | 第7弾に戻る← | 第2部に進む→ |