2005年5月15日掲載
『列車まかせの旅』第16弾(2003年9月14日)


第5部:「ちょっとこだわりの列車」その21/特急『加越1号』

 本旅行記の後半パートは北陸ルートになります。まず始めは、米原←→金沢間を結ぶ特急『加越』
に乗ります。

 本特急をこだわりの対象に選んだ理由は、間もなくこの列車が廃止されてしまうからです。『加越』
は、米原で新幹線と接続して北陸方面との間を結ぶために設定されていた列車でしたが、米原経由で
名古屋←→富山間を結ぶ特急『しらさぎ』と路線が重複しており、この度、『しらさぎ』に吸収され
る形で消滅する事になったのです。

 さてと、それでは、まず米原まで移動しましょう。

 6:03大阪駅始発の長浜行・快速700Kです。ふぁ〜
ねむ・・・。(-o-;
【大阪府・大阪駅】

 快速700Kを待っていると朝日が昇り始めていました。車内は冷房が利いていましたが、少々寒
く感じられました。

 大阪から走ること1時間48分で快速700Kは米原駅に到着しました。

 米原に到着した快速700Kは、後ろの4両を切り離
しました。ここから同列車は8両で終点の長浜まで走り
ます。
【滋賀県・米原駅】
 米原駅です。JR西日本とJR東海の境界駅であり、
東海道新幹線、東海道本線が通るほか北陸本線の起終点
駅でもあります。乗り継ぎでホームに降りた事や途中停
車で訪れた事は数え切れないほどありましたが、改札か
ら外へ出たのはこれが初めてです。駅舎は小ぶりですが
少し広めの橋上駅舎を持ち、そちらには新幹線改札など
の設備がありました。
【滋賀県・米原駅】

 初めて降りる米原駅前を少し観察した私は、早々にホームに戻りました。ホームで待っていると、
8:07に名古屋に向かう特急『しらさぎ2号』が到着し、その車内では列車の方向転換に備えて乗客が
座席を回すのが見えました。

 さらに待っていると、8:23には湖西線の近江今津を発って琵琶湖北部を回って米原にやって来た普
通列車4841Mが到着しましたが、同列車は私のお気に入りである419系で編成されていました。

 419系が到着して数分後に特急『加越1号』がホームに入って来ました。

 特急『加越1号』の特急券です。今回は富山まで行く
のですが『加越』は金沢が終点です。
 米原駅に入線して来る特急『加越1号』です。最近ま
で旧式な485系で編成されていたのですが、今はJR
西日本で最新鋭の特急型電車である683系に置き換え
られています。683系には2種類の先頭車両があり、
こちらは貫通路ありのタイプです。
【滋賀県・米原駅】
 『加越』の列車名表示です。間もなくこの名前も見ら
れなくなってしまいます。
【滋賀県・米原駅】
 ふと見ると特急『しらさぎ』のロゴ・マークがありま
した。つまりこの編成は『しらさぎ』用の車両であり、
近く訪れる統合を見越してあると言う事なんですな。
【滋賀県・米原駅】
 新鋭683系の、もう一方の先頭車両です。こちらは
貫通路のないタイプです。
【滋賀県・米原駅】
 683系の車内です。背もたれの薄いタイプのリクラ
イニング・シートに間接照明。今どきの新しい特急型車
両の定番の内装です。
【特急『加越1号』車内】

 『加越1号』は5両編成で運行されていました。定刻の8:33に米原駅を出発。私が乗る指定席の3
号車の乗客は、わずか8人でした。

 『加越』の売りは米原から北陸への連絡ですから、米原でこの乗車率では話になりません。この乗
客の少なさが『しらさぎ』へ統合される理由となったのでしょう。

 「朝の一杯」用に米原駅構内の自販機で買った缶コー
ヒー『J'sブルー・マウンテン・ブレンド』です。JR
西日本の駅構内以外では、ほとんど見かける事がない銘
柄なので、列車に乗る際には、よくこのコーヒーを飲ん
でいます。
【特急『加越1号』車内】

 発車後の案内放送によると、車内販売は終点の金沢まで行われるとの事でした。7分の走行で長浜
駅に到着。同駅では我が3号車に3人乗って来ました。

 長浜を出たところで検札がありました。長浜を出たところには、架線の電源が直流から交流に切り
替わる「デッド・セクション」があり、そこを通過中は30秒程度列車が「停電」するので車内灯が
消えるはずなのですが、今回の乗車では、そのような事はありませんでした。

 やはり新型の683系だけに、旧型車両のように「停電」しないような工夫が凝らされているので
しょうな。

 デッド・セクションを過ぎてしばらく走ったところで寝台特急『日本海4号』とおぼしきブルトレ
とすれ違いました。それから間もなく9:04に敦賀に到着。

 敦賀では、先行の普通列車が遅れている関係で2分遅れの案内放送がありましたが、それから先は
めぼしい出来事もなく、米原からきっかり2時間で終点の金沢駅に到着しました。これで特急『加越』
の乗車は完了です。

 金沢駅です。北陸本線の主要駅であるほか、能登半島
へと延びる七尾線の列車の起終点駅でもあります。駅前
には、何だかよく分からない巨大なオブジェが立てられ
ていました。
【石川県・金沢駅】
 金沢駅は改築工事の真っ最中であり、正面口にはガラ
ス張りの巨大なドーム上の建築物が出来るようです。こ
れは仮設通路に掲示されていたパネルの写真です。
【石川県・金沢駅】

 金沢と言えば兼六園で有名ですが、今回も観光する予定はありません。次の目標は富山を起終点と
する富山港線の乗車なので、ここから普通列車で富山まで移動します。

 金沢駅に停車中の直江津行・普通541Mです。45
7系と呼ばれる元急行型の車両で編成されていました。
【石川県・金沢駅】
 この457系は、交直流両用の元急行型の中で交流5
0Hz、60Hzの両方の線区に入線出来るタイプなん
だそうです。
【石川県・金沢駅】
 ずらりと並んだボックス・シート。これが急行型の特
徴なんですが、残念ながらこの車両はデッキ・ドア付近
の座席がロング・シートに換装された改装車でした。
【北陸本線・直江津行・普通541M車内】
 デッキ・ドア付近はロング・シートに換装されていましたがデッ
キ・ドアは健在でした。これはやはり防寒対策のために残されてい
るのでしょうか?
【北陸本線・直江津行・普通541M車内】

 直江津行541Mの乗車率は20%程度で、乗客の軽装な身なりからして地元の人々ばかりのよう
でした。

 車内で発車時間を待っていると、新潟へ向かう特急『北越3号』が先発して行くのが見えました。
私は見逃してしまったのですが、その8分後には富山に向かう特急『サンダーバード7号』が先発し
て行ったはずです。北陸本線は、まさに特急街道なのです。

 普通541Mは11:20に金沢駅を出発しました。出てすぐ右手には貨物ヤードが見えました。2駅
の停車を経て七尾線との分岐駅である津幡に着きました。同駅では、貨物列車が側線に待避している
のが見えました。

 4駅の停車を経て高岡に到着。同駅では大勢が乗って来ました。皆さん富山に行くのかな? また高
岡では、またしても貨物列車が待避しているのが見えました。昼間の北陸本線は旅客列車の往来がけ
っこうありますから貨物列車は肩身が狭いでしょうな。

 高岡から2駅目の小杉でも大勢の乗車がありました。そして金沢を出てから58分後に普通541
Mは富山駅に到着しました。


第6部:「ちょっとこだわりの路線」その7/JR富山港線

 さて、お次の乗車は、富山から海側の岩瀬浜へと延びる富山港線です。同線は地元の鉄道利用促進
計画に基づいてライト・レール(路面電車みたいなもの)への転換話が持ち上がっている路線です。

 廃線になるわけではありませんが、JRがライト・レール路線を営業するとは思えないので、たぶ
ん第三セクター化されると思われます。そうなる前に記念に乗っておこうと思い立った次第です。

 富山港線の次の列車まで40分ほど時間があったので、腹ごしらえに駅構内の立ち食いそば屋で、
きつねそば(320円)を食べました。「立山そば」と銘打ったそのそばは、麺が太いのが特徴的で
した。

 駅前を少しぶらついて時間を潰してから駅にもどって見ると、富山港線の列車は、すでに入線して
いました。

 富山駅に停車中の富山港線・岩瀬浜行・普通1137Dで
す。キハ120系と呼ばれる車両で、元々は資金や利用
者の少ない第三セクター鉄道用に開発された「軽快気動
車」と呼ばれる簡易型の車両であり、それをJR西日本
が導入して閑散線区に配備しているのです。
【富山県・富山駅】
 キハ120では、車両形式が車体中央ではなく運転台の横に書か
れていました。ちなみに、モノの本によると、軽快気動車を採用し
たJR車としては、JR東海のキハ11系やJR九州のキハ125
系などがあるそうです。
【富山県・富山駅】

 キハ120は、旅行記においても地方で何度か見かけた車両であり、常々乗りたいと思っていまし
た。これでその望みが叶います。

 キハ120の車内の様子です。ボックス・シートが4
つある以外はロング・シートでした。中距離、通勤輸送
の両方に対応できる座席構成ですな。左手前のロング・
シートには、おっちゃんが寝ころんでいました。こんな
のもアリなんか?
【富山港線・岩瀬浜行・普通1137D車内】
 コストを抑えるためバス用の部品を多用している軽快気動車では
乗降口のドアも折り戸式でした。たぶんバスの物に準じたものなの
でしょう。
【富山港線・岩瀬浜行・普通1137D車内】

 間もなく、定刻の12:57が来て、1137Dは乗車率30%程度で富山駅を出発しました。ちなみに富山
港線は電化されており、朝夕の通勤時間帯には3両編成の元急行型の475系が走るようです。

 電化されているとは言え、国鉄に買収される前は私鉄だった路線であり、その時代の名残として電
源は直流方式となっていて北陸本線の交流方式とは異なるため、交直流両用型である475系が使用
されているとの事です。

 朝夕は3両編成の電車が走り、昼間は1両きりの気動車が走る。そのような中途半端な運用形態を
とるぐらいならば、いっそのこと全列車を気動車化してしまえば電源設備が不要になって設備の維持
経費が削減できるような気がするのですが、あえてそうしないのは、朝夕と昼間の利用状況が極端に
違うのかも知れませんな。

 1両きりのキハ120は軽々と加速しました。重厚なキハ40系列気動車と大して変わらない馬力
のエンジンを積んでいながら自重では十数トンも軽いのですから身軽ですわな。

 車内を見渡すと、乗客は「ちょっとお出かけ風」の身なりをした地元っぽい人たちばかりであり、
中には下着シャツに短パン姿のおっちゃんまでいました。

 休日昼間の下り列車とあって乗客は少なかったものの、それでも途中駅では数人ずつの乗車があり
ました。

 地元私鉄上がりの路線だけに営業距離8キロに対して途中駅が8つもあり、2〜3分走るごとに駅
に停車しました。まさにバス感覚ですな。

 この駅間距離の短さもライト・レール化に適していると目されたようです。ライト・レール化に際
しては、さらに駅の数を増やす事も考えているようです。

 終点の岩瀬浜のひとつ手前にある競輪場前駅は臨時駅でしたが、この日は競輪の開催日らしく停車
しました。同駅では、見るからに「競輪に行くぞ風」の姿をしたおっちゃんたちが降りて行きました。

 競輪場前の目の前には広大な駐車場が広がり、その向こうには競輪場らしき大きな建物が見えまし
た。文字通りの「前」駅ですな。

 富山を出てから21分で終点の岩瀬浜に到着しました。同駅の周辺には住宅とタバコ屋風の商店が
あるだけでした。

 JR富山港線の岩瀬浜駅です。駅周辺は住宅ばかりで
めぼしいものはありませんでした。
【富山県・岩瀬浜駅】
 岩瀬浜駅の線路末端と車止めです。上に架線が張られ
ているのが見えると思います。
【富山県・岩瀬浜駅】

 海が近くにあるはずなのですが駅からは見えませんでした。少しぶらついて見たいとは思うのです
が、7分後に出る1138Dに乗るので駅周辺の写真を何枚か撮ると私は駅に戻りました。

 折り返しの1138Dは乗客6人で13:25に岩瀬浜を出発しました。空いていたので私はボックス・シー
トに座りました。

 次の競輪場前で10人ほど乗って来ました。その後も途中駅でどんどん乗客が増え、少し立ち客が
出る程度の混み具合で1138Dは13:47に富山駅に着きました。

 なるほど・・・、休日の昼間でこの乗車率とはね。これならば平日もけっこう乗っているのかも知
れませんね。

 さてと、これで富山港線は完乗です。お次は14:51発の名古屋行・特急『ひだ16号』の乗車です
が、1時間近くインターヴァルがあるので、駅前を少し散策してみましょう。

 富山駅です。北陸本線が通るほか、高山本線、富山港
線の起終点駅でもあります。
【富山県・富山駅】

 富山には、かつて仕事で1ヶ月ほど滞在した事があり、駅近くのビジネス・ホテルに泊まっていた
ので駅前だけは少し土地勘があります。

 とは言え、駅前の風景はかなり変わっていました。駅の正面にあった、かつて商店がテナントで入
居していた古いビル(2階建てだったかな?)はなくなって、そこには真新しい大きなビルが建って
おり、その前には広い歩道スペースのタイルから直接吹き出す噴水なんかもありました。

 駅前には富山地方鉄道の路面電車が走っていました。
市内を移動するのには便利なのですが仕事で来た時は利
用する機会がありませんでした。
【富山県・富山市内】
 「融雪装置」とでも言うのでしょうか?裏通りに入ると、道路の
真ん中に水(お湯?)の吹き出し口がずらりと並んでいます。積雪
地帯必須の設備ですな。
【富山県・富山市内】

 仕事で滞在したのは2月から3月にかけてだったと思いましたが、その時は平野部にはまったく雪
が無く、「なんや、つまらへんなぁ」と、地元の人に聞かれたらどやされそうな軽口を叩いたりして
いたのですが、ある日、仕事で車に乗って郊外の、冬季は余り車が通らない道を山手に登ろうとした
ところ、高度で行くと麓からほんの数百メートル登っただけで雪が現れました。

 「四駆だから大丈夫!」と甘く見てスタッド・レスも履いていないのに強行突破しようとさらに登
り続けました。

 進む内に積雪量は見る見る増え、やがて車で踏んでも地面が出て来ない程の積雪となり動きがとれ
なくなってしましました。

 慌ててチェーンを巻こうとしていたところへ、上から地元のおっちゃんが乗ったRVタイプの軽四
が降りてきました。

 おっちゃんは私たちを見ると車を止め、「そんなデカい車じゃこの先は無理じゃね。やめとき」と
警告しました。

 「仕事なんで・・・」とおっちゃんに答えて、チェーンを巻き、さらに登ろうとしましたが、100メ
ートルも進まない内に、また立ち往生しました。

 何とチェーンが外れてしまっていたのですが、雪に慣れていないド素人だけに巻き方を間違えてチ
ェーンがちゃんと張り切れていなかったのです。

 その後も外れては巻き直しながら登ろうとしたものの、まったく進む事が出来ず、挙げ句の果てに
横滑りした際に右後輪を側溝に落としてしまいました。

 そこへ来て降っていた雪が吹雪き始め、マジでヤバい状況になって来ました。私と同僚は必死でチ
ェーンを巻き直して何とか側溝からは脱出したものの、またしても外れたチェーンを見ると、何とチ
ェーンを内側に引っ張るスプリングが延びて使い物にならなくなっていました。

 その後は仕事を断念し、約3キロの雪道の下り坂をチェーンもなしで、道路脇の崖から転落する恐
怖と闘いながら2時間近く掛けて麓まで降りました。

 そんな経験をして以降、私と相方の同僚が雪に関する軽口を叩かなくなったのは言うまでもありま
せん・・・。(^^;


第7部:「ちょっとこだわりの列車」その22/特急『ひだ16号』

 次に乗るのは、高山本線を経由して名古屋と富山/高山の間を結ぶ特急『ひだ』です。非電化路線
である高山本線を走る『ひだ』には、JR東海で最新、そして唯一の特急型気動車であるキハ85系
が充当されています。

 特急『ひだ』は、日に11往復が運行されていますが、その内、富山←→名古屋間を結ぶのは4往
復であり、残りの7往復は名古屋←→高山間の運行となっています。今回乗るのは、14:51富山発・名
古屋行の『ひだ16号』です。

 特急『ひだ16号』の特急券・グリーン券です。今回
は贅沢してグリーン車にしてみました。
 富山駅に停車中の特急『ひだ16号』です。JR東海
で唯一の特急型気動車であり、アメリカのカミンズ社製
の強力なエンジンを搭載しているそうです。
【富山県・富山駅】
 キハ85系のグリーン車の様子です。名古屋向きだと
編成の最後尾となります。座席は3列しかなく、ゆった
りとくつろぐ事が出来ます。
【特急『ひだ16号』車内】
 グリーン車の座席です。一般車の座席とは違い高級感のある重厚
なタイプです。座り心地はもちろん良好でした。
【特急『ひだ16号』車内】
 床を見ると、通路部分が一段低くなっていると言うか
座席がある部分が高くなっているようでした。この車両
には気動車得意の「足下ダクト」がありませんでした。
一般車の方はどうなんだろう?
【特急『ひだ16号』車内】
 各座席のポケットに納められていたサウンド・サーヴ
ィスのメニューです。4チャンネルあり、今日のメニュ
ーは、トミー・フェブラリー、ウィーン・フィル、ケイ
コ・リー、山下達郎でした。ちなみに、ヘッド・ホンは
車内販売で買わなければなりません。
【特急『ひだ16号』車内】

 ほどなく定刻が訪れ、特急『ひだ16号』は富山駅より発車しました。グリーン車の乗客は、私を
入れてもたったの3人でした。

 時刻表に載っている編成表によると、『ひだ16号』は、自由、指定、グリーン車各1両ずつの3
両編成で高山まで行き、そこで前に4両を連結する事になっていましたが、車内放送によると、今日
は1両増結して4両で高山へ向かうようです。

 富山を出て数分で列車は北陸本線に別れを告げて左へとカーブして行きました。案内放送によると
車内に設置している清涼飲料水の自販機は故障しており、車内販売は高山から先で行われるとの事で
した。

 北陸本線と別れて以降、山地へ向けて列車は平野部を走っていましたが、特急らしく飛ばすでもな
く手加減気味に走っていました。キハ85の走りを早く見たいのですが・・・。

 私が乗るグリーン車は、JR東海自慢の「ワイドビュ
ー」車であり前方展望が楽しめるようになっています。
ただし、『ひだ16号』ではグリーン車が最後尾となる
ため、この画は列車後方となります。ちなみに、高山本
線は単線です。
【特急『ひだ16号』車内】
 車内での一杯は、毎度おなじみの缶コーヒー『ジョー
ジア/テイスティ』です。駅近くの自動販売機で売って
ました。旅先で見つけた時しか飲めない銘柄なのが悲し
いところです。
【特急『ひだ16号』車内】

 富山から15分で最初の停車駅である越中八尾に到着。何の変哲もないローカル駅に見えるのです
が、なぜ停車するのだろう? この駅には、みどりの窓口すらないのです。

 越中八尾を出ると、列車は山手へと入って行きました。15:25に猪谷に到着。同駅からは、奥飛騨
温泉口へと延びる第三セクターの神岡鉄道の路線が分かれています。

 猪谷を出ると、風景はいよいよ山岳路線へと変わりました。眼下
に写っている川は神通川の支流の宮川でしょうか?
【特急『ひだ16号』の車窓より】
 とある鉄橋を通過中に左を見ると、何と全体がスノー・シェード
ですっぽり覆われた道路橋が見えました。この辺りの雪の凄さを想
像させられた光景でした。
【特急『ひだ16号』の車窓より】

 山間部に入るとトンネルとカーブが増え、さすがに飛ばす事は出来ないようです。ずっとこの調子
で行くのだろうか・・・?

 猪谷から二駅目の打保で運転停車し、富山へと向かう
『ひだ9号』と交換しました。
【特急『ひだ16号』の車窓より】
 打保を出ると左手に広大な河原が広がっていました。
川の水は澄んでいて、夏場に川遊びしに来るにはもって
こいの場所ですな。
【特急『ひだ16号』の車窓より】

 16時頃に飛騨古川に到着。列車は高山市のある古川盆地へと入りました。高山のひとつ手前の上
枝駅には対向の普通列車がいました。

 富山から1時間24分で高山駅に到着。同駅では前に4両を増結します。ここまでの停車駅でグリ
ーン車への乗車はありませんでしいたが、さすがに高山では十数人が乗って来ました。

 その中にはギター・ケースを抱えた黒人のグループもいて、ひとりが私の前席に座りました。高山
で何かの催しでもあったのでしょうか?

 5分間の停車で連結と乗降を済ませ、『ひだ16号』は高山を出ました。間もなく男性の乗務員が
現れてビニール袋に納められた使い捨ておしぼりを配りました。

 次に停車する下呂への途上の16:42ごろ、何処かの駅で運転停車し富山へ向かう『ひだ13号』と
交換しました。

 再び走り始めて間もなく、車両の最前列にいた乗客が座席を回してくつろぎ体制に入りました。お
いおい、そーゆー事をグリーン車でもやるかね。

 高山から41分で、温泉で有名な下呂駅に到着。同駅でのグリーン車からの乗降はありませんでし
た。下呂温泉は名前だけは知っていたのですが岐阜県にあったのね。

 次の停車駅は美濃太田ですが、その途中の下麻生を過ぎたところで、ようやく列車は特急らしく飛
ばし始めました。

 下呂から49分で、太多線との分岐駅である美濃太田に到着。車内放送によると、列車は3分ほど
遅れているとの事でした。

 同駅では7〜8人がグリーン車から降りました。対面のホームには、太多線の列車でしょうか、キ
ハ11系気動車が停まっているのが見えました。

 美濃太田を出て鵜沼を過ぎると左に名鉄の各務原線の線路が見えました。各務原駅で普通列車のキ
ハ11と交換し、それから間もなく岐阜駅に着きました。

 意外な事に岐阜ではグリーン車からはひとりしか降りませんでした。まぁ、仮に、ここから西方面
に行くとしても、いったん名古屋まで出た方が便利ですわな。

 岐阜から『ひだ16号』は東海道本線に入ります。ここでスイッチバックし、列車は後ろ向きに走
り始めました。

 普通なら乗客は座席を進行方向に向けて回すところなのですが、名古屋までは、あとわずか20分
で着きます。結局、座席を回した乗客はひとりだけで、私を含め他の乗客は後ろ向きのまま乗ってい
ました。

 そして富山を発ってから3時間44分後、特急『ひだ16号』は終点の名古屋駅に到着しました。
高山本線は山岳路線だけに特急らしく飛ばすシーンは少ししか見られませんでしたが、沿線の眺めは
なかなか楽しめました。

 さてと、これで今回の乗車目的は完遂です、大阪へと戻りましょう。私は19:03名古屋発の『ひか
り133号』に乗るべく新幹線のホームに向かいました。

 切符を買って新幹線のホームに上がって見ると、そこには高山で『ひだ16号』に乗って来た例の
黒人ミュージシャンのグループがいました。なるほどね。

 新幹線の車中では特に何事もありませんでしたが、贅沢なグリーン車に3時間40分も乗った後で
は、新幹線の普通車のシートが、とても居心地悪く感じられました。20:03に新大阪に到着。

 新大阪駅に停車中の東京発・広島行の『ひかり133
号』です。左手のホームにはヴェテランの0系が停まっ
ているのが見えます。来る10月1日のダイヤ改正で東
海道/山陽新幹線では『のぞみ号』が大増発されて『ひ
かり号』は激減する事になり、この133号の列車番号
も『のぞみ号』に引き継がれました。
【大阪府・新大阪駅】
 新大阪駅に到着する、播州赤穂行・新快速3245Mです。
今回の「旅」の最終列車となります。
【大阪府・新大阪駅】

 これで今回の「旅」は終了です。延べ2日間で、西は島根県の大田市、北は富山まで行きました。
我ながら何とも脈略のない「旅」だと思いますな。(^^;

 『列車まかせの旅』第16弾、おわり。


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