プロローグ |
2002年→2003年の年末年始は実に9連休となり、私もその内の7日間は休める事になったのですが、
いまいましい事に仕事の関係で京阪神エリア周辺から遠くへは出掛けられないハメになりました。
本来ならば3日以上連続で休みが取れれば企画済みの長距離「旅」のどれかを発動するところなの
ですが、それも出来なくなりました。
かと言って家でじっとしているのもつまりません。そこで京阪神周辺でめぼしいモノを巡る近距離
「旅」を立案する事にしました。
そう思い立って何日か経ったある日、鉄道関係の書籍を探して書店を訪れた際、「関西の旅する」
と銘打った鉄道雑誌(『旅と鉄道』2003年冬号)を見つけました。
鉄道ジャーナル社が発行している季刊誌『旅と鉄道』の2003年冬号で す。本号では関西での鉄道の旅を特集しており、これを読んだ私は関西 圏だけでも鉄道の見所が結構ある事を知りました。 |
本来ならば関西人以外で関西に興味がある人が読む為の雑誌なんでしょうが、いざ中を開いてみ
ると、関西在住の私が読んでもなかなか「濃い」内容であり、中には「灯台下暗し」的な記事もかな
りありました。
今回の「旅」の参考資料にうってつけと判断した私は、さっそくこの雑誌を購入しました。雑誌の
冒頭には、京阪神ゾーン周遊切符を使った関西圏の訪ね歩きの記事が掲載されていましたが、その記
事の中で筆者が関空特急『はるか』を利用しているのが目に留まりました。
ふむ・・・、そー言えば『はるか』があったな・・・。前々から気にはなっていた列車でしたし、
いつかは乗ってみるつもりでした。
ちょうどいい機会なので『はるか』に乗りに行くとしましょう。ついでに関西国際空港でも見物し
て来ましょうか。
しかし『はるか』と関空見物だけでは物足りないので、『旅と鉄道/関西を旅する』に小企画のひ
とつとして紹介されていた「盲腸線」(詳しくは本編で(^^;)巡りもして来ましょう。
で、いつ行くかなんですが、せっかくの正月なので、決行日を1月1日の元旦に定め、私は旅行プ
ランの策定に入りました。(←正月早々から何をやってるんだか・・・(^^;)
蛇足ですが、12月の東北新幹線の八戸開業に伴ってダイヤ改正があったので、今回の「旅」に先
立って私がこれまで旅行記のプラン策定に使用していた「鉄道ファンのヴァイブル」こと『JR時刻
表』を2002年7月号から2002年12月号に更新しました。
旅行記第3弾の企画用に購入した『JR時刻表』の2002年7月号です。そ の後、旅行記第9弾までの企画立案用に使用しました。 |
東北新幹線の八戸開業に伴いダイヤ改正が行われた為、時刻表をこの2002 年12月号に更新しました。 今ダイヤ改正では、東北新幹線『はやて号』、特急『白鳥』、『つがる』 などが新設されましたが、一方で寝台特急『はくつる』、特急『はつかり』 急行『アルプス』、『陸中』、『よねしろ』、快速『海峡号』等々、魅力的 な列車達が廃止されてしまいました。 |
第1部:「ちょっとこだわりの列車」その5/関空特急『はるか3号』 |
関空特急『はるか』は、関西国際空港の開業に合わせて京都←→関空間でJRが運行を始めたアク
セス特急です。
同列車は30分間隔で日に30往復が運行されており、関空利用者を大阪、京都などの大ターミナルか
ら関空へ、またその逆の輸送を担っています。車両は『はるか』専用に新造された281系が使用さ
れています。
と、まぁ解説はこれぐらいにして。それでは日に30往復も運行されている同列車のどれに乗るかで
す。さっそく時刻表を開いて『はるか』のダイヤを見てみると、何と1往復だけ滋賀県の草津駅を着
発とする列車があるのを発見しました。
私もまだまだ修行不足とは言え、いちおう「列車好き」をカタる身なので、同じ乗るにしても、や
っぱこう言った「ちょっと違う」やつに乗らにゃいけんでしょうな。(^^;
となると、必然的に乗るのは草津発→関空行の『はるか3号』となるのですが、ちと問題がありま
した。『はるか3号』の草津駅出発時刻は6:04なんですが、当日移動ではこの時間までに草津へ辿り
着ける列車が無いのです。
わざわざ草津で前泊するもの大袈裟ですし、さてどうしたもんかと悩んでいると、ふと思い出しま
した。当日は元旦。となると、JRは終夜運転を行っているはずです。
『JR時刻表』の前の方に掲載されている臨時列車のページを見てみると、東海道本線の終夜運転
列車のダイヤ表がしっかりとありました。
それによると、4:00大阪発・5:18草津着の「終夜臨」9938Mに乗れば、充分に『はるか3号』
に間に合います。これで問題は解決です。さぁ、2003年第1回目の「旅」に行ってみよう!
と、言う事で、年が明けて1月1日元旦の朝3時半、私は大阪駅にいました。さすがに元旦だけあ
って、こんな時間にも関わらず駅舎の中には人が大勢いました。特徴的なのは、若いカップルが多か
った事ですね。
当然の事ながら駅構内のテナント店は、ほとんどが店を閉めており、開いていたのは僅かにコンビ
ニだけでした。ちなみに、駅横のガード下には石焼イモを売る軽トラが止まっていました。焼きイモ
屋のおっちゃんは正月返上か・・・。
大阪駅の自動券売機で買った大阪→草津の近距離切符 です。平成15年1月1日の発行日が見えると思います |
さっそくホームに上がって見ると、そこそこの人々が「終夜臨」9938Mを待っていました。皆
さん京都にでも初詣に行くのかな?
元旦の朝4時前の大阪駅の京都/米原方面行ホームの 案内表示です。いちばん上に表示されているのが4:00発 の草津行「終夜臨」9938Mです。その次の4:30発・ 京都行までが「終夜臨」の列車であり、そのまた下の 5:00発の列車が本来の始発です。 【大阪府・大阪駅】 |
普段ならば大阪駅に到着した京都/米原方面行列車からはドっと乗客が降りるので運が良ければ座
れるのですが、到着した9938Mからはそれほど乗客は降りず、大阪から乗り込んだ乗客で「レギ
ュラー」の座席は9割がた埋まってしまいました。
席はポツリ、ポツリとは空いていましたが、二人掛けの席に相席するのも何か嫌だったし、たぶん
京都あたりで「レギュラー」に座れるでしょうから、私は乗降口付近にある補助シートを降ろして座
りました。ちなみに、JR列車の補助シートに座るのは、これが初めてです。
普段、乗降口付近に大勢立っているような込み具合の時は、例え補助シートの使用許可区間であっ
ても補助に座るのは、はばかられるところですが今日は誰も立っていないので気兼ねせずに座れます。
不思議な事に新大阪駅では誰も乗って来ませんでした。いつもなら考えられないような光景ですが、
まぁこの時間は新幹線が走っていませんから、天下の新大阪の構内も閑散としている事でしょう。
それにしても補助シートの座り心地は悪いですな。背もたれが垂直なだけでなく、腰が来る位置は
畳んだ座席を収納する為に窪んでいるので腰を預ける事が出来ないのです。まぁ補助はあくまで補助
と言うところでしょう。
もうひとつ感じたのは、冬場の補助シートは寒いと言う事です。乗降口の真横にあるので、駅に到
着する度に、開いたドアから吹き込んで来る寒風がまともに脚に当たるのです。
座り心地の悪い椅子と寒さとでとても眠れる状態ではありませんでした。ふと車内を見ると、「レ
ギュラー」の座席に座っている人々のほとんどが眠りこけていました。
補助シートから写した「終夜臨」9938Mの車内の 様子です。朝の4時過ぎとあってほとんどの人が眠り込 んでいました。 【山陽/東海道本線「終夜臨」9938M車内】 |
9938Mは4:43に京都駅に到着しました。予想通り大勢の人が降り、私は晴れて「レギュラー」
の座席に座る事が出来ました。
京都では12分ほど停車しました。ここではそこそこの人が乗って来ましたが、乗車率は60%と言う
ところで列車は発車しました。
膳所駅に停車した時には、対面の大阪方面行ホームに5:06発の始発列車の案内表示が出ていました。
そろそろ通常運行の列車が走り始める時間帯です。
京都を出てからは徐々に乗客が減り、草津駅到着前の乗車率は30%程度でした。そして9938M
は遅延する事なく5:18に終点の草津に到着しました。それにしても、私以外でここまで乗って来た人
たちは、いったい何処に行くつもりなんかいな?
草津駅に到着した「終夜臨」9938Mです。この列 車は各駅停車なんですが、通常は快速/新快速として使 用されている223系と呼ばれる車両が充当されていま した。 【滋賀県・草津駅】 |
草津駅で下車した私は、とりあえず改札を抜けて外に出ました。関空特急『はるか3号』が出るま
では46分ほどあったので、時間潰しを兼ねて朝食を調達する事にしました。
改札を出た所には、かなりの人数がたむろしていました。そのほとんどは若者達でしたが、どっか
行くのかな?
草津駅です。東海道本線が通る他、三重県の柘植駅に 至る草津線の起点駅でもあります。駅前ロータリーの上 にはテーブル状の通路があります。 【滋賀県・草津駅】 |
草津駅は馴染みとまでは行きませんが、仕事で何度か乗降した事があります。駅の東側周辺は見覚
えがあったので、今日は西側を散策して見る事にしました。
駅の写真を撮った後、いったん駅に戻り、自由通路を抜けて西側に出ました。と、言っても時間は
まだ朝の5時台、外はまだ真っ暗であり、店もぜんぶ閉まってしました。
人通りの無い道を歩いているとコンビニがあったので、朝食用のおにぎりとお茶を買いました。し
かし、正月と言うのに休めないんですからコンビニも大変ですな。
その後、車は多少通っているものの、人影がほとんど見えない街中を20分ほどぶらついてから駅に
戻りました。
草津発・関空行・特急『はるか3号』の指定席特急券 です。『はるか』には自由席もありましたが、あえて指 定席を取りました。 |
駅に戻ると、特急『はるか3号』の案内表示が出ていたので、まだ少々早かったのですが私は改札
を通りホームへと降りました。
ホームにはまだ『はるか3号』の姿はありませんでしたが、いくらも立たないうちに入線の放送が
あり、待望の同列車が目の前にゆっくりと入って来ました。
草津駅に入線した関空特急『はるか3号』です。同列 車は1日30往復運行される『はるか』の中で、唯一、草 津駅を始発とする列車です。 【滋賀県・草津駅】 |
『はるか』は、大阪以東の東海道本線や阪和線でさんざ見慣れている列車ではありますが、いざ乗
るとなると、なんかちょっと感動です。
私は海外旅行が好きではありませんし、そもそも飛行機自体をほとんど利用しないので、関西空港
に行く機会が無く、当然、『はるか』を利用する事もありませんでした。
さっそく『はるか』に乗り込むと、まずデッキにある物置が目に留まりました。ここは大型の旅行
カバンを置くところなのでしょう。
関空特急『はるか3号』の指定席車内の様子です。い かにも新型特急然とした雰囲気です。 【関空特急『はるか3号』車内】 |
『はるか』の指定席の座席です。おそらく自由席の座席も同じ物 だと思います。リクライニング・シートですが、平均的な走行時間 が70〜90分と短い為、ご覧のように座席背面のテーブルは省略され ています。また、ネット式の「ポケット」も無く、その代わりに 「ヤンマガ」程度の薄い雑誌ならば入れる事が出来るプラスチック 製の「ポケット」が装備されています。 【関空特急『はるか3号』車内】 |
座席を真横から写したところです。通常の特急の座席と比べると 背もたれが「薄い」ような気がします。長時間乗る分けではないの で、これで充分と言うところなのでしょう。座り心地はなかなか良 好でした。 【関空特急『はるか3号』車内】 |
座席には通常の大型テーブルが無い代わりに、このよ うな簡易テーブルが付いています。通常は座席の側面に 露出したまま収納されていますが、ぐるっと回して上に 向け、内側にパタンと倒すとこのようにセット出来ます 【関空特急『はるか3号』車内】 |
『はるか3号』は、定刻の6:04に、未だ暗い草津駅を出発しました。さすがに草津で乗った人は少
なく、私が乗る車両の乗車率は10%と言うところでした。
10分ほど走って最初の停車駅である大津に着きましたが、ここでは誰も乗って来ませんでした。草
津発の『はるか3号』は空いていますから、この駅から乗る人は、たぶん自由席の方に乗るのでしょ
うね。
走行中にふと見ると、デッキへの出入口の上にあるLED表示器でニュースが流されていました。
新幹線と同じですな。
京都駅に停車すると、さすがにドカっと乗って来て、荷物の片付けやら何やらで少々賑やかになり
ましたが、乗客が座席に納まったところで車内を見渡して見ると、ワイワイやっていた割には乗車率
は30%程度でした。
京都駅では、隣のホームに「スキー臨」である583 系の『シュプール号』が止まっているのが見えました。 これは黒姫発・姫路行の寝台急行『シュプール6号』で しょうか? 【関空特急『はるか3号』の車窓より】 |
京都駅を出て、同駅から乗って来た乗客の検札が済んだところで、右側列の席に座っていた夫婦が、
空いている前の座席を自分達の方に回してそこに脚を置くのが見えました。
おいおい、ここは指定席やで。空いている座席を活用するところを見ると、この夫婦はたぶん旅慣
れているんでしょうが、こういうのを見ると何か嫌な気がします。
それはともかく、京都駅を出たところでようやく空が白み始めました。いよいよ初日の出と言うや
つですな。
新大阪駅到着の直前、東淀川駅の側にある陸橋を列車が潜ろうとした時にふと見ると、陸橋の上か
ら我が『はるか3号』に向かって手を振っている人が見えました。
<いったいなんなんだろう?>と考えている内に新大阪駅に到着しました。ここでもそこそこの人
々が乗って来て、乗車率は50%程度になりました。
新大阪を出ると、鉄道ファンが『はるか』に乗る際の楽しみのひとつが訪れます。大阪駅をパスす
る『はるか』は、ここで東海道本線から離れて梅田貨物線に入り、大阪駅の北側を通過してそのまま
大阪環状線の西九条駅の北側で同線に直接乗り入れるのです。
通常の乗客の人達は、そんな事は気にもしていないと思いますが、鉄道ファンにとっては、旅客列
車が貨物線を走ると言う事自体がひとつのイヴェントなのです。
梅田貨物線を通過中に見えた梅田貨物駅です。この路 線を走る旅客列車は、特急『はるか』、『くろしお』、 『オーシャンアロー』と一部の普通列車のみです。 【関空特急『はるか3号』の車窓より】 |
梅田貨物駅に留置されていたコンテナ貨車群です。残 念ながら機関車は1両も見当たりませんでした。 【関空特急『はるか3号』の車窓より】 |
梅田貨物駅を通過してほどなく、『はるか3号』は大阪環状線に右方向から合流しました。そして
西九条駅を通過したところで左の線路に移るポイントを次々と通過して一気に最内側の線路まで移動
しました。環状線に入った『はるか』は比較的ゆっくりと走っていました。
ほどなく天王寺駅に到着しました。ここでも若干の人達が乗ってきましたが、さすがに降りる人は
いませんでした。まぁ京都方面から大阪に移動するのに、わざわざ特急を利用する人なんざそういま
せんわな。
『はるか3号』が途中停車するのは、この天王寺が最後であり、後は関空まで30分ほどのノン・ス
トップ走行となります。
天王寺から阪和線に入った列車は快調に飛ばし、日根野駅を過ぎたところで阪和線と分かれて関西
空港線の高架を登り始めました。
りんくうタウン駅の手前では、南海電鉄の線路が合流して来るのが見えました。ここから先の線路
は南海との共用となります。りんくうタウンを過ぎて間もなく、『はるか』は空港連絡橋を渡り始め
ました。
空港連絡橋通過中の風景です。このような大きな橋を 鉄道で渡るのは瀬戸大橋以来です。 【関空特急『はるか3号』の車窓より】 |
連絡橋を通過している最中、左前方に駐機中の旅客機と空港の施設が見えて来ましたが、橋を渡り
終えて間もなく列車は地下へと降り始めたので空港は見えなくなってしまいました。
そして7:47、草津を出てから1時間43分後に関空特急『はるか3号』は終点の関西空港駅に到着し
ました。
関西空港駅に到着した『はるか3号』です。同列車は 折り返し8:08発・京都行『はるか6号』となります。 【大阪府・関西空港駅】 |
関空駅については、事前に鉄道ファンHPで画像を見て「予習」してあったのですが、プラットフ
ォームの広さは、まさにその画像の通りでした。果たしてこんなに広大なホームが必要なんでしょう
かね?
『はるか3号』から左に目を転ずると、隣のホームに は8:51発・大阪環状線経由・京橋行の関空快速4110 Mが停車していました。 【大阪府・関西空港駅】 |
関空快速から2線向こうのホームには、南海電鉄の空 港急行が停まっているのが見えました。 【大阪府・関西空港駅】 |
関空快速が出て行くと、その向こう側のホームに停車 していた南海電鉄の空港アクセス特急『ラピート』が姿 を現しました。その特異な車体形状故に鉄道ファンから は「鉄人28号」と呼ばれているとか・・・。この列車 には乗った事はありませんが、側聞したところでは、内 装および車内サーヴィスの面においてJRの『はるか』 より優れているとか。 【大阪府・関西空港駅】 |
一通り撮影が終わった時、もはやホームにはほとんど人影がありませんでした。私は関空見学に赴
くべくホーム中央にあるエスカレータで上に登りました。
ホーム中央にある階段とエスカレータです。ご覧の通り、列車の 着発時以外はほとんど人通りがありません。 【大阪府・関西空港駅】 |
エスカレータを登り切ると、10メートルほど先に自動改札がありました。私はエスカレータを降り
て左へ180度回り込んだ所にあったトイレに入って用を済ませてから改札を抜けて外に出ました。
関西空港駅の改札です。手前側の半分(ブルー帯の部 分)がJRの改札。向こう側半分(オレンジ帯の部分) が南海電鉄の改札です。 【大阪府・関西空港駅】 |
JR側改札をほぼ正面から写したところです。改札は ここ1ヶ所だけですが、けっこうたくさんの自動改札機 が設置されています。 【大阪府・関西空港駅】 |
こちらは南海電鉄側の改札です。南海の駅としては、 なんば駅に次ぐ広い改札ではないでしょうか? 【大阪府・関西空港駅】 |
改札から右手を写したところです。こちらが空港ター ミナルの方向です。 【大阪府・関西空港駅】 |
改札の様子を写し終えた私は、空港ターミナルの方へ歩き始めました。
関西空港駅(右)と空港ターミナル(左)は、ご覧の ような陸橋で接続されています。両方の建物は長大な長 さがあり、陸橋も5ヶ所設けられています。陸橋の下に は道路があり、タクシーなどが止まっていました。 【大阪府・関西空港】 |
空港ターミナル側より関西空港駅の駅舎を写したとこ ろです。ホームが4線しか無い駅にしては途方もなくデ カい建物ですな。 【大阪府・関西空港】 |
ターミナル・ビルに入ると、そこには国内線用のカウンターがずらりと並んでいました。しかし、
そのフロアの幅が半端じゃありません。
試しにフロアの端から端まで歩いてみたのですが、全長は100メートル以上はあるのではないでし
ょうか?
国内線用フロアの南西端から北東方向を写したところ です。フロアの全長はベラボーで、軽く100メートル以 上はありそうでした。 【大阪府・関西空港】 |
国内線については伊丹空港の方がメインであり、関空への発着は少ないと聞いていたので、果たし
てこんな広大な国内線用のフロアが必要なのかとも思いましたが、後に調べたところでは、日に80便
前後の発着はあるようです。伊丹空港の発着が日に140便程度ですから、80便と言う数は、ぜんぜん
少なくないですな。
案内表示を見ると、国際線のフロアは1階上のようでしたが、一見して空港利用者ではないと分か
るであろう私が、これ以上ウロつくのも気が引けたので、空港駅へと戻る事にしました。
駅に戻った私は、次の目的地である和歌山市駅までの乗車券を購入しました。
関西空港駅から和歌山市駅までの乗車券です。なぜ和 歌山市駅なのかは、また後で。(^^; |
改札を抜けると、正面にはホームへ降りるための3基のエレベータがあり、「大きい荷物をお持ち
のお客様はエレベータをご利用下さい」との大きな表示が掲げてありました。
ホームから改札に上がった時には、このエレベータの建屋の後ろから回り込むようにして歩いて改
札を出たので、このエレベータがある事には気がつきませんでした。
改札を抜けると正面にある3基のエレベータです。普 通、駅にあるエレベータはお年寄りや車椅子利用者用で すが、ここでは「大きな荷物をお持ちの方」と明示して あるところが気配りですな。 【大阪府・関西空港駅】 |
さて、これで関空の見学は終了です。空港ターミナルにはそこそこ人がいたのに、なぜか駅の人影
がまばらだったのが不思議です。皆さんこことの移動に鉄道は使わないのかな? それともまだ鉄道
利用者が少ない時間帯だったのかな・・・?
ま、それはともかく、引き続き今回の「旅」における第2の目的である「盲腸線」巡りに入りまし
ょう。
第2部:「盲腸線探訪」その1/JR紀勢本線・和歌山←→和歌山市間 |
「盲腸線」とは、雑誌『旅と鉄道/関西を旅する』の文中に出てきた言葉であり、鉄道ファン業界
で「公用語」として認知されているかどうかは私は知りませんが、平たく言うと路線図上で幹線から
チョコっと飛び出ているように見える短距離の支線の事です。
関西には、この「盲腸線」が4本あります。紀勢本線の和歌山←→和歌山市間、阪和線の鳳←→東
羽衣間、桜島線、そして山陽本線の兵庫←→和田岬間の4本です。
「盲腸線」の特徴は、同区間内単独でシャトル列車が運行されている事、そして本線運転の列車が
乗り入れを行っていない事です。(ただし桜島線は環状線から乗り入れあり)
今回は、この4線をぜんぶ回って見るつもりです。まず始めに、いちばん近くにある紀勢本線の和
歌山←→和歌山市間から行ってみましょう。
それには和歌山駅まで移動しなければなりません。まずここから日根野駅まで出て阪和線に乗り替
える事になります。
関西空港駅のホームに降りると、そこには乗車予定の8:25発・天王寺行・関空快速5114Mがす
でに停車していました。
関西空港駅に停車中の天王寺行・関空快速5114M です。「終夜臨」9938Mと同じ223系ですが、ク ロス・シートの座席が2+1の3列しかない「関空快速 仕様」と呼ばれる改装車両です。 右隣には、南海電鉄の空港特急『ラピート』が停車し ているのが見えます。 【大阪府・関西空港駅】 |
ほどなく、5114Mは定刻通り発車しました。乗車率は30%と言うところで、乗客のほとんどは
意外な事に比較的小さなカバンしか所持していませんでした。
この快速を利用する人たちは国内旅行者なのか、それとも海外旅行者でも近距離か短期滞在者だけ
なのでしょうか?
列車がりんくうタウン駅に着くと何人か降りました。はて? ここで降りてどうするんだろう?
地元の人なのかな?
りんくうタウン駅には、上り用と下り用でふたつのプラットフォームがありました。各プラットフ
ォームは、片方のホームをJRが、もう片方を南海電鉄が使用していました。
りんくうタウンを出て南海電鉄の線路が分かれて高架から降りて行くのを見送って間もなく、列車
は日根野駅に到着しました。さて、阪和線の和歌山方面行に乗り替えです。
和歌山方面行のホームで待っていると、ほどなく8:44発の普通・和歌山行が入って来ました。当初
の予定では、8:52発の紀州路快速に乗る予定だったのですが、この普通列車に乗っても和歌山到着が
紀州路快速より3分遅いだけなので大勢に影響はありません。
私は予定をちょっぴり変更してこの列車に乗る事にしました。紀州路快速に使用されている車両は
223系ですが、今日はすでに同車両に2度乗っており、今回の「旅」ではこの後も乗る機会が多く
なりそうなんで、ここらで違う車両にも乗っておきましょう。
日根野駅に到着する天王寺発・和歌山行・普通列車1 209Hです。お馴染みの103系でした。 【大阪府・日根野駅】 |
比較的空いていた普通1209Hは、途中の8駅に停車しつつ、36分後に終点の和歌山駅に到着し
ました。
お次は「盲腸線」1本目の和歌山市駅行列車ですが、22分ほど待ち合わせ時間があります。私は同
列車が出る8番ホームへ移動し、ベンチに座って待つ事にしました。
和歌山市駅行が着発する8番ホームは駅舎から最も離れたホームでしたが、そのまた外側には南海
電鉄の貴志川線のホームがあり、南海の電車が止まっているのが見えました。
南海のホームはJR和歌山駅の構内の隅にあり、ひっきりなしに着発するJR列車群の傍らでなん
だか肩身が狭そうに見えました。
和歌山市駅行ホームの隣にある南海電鉄貴志川線のホ ームです。貴志川線は他の南海電鉄路線とは繋がってい ない単独の路線です。 【和歌山県・和歌山】 |
さて、これから乗る紀勢本線の和歌山←→和歌山市間ですが、運行距離は僅か3.3Kmで、途中にあ
る駅は紀和駅ひとつだけ、全行程の運行時間もたった6分と言う短い路線です。
この路線のもう一方の末端駅である和歌山市駅は南海電鉄の駅であり、ここでは和歌山駅とは逆に
JRの方が南海のホームの一部を間借りしている形になっているようです。
実を申しまして、私はかつて仕事で和歌山に通っていた時期があり、その際には仕事先の位置関係
の都合により南海ばかりを利用していたため和歌山市駅はよく知っている駅なのですが、JRでは行
った事がないため、同駅構内のJR設備については、まったく知識がありませんでした。
解説はこの辺にしてと・・・。私がホームで待っていると、9時半頃、奈良方面からの105系2
両編成の列車が私のいるプラットフォームの7番ホーム側に到着しました。
この時は、この列車を何気にチラっと見ただけだったのですが、後で調べてみると、同列車はこの
後、折り返し9:50発の奈良行・普通440Tとなる事が分かりました。
実はこの440Tこそは、かつて旅行記第4弾で、北宇智駅のスイッチバックを見に行くのに乗っ
た列車だったのです。
とは言え、この時の私はそれには気づいておらず、のほほんと和歌山市行を待ち続けていました。
そして440T到着から9分後に、待っていた和歌山市行・普通235Mが入って来ました。
和歌山駅8番ホームに到着する和歌山市行・普通23 5Mです。和歌山線の列車と同じく105系の2両編成 でした。 【和歌山県・和歌山駅】 |
235Mの到着により、プラットフォームの両側に105系が並ぶ構図となりましたが、私は写真
も撮らずにさっさと235Mに乗り込んでしまいました。
この時、もう一方の105系が440Tと気づいていれば、記念のツー・ショットを撮っていたと
ころなんですが・・・。実に惜しい事をしました。(^^;
到着から僅か4分後、235Mは折り返し和歌山市駅へ向けて出発しました。私は2両目に乗りま
したが、乗客はたった5人しかいませんでした。
発車後3分で紀和駅に到着。ここでの乗降はありませんでした。車窓から見ると、紀和駅には片側
1線のホームしかありませんでしたが、ホームとは反対側の構内に、そこそこ広い空地が広がってい
ました。
この空地の広がり方は、明らかに以前、ここに側線もしくは操車場があった事を意味します。どう
やらここは「訳あり」っぽい駅ですな。
後日、インターネットで調べたところ、やはり「訳」はありました。何と、かつてはこの駅が和歌
山駅であり、国鉄の和歌山線や紀勢線の起点駅だったのだそうです。
さらに当時は、この駅と南海鉄道(南海電鉄の前身)・和歌山市駅との間で相互乗り入れが行われ
ていたりして大変な賑わいだったそうなのですが、後に開通した阪和線が隣の東和歌山駅で接続され
ていたり、南海電鉄が開業して利用率を上げたり、地理的制約によって当駅に市電が乗り入れられな
かったり等々の理由により、その賑わいも徐々にすたれて行ったそうです。
そして1968年に和歌山駅は紀和駅に改名され、代わって東和歌山駅が和歌山駅となり現在に至って
いるとの事です。その紀和駅も1985年には交換設備が撤去されて無人駅化されたそうです。
こりゃまた途方もない過去を持つ無人駅だったんですな。その事をまったく知らなかった私は、停
車した列車の窓からぼんやりと眺めただけで終わってしまったのですが、今度来る時は降りてみなき
ゃいけませんな。(^^;
紀和駅を出発して3分で終点の南海電鉄・和歌山市駅に到着しました。所要時間わずか6分と言う
チョー短い「旅」でした。
和歌山市駅は馴染みの駅ですが、JRで訪れるのはこれが初めてです。さて、どうやって外に出る
のだろう?
事前に「予習」したところでは、JR線ホームから直接、外へは出られないようになっており、中
間改札を通っていったん南海の構内へ出なければなりません。そして最終的には南海の改札を抜けて
外へ出るシステムになっているようです。
列車から降りると、目の前に自動改札機が2台並んでいるのが見えました。これが中間改札なので
しょう。
見ると、中間改札の横の柱に外への出方が掲示されていたので私が立ち止まって読んでいる内に、
地元らしき人々は改札機に切符を通さず、改札機横の素通しの通路を通ってさっさと出て行ってしま
いました。はて? 皆さん南海の改札も通れる定期券でも持っているのかな?
誰もいなくなったホームで「外への出方」を読むと、「切符を中間改札に通して、そのまま出ろ」
みたいな事が書かれていました。
私が持っているのはJR線の切符なのです。切符を中間改札に通すところまでは分かるのですが、
その後のプロセスを意味する「そのまま出ろ」がいまいち判然としません。そこがいちばん知りたい
ところなのに・・・。
まぁいっか! 南海の改札で引っ掛かったら駅員さんに聞きゃ済むこった。私は切符を中間改札の
改札機に入れました。すかさず反対の取出口から切符が出てきました。もちろんJR線の切符のまま
です。
私は切符を取り、階段を登って見慣れた南海の改札に行き、自動改札機にJRの切符を投入しまし
た。すると、普通にストッパーが開いて外へ出る事が出来ました、なんやぁ、そんだけの事かい。
南海電鉄の和歌山市駅です。JR和歌山駅より大きな ビルであり、中には高島屋も入っています。私にとって は馴染みの駅です。駅前の沿道には商店街が広がってい ます。 【和歌山県・南海電鉄・和歌山市駅】 |
駅ビルの写真を撮ると私は早々に駅に戻りました。和歌山市駅周辺はよく知っているので、今さら
見たいものはありません。
この後は、ここまで乗って来た235Mの折り返し運転となる10:07発・和歌山行234Mに乗っ
て和歌山まで戻り、引き続き「盲腸線」2本目となる阪和線の鳳←→東羽衣間の乗車に向かいます。
東羽衣までの切符を買うべく南海の自動券売機のところに行くと、南海線の運賃表の右にJR線の
運賃表も掲げてありましたが、なぜか阪和線は鳳駅までしか表示されていませんでした。
鳳駅までは820円でしたが、私が行きたいのは、ひと駅「横」の東羽衣です。たぶん820円では行け
ないと思いますが、先方で精算する事にしてとりあえず鳳までの切符を購入しました。
南海電鉄の自動券売機で買ったJR鳳駅までの切符で す。南海発行のJR連絡切符ですが、南海にはまったく 乗りません。 |
私は南海の改札を通ってホームに降りました。JR線のホームには、ここまで乗って来た列車がそ
のまま停車していました。
ここでは和歌山駅とは立場が逆になり、ひっきりなしに着発する南海の長編成列車群の傍らでJR
の2両編成の105系は、なんだか肩身が狭そうに見えました。
南海電鉄・和歌山市駅構内にあるJR線のホームです 2番ホームを柵で仕切ってJRのホームにしてあるだけ で、すぐ左の3番ホームには南海のなんば行・急行が止 まっています。ご覧のように中間改札の自動改札機が設 置されていますが地元の人々は改札機を通らず、その右 にある素通しの通路を通り抜けていました。 【和歌山県・南海電鉄・和歌山市駅】 |
私は、存在意義があるのかどうかよく分からない中間改札の改札機に切符を通すと列車に乗り込み
ました。
234Mは定刻の10:07に和歌山市駅を発車、乗客は私を入れて7人でした。途中の紀和駅で5人
が乗り込み、往路の倍以上の人数を乗せた234Mは和歌山駅へと帰着しました。どうもこの路線の
乗車率は読めませんな・・・。
これで「盲腸線」1本目の乗車は終わりです。それにしても、この路線は何のために存在している
のですかね?
JR和歌山駅と南海・和歌山市駅間の連絡路線である事は分かるのですが、JR阪和線と南海電鉄
南海線は共に大阪(なんば)と和歌山市を結んでいるので、果たしてその両線を連絡する意味がある
のでしょうか・・・? 実に不思議です・・・。
まぁ廃止にならずに残っていると言う事は、何らかの存在理由はあるのだと思います。それはまた
おいおい調べるとして、次の「盲腸線」へと参りましょうか・・・。
第3部につづく・・・。
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