2002年12月15日
甲種回送:2002年12月14日・鷹取


 ふと気が向いて「甲種回送」を見に行って来ました。「甲種回送」とはJRの業界用語であり、新
造車両の納車や既存車両の長距離配車回送、車検回送などを行う際に、搬送する車両を自走させずに
機関車で牽引して行く回送方法の事です。この場合、牽引される車両は貨物扱いとなります。

 「甲種回送」では、JR用だけでなく、全国にある私鉄/公営鉄道車両などの回送も行われる為、
通常ではJR路線で見る事の出来ない車両が走行するのを見られます。

 今のところ私が知る限り、鉄道車両製造工場は兵庫(兵庫県)の川崎重工、豊川(愛知県)の日本
車輌製造、北府中(東京都)の東芝、下松(山口県)の日立製作所、鶴田(栃木県)の富士重工、逗
子(神奈川県)の東急車輌製造などがあり、主としてこれら各工場からの新造車納入時に「甲種回送」
が行われています。

 今回、見に行ったのは、兵庫の川崎重工から東京の営団地下鉄に納車される「05系」と呼ばれる
車両の回送です。

 鉄道ファンの世界には実にマニアックな雑誌があるもんで、今回の「甲種回送」の情報も、交通新
聞社と言う会社が発行する『鉄道ダイヤ情報』と言う月刊誌に、事細かい時刻表が載っていたのを見
て知りました。

 交通新聞社発行の月刊誌『鉄道ダイヤ情報』です。本誌には
「甲種回送」のみならず、臨時列車から団体列車、果ては検測車
に至るまでの時刻表が掲載されていました。鉄道マニアの皆さん
は、この手の雑誌を見て沿線から列車の写真を撮っているのでし
ょうね・・・。(ちなみに、本誌には常設列車の時刻表は載って
いません)

 『鉄道ダイヤ情報』によると、今回の「甲種回送」は、14日に、まず5両をJR和田岬線の途中
にある川崎重工から兵庫駅を経由して、いったん西の鷹取駅に運んでそこの待機線に留置し、翌15
日に同ルートでさらに5両を鷹取まで運び、両方を連結して10両編成としてから東京へ向けて運ぶ予
定になっていました。

 「甲種回送」のトーシロである私は、このルート上で何処が一番の見所なのかよく知りませんでし
たが、とりあえず鷹取駅は馴染みの駅だったので、そこへ行ってみる事にしました。

 そして当日の14日土曜日、私は東海道/山陽本線の西明石行・普通列車で鷹取へと向かいました。
理由は分かりませんでしたが、なぜか列車は少し遅れていました。

 『鉄道ダイヤ情報』の時刻表では、目的の「甲種回送」列車は、11:07に鷹取駅到着となっていま
した。入線して来るところを撮りたかったので、それに間に合うように着かなければなりません

 私が乗る西明石行が10時半頃に兵庫駅を出発した際、ディーゼル機関車特有の「フォッ!」と言う
短い汽笛が聞こえました。

 見ると、1両のDE10型ディーゼル機関車が和田岬線を走って行くのが見えました。たぶん、あ
たの機関車が「甲種回送」の車両を牽いて来るのでしょう。

 10:40頃に西明石行は鷹取駅に到着しました。到着前に、車窓より鷹取駅ホームの大阪方末端に、
デカい一眼レフ・カメラを抱えたひとりの男性が立っているのが見えました。たぶん「甲種回送」を
撮りに来たマニアさんでしょう。

 鷹取駅に降り立つと、他に鉄道マニアらしき人影は見当たりませんでした。まだ到着まで30分はあ
るからでしょうか?

 私は、いったん改札から外へ出ると、15分ばかし駅周辺をブラついて時間を潰したあと駅に戻りま
した。

 本日の一本、鷹取駅ホームの自販機で買ったUCCの『エスプレッソ・
プレミアム』です。容量155mlのミニミニ缶で、「深煎り」と唱っている
だけあって甘味は少なめ、かつ口当たりでグっと来るコクがありました。

 私はホームの大阪寄りにあったベンチに座り、缶コーヒーをチビチビ飲りながら時間が来るのを待
ちました。

 11時前になると、カメラを抱えた鉄道マニアらしき人々が10人ばかし現れ、ホームをウロついてい
ました。同じ頃、ホームから3線向こうの待機線に103系の回送列車が入って来ました。

 鷹取駅に入って来た103系の回送列車です。国鉄時
代の1962年から20年に渡って3000両以上が生産され、都
市部の通勤電車として大量配備された車両ですが、首都
圏の山手線からはすでに退役しており、関西でも201
系以降の新型車両の配備が進むに連れて見掛ける頻度は
少なくなりつつあります。
【兵庫県・鷹取駅】

 私は、てっきりこの103系が停車している線に「甲種回送」列車が入って来るものと思っていた
のですが、103系は11時を回っても動き出す気配がありませんでした。

 103系が止まっている手前の線は、先ほど貨物列車が通過して行ったので、ここに入って来ると
は思えません。

 と、言う事は103系の向こう側の線に入って来るのでしょうか? そーなると写真を撮るには1
03系が邪魔になってしまいます。早く出て行かんかな・・・。

 もうぼちぼち時間です。「甲種回送」列車が入って来る大阪方面をチラチラと見ていると、11:07発
の高槻行・普通列車の到着を告げる構内アナウンスが流れて来ました。

 それとほぼ同時に、マニアさん達の動きが慌ただしくなりました。見ると、大阪方面より、こちら
に向かってくるDE10機関車と牽引されている車両が見えました。

 さぁおいでなすった! 「甲種回送」列車は103系が停車している線の手前の線に入って来ます。
高槻行の普通列車がホームに着くと目の前を塞がれてしまいますが、私はそんな事は構わずにシャッ
ターを切りました。

 鷹取駅の待機線に入って来る甲種回送列車の「甲13
0」です。牽引されている列車の先頭車両の前面は青色
のビニールで覆われています。これは牽引中に前方から
飛んで来るパンタグラフの擦りカスや何やらで汚れるの
を防ぐためだそうです。
【兵庫県・鷹取駅】

 「甲130」は、そのまま駅を通過するかの勢いで走って行きました。過ぎて行く「甲130」の
後ろ姿を撮ると、すれ違いに高槻行の普通列車が到着し、回送列車は見えなくなってしまいました。

 いったい何処に停めるつもりなのでしょうか? 普通列車が出て行くのを待っていると、鉄道マニ
アらしき二人連れの小学生が「また戻って来るんとちゃうか?」と話しているのが聞こえました。

 普通列車が出て行くと、「甲130」がホームより姫路方面に少し離れた場所に停まっているのが
見えました。

 停車していた「甲130」です。東京の営団地下鉄に
納車される05系と呼ばれる車両で、納車後は東西線に
配備されるそうです。最後尾の車両は中間車であり、明
日の15日に残りの5両が運ばれて来てココに連結され
ます。
 車両の所々の窓には川重のロゴ・マークが描かれた紙
が貼られていました。
【兵庫県・鷹取駅】

 これで「甲種回送」の見学は終了です。出来れば明日も来て、完全編成で東京へと出発するところ
を見たいのですが残念ながら仕事です。

 この後、この「甲130」は、明日、運ばれて来る残りの5両(甲131)と連結され、「甲13
1」として、まず吹田の信号所までディーゼル機関車で牽かれて行き、そこからは電気機関車に牽か
れて東京の中野まで運ばれ、そこで営団地下鉄に引き渡されます。

 さてと、見るモノも見たし、帰りましょうか。私は次に入って来た大阪方面行である東西線経由・
同志社前行の普通列車に乗り込みました。

 こっち方面に仕事で訪れていて帰りを急ぐ時は、兵庫駅か神戸駅で快速や新快速に乗り替えるとこ
ろなのですが、今日はプライベートなのでそのまま各停で尼崎まで行く事にしました。

 車内でうとうとしていると、芦屋駅に着いた際に何処かの駅でトラブルが起こったらしき車内アナ
ウンスがありましたが、寝ボケてよく聞いていませんでした。

 尼崎駅で大阪方面行きに乗り替えるため列車を降りました。列車の案内表示を見ると、数分後に高
槻行の普通列車が到着する事になっていました。

 しかし、「塚口駅付近で踏切棒折損事故が発生した為、高槻行は運転を見合わせてあります」との
構内放送が・・・。

 ったく、今日びは無茶をする馬鹿野郎が多すぎる。自分の行為が人に迷惑を掛けると言う事を考え
たりせんのだろうか?

 さてどうしたもんかと思案していると、隣の「島」のホームに大阪方面行の快速列車が到着するの
が見えました。それを見て何人かの人々が階段を駆け上がって行きました。今から走って間に合うん
かいな・・・。

 私の予想とは裏腹に、走った人々は何とか快速に間に合い、押し合いへし合いしながら乗り込んで
行きました。やるなぁ。

 再び案内表示に目をやると、米原行の快速にも10分遅れの表示が出ていました。果たして列車は来
るのだろうか?

 とか何とか考えていると、運転を再開した高槻行が約4分遅れで到着しました。やれやれです。私
は高槻行に乗り込みました。

 大阪で降りた私は、書店で『鉄道ダイヤ情報』の1月号を購入すると家路への帰途につきました。
また機会があれば「甲種回送」を見に行ってみたいと思います。


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