2006年8月13日掲載
『列車まかせの旅』小旅行記第8弾(2003年10月8日)


第1部:「ちょっとこだわりの路線」その12/東京急行・東横線

 その日、私は東京で仕事があり、『のぞみ124号』で東京に向かっていました。朝の東京行新幹
線とあって車内にはビジネスマンの姿が多く見られました。(私もその中のひとり)

 折りしも東海道新幹線の品川新駅が開業して間もない時期であり、「品川で降りてみようか?」な
どと言った会話も聞こえて来ました。

 品川新駅は、東海道新幹線のさらなる増発を目的として新設された駅で、すでにキャパシティ的に
一杯となっている東京駅に代わって品川折り返しの列車を設定する事により、さらに増発が可能にな
るとの事でした。

 東京←→品川間は山手線でもわずが10分で移動できますし、品川からでも山手線、京浜東北線、
東海道本線、京浜急行・本線などに乗り換えが出来るので、同駅からでも東京での移動を始める事が
出来ます。

 ただし、駅開業時点で品川折り返しの列車は設定されておらず、将来を見越しての先行投資なのか
も知れませんな。

 私も思わず品川で降りてみようかと思いましたが、客先との会合時間まで余り余裕のない列車を選
んでいたので今回はやめておく事にしました。

 東京での仕事は夕方前には片付きました。その時間から大阪に戻ると勤務時間は余裕で過ぎるので
会社には直帰する旨の連絡を入れました。

 さて・・・と、これで晴れてフリー・タイムとなったので(^^;、せっかく東京に来ている事ですし
何か乗りに行きましょう・・・。つーか、乗る路線はすでに決めていました。

 それは、東京・渋谷と横浜市にある桜木町駅間を結んでいた東京急行(通称「東急」)の東横線で、
同路線の末端部となる横浜←→桜木町間が来る2004年1月末をもって開業する横浜高速鉄道・みなと
みらい線との相互乗り入れに伴い廃止になる予定だったので、この区間の記念乗車に行きましょう。

 東横線には、かつて仕事で朝の通勤時間帯に渋谷行に乗った事がありますが、そのラッシュの凄ま
じさたるや、大阪最強のラッシュと名高い大阪市営地下鉄・御堂筋線の梅田→淀屋橋間で「手を離し
てもカバンが落ちない」級の朝ラッシュを何度も経験していた私が思わず音を上げそうになるほどの
シロモノでした。

 乗車してしばらくの間、私はロング・シートの前に立って吊革に掴まっていたのですが、とっくに
許容限度を越えているのに駅に着く度に無理矢理押し込んで来るので通路にも人が詰まって私は後ろ
から押され、吊革では持ち堪えられなくなってしまいました。

 やむなく両手で荷棚を掴んで体全体で踏ん張る羽目になったのですが、常に後ろからギュウギュウ
押され続けているので体の力を抜くと座席に座っている人に倒れ込んでしまうため、まさに拷問のよ
うな乗車でした。(それこそ渋谷までの時間が永遠のように感じました(^^;)

 それ以来、東横線の名を聞く度に私はその悲惨な体験を思い出すのでした。あのラッシュを再び経
験するくらいなら、私は5時台に起きて空いている内に乗りますな。

 それにしても、あの東横線で通勤・通学している人々は、よほど忍耐強くて腕っぷしも強いんでし
ょうな。(^^;(途中下車するなんで不可能なんとちゃうか?)

 ま、前置きが長くなりましたが、とりあえず桜木町側から乗る事にしたので、まずはJRで同駅ま
で移動しましょう。

 とは言ったものの、東京近郊のJR路線は不案内で、まだ乗り慣れていません。少し考えた結果、
東京から総武線→横須賀線直通列車で、まず大船まで行き、そこから根岸線の列車に乗り換えて南か
ら回り込むように桜木町にアプローチする事にしました。わざわざ遠回りするのは、少しでも東京近
郊路線に乗って見たかったからです。

 東京←→銚子間を結ぶ総武本線と大船←→久里浜間を結ぶ横須賀線は、途中、東海道本線を経由し
て相互直通運転が行われています。

 東京駅から総武/横須賀線に乗るのはこれが初めてですが、京葉線と同じくホームは何と地下5階
にあり、そこまで移動しなければなりません。

 東京駅の総武/横須賀線ホームに降りると、ちょうど
列車が着いたところでした。車両は同路線用に開発され
たJR東日本オリジナルのE217系で、編成中には画
像の2階建てのグリーン車を連結しています。
【東京都・東京駅】

 とりあえず次に出る逗子行に乗る事にしました。ホームで待っていると、成田空港発・新宿行の特
急『成田エクスプレス』や銚子行の特急『しおさい』などが着発して行きました。

 総武/横須賀線ホームに到着する新宿行の特急『成田
エクスプレス』です。都心と成田空港間を結ぶアクセス
特急で、車両は専用に新造された253系です。
【東京都・東京駅】
 東京駅・総武/横浜線ホームに到着する逗子行です。
このE217系と呼ばれる車両は、元々、同路線で運行
されていた113系の老朽置き換え用に新造された車両
です。近郊型ですが通勤・通学の混雑に対応するため4
ドア車でロング・シート車とセミクロス・シート車があ
り両方を混結しています。
【東京都・東京駅】

 E217系に乗るのは、これが初めてです。私が乗ったのはロング・シート車で、JR東日本の新
しい車両でよく見られるように高い座席側板が付いていました。

 到着した列車からはドっと乗客が降りたので車両端のロング・シートに何とか座る事が出来ました。
ほぼ100%の乗車率で東京から発車。

 最初に停車した新橋も地下ホームでした。後から建設した連絡線だけに都心は地下線とならざるを
得ないんでしょうな。品川の手前で線路は地上に出ました。

 駅間の長い路線を列車は快調に飛ばし、西大井、新川崎と停車してから横浜に着きました。同駅で
もそこそこ乗降があり少し乗客数は増えました。

 ここで車椅子に乗ったおじいさんが乗って来たので、私と私の横に座っていた女子高生が席を譲る
と、おじいさんは感謝の言葉を繰り返したあと、「日本は、いい国やあっ!」と大声を上げました。
そないに感激せんでも・・・。

 保土ヶ谷の停車を挟んで東戸塚に到着。ここでドっと降りて空席が出来ました。ここに何があるの
だろう?

 戸塚の停車を経て大船に到着。列車は同駅から横須賀線に入りますが、私は、ここで降りて根岸線
に乗り換えます。

 大船駅です。東海道本線が通るほか、横須賀線、根岸線の起終点
駅です。駅前は、いきなり道路で周りは商店街で
した。
【神奈川県・大船駅】
 大船駅に停車中の大宮行です。同駅から横浜までは根
岸線を通りますが、実際は京浜東北線の列車であり、同
駅は京浜東北線の起終点駅でもあります。車両は京浜東
北線の表示を掲げた209系でした。
【神奈川県・大船駅】

 大宮行はガラガラで発車しました。京浜東北線の列車には東京駅からの近場の移動でしか乗った事
がないので、こんなに空いているところは見たことがありません。

 列車は3〜5分間隔で駅に停車しました。根岸線沿線はマンションがたくさんある住宅地で、東京
方面のベッドタウンになっている様子です。

 右から首都高速の高架が近づいて来ると新杉田着。その先は左は丘陵の住宅地、右は工場地帯とな
り磯子、根岸と停車。海沿いから離れてトンネルを潜り山手、石川町に停車。同駅からは有名な横浜
中華街が見えました。

 沿線の風景は郊外から都市となり、乗ってくる乗客も増えて来ました。関内の停車を経て桜木町に
着きました。JRの桜木町駅は、2面3線のホームを持つ大きな駅でした。

 東京急行・東横線の桜木町駅です。東横線の起終点駅
です。右に沿う高架はJRの桜木町駅です。
【神奈川県・東京急行・桜木町駅】

 東急の桜木町駅はJR駅と隣接してはいましたが直接は繋がっておらず、乗り換えるには、いった
ん駅から出なければなりませんでした。

 東急の駅前では桜木町駅廃止を訴えるビラ配りをしている人々がいました。冒頭でも書きましたが、
来る2004年2月から横浜←→元町・中華街間の横浜高速鉄道・みなとみらい線が開業するにあたり東
横線が同線に乗り入れる事になったため、並行する東横線の横浜←→桜木町間が廃止される事になり
ました。

 果たして廃止に反対する理由は何だろうかと考えて見ました。東横線のウリは直接渋谷に行ける事
です。

 桜木町にはJRの根岸線や横浜市営地下鉄の駅もありますが、いずれも渋谷に行くには横浜で乗り
換える必要があるのです。

 とは言え、今回の区間廃止で桜木町から渋谷に行けなくなったわけではなく、500メートル東に、
みなとみらい線の馬車道駅が開業し、ここから乗れば相互乗り入れする東横線で渋谷まで行く事が出
来ます。

 まぁ不便があるとすれば、徒歩で桜木町駅に通っていた人々の距離が伸びたのと、これまでは始発
駅だったので座って行けたのが、途中駅となる馬車道では座れなくなる事でしょうか?

 あと、廃止区間には途中に高島町と言う駅があったのですが、みなとみらい線は高島町を経由して
いないため、同駅から東横線を利用していた人々は唯一の鉄道駅となる地下鉄に乗るほかなく、横浜
での乗り換えを余儀なくされるためさぞかし不便になるでしょうな。

 一方で、みなとみらい線を見てみると、海沿いを通る同線は、わずか4.1キロの路線長ながら横浜
の有名な観光スポットを網羅しており、とても魅力のある路線に見えました。

 東急からして見れば、距離も離れていない同線と平行開業するよりも乗り入れした方がメリットは
大きいと考えたのかも知れませんな。

 私は、いちおう駅の外観写真は撮りましたが、この当時はデジカメの記録容量の制約もあって必要
最低限の写真しか撮らない「クセ」がついていたため、駅の外観しか写しませんでした。今から思え
ば、もっとたくさん撮っておけば良かったなぁ・・・。

 写真を撮った私は、さっそく渋谷までの切符を買ってホームに上がりました。

 桜木町駅に停車中の急行・渋谷行です。車両は東急の
8590系と呼ばれる通勤型です。
【神奈川県・東京急行・桜木町駅】

 私が乗った車両には、そこそこの客がいましたが、前方の車両はガラガラで列車は桜木町駅から発
車しました。

 4分走ったあと、有名な急カーブを徐行でクリアして列車は横浜駅に到着しました。何ともあっさ
りした記念乗車でした。この急カーブも区間廃止と共に無くなってしまうのでしょうね・・・。

 横浜でドっと乗り込み、乗車率は103%ほどになりました。JR横浜線との乗換駅である菊名で
も大勢の乗車があり110%ほどになりました。この菊名駅こそが、先に書いた東急初乗車にして悲
惨な体験をした列車に乗り込んだ駅だったのです。

 懐かしい駅名に思いを馳せつつ、すでに忘却の彼方に去った景色を眺めながら桜木町から40分ほ
どの乗車で終点の渋谷駅に着きました。

 到着した渋谷駅の記憶もまたありませんでした。何せ1回しか乗ってませんし、地獄の乗車から開
放された安堵感で周囲を観察する余裕なんてなかったのでしょうな。

 さて、これで東横線の乗車は完了ですが、むぅあだ帰りませんで。(^^;


第2部:「JR相互直通運転列車」その4/
    営団地下鉄・千代田線・209系1000番台

 お次は「JR相互直通運転列車」シリーズの第4弾です。て、言うか、単に先の旅行記第14弾での
乗車時に乗りもらした車両に乗るだけなんですがね。(^^;

 旅行記第14弾では、営団地下鉄・東西線に乗り入れていた301系と103系1200番台、そして千
代田線に乗り入れていた203系に乗ったのですが、この他にも千代田線には新しい209系1000番
台が乗り入れていたのです。いわゆる勉強不足ですな。

 この209系に加えて今回は、退役した301系と103系に代わって東西線乗り入れに就いた最
新型のE231系800番台に乗る事にします。

 まずは千代田線の最寄駅となる表参道まで移動しましょう。

 営団地下鉄・渋谷駅に到着する半蔵門線の列車です。
車両は営団地下鉄の8000系です。
【東京都・営団地下鉄・渋谷駅】

 半蔵門線に乗るのは、公私共にこれが初めてです。と、言っても表参道は次の駅であり、たった2
分間の乗車でした。下車した私は千代田線のホームへと向かいました。

 営団地下鉄の表参道駅です。半蔵門線、千代田線、銀
座線の乗換駅です。当時は印象のない駅名でしたが、今
は表参道ヒルズで有名なところですな。
【東京都・営団地下鉄・表参道駅】

 さて、それではまず209系の1000番台車ですが、果たして何分待てば来るでしょうか? 先の旅
行記では40分待ったりしましたからねぇ。(^^;

 何本か列車を見送っていると、車体側面に「OER」
と文字の入った列車が着発して行きました。営団の車両
でもなさそうだし何だろうと思いましたが、後日調べた
ところ、JRと共に千代田線に乗り入れしている小田急
の1000系と判明しました。
【東京都・営団地下鉄・表参道駅】

 結局、地下鉄車5本、JRの203系4本、小田急車1本を見送って、よーやく目的の209系が
入って来ました。

 営団地下鉄・表参道駅に到着する209系・我孫子行
です。JRの通勤型209系の地下鉄乗り入れヴァージ
ョン車です。地上走行のみのノーマル209系に対して
車体幅が若干狭いのと、地下線内での非常脱出用に先頭
車前面に貫通扉を備えているのが特徴です。
【東京都・営団地下鉄・表参道駅】

 待望の209系とは言え、新しい車両なので感慨はそれほどありませんでした。同じく千代田線に
乗り入れる国鉄時代に製造された203系の方は専用設計の車両ですが、JR東日本は合理化のため
専用設計をやめ、この209系やE231系のように地上車の仕様変更ヴァージョンで対応するよう
になっていました。

 経営面から言えば優れた案ですが、様々な形式の車両に乗るのも楽しみのひとつである鉄道ファン
としては面白みに欠けてしまいますな。

 さて、お次は東西線に乗り入れているE231系800番台です。東西線に乗り換えるため、私は
大手町で降りました。


第3部:「JR相互直通運転列車」その5/
    営団地下鉄・東西線・E231系800番台

 前回、大手町で東西線から千代田線に乗り換えた時は、いったん改札の外に出されてしまったので
すが連絡通路はないのでしょうか?

 何気に案内表示に従って歩いて行くと連絡通路がありました。なんや、ちゃんとありまんがな。

 大手町駅の東西線←→千代田線の連絡通路です。ある
にはありましたが、優に数百メートルはある長〜い通路
でした。ま、それでも改札を出て乗り換えるよりは近い
ような気がします。
【東京都・営団地下鉄・大手町駅】

 次のE231系乗車ですが、いったん東陽町まで行ってから戻りに乗る事にしましょう。なぜ東陽
町かと言いますと、旅行記第14弾の時も東陽町だったからです。

 大手町駅に到着する快速・東葉勝田台行です。車両は
営団地下鉄の新05系です。
【東京都・営団地下鉄・大手町駅】

 日本橋、茅場町、門前仲町、木場の停車を経て東陽町に到着。構内は工事中でした。

 営団地下鉄・東西線の東陽町駅です。駅周辺はマンシ
ョンなどがある住宅地です。
【東京都・営団地下鉄・東陽町駅】

 て、言うか、かつて仕事で訪れた事があった駅だと思い、先の「旅」で降りてみたのですが、正解
は、もうひとつ先の南砂町だったのです。

 東陽町では、地下鉄車3本、東葉高速鉄道車1本を見送ったところで待っていたE231系800
番台がやって来ました。

 東陽町駅に到着する中野行です。車両はJR東日本の
最新通勤型E231系の地下鉄乗り入れヴァージョン車
です。209系と同様に地下鉄規格に合わせてノーマル
車より車体幅が狭くなっています。見た目は209系と
まったく同じですな。
【東京都・営団地下鉄・東陽町駅】

 元々、ノーマルの209系後期製造車はE231系の先行量産型だっただけに両者は共通点も多い
のです。車内の内装も、ほぼ同じに見えます。

 東陽町から引き返した私は大手町で降りました。ここから歩いて東京駅に向かいます。営団地下鉄
にも東京駅はありますが、大手町で丸の内線に乗り換えてわずかひと駅だし歩いても300メートル
ほどしかないので大手町から歩いた方が手っ取り早いのです。

 大手町からは長大な地下連絡通路で東京駅まで歩きました。さて、それでは大阪へ帰りましょう。
しかしながら、東海道新幹線の空席状況盤を見ると何と1時間半後の列車まで指定席は満席になって
いました。

 さすがに「アフター5」の新幹線は混んでますな。そこで指定席はあきらめて20:13発の『のぞみ
155号』の自由席に「早並び」する事にしました。始発駅である東京ならでは出来る「技」です。

 車内で食べる夕食用に東京駅の駅弁コーナーで「特選
弁当・東京」を購入しました。

 『のぞみ155号』の自由席は1〜3号車の3両です。私は1号車に乗り込みましたが、さすがに
ほぼ満席となって東京駅から発車しました。

 8分で次の品川に到着。この駅から自由席に乗って来た二人組みのビジネスマンがいましたが、満
席の車内を通りながら「自由席が少なすぎるんだよ」と、ぶつぶつ言いながら結局、デッキで立ち乗
りとなりました。何せ指定席も空いてませんからな。

 まぁ、品川から座ろうとしたら、やはり事前に指定席を買っておく必要があるでしょう。私だった
ら東京まで出てから自由席に座って行きますな。

 新横浜でも自由席に乗って来る人がいました。私もかつて何度か新横浜に出張で来ましたが、帰り
はもっぱら『こだま』を利用していました。(まぁ、その当時は、まだ『のぞみ』が少なかった頃で
したが・・・)

 23:00に新大阪着。この時間では博多、東京方面共に新幹線の列車は終わっています。『のぞみ1
55号』から降りた乗客を見ると、やはりビジネスマンが多く見えました。

 これで「経費」での小旅行は終わりです。(^^;

 『列車まかせの旅』小旅行記第8弾、おわり。


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