2005年4月24日掲載
『列車まかせの旅』小旅行記第7弾(2003年9月29日)


「ちょっとこだわりの列車」その30/新幹線『こだま638号』

 旅行記第17弾から戻った翌日、私は広島へ出張する予定になっていました。広島方面には未乗車
の路線がたくさんあるので、「ついで」でそのどれかを乗り潰したいところなのですが、あいにくい
ずれも広島より「向こう側」、もしくは北方面に伸びる路線ばかりでした。

 仕事で行くわけですから、さすがに往復の経路を外れての乗車をするわけにも行きません。かと言
って、在来の山陽本線は全線乗覇済みなので在来線で帰るのも意味がありません。

 往復の経路を大きく逸脱しない範囲で何か面白いネタは無いものかと首を捻っていると、山陽新幹
線に4両編成のミニ『こだま号』が走っているのを思い出しました。

 東海道新幹線と比べて利用率の少ない山陽新幹線では、東海道より運行本数が少ない上に、『こだ
ま号』についても6両と4両に短編成化が成されています。

 短編成『こだま』の中で、4両編成の列車は運用設備の関係で新大阪駅に乗り入れる事が出来ない
そうであり、その都合により姫路以西のみで運用されている異色の存在なのです。今回は帰路でそい
つに乗る事にしましょう。

 まずは広島への移動です。会社の規定で岡山以西は新幹線の指定席が利用出来るので、指定席で行
く事にしました。

 新大阪駅に停車中の『ひかり369号/レール・スタ
ー』です。広島までの移動に乗ります。
【大阪府・新大阪駅】

 乗車券にある4号車に乗り込み座席に着いてみると、前のポケットに何やら案内のシートが差し込
まれていました。

 そのシートを見ると、何とこの車両はサイレンス・カーでした。指定券を購入する際にサイレンス
・カーを所望した分けではなかったのですが、たぶん一般の指定席が空いていなかったのでしょう。
サイレンス・カーに乗るのは、これが初めてです。

 座席のポケットに差し込まれていたサイレンス・カー
の案内シートです。サイレンス・カーでは車内放送が行
われないため、ゆっくり寝て行きたい人などが利用する
のでしょう。
【『ひかり369号/レール・スター』車内】
 座席前のテーブルの上にはチケット・ホルダーがあり
ました。ここに切符を差し込んでおけば、眠っていても
勝手に検札して行ってくれると言うわけです。
【『ひかり369号/レール・スター』車内】

 発車前の、いつもの案内放送が一通り終わるとサイレンス・カーの車内放送は休止され静かになり
ました。

 他の車両では放送が続いているようで、デッキ・ドアが開くとデッキに流れる放送が聞こえて来ま
した。以後、博多到着前まで放送は行われないので途中駅で降りる人は寝過ごさないように注意しな
ければなりません。

 広島までの道中、確かに駅着時にも放送はありませんでしたが、車内では普通に会話する人たちは
いました。面白かったのは車販のカートも無言で通過していた事でした。

 岡山を出ると次は広島です。眠ってしまわないように注意していると、広島到着前に突然、駅着の
放送が流れました。車掌が操作を間違えたのでしょうか?



 閉話休題・・・


 広島での仕事を済ませ、時刻表で次の4両編成の『こだま』の発車時刻を確かめると14:52発でした。
姫路行きなので、たぶんガラガラでしょうが、私はあえて指定券を購入しました。

 余談ですが、時間潰しで駅の周辺をウロついていると、コカコーラの自販機で『ジョージア/テイ
スティ』を発見したので大喜びで購入しました。広島にもあったんですな。

 『こだま638号』の指定席特急券です。同列車の指
定席は4号車のみです。

 ホームに上がって待っていると、14:44に博多方より『こだま638号』が到着しました。

 広島駅に到着した『こだま638号』です。100系
4両編成の列車です。
【広島県・広島駅】
 長大な16両編成用ホームに、ちょこんと停まってい
る4両の『こだま638号』は、何ともかわいらしく見
えてしまいます。
【広島県・広島駅】

 指定席の4号車には誰も乗っていないだろうと思っていたら、意外や7〜8人の乗客が座っていま
した。

 自分の席に行くと、そこには大荷物を抱えた先客の男性が座っていました。私が「そこの席なんで
すが」と声を掛けると、男性は大慌てで移動して行きました。こんなに空いているのに、わざわざ私
の席に座るとはね。

 100系の車内です。何度も乗っているので今さら撮
る事もないのですが、ま、記念に。
【『こだま638号』車内】
 小ネタですが、座席のヘッド・カヴァーにはJR西日
本のロゴが刺繍されていました。
【『こだま638号』車内】

 『こだま638号』は定刻に広島を発車しました。この列車には車販は無いとの事でした。15分
ほどで東広島駅に到着。同駅では例の大荷物を抱えた男性を含めて数人が降り、ひとりが乗って来ま
した。

 新尾道では、ひとり降りてふたり乗りました。同駅では4分停車し後発の「レール・スター」を先
行させました。次の新倉敷でも3分停車。同駅ではふたり乗りました。

 列車が岡山に着くと、私以外の全員が降りました。入れ替わりに5〜6人が乗って来ましたが、そ
の中のふたりは自由席車の方に移動して行きました。

 長時間の停車中に後着の500系『のぞみ』が先発して行き、乗り替え客なのか、さらに3人が乗
って来ました。

 次の相生では乗降は無く、広島から1時間48分で終点の姫路に到着しました。これで日本最短編
成新幹線の乗車は完了です。

 姫路は在来線移動圏内なので、ここから先は在来線で大阪まで戻ります。

 姫路駅に停車中の野洲行・新快速3642Mです。ちなみ
に、姫路→大阪間の所要時間は、新幹線ならば新大阪乗
り替えで約45分程度、新快速ならば約1時間と大して
変わりません。
【兵庫県・姫路駅】

 新快速は、いつも乗車率が高く、発車間近に乗った今回も混んでいて立ち乗りになってしまいまし
た。姫路を出た新快速は特急並の130キロで驀進し、途中、加古川、西明石、明石、神戸に停車し、
姫路から38分で三ノ宮に到着しました。

 この先、大阪までに停まる駅は尼崎のみ。これは阪急・神戸線の特急よりも少なく、130キロの
高速運転と相まって、平行する私鉄各社より輸送旅客数でリードしている要因となっています。

 三ノ宮では、乗降口付近に立つ私の横に、イケた服装の若い兄ィちゃんがふたり立ちました。否応
がなしに聞こえる会話によると彼らは大学生のようですが、片方の兄ィちゃんは、カードがずらりと
差し込まれたヴィトンの財布を持ち、指にはティファニーの指輪をしていました。

 そして彼らの会話は、バイトの話だの、今度バイクを買って貰うだの、ビル・ゲイツがどうのこう
のと、何がなんだかよく分かりませんでした。

 金持ちのボンボンならバイトなんかする必要はないし、だいいち混んでる電車に立ち乗りなんかせ
んでも、親にポルシェか "BM" あたりでも買って貰ってクルマで出掛けるでしょうな。と、なると、
山の手の金持ちの娘とでもつき合って貢いで貰っているのかな・・・?

 立ち乗りの退屈しのぎに、そんな下司の勘ぐりをしている内に新快速は大阪に到着しました。

 大阪駅でホームに降りると、対面の10番ホームから
寝台特急『日本海1号』が出発するところでした。通勤
時間帯の大阪駅に停まっているブルー・トレインは、何
とも異様な存在です。
【大阪府・大阪駅】

 『列車まかせの旅』小旅行記第7弾、おわり。


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