2005年04月30日掲載
『列車まかせの旅』第15弾(2003年08月28日〜29日)


第3部:「ちょっとこだわりの列車」その15/特急『つばめ24号』

 西鹿児島駅で指宿枕崎線の列車から降りた私は、次に乗る特急『つばめ24号』が出るホームへと
急ぎました。乗り替え時間は8分です。

 特急『つばめ』は、鹿児島本線を走り博多←→西鹿児島間を結ぶ九州の幹線特急のひとつであり、
1日に14往復が運行されています。

 今回、この『つばめ』をこだわりとして選んだのは、来年開業する九州新幹線の列車が『つばめ』
の名を冠する事が決まっていた為、在来線の『つばめ』の名前が消滅する可能性があったからです。

 ともあれ、旅行記の記事書きを1年近くサボっている内に九州新幹線は、とっくに開業してしまい、
特急『つばめ』は、運行区間を博多←→新八代間に短縮し、『リレーつばめ』として残りました。

 この『リレーつばめ』の各列車は、九州新幹線との連絡が目的であり、新幹線の各列車と一本化さ
れて運行されています。

 余談ですが、九州新幹線の開業と共に平行在来線である鹿児島本線の八代←→川内間も第三セクタ
ーの『肥薩オレンジ鉄道』に移管され、それに伴い本旅行記の第1部で乗った寝台特急『なは』も、
運行区間が熊本までに短縮されてしまう事になりました。

 まったくのノー・マークだったのですが、結果として『なは』での熊本←→西鹿児島間は今回が乗
り納めになってしまったのです。これで西鹿児島を着発とするブルトレは1本も無くなってしまいま
した。悲しい事ですね・・・。

 でと、話を特急『つばめ』に戻しまして、 私は、特急『つばめ24号』の博多向き先頭車となる
7号車に乗り込みました。

 特急『つばめ24号』のB特急券です。ちなみに、7
号車は上り列車では先頭車となります。
 西鹿児島駅に停車中の17:25発・博多行・特急『つば
め24号』です。JR九州が誇る新鋭特急車両群のひと
つで787系と呼ばれる車両です。何ともヨーロピアン
なマスクをしていますな。
【鹿児島県・西鹿児島駅】
 787系の車内です。客室の中央付近に仕切壁みたい
な感じで荷物置き場がしつらえてありました。
【特急『つばめ24号』車内】
 座席です。新型特急でよく見られる背もたれの「薄い」タイプで
した。背面には大型のテーブルが備えられています。
【特急『つばめ24号』車内】
 荷物置き場は棚ではなく航空機と同じ収納ボックス・
タイプでした。
【特急『つばめ24号』車内】
 先頭車なので車端ドアの向こうは運転室です。ドアの
上には電光表示器がありました。
【特急『つばめ24号』車内】
 窓は各座席列ごとに小型でシンプルなものがありました。窓下の
「物置スペース」が無いので、随分と壁が薄く感じられますな。
【特急『つばめ24号』車内】

 7号車は、車両中央から前半分が指定席、後ろ半分が自由席と言うけったいな座席設定となってお
り、指定席のヘッド・カヴァーには「指定席」の文字が表記されていました。

 ちなみに、本列車の編成は、1号車がグリーン車、2〜4号車が指定席、5、6号車が自由席、そ
して7号車のみが指定/自由の混席設定となっています。

 定刻の17:25、『つばめ24号』は博多に向けて西鹿児島駅から発車しました。乗車率は確認して
いませんでしたが、6割程度だったと思います。

 14分走って本日三度目の来訪となる伊集院に停車。その後、串木野、川内と停車したあと、川内
から二つ目の草道駅で信号停車しました。

 九州の動脈幹線である鹿児島本線ではありますが、この辺りは単線なんですな。間もなく、下りの
『つばめ17号』と交換しました。

 阿久根駅の手前では左手に海が見えましたが、私の座席は右側だったので残念ながら堪能する事は
出来ませんでした。

 出水駅のひとつ手前の西出水で信号停車。ここで『つばめ19号』と交換しました。そして18:43に
出水駅に停車。

 ここはかつて、2泊3日の行程で鹿児島に仕事に来ている最中に、ここ付近を震源とする大きな地
震に遭遇した事でよく憶えている地名です。

 その折りには、地震の影響で鹿児島空港が閉鎖され、周辺の高速道路も通行止めとなり、あちこち
で土砂崩れが起こる被害が出ました。私が泊まっていた鹿児島市内のホテルもエレベータが使用禁止
となりました。

 次に停車した水俣駅では、車窓からコンテナ列車が見えました。19:10頃に信号停車した湯浦では
『つばめ21号』と交換しました。

 19:37に八代に到着。同駅では、構内にJR九州オリジナルの通勤型車両815系が停車していま
した。

 八代を出たところから、どうやら線路が複線になったように見えました。ここから先は交換停車な
しで快調に飛ばせるのでしょうか?

 19:59に熊本に到着。西鹿児島を出てからここまで2時間半が経過していました。同駅構内には、
3編成の815系列車の姿が見えました。

 旅行記第2弾(RV)で、4車種あるJR九州オリジナルの一般車の内、813系、817系の2
車種は乗った事があり、今回の旅行では、明日の旅程中に811系に乗る予定でなのですが、残念な
がら、残るこの815系には乗る機会がありません。

 また別の機会に乗りに来るしかありませんが、目の前に未乗車の車両があるのに乗れないのは、実
にもどかしい気分です。

 熊本駅では、列車の乗務員が交代しました。熊本を出て僅か3分で上熊本に停車。何でわざわざ隣
の駅に停まるのかと訝っていると、駅前に路面電車らしき車両が見えました。

 これは後に知った事ですが、上熊本は、熊本市電(路面電車)の他、私鉄の熊本電鉄の接続駅だっ
たのです。

 20:30に大牟田に停車。同駅では、隣のプラットフォームに特急『有明45号』らしき列車が停ま
っているのが見えました。

 大牟田駅で会合した熊本行の特急『有明45号』です
『有明』は、小倉と豊肥本線の水前寺間を結ぶ特急で、
我が『つばめ』と同じく787系の車両で編成されてい
ます。この45号は下りの最終列車であり、熊本止めと
なっています。
【特急『つばめ24号』の車窓より】

 20:49に久留米に到着。外は豪雨になっていました。同駅構内には、まだ乗った事がないキハ12
5系の単行車が停まっていました。あれは、ここから分岐する久大本線の普通列車用の車両なのでし
ょう。

 また久留米停車中には、車内販売を終了する旨の放送がありました。博多までは、あと28分で着
きます。

 長崎本線との分岐駅である鳥栖では、対面のホームに佐世保に向かう特急『みどり25号』の姿が
見えました。

 長崎方面には、乗ってみたい列車や車両がわんさかあります。私は羨望の眼差しで『みどり』が出
て行くのを見送りました。

 鳥栖を出ると、アテンダントが車内でゴミ集めを始めました。そして西鹿児島を出てから3時間5
2分後の21:17、『つばめ24号』は終点の博多駅に到着しました。

 ほぼ4時間の乗車時間でした。特急としてはロング・ランの部類に入ると思います。実際に乗って
みて、博多と鹿児島間の距離の遠さを実感させられました。

 これが九州新幹線が開業すると一気に2時間半程度に短縮される事になるのです。便利になる反面、
列車好きとしては、何か味気なくなってしまうような来もしますな・・・。


第4部:「ちょっとこだわりの列車」その16/特急『かいおう2号』

 さてと、次は特急『かいおう2号』です。接続時間は8分しかないので、悠長に構えている余裕は
ありません。

 今回、こだわりの列車のひとつに選んだ『かいおう』は、博多と筑豊本線の直方間を結ぶ短距離特
急であり、私の「にわか」鉄道知識では、JRの中で最短運行距離の特急だと思っている列車です。

 今回乗る『かいおう2号』は、21:25に博多を出て22:14に直方に着きます。運行時間は僅か49分。
運行距離は、ほんの47.4キロに過ぎません。

 直方は博多の通勤エリアでもあるため区間運転が行われており、同区間を走る快速でも56〜57
分程度で博多←→直方間を結んでいます。

 では、なぜそんな近距離にわざわざ特急が設定されているのかと言いますと、この『かいおう』が
通勤ライナー的列車としての役割を担っているからなのです。

 それは『かいおう』の運行形態を見れば一目瞭然です。上りの『かいおう1号』は、直方7:13発で
博多8:00着の朝1本のみ。下りの『かいおう2号』は先述の通りの夜1本のみと通勤方向に合わせて
設定されているのです。

 普通は「特急」と聞いただけで通勤用として利用しようとは思いませんが、『かいおう』の特急料
金は僅か400円。これは他地域で運行されている通勤ライナーの乗車整理券と比べても90円高いだけ
なのです。

 だったら列車種別をライナーにしてしまえば良いような気もするのですが、あえて特急としている
のには、何か分けがあるのでしょう。

 787系6両から成る『かいおう』の編成は、1号車がグリーン車である他は、すべて自由席車と
なっています。いかにも通勤ライナーらしい編成ですな。

 今回は、そのJR特急・最短運行距離の『かいおう』をこだわり尽くすべく、あえてグリーン車を
予約して見ました。(←アホや・・・(^^;)

 ところが、事前に切符を購入した際に、ちょっとした珍事が発生しました。渡された切符を見ると、
座席が何とC席になっていたのです。

 特急『かいおう2号』の特急券・グリーン券です。何
と通路側(と、思い込んでいた(^^;)C席になっていま
した。

 おいおい、大して時間の変わらん快速が走っているような区間の特急で、しかもグリーン車だぞ?
何で通路側のC席になるの?

 私はてっきりガラガラだろうとタカをくくっていたのですが、グリーン車で通路側になってしまう
とは、こりゃひょっとしてけっこう人気があるんだろうか・・・?

 しかし、これはグリーン車慣れしていない私の浅はかな勘違いであった事が、後ほど判明するので
ありました。(^^;

 『かいおう』が出る博多駅8番ホームに着いてみると、列車はすでに入線していました。先頭車を
見てみると、何と「ARIAKE」のロゴが入っていました。どうやら特急『有明』用の編成を間合いで充
当しているようですな。

 博多駅8番ホームに停車中の特急『かいおう2号』で
す。『つばめ』と同じく車両は787系ですが、先頭車
の「787」のロゴの下には小さく「ARIAKE」の文字が
入っていました。
【福岡県・博多駅】

 先頭車の写真を撮ったあと、ホーム上を自分の乗る最後尾のグリーン車へと向かいつつ自由席の車
内を覗いて見ると、やはりガラガラです。ありゃりゃ?

 どうなっているんだろう? そうか、座席指定が出来るのはグリーン車だけだから、グリーン車だ
けは混んでいるのかも・・・。

 とか何とか考えつつ、最後尾のグリーン車に乗り込んで見ると、そこには人っ子ひとりいませんで
した。

 そこで私が見たものは、3列しかないグリーン車の座席配置でした。あー、そーゆー事ね。だから
C席なのね。2+1の3列配置だと単独席がC席になるのです。(^^;

 私は心の中で赤面してしまいましたが、考えてみれば在来線列車でグリーン車に乗るのはこれが初
めてなのです。勘違いしてもしゃーないですわな。

 787系のデッキでドアを内側から写したところですJR九州の
新車両は派手なカラーリングが特徴ですが、ドアも内側はコーポレ
ート・カラーである赤色に塗装されていました。
【特急『かいおう2号』車内】
 787系のグリーン車内の様子です。ご覧の通り座席
は3列しかありません。C席は左側の単独席の方になり
ます。このグリーン車には座席は5列しかなく、それに
加えて後方の運転席方向にはガラスのドアで仕切られた
コンパートメントがありました。
【特急『かいおう2号』車内】
 グリーン車の座席です。座席は背もたれが途中で折れるタイプで
あり、座り心地は抜群です。
【特急『かいおう2号』車内】

 座席の快適さは、これまで乗った列車の中で最高でした。グリーン車だから当たり前と行ってしま
えばそれまでなんですが、物の記事によるとJR九州の特急のグリーン車の装備はJR6社中でもト
ップ・クラスとか。その言葉が納得できる座席でした。僅か49分しか乗れないのが残念です。

 『かいおう2号』は、定刻の21:25に博多駅を出発しました。結局、グリーン車の乗客は、私ひと
りだけでした。(^^;

 静かな車内で私は座り心地を楽しみつつ外の夜景をぼんやり眺めていましたが、一向に検札に来る
気配がありません。グリーン車に乗る物好きはいないと思われているのかな?

 もはや検札は省略されるのかと思っていると、2つ目の停車駅である桂川を出たところでようやく
車掌が現れました。

 その後は何事もなく、途中駅の乗降も確認出来ないまま22:14に終点の直方駅に到着しました。ホ
ームに降りてみると、私以外に『かいおう』から降りたのは7〜8人程度だったようです。雨は上が
っていましたが、外は湿気で蒸し暑くなっていました。

 直方駅です。筑豊本線が通るほか、第三セクターの平
成筑豊鉄道の起終点駅でもあります。
【福岡県・直方駅】

 これで今日の目的列車の乗車は完了で、今日はホテル泊まりとなるのですが、あいにく直方ではホ
テルを見つけられなかったので、『かいおう』に乗ってやって来た博多方面へ5駅戻った新飯塚駅近
くのビジネス・ホテルに泊まります。私は新飯塚までの切符を買うとホームに戻りました。

 直方駅の博多方面行ホームの案内板に表示される博多
行・快速4669Hの案内です。はて、「B2両」ってのは
何の事だろう?
【福岡県・直方駅】

 ふと見ると、対面側のホームに室内灯を消した気動車の回送列車がアイドリングしたまま停まって
いました。

 それは一見して見慣れたキハ40タイプでしたが、何気に近づいて形式を確かめてみると、キハ1
47系でした。

 キハ147は、キハ47のエンジンを高馬力のタイプに換装した強化型です。実は指宿枕崎線の1
本目の列車として乗りたかったのが、まさにこの車両だったのです。

 直方駅に停車中のキハ147系の回送列車です。筑豊
本線の折尾←→桂川間は電化されていますが、その先の
折尾←→若松間は非電化ですから、この列車はそこで運
行されているのでしょう。
【福岡県・直方駅】

 私がため息をつきながら見つめていると、キハ147系の回送列車は、ディーゼル・エンジンを轟
かせながら発車して行きました。

 ホームで待っていると、22:40に折尾からの直方止め普通列車が到着しました。同列車から降りた
中の数人はホームに留まりました。私と同じ列車に乗るのでしょう。

 22:50、博多行・快速4669Hが到着しました。列車は、旅行記第2弾(RV)でも乗った817系2
両編成のワンマン列車でした。

 直方駅に到着する鹿児島本線・黒崎発、福北ゆたか線
経由・博多行・快速4669Hです。817系2両編成のワ
ンマン列車でした。
【福岡県・直方駅】

 列車は16分で新飯塚駅に到着しました。同駅は、実は1時間前に特急『かいおう2号』で一度停
車していたのでした。

 ひと気のない駅構内のコンコースでは、ひとりの若者がギターの弾き語りをしていました。さてと、
ではホテルへ向かいましょう。・・・


 明けて8月29日。本日の目標は、鹿児島本線を走る811系の乗車と、博多まで出て、福岡市営
地下鉄に乗り入れるJR車2車種の乗車。それが終わったらお仕事が待っています。(^^;

 新飯塚駅です。筑豊本線が通るほか、後藤寺線の起終
点駅でもあります。
【福岡県・新飯塚駅】

 さてと、まずは鹿児島本線に乗るために得意の折尾駅まで出る事にしましょう。私は博多までの切
符を買うと改札を抜けて折尾方面行の1番ホームに降りました。

 時刻表を調べたところ、この時間には折尾まで直接行ける列車がなかったので、まずは新飯塚8:25
発の直方行・普通2624Hに乗ります。

 1番ホームで待つ乗客は、ほんの数人しかいませんでしたが、「対岸」の2番ホームには数十人の
人々が待っていました。その中には、ヘルメットを被ったJRの社員もいました。

 あのJR社員は何をしているのだろうと訝っていると、目があった瞬間に「直方行は2番ホームで
すよ!」と声を掛けられました。

 え? え? どーゆー事? 直方方面は1番ホームじゃないの? 私は何が何だか分からない内にJR
社員の言われたまま陸橋を渡って2番ホームに移動しました。

 するとほどなく、博多方面より2番ホームに直方行の列車が入って来ました。うーむ・・・。

 新飯塚駅に到着する博多発・直方行・普通2624Hです
何と813系と817系の混結列車でした。
【福岡県・新飯塚駅】

 普通2624Hがホームに停車すると、編成の後ろになる817系の切り離し作業が始まりました。こ
こから直方までは前の813系2両編成で運行するみたいです。先のJR社員は、切り離しのために
ホームにいたんですな。

 到着した普通2624Hは、813系(前方)と817系
(後方)の混結編成でした。人々が並んでいるのが前方
編成です。真ん中に立っているのが私に声を掛けてきた
JR社員です。
【福岡県・新飯塚駅】

 それにしても、福北ゆたか線(筑豊本線)にも813系が投入されているとは知りませんでした。
てっきり同線は817系のみで運行されていると思っていたのですが・・・。

 新飯塚を出た列車は、8:42に終点の直方駅に到着しました。ここからは8:44発の若松行・普通6526D
に乗り替えます。

 直方駅で乗り継いだのは、何とキハ47系気動車の2
両編成でした。何とも珍しい運行形態の路線です。
【福岡県・直方駅】

 普通6526Dは、乗車率20%程度で直方を出発しました。それにしても、JRの最新型近郊型電車か
ら国鉄時代の旧式気動車へ乗り継ぎとは、朝っぱらから列車好きを楽しませてくれる路線ですな。そ
して列車は、9:09に我がお気に入りの折尾駅に到着しました。

 折尾駅構内の壁に掲げられている乗り場案内の看板で
す。同駅を初めて訪れる人たちには必須の代物です。
【福岡県・折尾駅】

 折尾駅を訪れるのは、旅行記第2弾(RV)以来、ほぼ1年ぶりです。私はさっそく鹿児島本線の
博多方面行ホームに移動すると、時刻表を広げて次に乗る列車を思案しました。

 次に乗る予定の811系は、元々鹿児島本線の快速用に開発された車両です。となると、必然的に
乗るのは快速になります。えーと、次の快速の時刻はと・・・。

 ホームに立って考えていると、目の前を寝台特急『さくら/はやぶさ(併結)』や、ED76型電
気機関車に牽かれた貨物列車などが次々と通過して行きました。

 次の811系列車は、9:41発の快速・久留米行だろうと予想した私は、ホームでのんびりと待って
いました。

 そこへ、9:27発の普通・大牟田行が入って来ました。見ると何と811系ではありませんか!

 「おっと!」

 完全に不意を突かれた私は、写真も撮れずに慌てて同列車に飛び乗りました。

 811系の車内の様子です。快速用に開発された車両
で、オール・クロス・シートとなっています。
【鹿児島本線・普通・大牟田行2343M車内】
 811系の座席です。普通の転換クロス・シートですが、ヘッド
・レストがカヴァーなしのビニール製であるところは813系など
と同じですな。
【鹿児島本線・普通・大牟田行2343M車内】

 乗車率は20%程度だったので私は楽勝で座れました。それにしても、811系は快速専用だと思っ
ていたのに、これはひょっとするとJR西日本の221系やJR東海の311系みたく世代交代の時
期に入っているのかも知れませんな。

 折尾から2つ目の遠賀川停車中に特急『ソニック8号』に抜かれました。さらに途中2駅に停まっ
て赤間に到着。同駅では9分停車するとの事でした。

 同駅に停車していると、9:56に快速・久留米行が追いついて来て隣のホームに到着しました。見る
と、この列車も811系です。

 当初は、折尾からこの列車に乗る予定だったのであり、私の見立ては間違っていなかった分けです
が、見ると車内は満員であり、さらに我が普通列車からも大勢が乗り替えて行くのが見えました。

 あっちの列車は言わば811系の「本業」の姿ではありますが、ここから博多までは快速でも、ま
だ30分以上掛かりますし、とりあえず811系乗車の実績が出来れば良かったので、私はこのまま
「普通の」811系に乗って行く事にしました。

 「本業の」811系が先発して行くのを見送ってほどなく、対面のホームに、スペース・ワールド
のPR塗装が施された811系が到着するのが見えました。

 あれにも乗ってみたいなと考えていると、またしても特急『ソニック10号』が猛然と我が列車を
追い抜いて行きました。

 その後は後続列車に追い抜かれる事もなく、我が普通2343Mは走り続けました。千早駅付近に来る
と、列車は真新しい線路を走り始めました。前回来た時は、こんな新しい線路は無かったと思います。

 そして折尾を出てから1時間16分後に、普通2343Mは博多駅に到着しました。赤間で先発した久
留米行の快速からは16分遅れの到着となります。

 博多駅に到着した大牟田行・普通2343Mです。これが
811系と呼ばれるJR九州オリジナルの近郊型車両で
す。快速用に開発されたと聞いていますが、現在では普
通列車での運用もあるようですな。
【福岡県・博多駅】


第5部:「JR相互直通運転列車」その3/福岡市交通局・空港線
    103系1500番台、303系

 さて、それでは本「旅」最後の目的列車に乗りに行きましょう。それは福岡市交通局が運営する地
下鉄・空港線に相互乗り入れしているJR車です。

 全国の地下鉄でJRが相互乗り入れをしているのは東京の東京メトロ(旧営団)と、ここ福岡市交
通局の2ヶ所だけです。

 地下鉄・空港線は、福岡空港と姪浜間13.6キロを結んでおり、そこから先、唐津まで延びるJR筑
肥線と相互乗り入れを行っていますが、JR筑肥線側の乗り入れ区間は姪浜から12.7キロにある筑前
前原駅までとなっています。

 JRの地下鉄乗り入れ用車両としては、東京メトロと同様に専用車両が充当されています。ひとつ
は国鉄通勤型車両の雄103系を改造した1500番台車。もうひとつはJRに変わってから乗入専用に
新造された新鋭の303系です。

 いったん博多駅の改札を出た私は地下鉄の駅に向かいました。同じ駅でJRからJR車に乗り替え
るのですが、地下鉄の博多駅は、あくまで福岡市営交通局の駅なのです。

 地下鉄・博多駅の券売機上に掲げられている料金案内
図です。地下鉄路線に加え、JR筑肥線や、貝塚駅で接
続する私鉄の西日本鉄道・宮地岳線の料金も掲載されて
います。
【福岡県・福岡市営地下鉄・博多駅】
 券売機で購入した地下鉄・博多→JR筑前前原の乗替
切符です。

 今日は時間の制約もあるので、残念ながら地下鉄・博多駅とJR筑前前原駅間を1往復するのみで
す。私は切符を買うとホームに降りました。

 前旅行記で東京の営団地下鉄(現・東京メトロ)でJR車に乗ろうとした時などは、駅で、いつ来
るか分からないJR車を延々40分も待ち続けたりしましたが、ここではJR列車の時刻表がちゃん
とあるので安心です。

 姪浜方面行ホームで待っていると、最初に入って来た
のは市営交通局の2000系でした。
【福岡県・福岡市交通局・博多駅】

 続いて到着したのは、お目当ての列車である博多11:06発の筑前前原行・普通457Cでした。J
R車2車種の内、どちらが来るのかまでは分かりませんでしたが、この列車は新型の303系でした。

 地下鉄・博多駅に到着するJRの筑前前原行・普通4
57Cです。新鋭の303系で編成された列車でした。
【福岡県・福岡市交通局・博多駅】

 さっそく乗り込むと、座席は満員で座れませんでした。パっと見で乗車率は110%程度と言うとこ
ろでしょうか?

 発車して祇園、中州川端に停まった後に天神駅に到着。同駅は西日本鉄道の西鉄福岡駅との接続駅
です。ここでは半分近くが一気に降りました。

 天神を後にし、途中、地下鉄駅6駅に停車し、姪浜の手前で地上に出ました。11:25に姪浜到着。
ここで乗務員が交代しました。

 姪浜を出るとJR筑肥線に入ります。出てすぐ右手に海が見えましたが光の加減で撮影は失敗しま
した。

 途中、4駅に停車しつつ、11:43に終点の筑前前原駅に到着しました。到着時の車内はガラガラで
した。

 筑前前原駅到着時に撮った303系の車内です。JR
九州のコーポレート・カラーである赤色がふんだんにあ
しらわれており、何とも派手やかに見えます。座席はロ
ング・シートですが、着席率を上げる工夫として座席が
一人分ずつ区分けされています。
【JR筑肥線・普通・筑前前原行457C車内】

 筑前前原駅については何も予習して来なかったため、周辺に何があるのかも知りませんでした。唯
一、時刻表から読めるところでは、JR筑肥線の運行境界にあたる駅であり、ここから唐津方面は、
博多方面に比べて列車の運行本数が半分程度になってしまうと言う事でした。

 JR筑肥線の筑前前原駅です。駅前は普通の市街地で
した。
【福岡県・筑前前原駅】

 駅前には特にめぼしい物もありませんでした。私は駅に引き返すと、博多までの切符を買ってホー
ムに降りました。

 乗る列車は決めていませんでしたが、往路で303系には乗ったので、復路は残る1車種である1
03系1500番台車に乗らねばなりません。

 ホームに降りてみると、そこにはくだんの103系が停まっており、案内板によると11:58発の福岡
空港行となっていました。これに乗りましょう。

 筑前前原駅に停車中の福岡空港行・普通642Cです。通勤型の
103系を地下鉄乗り入れ仕様に改造した車両です。とは言え、フ
ロント・マスクを見る限り103系には見えませんな。
【福岡県・筑前前原駅】
 103系1500番台車の車内です。外見は別として、車
内は見慣れた103系のそれでした。
【筑肥線・福岡空港行・普通642C車内】

 車内で待っていると、やがて車両を増結する旨の放送がありました。時刻表を調べてみると、普通
642Cは西唐津始発の列車であり、ここ筑前前原駅で、いま私が乗っている車両を前に増結するよ
うです。

 11:54に西唐津からの列車が到着し増結が行われました。その4分後、列車はガラガラのまま筑前
前原駅を出発しました。

 沿線の景色は往路で見ていたので、特に何をするでもなく乗っている内に、列車は12:35に博多駅に
到着しました。

 地下鉄・博多駅から出発して行く福岡空港行・普通6
42Cです。
【福岡県・福岡市交通局・博多駅】

 さてと、これで今回の「旅」での目的列車の乗車はすべて完了です。お楽しみはここまでで、これ
から直に仕事へと向かわねばなりません。トホホ・・・。(T^T)

 博多駅に停車中の東京行『のぞみ20号』です。この
列車に乗って、直接、仕事先へと向かいます。(^^;
【福岡県・博多駅】
 今回の「旅」の "締め" の1本。当地でゲットした得
意の缶コーヒー・ジョージア/テイスティです。(^^;
【新幹線『のぞみ20号』車内】

 『列車まかせの旅』第15弾、おわり。


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