2006年5月4日掲載
『列車まかせの旅』第19弾(2003年10月12日)


 東京で寝台特急『出雲』から降りた私は、次の特急『スーパーひたち7号』に乗り換えるべく京浜
東北線で上野に向かいました。

 東京駅に到着する7:15発・京浜東北線の大宮行・普通
です。何で京浜東北線なのかは、最初に同線の列車が来
たからです。
【東京都・東京駅】


第3部:「ちょっとこだわりの列車」その33/特急『スーパーひたち7号』

 特急『スーパーひたち』は、常磐線経由で上野←→仙台間を結ぶ列車で、日に上り下りで計31本
が運行されていますが、その中で上野←→仙台の全区間を走破する列車は下り3本、上り4本の計7
本です。

 残りの列車の大半は上野と福島県・いわき間の運行となっていますが、東北新幹線の通る東京←→
仙台間をわざわざ遠回りとなる常磐線の特急で行こうと考える人はまずいませんから、『ひたち』は
常磐線沿線と東京、仙台間を結ぶのが目的の列車と言う事ですな。

 ちなみに、今回乗る特急『スーパーひたち7号』で仙台まで行くと4時間23分も掛かりますが、
東北新幹線の『やまびこ』で行けば2時間ほどで着いてしまいます。私のように仙台まで乗り通そう
と言う物好きは鉄道ファンぐらいなもんでしょうなぁ。

 特急『スーパーひたち7号』の指定席特急券です。仙
台までの全線走破列車の1番手となります。事情により
今回は喫煙席となりました。

 未だに不案内な上野駅の構内を少々彷徨ってから特急用ホームに行って見ると、『スーパーひたち
7号』はまだ入線していませんでした。

 何やらトラブルの放送が流れていたので耳をすませてみると、宇都宮線が踏切事故で不通となって
おり地下鉄で振り替え輸送を行っているとの事でした。

 宇都宮線とは東北本線の別称であり、常磐線が分岐する日暮里までは『スーパーひたち』も同じ経
路を通りますが、常磐線に関しては何のアナウンスもないので大丈夫なんでしょう。

 待つことしばし、7:40頃に『スーパーひたち7号』が17番ホームに入って来ました。

 上野駅の上越線、常磐線方面の特急ホームには中間改
札があり、乗車券と特急券をチェックされます。
【東京都・上野駅】
 上野駅の特急用ホームに停車中の仙台行・特急『スー
パーひたち7号』です。651系と呼ばれる、JR東日
本となって初の新型特急型電車です。
【東京都・上野駅】
 11両編成の『スーパーひたち7号』は前4両が仙台
行、後ろ7両は途中のいわき止まりです。画像は両編成
の連結部です。651系は先頭車に貫通路が無いので編
成連結部は通る事が出来ません。
【東京都・上野駅】
 651系の車内の様子です。新型特急然とした内装で
すが、網棚の所々に取り付けられている箱がちょっと違
和感があります。どうもこれは空調の吹き出し口のよう
です。
【特急『スーパーひたち7号』車内】
 今日びの新型特急車の座席は、背もたれが薄くて座り心地が堅め
の物が多いのですが、この651系の座席は背もたれが厚めの座席
でした。
【特急『スーパーひたち7号』車内】

 『スーパーひたち7号』は定刻の8:00に上野から発車しました。私が乗る10号車の乗客は20人
ほどでした。案内放送によると車販あり、5号車の飲料水自販機が故障しているとの事でした。

 上野を出た列車はのんびりした速度で走っていましたが、常磐線に入り北千住を過ぎると加速しま
した。この辺りは複々線となっていましたが路線構成はよく知りません。

 20分で松戸に到着。同駅ではひとり乗って来ました。他ホームには、常磐線の一般列車である1
03系や203系、営団地下鉄の乗り入れ車両などの姿が見えました。

 松戸駅で隣のホームに停まっていた常磐線一般列車の
103系です。現在では、最新鋭のE231系に後を譲
り、この103系は常磐線から退役ました。
【特急『スーパーひたち7号』の車窓より】

 松戸を出たところで近くの席に座っていたサラリーマン風のおっちゃん2人組の片方が、タバコを
くゆらせながらボヤくのが聞こえてきました。

 曰く、喫煙車が少なすぎると嘆いており、「JRにJTから役員を出向させりゃいいんだよ。2兆
円産業だぜ?」だ、そうです。

 私はタバコを吸わないので喫煙者の気持ちを理解する事は出来ないのですが、長時間吸えないとイ
ライラしたりするようですな。

 藤代の手前で電源切り替えのデッド・ゾーンがありました。ここから先は交流電化ゾーンに入りま
す。線路が複々線から複線になり車窓の風景は郊外の趣になりました。

 1989年製の651系は現在主流のインバータ車ではないので、昔ながらのモーター音を唸らせなが
ら特急らしいスピードで快走していました。

 8:50に土浦着。同駅では隣のホームで常磐線・普通列車の415系が増結作業をしていました。

 土浦では雨が降る中で増結作業が行われていました。
この列車は上野行の普通352Mでしょうか?この辺り
の常磐線一般列車は近郊型車両で運行されています。
【特急『スーパーひたち7号』】

 土浦を出ると沿線に蓮畑(?)みたいなものが見えました。車内では車販の女の子がビールの樽缶
を運んで行くのが見えました。車販のビールは紙コップでの販売ですが売れてるんですかね?

 土浦から30分ほどで偕楽園と納豆で有名な水戸に到着しました。同駅では喫煙車が少ないと文句
を言っていたおっちゃん組が降り、替わりに10人ぐらいが乗って来ました。

 水戸に続いてすぐに勝田に停車。同駅は私鉄の茨城交通の乗換駅です。車内では車販の娘が行った
り来たりして大忙しです。

 勝田から12分で常陸多賀に停車。まったく聞いた事がない駅であり、何でこんな駅に停まるのだ
ろうと思いましたが同駅では4〜5人が乗って来ました。

 常陸多賀を出ると右に海が見えました。4分で次の日立に停車。同駅では数人が乗って来ました。
さすがに日立と言うだけあってこの辺りの沿線には日立関連の工場が数多く見られました。

 『スーパーひたち7号』は、各駅間ではコンスタントに特急らしいスピードで走っていました。特
急=高速と言うイメージがあるのですが、これまで数多く乗ってきた特急の中で「らしい」走りっぷ
りを見せてくれる列車は、意外と少なかったような気がします。

 日立から約30分で泉に到着。ここでは3人が乗り、さらに5分走って着いた湯元では5人が乗り
ました。この先のいわきで編成の3分の2を切り離すのですから、てっきり乗客は減って行くものと
ばかり思っていたのですが、意外と乗車がありますな。

 湯本からわずか6分の10:21にいわきに到着、同駅でも2人が乗りました。いわき駅は郡山へと延
びる磐越東線の起終点駅でもあります。見るとホームには懐かしい駅弁売りの姿がありました。同駅
で後ろの7両を切り離し、身軽な4両編成となった『スーパーひたち7号』は仙台を目指して出発し
ました。

 四ツ倉を過ぎたところで線路が単線になったように見えました。この辺りでちょっとだけ海が見え
ましたが悪天候のせいで大荒れになっています。

 広野の手前で再び複線になったように見えました。10:42に広野に停車。同駅では対面ホームに普
通列車の701系が停まっていました。この701系を見ると東北エリアに来たなぁと実感します。

 次の木戸駅を過ぎると再び単線になったように見えました。10:55に富岡に停車。同駅ではひとり
乗りました。

 原ノ町のひとつ手前の磐城太田で上野に向かう『スーパーひたち30号』と交換しました。11:26に
原ノ町に到着。同駅では二人が降りました。見ると原ノ町のホームにも駅弁売りがいました。

 2分の停車で発車しましたがなぜか徐行しています。これは遅れていた対向列車の入線待ちで徐行
していたようです。対向列車は元急行型455系の普通列車でした。

 15分走って最後の停車駅となる相馬に停車。同駅では3人が降りました。相馬を出ると40分で
仙台に到着します。

 岩沼を過ぎて東北本線に入ると線路は複線になりました。長町を過ぎて左から東北新幹線の高架が
沿うと仙台到着の案内放送がありました。

 そして12:23に『スーパーひたち7号』は終点の仙台に到着しました。旅行記第16弾の特急『ひだ
16号』以来の4時間級特急乗車でした。

 仙台に停車中の元急行型455系です。かつて私が乗
りたがっていた元急行型の165系(全車廃車)は直流
電源専用車両でしたが、この455系は交直流両用型で
す。この車両も他の元急行型と同様に現在は一般列車と
して使用されています。まだ乗った事がない車両なので
乗りたいんスけどねぇ・・・。
【宮城県・仙台駅】
 仙台駅です。東北新幹線、東北本線、仙台市営地下鉄
が通るほか、仙山線、仙石線の起終点駅であり、常磐線
の列車も同駅が始発となっています。
【宮城県・仙台駅】


第4部:「ちょっとこだわりの路線」その13/JR仙山線

 さて、今回の「旅」における主目的列車3本はすべて乗り終えたのですが、ここから「抱き合わせ
乗車」に入ります。

 せっかく「杜の都」仙台を訪れたのですが、33分の連絡で仙台←→山形間を結ぶ仙山線の山形行
・快速『ホリデー仙山11号』に乗り換えるので市内観光をしている暇はありません。それはまた今
度にしましょう。

 仙台→山形の乗車券です。仙山線の乗り潰しを兼ねて
久々に山形を訪れるとしましょう。

 まだ発車の15分前でしたが、仙山線のホームに行くと『ホリデー仙山11号』は入線済でした。

 仙台駅に停車中の土日・休日運行列車、山形行・快速
『ホリデー仙山11号』です。平日運行されている快速
『仙山』より停車駅の数が多く設定されています。車両
は719系と呼ばれる近郊型です。
【宮城県・仙台駅】
 この719系は、仙台地区の通勤・通学輸送に使われ
ていた元急行型の451系や455系が2ドアのクロス
・シート車だったためラッシュ時の対応性が悪かったの
でそれと代えるべく新造された車両なんだそうです。
【宮城県・仙台駅】
 719系の座席はセミ・クロス配置でしたが、何とク
ロス・シートは転換式ではなく固定式の集団見合い配置
でした。
【快速『ホリデー仙山11号』車内】
 固定式クロス・シートです。背もたれは限りなく垂直に近いもの
でした。集団見合い配置なので中央の2脚は向かい合って4人掛け
になっています。
【快速『ホリデー仙山11号』車内】

 座席が固定式なので出来れば進行方向に向いた席に座りたいのですが発車する方向がわかりません。
とりあえず空いた席に座りましたが、おそらく進行向きの席は早々に地元の人たちが座ったはずなの
で空いていた席は逆向きでしょうな。

 ほどなく定刻の12:56が来て快速『ホリデー仙山11号』は、乗車率80%ほどで仙台駅から発車
しました。予想した通り私の席は逆向きでした。

 単線の仙山線に入った列車はひとつ目の東照宮をパスして6分ほどで最初の停車駅である北仙台に
到着しました。同駅では仙台行の普通1844Mと交換しました。

 仙山線に関しては何も予習して来なかったのですが、時刻表によると仙台←→愛子間は区間運転が
行われており20〜30分間隔で列車が運行されていますが、愛子←→山形間は快速のみとなり列車
は、ほぼ1時間に1本となっていました。

 同区間では普通列車が走らない代わりに約半数の快速が各駅に停まりますが、速達快速の停まらな
い駅では2時間おきにしか列車が来ません。

 北仙台を出た列車は勾配を登り始めました。後ろ向きの席に座っていると列車が登って行くのがよ
くわかります。

 次の北山駅を通過すると沿線は一気に山間の雰囲気となりました。北仙台から10分で次の停車駅
愛子(あやし)に到着。ここまでにひと山越えたような気がします。

 愛子から3駅目となる熊ヶ根の手前で、ものすごく高い鉄橋を渡りました。下を流れるのは、さと
う宗之の名曲『青葉城恋唄』にも登場する広瀬川です。

 次に停車した作並では快速『ホリデー仙山14号』と交換しました。作並を出た列車は、ここまで
ずっと平行していた国道48号線と分かれて山間へと分け入りました。

 作並を出て山間に入ったところの山肌では木々の紅葉
が始まっていましたが、見頃になるのは、あと2週間ほ
ど先でしょうか?
【快速『ホリデー仙山11号』の車窓より】

 列車は間もなく長大な面白山トンネルに入りました。そしてトンネルを出た所の面白山高原駅に停
車しました。

 面白山高原駅です。最初に駅名を見た時は、いったい
何が面白いのかと思いましたが、何でも里人が近くの山
の斜面にある滝の流れ方が変わっていて面白いのでその
山を「面白山」と名付けたのが語源なんだそうです。ち
なみに同駅の近くにはスキー場の『スノー・パーク面白
山』があります。
【快速『ホリデー仙山11号』の車窓より】

 駅舎が凝った造りの面白山高原では、そこそこ降りる人があり、たっぷり2分間も停車しました。
同駅を出た右手には滝がありました。ハイキングするには良さそうな所ですな。

 さらに7分走って次の山寺に停車。同駅は山の斜面に建立された文字通りの山寺である立石寺の最
寄り駅です。

 見上げるような山の中腹に立石寺の一部が見えました
写真に写っているのは五大堂でしょうか?後に調べたと
ころ立石寺には驚くほどたくさんの建物があり見応え十
分のようです。基本的に観光をしない私ですら、一度訪
れて見たくなるお寺です。また別の機会に尋ねてみる事
にしましょう。
【快速『ホリデー仙山11号』の車窓より】

 山寺では、対向ホームに仙台に向かう『ホリデー仙山16号』が後着しましたが、同列車からも我
が列車からも大勢が降りました。やはり皆さん立石寺を観に行くんでしょうな。

 山寺を後にした列車は羽前千歳で奥羽本線に入り、最後の停車駅となう北山形に停車しました。同
駅は左沢線の起終点駅でもあります。

 北山形から4分で快速『ホリデー仙山11号』は終点の山形に到着しました。仙台からは1時間5
分の乗車でした。仙山線は沿線の眺めも良くて見所もあり、ゆっくり途中下車を楽しみたくなるよう
な路線でした。

 さて、お次はローカル線の左沢線の乗り潰しですが、次の列車まで1時間半ほどインターヴァルが
あるので、久々に訪れた山形市内を散策しましょう。

 山形は旅行記第1弾で訪れた記念すべき地です。その時は旅慣れていなかったせいもあり霞城公園
しか散策しなかったので、今回はもう少し街中を歩きたいと思います。

 ・・・なんですが、まずは前回見落とした霞城公園の東口を見に行かねばなりません。

 霞城公園の案内図です。旅行記第1弾で訪れた時は南
口から北口へと通り抜けたのですが、今回は「正面」と
なる東口から入ります。
【山形県・霞城公園】
 霞城公園の東口です。手前の車止めと城門の間は橋に
なっており、その下にはお堀と奥羽本線の線路が通って
います。
【山形県・霞城公園】
 城門を入ると例によって正面は城壁であり、第2の門
は左手にありました。これは城門を突破して来た敵兵を
迎え撃つための工夫です。
【山形県・霞城公園】
 第2の門を潜るとそこは広場になっており、中央には最上義光公
の銅像が建てられていました。かの伊達政宗のライバルだった武将
であり、1600年の関ヶ原の合戦の時には徳川家康の東軍側に属して
おり、関ヶ原の戦場には参じなかったのの、山形に侵攻して来た西
軍側の上杉軍2万5000の攻撃を僅か3000の兵で食い止めた強者だっ
たそうです。
【山形県・霞城公園】

 前回訪れた時は、東口の一角が有料エリアのように見えたので近づかなかったのですが、霞城公園
は全体が公園として開放されていたのです。

 同公園の他の部分は、旅行記第1弾で、すでに見ていたので私は公園を後にして市内散策に向かい
ました。少しは山形の街を歩いてみませんとね。

 霞城公園近くにある、かの超有名な山形美術館です。
ミレー、ピサロ、セザンヌ、モネ、シャガールなど、フ
ランス近代絵画の巨匠達の作品を所蔵している事で知ら
れています。
【山形県・山形美術館】

 美術館の前を通り過ぎて、そのまま県道18号線を東向きに500〜600メートルほど歩いて行
くと、大型店舗の建ち並ぶ繁華街に出ました。

 後日、地図で確認したところ、ここは七日町と言う所らしいのですが若者の姿が多く見られ、山形
駅前よりも賑わっているように見えました。

 これは余談ですが、七日町の街中を歩いていてふとコカコーラの自販機を見ると、何と我が愛飲の
銘柄缶コーヒーである『ジョージア/テイスティ』を見つけたので大喜びで1本買いました。

 やっぱ街ってのは歩くいろいろ発見があるものだなぁとひとり納得しながらふと腕時計を見ると、
おおっ! そろそろ時間がヤバイ!

 時間の確認を怠った自分を呪いながら私は半ば走るような早足で山形駅に戻り、何とか左沢線の列
車に間に合いました。

 目標を定めずに散策する時は、駅に戻る時間も計算に入れて行動しなければならないと言う教訓を
身をもって知る事になりました。今後は気をつけよう・・・。(^^;

 では、続きは、また次回と言う事で・・・。

 第5部につづく・・・。


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