2005年12月31日掲載
『列車まかせの旅』第18弾(2003年9月13日)


「私鉄/公営鉄道・古今東西の旅」第2部

 さて、お次は「私鉄/公営鉄道・古今東西の旅」の最終乗車路線となる豊橋鉄道・東田本線です。

 同路線は鉄道用語で言うところの「軌道線」であり、一般的には道路上に敷かれた線路を走る路面
電車として知られています。ちなみに、普通の列車が走る線路は「鉄道線」と呼ばれており両者は区
別されています。

 軌道線について勉強したところでは、道路上を走る「併用軌道」だけでなく、鉄道線と同様に柵で
仕切られた、線路だけの「専用軌道」区間もあるようであり、厳密に言うと路面電車と言う呼び名は
正しくない事になります。

 この「専用軌道」区間は、後に実施した旅行記で乗った富山地方鉄道・軌道線(富山県・富山市)、
万葉線(富山県・高岡市)、伊予鉄道・市内線(愛媛県・松山市)、京福電鉄(京都府・京都市)な
どで見る事が出来ました。

 細かい説明は省きますが、簡単に言うと軌道線は「チンチン電車」のような小型軽量車両が1〜2
両編成で走る簡易タイプの路線と考えればよろしいと思います。

 ちなみに豊橋鉄道には東田本線以外の路線として鉄道線の渥美線があり、やはり豊橋を起点に渥美
半島のほぼ中央部に位置する三河田原駅との間を結んでいますが、東田本線と同線の間は繋がってい
ません。

 JR豊橋駅の改札を出た私は、広い自由通路を歩いて東側のテラスに出ました。豊橋鉄道の乗り場
の案内標識に従って階段を下りると豊橋鉄道の駅前電停がありました。

 ちなみに、電停名は「豊橋駅前」ではなく単に「駅前」なので、時刻検索サイト等で調べる場合も
その通り駅名を入力しなければなりません。

 豊橋鉄道のHPで事前にチェックしたところでは運賃は1回乗車毎に150円均一となっていまし
たが、見れば電停の隅に自動券売機があったので、大人と子供のふたつしかボタンがない同券売機で
大人用の150円の切符を買いました。さて、それでは旅行記初の軌道線電車の乗車と参りましょう。

 豊橋鉄道・駅前電停に到着した運動公園前行です。1
955年製の3200形と呼ばれる車両で、元は名鉄の
美濃町線を走っていたそうです。典型的な「チンチン電
車」型の車両ですな。
【愛知県・豊橋鉄道・駅前電停】

 運動公園前行は14:38に駅前を発車、乗客は20人ほどでした。「コォーーーーン」という古い釣
懸式モーター独特の音を響かせながら電車は加速しました。

 車内には、いたるところに「降ります」ボタンが設置されおり、下車する人は、これを押して運転
士に知らせます。バスと同じ方式ですな。乗降のない電停はスルーします。

 交差点を右折する時などは車といっしょに右折位置で待ちますが、電車専用の信号が設置されてい
て、その表示に従って曲がって行きます。

 駅前大通、新川の電停をスルーした電車は新川の交差点で90度左に曲がり国道259号線に入り
ました。

 少し走って国道1号、23号、259号が集まる西八町の大きな交差点を右折して天下の国道1号
線に入り、市役所前、豊橋公園前を経て東八町の交差点で国道1号線から県道4号線に入りました。

 東八町、前畑、東田坂上を経て東田電停に到着。ここには赤岩口に移転するまでは車庫があったそ
うです。

 ふと見ると、同電停には安全地帯がなく、何と乗客は道路上で待っていました。この辺りは道幅が
さほど広くないので安全地帯を設ける事が出来ないのかも知れませんが、何とも危なっかしく見えま
した。

 次の競輪場前にも安全地帯はありませんでしたが、ここでは乗客は道路向こうの歩道上で待ってお
り、電車が着くと道路を渡って乗り込んで来ました。また、同電停では運転士が交代しました。

 競輪場前から先は線路が単線となります。電車は行き違いのためポイントの手前でいったん停車し
ました。

 対向列車をやり過ごして単線区間に入ると、間もなく赤岩口方面と運動公園前方面に路線が分かれ
る井原電停です。井原電停交差点で右に曲がった電車は同電停に停車しました。

 井原電停を出た電車は、わずか数分で終点の運動公園前に着きました。井原からはひと駅だったん
ですな。

 運動公園前線の終点、運動公園前電停です。ちなみに
運動公園前線は、井原からここまでのわずか600メー
トルしかありません。画像右手には広大な岩田運動公園
が広がります。
【愛知県・豊橋鉄道・運動公園前電停】

 ちなみに、電停横の岩田運動公園には、豊橋市民球場、市民球技場、テニス・コートに水神池など
があるそうです。

 さてと、それでは「本題」の赤岩口に向かいましょう。電車で井原まで戻る事も考えたのですが、
大した距離ではなかったので歩く事にしました。

 10分ほどぶらぶら歩いて井原に戻り、方面別に3つある乗り場の内、赤岩口方面の乗り場に行き
ました。

 電停に掲示されている井原電停の案内図です。赤岩口
方面と運動公園前方面の路線が分岐している同電停には
駅前方面、赤岩口方面、運動公園前方面の3つの乗り場
があります。
【愛知県・豊橋鉄道・井原電停】
 井原電停の到着する赤岩口行です。3100形とよば
れる車両で1943年製造。元は名古屋市交通局の所属
だったそうです。
【愛知県・豊橋鉄道・井原電停】

 やって来た15:13の赤岩口行に乗り込み運賃箱に150円を入れると、運転士が「ご乗車ありがと
うございます」と丁寧に声を掛けて来ました。車内には小学生が10人ほど乗っていました。

 電車が動き出して間もなく何と赤岩口に着いてしましました、ありゃりゃ? ひと駅かいな。実は
井原←→赤岩間の距離までは事前にチェックしていなかったのです。

 後に調べたところ同区間の距離はわずか700メートル、これだとさっき歩いた距離と変わらんが
な。運転士は私のことをさぞかし怠け者と思ったでしょうな。(^^;

 赤岩口に到着した電車です。道路は県道4号線です。
【愛知県・豊橋鉄道・赤岩口電停】
 電停の先で線路は途切れていました。ここが大阪から
私鉄/公営鉄道のみで来られる東の端っこと言う事にな
ります。
【愛知県・豊橋鉄道・赤岩口電停】
 電停の南側には車庫線が広がっており、電停より少し
東には車庫線への分岐があります。
【愛知県・豊橋鉄道・赤岩口電停】
 豊橋鉄道の赤倉車庫です。何両かの電車が憩っていま
した。
【愛知県・豊橋鉄道・赤岩口電停】
 車庫にいたレトロっぽく見える3700形です。19
27年製造の古参車両で、元は名古屋市交通局所属だっ
たそうです。これに乗れれば良かったのですが・・・。
【愛知県・豊橋鉄道・赤岩口電停】

 赤岩口は何の変哲もない所でした。街中ではあるものの取り立てて目立つ建物もなく、車の往来こ
そ多いものの人影もほとんど見えませんでした。ま、何はともあれ「私鉄/公営鉄道・古今東西の旅」
は、これで終了です。

 さてと、見るものもないし豊橋駅に引き返す事にしましょう。道路を横断して電停に戻り、次の電
車の時間を確かめようとしましたが時刻表がどこにもありません。まぁ本数が多いからいっか。

 ほどなく、折り返しで駅前行となる電車が到着しましたが、その車体を見て私はド肝を抜かれてし
まいました。

 折り返しでやって来た駅前行です。何と車体全面にド
派手な花飾り?が施されていました。なんじゃこりゃ?
【愛知県・豊橋鉄道・赤岩口電停】
 赤岩口電停の安全地帯は幅が60センチくらいしかなく、電車が
目の前に入って来ると思わず身を引いてしまいました。
【愛知県・豊橋鉄道・赤岩口電停】

 この時は、このケバい装飾の意味がさっぱり分からないまま、私はおばちゃんの後に続いて乗り込
みました。それ以上乗ってくる人はなく、私とおばちゃんの二人で電車は赤岩口から発車しました。

 赤岩口←→競輪場前の単線区間のスナップです。ちな
みに、この車両の運転台はセンターにあります。
【豊橋鉄道・東田本線・駅前行車内】
 ふと見ると天井に提灯がつり下げてありました。祭り
でもあるのでしょうか?
【豊橋鉄道・東田本線・駅前行車内】
 大きな交差点にある電車専用の信号機です。赤信号の
場合は、この専用信号機に従って走るようです。
【豊橋鉄道・東田本線・駅前行の車窓より】

 豊橋駅へ向かう道中、途中の電停で、ひとりふたりと客が増え、結局、8人で終点の駅前に着きま
した。途中で降りたのはわずかにひとりだけでした。

 電車から降りると、不意に近場で爆竹が鳴らされびっくりしました。なんなんだいったい? 私は爆
竹が鳴らされた方向に向かって歩き出しました。

 すると駅前の大通りの脇に御輿が置かれており、ハッピ姿のおっちゃんたちが御輿を囲んでワイワ
イやっていました。

 駅前大通りの脇に置かれていた御輿です。先ほどの爆
竹はこの人達が鳴らしていたようです。
【愛知県・豊橋市】

 私が観察している内にも何度か爆竹が鳴らされましたが、通行人で特に気に掛ける人はいませんで
した。たぶん季節の風物詩なのでしょう。

 後に豊橋観光コンベション協会のHPで調べたところ、毎年9月の第2土曜日に「炎の祭典」なる
祭りが催されているとの事でした。偶然にも私はその日に豊橋を訪れていたのです。

 さて・・と・・・、今回の旅の主目的は完遂しましたが、大阪に帰るにはまだ時間が早いので何か
乗りに行きましょう。

 そう言えばJR飯田線を走っている119系にはまだ乗った事が無かったので、それに乗って「撃
墜マーク」を1個増やしておきましょう。

 飯田線はローカル線ですが、豊橋←→豊川間は区間運転が行われているので10〜20分間隔で列
車が出ており、その車両に119系が使われているはずです。私は豊川までの切符を買うと改札を抜
け飯田線のホームへと向かいました。

 豊橋駅の飯田線ホームに停車中の16:13発・新城行・
普通537Mです。見ての通り、けっこうな数の乗客が
います。
【愛知県・豊橋駅】
 119系は、閑散線区用の105系をベースに勾配対
応化した車両であり、下り走行時に使用する抑速ブレー
キを装備しています。また、105系の座席はロング・
シートですが、こちらはセミ・クロスの配置となってい
ます。
【愛知県・豊橋駅】

 豊橋を出た新城行の列車は普通にも関わらず船町、下地の2駅をスルーしました。これらの駅に停
まるのは豊川止まりの区間列車のみなのです。

 下地を通過した我が列車は、次の小坂井、その次の牛久保に停車し、豊橋を出た時とほとんど変わ
らない乗車率のまま豊川に着きました。所用時間は、わずか11分でした。豊川では、まとまった人
数が降りました。

 JR飯田線の豊川駅です。豊川は人口12万人を擁す
る飯田線沿線の主要都市です。
【愛知県・豊川駅】

 豊川の駅前では黄色のハッピを来たグループがいて演説が行われていました。どうやら選挙でもあ
るようですな。

 さてと、119系にも乗ったし豊橋に戻りましょうか。駅前を見てみると、ロータリーの左手に名
鉄の豊川稲荷駅がありました。同じ経路を戻ってもつまらないので、多少回り道にはなりますが帰り
は名鉄で行きますか。

 名鉄・豊川線の起終点となる豊川稲荷駅です。1時間
に4本程度の列車が出ており、平日には少数ながら特急
も走ります。豊川から名古屋方面に行くなら名鉄が便利
ですな。
【愛知県・名鉄・豊川稲荷駅】

 切符を買おうと券売機の所に近づいていると、ちょうど先発の電車が出るところであり、券売機に
近づく私を見た駅員が車掌に向かって「あとひとり乗るぞ!」と声を掛けてくれたのですが、急ぐわ
けでもないのにバタバタするのは嫌だったのでいったん駅員の視界から隠れました。気を遣って頂い
たのにすみませんね・・・。ほどなく列車が出て行く音が聞こえて来ました。

 豊橋までの運賃を確認するとJRの200円に対して390円と倍近い値段でした。まぁ名鉄の場
合は、かなり回り道になるので当然であり、豊川から豊橋に出るのに名鉄を利用するのは現実的とは
言えませんからな。

 名鉄・豊川稲荷駅に停車中の16:42発・国府行・普通
です。名鉄の6800系と呼ばれる近郊型の車両です。
【愛知県・名鉄・豊川稲荷駅】
 6800系の車内です。セミクロス・シートの配置で
クロス・シートは固定式の集団離反配置となっています
【名鉄・豊川線・国府行・普通車内】

 列車は定刻に出発しました。車内はガラガラでした。最初の停車駅である稲荷口では駅前に今度は
赤色のハッピを着たグループが見えました。

 諏訪町の停車を経て八幡で交換停車。同駅の左手にはスズキ自動車の豊川納整センターの敷地が広
がっていました。

 間もなく交換の列車が現れましたが、それは何と特急型の1000系でした。豊川稲荷行の特急が
設定されているのでしょうか?

 豊川稲荷から11分で終点の国府(コウ)に到着。この駅で名古屋本線の豊橋行きの列車に乗り換
えます。

 ほどなく普通列車がやって来たので何も考えずに乗り込んだのですが、何と豊橋の一つ手前の伊奈
で終点となり降ろされてしまいました。なんなんだいったい?

 名鉄・伊奈駅に到着した普通です。車両は7700系
と呼ばれるセミクロス・シート配置の近郊型で、元祖
「パノラマ・カー」7000系の増結用に製造された形
式なんだそうです。後に知った事ですが、名古屋本線の
普通は豊橋まで乗り入れておらず、すべて伊奈止まりな
のだそうです。
【愛知県・名鉄・伊奈駅】

 伊奈駅には留置線があり何編成かの列車が停まっていました。ホームで待つことしばし、豊橋行き
の急行が到着しました。

 名鉄・伊奈駅に到着する豊橋行・急行です。名鉄の3
500系と呼ばれる車両です。
【愛知県・名鉄・伊奈駅】
 3500系の車内には乗降口付近に折り畳み式の補助
シートが装備されていました。
【名鉄・名古屋本線・急行・豊橋行車内】

 5分の乗車で豊橋に到着。ホームに降りると、昼間聞こえていた爆竹の音にロケット花火の音が加
わっていました。いよいよ祭りも本番と言うところなのでしょうか?

 さてと、それでは大阪に戻るとしましょう。駅周辺で頻繁に鳴る「パパパパパン!」、「ピューー
ーッ!」と言う音を聞きながら新幹線のホームに上がりました。

 駅周辺で鳴らされる花火のせいでしょうか、豊橋駅の
新幹線ホームは白く霞んでいました。
【愛知県・豊橋駅】
 豊橋駅に到着する『ひかり321号』です。車両は3
00系でした。
【愛知県・豊橋駅】
 豊橋駅前の自販機で購入した『ファースト・ドリップ
/ロイヤル・ビター』です。コクに透明感があり後味も
すっきりしていました。
【新幹線『ひかり321号』車内】
 新大阪駅に停車中の播州赤穂行の新快速3241Mです。
今回のラスト・トレインとなります。223系です。
【大阪府・新大阪駅】

 これで「私鉄/公営鉄道・古今東西の旅」は終了です。まぁそれなりに楽しめましたな。

 『列車まかせの旅』第18弾、おわり。


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