「市での想い出」
古書組合に入れば、「市」に出入りする事ができる。
「市」とは、簡単に言えば、古本屋同志の売買である。
高額なモノは別として、「1本」が20冊で、数本単位で売買される。
売り方からすれば、自分の所では売れない本を捌いたり、横流しする事で儲けを得る。
買い方から見れば、まとめて買うチャンスである。
「市」はそれこそ、全国の各地区単位の組合で行っているので、
毎日どこかで開催されている。
しかし、売る方は少しでも高く値がつく方がよいので、特に絶版漫画は、東京に集中する傾向がある。
専門店のいくつかが、競合すれば、思わぬ金額で売る事ができる。
逆に、競合がなければ、安い金額で落とす事も可能である。
私も、一度だけある古本屋の好意により「市」に参加させて頂いた事がある。
その日は、大市という事で、かなりの出モノが期待された。
現金での取引きになるので、取りあえず100万用意して会場に向かった。
方法は今のビンテージプレスの特選品と同じで、上中下の3値を入札する仕組みである。(この経験から取り入れた)
ただし、売り方、買い方とも落札金額に対し10%を組合に支払う必要がある。
着くと、さすがに見慣れた店主ばかりである。
目が合うたびに、説明するのは疲れたが、入札タイムになると、色々なアドバイスをしてくれた。
絶版漫画の出モノもいくつかあったが、結局は札は1つも入れなかった。
一緒に来た店主の方が、高い札を書いたからである。
最後に「流し」と呼ばれる、セリもあったが、私は喧騒を避け、外で焼き芋を食べていた。(笑)
 
 



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