相場と価格考
最近、絶版新書の価格は下落傾向にあります。
もともとバブル的な価格だったため、やっと適正になってきたとの声も聞こえます。
さて、売れる価格ってどんなものでしょう。
数式で表すと、本の数÷欲しい人の数が1となる価格が、相場になります。
よって、欲しい人の多い=お客様の数が多い有名店は「高い価格が相場」となる訳です。
「欲しい人」は、「収集家」「ただ読みたい人」「セミプロ」「プロ」の4種類に分類する事ができます。
勿論、この要素を複数もっている人もいますが。
人気が出て本が復刻されると「ただ読みたい人」の数が減り価格が下がり、よって転売目的の人も少なくなり、更に下がるって事になります。
当然、「高く」なるとマニアが手放したり、倉庫から探してだして来たりして「本の数」も増える傾向もあり下落に拍車がかかり、最後は適正な価格に落ち着きます。
更に、バブル時に合わせた様に乱立した「マンガ喫茶」が一段落し、「卸し(プロ)」の参加も減ったことも下落要因の一つと言えます。
逆に、復刻本をたまたま手にした人が、興味を持ち、収集家への道へ歩む場合もあります。
色々なファクターが入り乱れながら、「相場」が生成されていく訳です。
それでは「売値」はどうやって付けるのでしょうか?当然「相場」=「売値」ではありません。
なぜなら、正確な相場は、「欲しい人が全員参加」するオークションで「現存する本を全部集めて」、欲しい人全員に行き渡る価格となりますが、それを実現するのは不可能だからです。
最も高く本を売ろうとすれば、インターネット上であれば、「ヤフオク」が最も顧客層も広く、参加人数も多いので、有利だと思います。
しかし何千、何万もある商品全てを「ヤフオク」に出点する事もできませんし、手間を考えると、それほどメリットを感じない店主も多いのが事実です。
よって各古書店主の「感覚」によって一般的には「売値」が付けられます。
この「感覚」は店主の「知識」「客層」「経験」のバランスによるので、「どこにもある本」にとんでもない値段を付けていたり、「レアな本」が恐ろしく安く売られたりする場合が多々あります。
ちょっと前までは「まんだらけの目録」がお店にはあり、これを参照にして「価格」を設定する店が多かったのですが、最近では「インターネット」での価格を参照にするケースが増えている様です。
絶版古書を専門に扱う店主は「どこで何がいくらで売れた」という情報収集を怠りません。
それと「店頭に置いてから売れるまでの期間」も重要なポイントになります。
それでも、前に店頭に値札を貼って出した本の値段を貼り変える事は「面倒くさがりや」の多い「古本店主」はやらない傾向が強いのも事実です。
新しく並べた本の価格と、昔から置いてある本では、「感覚」が違う事が多いのも、本を購入する際、重要なポイントとなります。
それでも「超A級」のお宝本は、下落傾向に関係なく、寧ろ高くなっているのも事実です。
この夏の古書展での「サンコミ帯付」など「いくらなんでもっという価格」でも、複数の応募があった事実が証明されています。
「古書店」は、「少しでも高く売りたい」と「早く現金化したい」との2つの課題に直面しながら、今日も価格の設定に頭を悩ましています。
(次週は「青田買い」がテーマです。)
 
 


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