〜後日談〜

 

目が覚めると、太陽はすっかり高く昇りきっていた、

というか位置的にはもう午後みたいだ、夕べの出来事が夢だったかのような開放されたお寺・・・

 

「あ、やっと起きたー?もう片付け全部終わらせちゃったよー」

「もう荷物まとめてるよっ、お昼ご飯は下山した所のファミレスだからっ」

「はいお水をどうぞ、喉が渇きましたでしょう?トイレも済ませてきてくださいね」

「出るときはぁ〜、また雨戸全部閉めるんだって〜、ちゃんとお仕事残しておいたよ〜」

 

・・・自分の体を確認する、うん、少し汗ばんでるものの、特に変化は・・・ない?

ちゃんとパンツもズボンもシャツも履かせられてて、夕べの出来事は単なる夢、淫夢だったかのようだ。

そう考えると、あの百話目は蝋燭つけすぎによる酸欠状態で見た幻覚、という事にしたくなる。

 

「あの、モモちゃん?」

「なーにー?」

 

屈託の無い笑顔、淫靡なねちっこさは感じられない、昼間だから当然か。

 

「な、ナミちゃん!」

「どしたっ?」

 

腰に手を当てて、なんだよ、って感じで見てきている、

とても肉体関係を済ませたような態度に思えない・・・

 

「さやかちゃん、レイちゃん!」

「どうしたのでしょうか、あらたまって」

「まだ寝ぼけてるとか〜?」

 

不思議そうな表情・・・そうだな、夕べ僕を犯したのなら、こんな表情の訳がない!

 

「みんな・・・・・さあ、帰ろう」

 

そうだ、これは夢だ・・・顔を洗い流して、雨戸を閉めて、いやらしい夢の事なんか、忘れてしまおう。

 

「じゃ、トイレ行ってくるから」

 

少し心配そうな4人を尻目に小川へ行き、水を救おうと覗き込むと・・・

 

「う、う、うわーーーーー!!」

 

顔や首筋に、びっちりと、キスマークが!!!

 

「これって、やっぱり・・・い、いや、これは、そう、単なる、いたずらだよな、はは、あはは、あはははは・・・」

 

 

 

 

結局、この一件以来、僕は彼女たちを避けるようになった。

なんだか危険な香りがする・・・一応挨拶くらいはするものの、

彼女たちの方から過度に近づいてくると、慌てて逃げたくらいだ。

 

そして秋が深くなったある日・・・

 

「つかまえたー」

「今日は逃げちゃ駄目だよ、大事な話があるんだからっ」

「そうですわ、今まではまあ、泳がせてさしあげましたが・・・」

「ちゃんとね〜、報告したい事があるの〜」

 

いつもは逃げれば追ってこないのに、なぜか執拗に追われてあっけなく捕まった。

 

「ほ、報告って、なに、かな」

 

いやらしく微笑むモモちゃん、この表情はまさに、あの、百物語の時の・・・!!

 

「あのねー、できちゃった、赤ちゃんー」

「ええええええええええええ」

「あのお寺の一発で、できちゃったー」

 

そ、そんな!一回しかしてないのに!そして、あれはやっぱり、本当に起こったこと・・・!!」

 

「私もできたってかんじぃ?陽性だってっ、間違いなく妊娠したよっ」

「ナミちゃんも!?そんな!ナミちゃんだって、あの夜だけで・・・」

「そしてわたしも懐妊しましたの、産婦人科で診察を受けて、確定だそうです」

「さやかちゃんも!!」

「びっくりしないでね〜、私もだって〜、こんなことってあるんだね〜」

 

レイちゃんまで!ま、まさか、嘘だあ!

4人全員と1晩だけ、しかも1回ずつやった、というか犯されただけなのに、

全員同時に妊娠・・・確率にしたら、何百万分の一なんだよ!!!

 

「あは、あはは、あはははは・・・」

「あーわかるーもう笑うしかないー?」

「さっ、ちゃんと認知してもらうからなっ」

「で、どなたと結婚なさるのですか?私ですと嬉しいのですが」

「名前つけるとき〜、一文字ちょうだいね〜」

 

一番恐ろしいのは、現実だった。

 

おわり。

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