☆図書館ハーレム☆

 

「よし、これで完成だ」

 

四方を本棚に囲まれたデッドスペース、

そこに並べられたいやらしいH漫画の数々・・・

普通の図書館に絶対あってはならない、いかがわしいコレクションだ。

 

「このくらいの館長特権、いいよな?」

 

捨てる予定だった穴空きのソファー、

その上へ近くのエロ漫画を手にし寝そべって読む。

こんな姿を図書館利用者に見られたら大問題だが、

人のめったに来ない地下資料室だからできる芸当だ。

 

「ほんと助かったなぁ、うちはエロ漫画で溢れかえって置き場なくなっちゃったし」

 

レンタルルームは意外と金がかかる、

だが自分が館長をしているこの田舎の図書館なら、

誰も気付かない空間を作ってそこに置いておく事ができる・・・

大学を出た25歳のする事か?という疑問は残らないでもないが、

ばれなければ何の問題もないはずだ、そう、バレさえしなければ・・・。

 

「いっけね、まだ仕事の時間だった、終わったらじっくり・・・楽しもう」

 

ティッシュもまだ無い事だし、と備品のはしごをかけて本棚の上へ。

登った所ではしごを引っ張り上げ今度は反対側で下りに使う・・・

降りてはしごを資料室の入り口付近まで持っていけばこれでもうバレやしないだろう。

 

「さて、もう戻らないと美秋(みあき)ちゃんに怒られちゃう」

 

廊下に出ると地味な三つ編みでそばかす混じりの、

まさに図書館で働くために存在するかのような女性司書が、

眼鏡を光らせながら本を抱えて歩いていた。

 

「あら館長、また死蔵書の整理ですか?」

「う、うん、美秋ちゃんもお疲れ様、持つよ」

「いえ、これは私の仕事ですから」

 

少し冷たくも取れる声と表情・・・

おまけに僕より3つも年上だから苦手にしている。

実際、彼女は僕の事をどう思っているんだろう?とたまに思って悩む。

かといって28歳の独身女性に「僕のこと、どう思います?」なんて聞いたら、

変な風に誤解されかねないからな・・・いや僕にまったくその気がない訳じゃないから、なおさらだ。

 

「正直、この地味さは好み・・・」

「はい?何かおっしゃいました?」

「い、いえいえ別に、その本いいなあって思って」

「昭和50年の俳句集がですか?」

「う、うんうん、その時の風情とかさ、地味に読んでて楽しいから」

 

すたすた先を急ぐ美秋さん、

階段を上がりながらポツリと呟いた。

 

「地味が好き、ですか・・・」

もどる めくる