失敗しない支援機関の選び方





家族は正しく引きこもりについて理解する
 インターネットで「引きこもり」と検索すれば、現在では実に多くの情報を得ることができます。
しかし、ここで注意していただきたいのは、インターネット上にある情報が、すべて正しいとは限
らないということです。
 引きこもりについて書かれたホームページや記事の中には、医学的・社会科学的な根拠が
十分でないものや、特定の考え方に偏ったものもあります。中には、不安を抱えている家族を
責めたり、罪悪感を抱かせたりするような内容も見られます。
 家族が情報を集めることは、とても大切です。しかし情報を集めれば集めるほど、かえって
「何を信じればいいのか分からない」という状態になることもあります。だからこそ、まずは研究
や公的機関など、一定の根拠に基づいた情報から「引きこもり」を理解することをお勧めしま
す。たとえば、国内の学術論文を検索できる「CiNii Research」や、学術論文を無料で公開して
いる「J-STAGE」などがあります。

CiNii Research https://ci.nii.ac.jp/
J-STAGE https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja



親として 家族として、どのように支えたいのか?
 子どもであっても、一人の人間として、これからの人生をどのように生きていくのかを決める
のはご本人です。親としては、「学校に行ってほしい」「働いてほしい」「社会に出てほしい」「普
通の生活を送ってほしい」と願うことがあります。それは決して特別なことではなく、親として自
然な感情だと思います。しかしご本人にはご本人の考えがあります。何も考えられない状態に
なっているのであれば、親からのアドバイスが役に立つこともあるでしょう。一方でご本人が何
かを考え、悩み、苦しんだ末に今の状態に至っているのであれば、親の「こうした方がいい」と
いう言葉が、かえってご本人を追い詰めてしまうこともあります。
 だからこそ何を言うかよりも、まずは「話せる関係」をつくることが大切なのだと思います。私
が親だったら、まず「一緒にいる」ことから始めます仮に私の子どもが引きこもっていたとした
ら、私なら、すぐに「学校へ行こう」「仕事をしよう」とは言わないと思います。まずは本人が自分
の思いを吐き出せる環境をつくることから始めます。そのために、一緒に過ごす時間を少しず
つ増やしていきます。
 親子関係にもよりますが、最初は10分でも構いません。食卓で一緒に食事をする。テレビを
見る。何気ない話をする。同じ空間にいる。それができるようになったら、少しずつ一緒に過ご
す時間を長くしていく。そして家庭の中だけではなく、本人が嫌がらない範囲で、少しずつ外の
世界にも一緒に出てみる。近所を歩くことから始めてもいい。買い物でもいい。本人が興味を
持っている場所に出かけてもいい。さらにそれができるようになれば、日帰りの外出、そして場
合によっては宿泊を伴う旅行にも挑戦してみる。子どもが興味を持っている場所へ行き、本場
の料理を食べたり、景色を見たり、好きなものを見たりする。「次はどこへ行こうか」と話しなが
ら、本人の興味や関心に沿って、一緒に経験を積み重ねていく。
 
大切なのは、親が子どもをどこかへ「連れていく」ことではありません
本人と一緒に、本人の世界を少しずつ広げていくことです

 まずは、何でも話せる関係をつくる。そのような時間を重ねていく中で、少しずつ本人が話し
てくれるようになるかもしれません。「実は、学校でこんなことがあった」 「仕事が怖かった」
 「人と関わるのがつらい」 「本当はこうしたかった」あるいは、何も話さないかもしれません。
 それでもいいのです。何も考えていないのであれば、それでいい。今の自分をどうしたらいい
のか分からないのであれば、それもいい。そこに至るまでに何か理由があるのであれば、まず
は責めずに聞く。正しい答えを出そうとするのではなく、本人の話を最後まで聞く。「そうだった
のか」と受け止める。私は、すべてはそこから始まるのだと考えています。親が答えを出すので
はなく、本人が自分自身の答えを見つけていく。そのための時間と環境を、家族がつくっていく
のです。



孤立しない 相談してみる
 子どものことを心配するあまり、知らず知らずのうちに「こうなってほしい」 「こうするべきだ」
という親自身の思いが強くなっていることもあります。また長い間家族だけで悩んでいると、考
え方が狭くなったり、問題を客観的に見ることが難しくなったりすることもあります。だからこそ、
家族だけで抱え込まず、第三者に相談してみることをお勧めします。
 第三者に相談することは、必ずしも「自分たちの考えを変える」ということではありません。こ
れまで考えてきたことを話してみて、「この考え方でよいのか」 「別の見方はないのか」を確認
するための機会でもあります。相談することで、親自身が気づいていなかった思いや考え方の
偏りに気づくこともあります。また、これまでとは違う選択肢や、家族だけでは思いつかなかっ
た方法が見えてくることもあります。

 大切なのは、家族だけで答えを出そうとして孤立しないことです

 相談先には、それぞれ役割や支援方法の違いがあります。次のページでは、行政機関、相
談支援機関、医療機関、民間の支援団体など、それぞれの特徴について紹介しています。そ
の中から、ご家族の考え方や、お子さんの状況に合いそうな相談先を探してみてください。最
初から正解を見つける必要はありません。誰かに話してみることで、これまで見えていなかっ
たものが見えてくることがあります。まずは一人で、そして家族だけで抱え込まないこと。「相談
してみる」という小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。



引きこもり相談先の比較
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