2003年4月20日掲載
『列車まかせの旅』小旅行記第1弾


「小旅行記」シリーズ発動

 旅行記本編とは別個に「小旅行記」シリーズを開設する事にしました。ここでは、近距離「旅」や、
仕事、その他の「ついで旅」を掲載する予定です。


「ちょっとこだわりの列車」その8/急行『かすが』

 旅行記第11弾から戻ったその翌日の1月13日(祝日の月曜日)。私は仕事の都合で名古屋に移動
する事になっていました。

 普段ならば新幹線でサクっと移動するところなんですが、13日中に移動すれば良かったので、こ
の機会を利用して急行『かすが』に乗ってみる事にしました。

 急行『かすが』は、関西本線を経由して奈良←→名古屋間で1日1往復が運行されている昼行の急
行です。

 近畿圏を着発とする急行には、他に『きたぐに』、『だいせん』、『ちくま』の3本がありますが、
これらはいずれも夜行列車であり、昼行の急行は唯一『かすが』のみです。

 『かすが』のダイヤは独特で、下りは名古屋8:55発で奈良11:03着。上りは奈良17:16発で19:26着と
言う変則ダイヤになっています。

 今や貴重となった急行の、そのまた貴重な近畿圏唯一の昼行急行であるこの列車には前々から乗り
たかったのですが、いずれかの旅行記プランにこの列車を組み込もうとしても、その特異なダイヤで
は他の乗りたい列車との接続が困難で、これまで乗車を果たせずにいたのです。

 急行『かすが』の急行券・座席指定券です。同列車に
は自由席もあります。

 大阪←→名古屋間は新幹線利用ならば1時間ちょいですが、『かすが』で行くとなると、大阪から
奈良への移動時間45分を勘定に入れると約3時間も掛かってしまいます。となると、大阪から名古屋
へ移動するのに同列車を利用する人は、まずおらんでしょうな。

 そして当日の月曜日。昼近くまで寝て前日の「旅」の疲れを癒した後、出張の身支度を整えた私は
大阪駅へと向かいました。今回は小旅行を兼ねているのでデジ・カメ持参です。

 大阪から奈良へのJR路線は、関西本線と、東西線→片町線→奈良線経由の2ルートがありますが、
私はいつも大阪から乗り替え無しの1本で行ける大和路快速を利用しているので、今回もその列車で
行く事にしました。

 大阪駅の環状線内回りホームに入線する15:44発の加
茂行・大和路快速3410Kです。
【大阪府・大阪駅】

 祝日の夕方であり、ぼちぼち行楽やショッピングなどで大阪へ出て来ていた人達が帰り始める時間
帯とあって大阪駅の環状線ホームはそこそこごった返しており、入って来た快速では座る事は出来ま
せんでした。

 〈まぁ座れんでもしゃーないか〉と、思っていたのですが、ラッキーな事に弁天町駅で座る事が出
来ました。

 列車が新今宮駅に近づくと、「線路変更のため揺れます」との案内放送がありました。大和路快速
は天王寺駅から関西線に乗り入れる為、その手前で環状線の線路から外れる分けですな。

 車内を見渡すと乗車率はまあまあで、座席は満杯で各乗降口付近に7〜8人が立っていました。列
車が桜井線との分岐駅である王寺に到着すると乗客の約3分の1が降りましたが、それでも空席は出
来ませんでした。

 王寺駅構内の留置線には、奈良電車区の黄緑色に塗装された103系が停まっており、駅の桜井線
用とおぼしきホームには105系らしき列車が停車しているのが見えました。

 関西本線の大阪←→奈良間は、これまでもちょくちょく乗っていましたが、今回、改めて観察して
みると、103系や221系の列車と頻繁にすれ違っているのに気が付きました。

 名阪間を結ぶJR路線として、関西本線は東海道本線と比べてマイナーな存在ですが、大阪←→奈
良間では区間運転が行われており、この区間に限って言えば東海道線にもヒケを取らない運行本数と
言えますな。

 列車が王寺の次の法隆寺駅に着くと、ドっと乗客が降りてガラガラになりました。ここには有名な
法隆寺がありますが、この時間帯から観光に行く分けでもなさそうだし、近場に大きな住宅地でもあ
るのかな?

 法隆寺を出たところで、一人の若者が通路を歩いて来て運転席の後ろまで行き、立ったまま車両の
前方を眺めていました。

 法隆寺駅を出ると車内はガラガラになりました。画像
中央やや右で頭の後ろに腕を組んで前方を眺めているの
が、くだんの若者です。大和路快速に使用されている2
21系と言う車両は、窓の縦寸が大きいので外が良く見
え、開放的に感じます。
【大和路快速3410K車内】

 そして大和路快速3410Kは、遅滞する事なく16:28に奈良駅に到着しました。奈良の来訪は旅行記第
4弾以来です。

 列車を降りた私は、とりあえずトイレを済ませようと思い、駅舎へと向かいましたが、なぜか改札
付近にトイレは見当たりませんでした。

 駅舎のあるホーム上をウロついて見ましたが、やはりトイレはありません。奈良ともあろう駅にト
イレが無いはずがありません。実に不思議だ・・・。

 まぁトイレは『かすが』の車内で済ませても構わないので、私は陸橋を渡り、同列車が出る5番ホ
ームへと行きました。

 ホームに降りたところで、ふと思いついて階段の横を覗いて見ると、トイレの看板を発見しました。
なんと階段の裏側にあったのです。分かり難いところにあるなぁ・・・。

 トイレを済ませてホームに戻り、『かすが』の入線を待ちながら「対岸」のホームを眺めていると、
構内には103系や221系、高田行の105系などの列車が集っており、京都行の普通列車に設定
された221系なども見受けられました。

 この辺りの路線はすべて電化されており、奈良を経由もしくは着発とする列車は基本的に電車です
が、唯一、急行『かすが』だけは気動車となっています。

 これは関西本線の加茂←→亀山間が非電化区間であるが為です。関西線の同区間は気動車で運行さ
れており、それらの列車は奈良までは乗り入れていない為、奈良を着発とする気動列車は『かすが』
のみとなっているのです。

 奈良駅5番ホームの列車案内盤に表示されている急行
『かすが』の案内です。
【奈良県・奈良駅】

 ホームには20人程度の人々がいました。皆さん『かすが』を待っているのでしょうか?それからほ
どなく、『かすが』が入線して来ました。

 奈良駅5番ホームに入線した急行『かすが』です。J
R東海が運行する列車で、新しいキハ75系と呼ばれる
観光/通勤両用の一般型気動車が使用されています。
【奈良県・奈良駅】
 通勤用も兼ねるため扉数は3つですが、急行使用時に
は中央の扉は閉め切りにするようです。
【奈良県・奈良駅】
 モノの本によると、この206号車は1999年に増備され
た車両なんだそうです。車体側面には、JR東海のコー
ポレート・カラーであるオレンジ色の帯が入っています
【奈良県・奈良駅】
 キハ75の車内の様子です。一般型ですが、一見して
特急型のように見える上等な内装です。
【急行『かすが』車内】
 『かすが』では、中央の扉は閉め切りにされており、扉の窓には
「締切」のステッカーが貼られていました。
【急行『かすが』車内】
 車両間の貫通扉の右側の壁にはLED式の案内表示器
が付けられていました。
【急行『かすが』車内】
 内装は特急並ですが、座席はリクライニングしない転換式のクロ
ス・シートです。ここが一般型たる由縁ですな。
【急行『かすが』車内】

 キハ75には、かつて愛知県の知多半島を走る武豊線の普通列車で初めて乗りましたが、その時は
とても普通列車とは思えない豪華な内装に度肝を抜かれたものでした。

 今回、私が乗る指定席は2両目でした。自分の座席のところまで行くと、そこは中央扉から2列目
であり、何と1列目の席の背もたれは後ろ向きの固定式でした。

 つまり、都合、私の席は1列目と向かい合わせの4人掛けボックス・シートになってしまっていた
のです。

 しかも、見るとすでに後ろ向きの席の方に若いカップルが座ってるではないですか! おいおい、
3人掛けで名古屋まで行くハメになるのか? これじゃ指定席買った意味がないやんけ!

 仕方がないのでカップルに向かって一礼して2列目の窓際席に座りましたが、やはり一般型とあっ
てシート・ピッチは狭く、向かいに座る男性と膝が触れ合いそうでした。くそっ!

 私が心の中で毒づいていると、カップルが何やらそわそわし始めたかと思うと、荷物を持って立ち
上がり車両の後ろの方へ歩いて行きました。どうやら彼らは「とりあえず乗車」だったようですな。
やれやれ。

 『かすが』は定刻の17:16に奈良駅を出発しました。急行だけに快調に飛ばすのかと思いきや、列
車はある程度加速しては慣性走行、速度が落ちたらまた加速しては慣行を繰り返すばかりで手加減気
味に走り続けていました。ずっとこの調子で行くのかな?

 最初の停車駅である伊賀上野駅では、我が車両に5〜6人が乗り込んで来ました。窓から見ると、
隣の4番ホームには、ずいぶんと小型の気動車が1両だけ停まっていました。

 どうやら普通列車のようですが、車体側面の型式名称は「キハ120」となっており、私の知らな
い車両でした。また後日、乗りに来なければなりませんな。

 同駅での乗り替え案内では近鉄は1番ホームとの事でした。ここからは近鉄・伊賀線が出ており、
上野駅間で往復運転が行われているとの事でした。

 伊賀上野を出ると列車は特急並に飛ばし始めました。ようやく本領発揮ですな。車内の暖房は効き
が弱く、少々足下が冷えました。

 約13分で次の柘植駅に到着。ここでは2人が乗って来ました。柘植からは滋賀県の草津に至る草津
線が出ており、対面のホームには草津経由京都行の113系が停まっているのが見えました。

 柘植を出たところで、「この列車は急行なので青春18切符での御乗車は出来ません」なる放送が
ありました。

 18:32に亀山駅に到着。ここから先の関西線は電化されています。同駅からは和歌山県の新宮に至
る紀勢本線が分かれています。

 見ると、左のホームには名古屋行・普通列車の313系が、数線右のホームには見慣れぬキハ11
系なる列車が停まっていました。JR東海のエリアに入っただけに車両の顔ぶれもすっかり変わりま
したな。またこの駅では、列車の乗務員がJR西日本からJR東海の社員に変わりました。

 亀山を発ってしばらく走ったとっころの加佐登駅では信号待ちの停車がありました。駅で列車を待
っている人々は、扉を閉めたまま目の前に停車している『かすが』をどう思っているでしょうか?

 四日市が近くなると沿線には工場群が見えて来ました。18:52に四日市駅に到着。同駅では数人が
降り、一人乗って来ました。

 構内にはディーゼル機関車に牽かれたタンク車から成る貨物列車が見受けられました。さすがは工
業地帯と言うところですな。

 列車は再び信号待ちの停車をし、車内にいたおばちゃが「のんびりしてるねぇJRは」とボヤくの
が聞こえました。

 これは四日市←→名古屋間で平行する近鉄と比べてのコメントでしょうが、確かに近鉄の名阪特急
に乗った時には信号待ちさせられた記憶はありませんな。

 まぁ近鉄にとっては会社の屋台骨を支える主力路線であり、特急を含め充実したダイヤを組んでい
ますから、快速と普通が主力のJR路線と比べるのもどうかと思いますが・・・。ましてやJRの方
は、名阪間を結ぶ優等列車は急行『かすが』1本しかありませんし・・・。

 四日市から11分で最後の途中停車駅である桑名に到着。ここでは一人が降りました。桑名では、左
手に近鉄の駅舎と停車している普通列車が見えました。

 お次は名古屋かと思いきや、列車は途中の春田駅で三たび信号待ち停車をしました。何だってこん
なに停まるんだろう?

 春田で1分間停車した後、『かすが』は19時半に終点の名古屋駅に到着しました。名古屋到着前
には車両ヤードが見え、そこにはたくさんのステンレス製ボディの列車が停まっていましたが、近年、
JR東海が増備しつつある車両はどれもこれもステンレス・ボディの車両ばかりなので、暗闇の中で
は見分けがつきませんでした。

 これで『かすが』の乗車は終わりです。大阪から名古屋まで移動しただけですが、さすがに3時間
近い乗車は、ちょっとした「旅」気分でしたな。

 急行『かすが』をクリアしたので、これで近畿圏着発の急行4本はすべて「乗覇」しましたが、全
国でJRの急行は徐々に数を減らしつつあるので、早急に乗り潰さねばなりません。

 名古屋駅で『かすが』から降りた私は、市内を移動すべく中央本線の高蔵寺行・普通列車に乗りま
した。

 19:34発の中央本線・高蔵寺行・普通列車3173Mです。
ステンレス・ボディの211系と呼ばれる車両であり、
近郊型である111系や113系の後継車として1985年
から製造され、JR東海とJR東日本の2社で使用され
ています。
【愛知県・名古屋駅】
 名古屋駅では、対面のホームに中央本線・中津川行の
『セントラルライナー21号』が停まっているのが見え
ました。日本で唯一、ライナー専用車両を使用した『セ
ントラルライナー』には、いつかは乗りたいと思ってい
ます。
【愛知県・名古屋市】

 中京圏の列車は、まだほとんど手つかずの状態なので、また乗り潰しに来なければなりませんな。

 『列車まかせの旅』小旅行記第1弾、おわり。


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