2003年04月06日
『列車まかせの旅』第14弾


第2部:「JR相互直通運転列車」その2/帝都高速度交通営団
    東西線・301系、103系1200番台、千代田線・203系

 JR中野駅に戻った私は券売機の所を覗いてみる事にしました。ここは営団地下鉄・東西線の起終
点駅でもあるのです。たぶん地下鉄の券売機もあるはずです。

 中野駅の券売機コーナーです。ずらりと並んだ券売機
の内、左から2台が営団地下鉄の券売機でした。
【東京都・JR中野駅】
 中野駅の構内通路上には地下鉄の列車案内盤が併設さ
れていました。右側の営団マーク付の案内が出ている表
示盤がそれです。
【東京都・JR中野駅】

 ホームに上がって列車案内盤を見ると、30分後にJR中央線の三鷹駅まで乗り入れる列車の表示
が出ていました。ひょっとしたらコレが例のJR乗り入れ車両かも知れません。

 しかし、吹きさらしのホームで何もせずに30分待つと言うのも嫌だったので、逆方向の列車に乗
って途中の駅まで目的の列車を迎えに行く事にしました。

 地下鉄の時刻表は持っていなかったので、どこの駅でくだんの列車と会合するのか分かりませんで
したが、時計を見ながら行って頃合を見て降りれば良いでしょう。

 中野駅に停車中の5:59同駅始発の西船橋行列車です。
営団地下鉄の05系と呼ばれる車両です。
【東京都・JR中野駅】
 05系の車内の様子です。まだ朝の6時前とあって車
内はガラガラでした。
【営団地下鉄・東西線・西船橋行・05系車内】

 中野駅を出た西船橋行は、すぐに地下路線に入りました。ほどなく、「只今の時間は、快速は運転
しておりません」なる放送がありましたが、東京の地下鉄って快速が走ってるんですな。

 列車は各駅に停車しながら走り、やがて大手町駅も発って東へと向かいました。このペースで行く
と南砂町あたりで三鷹行と会合するでしょうか・・・?

 南砂町は過去に一度だけ降りた事がある駅だったのですが、そのひとつ手前の東陽町に着いた時に
は、ぼちぼち時間が迫っていたので、ここで降りる事にしました。

 東陽町は降りた記憶があるような無いような駅だったので、とりあえず地上に出てみましたが、周
囲の景色には見覚えがありませんでした。

 時間が無かったので、すぐにホームに引き返すと、数分と経たずに三鷹行の列車が入って来ました
が、その車両は期待していたJR車ではなく、また営団の5000系でした。

 東陽町駅に到着した三鷹行の列車は、またしても営団
の5000系でした。くそっ!
【東京都・営団地下鉄・東陽町駅】

 私はとりあえず三鷹行に乗り込みましたが、どーしましょうかねぇ・・・。ひょっとしたら三鷹に
はJR車がいるかも知れませんし、いちおう三鷹まで行って見ますか・・・。

 三たび大手町駅を通り、約50分の乗車で終点のJR中央線の三鷹駅に到着しました。この駅も降
りるのはこれが初めてです。

 中央線・三鷹駅に到着した営団の5000系です。同
駅が相互乗り入れの西端の駅になります。どうやら中野
←→三鷹間はJRの乗務員に代わるようですな。
【東京都・JR三鷹駅】

 三鷹駅のホームより高尾方面を見ると、留置線に目的のJR車(おそらく地下鉄乗り入れ仕様の1
03系)が停まっているのが見えるのですが、その列車がいつ動き出すのかは、皆目、見当がつきま
せんでした。とりあえずここで待ってみますか・・・。

 三鷹駅に停車中の当駅折り返し総武線直通列車の20
9系です。短寿命となるのを受け入れた上で低価格、メ
ンテナンス・フリーを目指して製造された新世代の通勤
型車両です。
【東京都・JR三鷹駅】
 209系の車内です。ロング・シート両端の仕切板が
高く、シート中央には掴まり棒が通されています。また
窓にはUVカット・ガラスが使用されている事などがJ
R東日本の新型車両の特徴です。
【東京都・JR三鷹駅】

 209系などを眺めつつ少し待ってはみたものの、吹きさらしのホームはやはり寒かったので、私
は地下路線の駅まで戻る事にしました。

 営団・東西線の駅ならば何処でも良かったのですが、戻り過ぎるのもなんなんで、JR中野駅の次
の落合駅で待つ事にしました。

 三鷹駅に停車中の当駅折り返し総武線直通列車のE2
31系です。先の209系を発展させた最新鋭車両です
が、外見では見分けがつきませんな。近郊型、通勤型に
加えて地下鉄乗り入れ型のヴァリエーションがあり、首
都圏およびその近郊の旧式車両を一気に置き換えるべく
大量増備されつつある車両です。
【東京都・JR三鷹駅】

 まずは中野まで戻らねばなりませんが、209系は旅行記第9弾で乗った事があるので、1本見送
って7:59発の津田沼行のE231系(総武線・普通766C)に乗りました。

 JR東日本イチ押しの最新鋭E231系ですが、そのロング・シートの座り心地は少し硬くていま
いちでした。

 10分ちょいの乗車で中野に到着。ここから営団の車両に乗り換えてひとつ目の駅となる落合で下
車。さてと、ここで「待ち伏せ」するとしましょう。

 さっそく列車がやって来ましたが、残念ながら営団の車両でした。その次に来たのは、営団車両と
は異なる塗装の車両でした。

 営団地下鉄・落合駅に到着する東葉高速鉄道の100
0系です。営団の5000系を譲り受けた車両であり、
塗装以外の仕様は5000系とまったく同じです。
【東京都・営団地下鉄・落合駅】

 後に知った事ですが、この車両は営団・東西線を延長する形で西船橋←→東葉勝田台間を結ぶ三セ
ク鉄道である東葉高速鉄道所属の1000系だったのです。そして当然の事ながら東葉高速鉄道と営
団・東西線は相互直通運転を行っている分けです。

 その後も4〜6分間隔で両方面行の列車が続々と到着しましたが、いずれも営団の車両ばかりでし
た。営団の車両は独特のインバータ音がするので、しまいには車両が進入してくる音を聞けば、営団
の車両と分かるようになって来ました。

 落合に着いてから40分近くが経過し、もはや何本の列車を見送ったか分からなくなっていました。
果たして今日中にJR車に会えるのだろうかと思い始めていた時、中野方面行きの列車が近づいて来
る音が聞こえてきました。

 半ばうんざりしながら向かって来るライトに顔を向けると、どうも「音」が違うような気がします。
そこで耳をそば立てると、その音は40分間聞き続けて来た甲高いインバータの音ではなく、慣れ親
しんだ「ヴァーーーーー」と言う旧型モーターの唸りでした。

 「異変」に気づいて体を向けるのと、暗いトンネルから列車が飛び出して来るのがほぼ同時でした。
来た! やっと来た! その列車は待ちに待ったJR車だったのです。

 落合駅に到着するJRの地下鉄乗り入れ型車両のひと
つ103系1200番台車です。通勤型の雄103系の
ヴァリエーション車で、地下路線に乗り入れる為の厳し
い保安基準に適合させるべく数々の仕様変更を加えた上
で新造された特別な車両です。
【東京都・営団地下鉄・落合駅】
 この1200番台車は、千代田線用に先行投入された
1000番台に続いて新造された車両です。地下鉄乗り
入れ仕様車としては先に301系と呼ばれる車両が存在
していましたが、この車両は製造コストが高価だったた
め増備はされず、代わって既存の103系の仕様を変更
した1000番台や、この1200番台が投入されたそ
うです。
【東京都・営団地下鉄・落合駅】

 その列車は落合8:56発の三鷹行でした。私は心の中で狂喜乱舞しながら列車に乗り込みました。車
両は特別ですが、内装は乗り慣れた103系のそれでした。

 列車はすぐに地上に上がり、ものの数分で中野駅に到着しました。終点の三鷹まで乗っても良かっ
たのですが、このペースだと、東西線を走るもうひとつの地下鉄乗り入れ型である301系と出会う
のにもそこそこ時間が掛かりそうなので、私は中野で降りて早々に落合に戻る事にしました。

 中野駅停車中に撮った103系1200番台車の車内
です。大阪環状線などを走っているノーマル103系と
ほぼ同じ内装に見えますな。
【三鷹行・103系1200番台車内】

 対面の西船橋方面行ホームにいる9:02当駅始発の列車を見ると、そこにいたのは東葉高速鉄道の東
葉勝田台行1000系でした。営団の車両ばかり乗るのも面白くありませんから、願ったり叶ったり
です。

 これで乗車車両の「撃墜マーク」がまたひとつ増えましたが、車両自体は営団の5000系そのも
のなので珍しいところはありません。

 京葉高速鉄道1000系の車内です。営団5000系
と同じく特に特徴も無い通勤型の内装です。
【京葉高速鉄道1000系車内】

 再び落合駅に帰着。さぁ、お次は何分待たされるのだろうかと身構えていると、着いてからわずか
6分、ほんの数本の列車を見送ったところで旧型モーターの唸りが聞こえて来ました。

 カメラを構えて待っていると、トンネルから飛び出して来たのは待望の301系でした。今度は、
ずいぶんあっさりとお目に掛かれましたな。(^^;

 落合駅に到着するJRの地下鉄乗り入れ型車両のひと
つ301系です。103系をベースに開発された車両で
すが、先に乗った103系1200番台車より古く、J
Rの地下鉄乗り入れ特別仕様車として製造された第1号
の車両です。
【東京都・営団地下鉄・落合駅】
 301系の車内です。103系を基本としているだけ
に内装もよく似ています。
【三鷹行・301系車内】
 301系の十字窓です。103系の窓とほとんど同じ
に見えます。
【三鷹行・301系車内】

 再び数分の乗車で中野に到着。列車はやはり三鷹行だったので、このまま終点まで乗り続けても良
いのですが、実は、この後、もう1車種チェックしたい車両があったので私は同駅で降りました。

 中野駅に停車中の三鷹行の301系です。フロント・
マスクでの103系1200番台車との大きな違いはラ
イトの位置が異なるぐらいです。
【東京都・JR中野駅】
 この301系は地下路線乗り入れ仕様に加え車体をア
ルミニウム合金製とした、まさにスペシャルな車両でし
たが、製造コスト面で折り合わないとして増備は成され
ず、以後の地下鉄乗り入れ車両は103系の仕様を変更
した103系の1000番台や1200番台が新造投入
される事になったそうです。
【東京都・JR中野駅】

 さてと、これで今回の「旅」の目的であった167系(ほんとは165系のオリジナル車に乗りた
かったのですが・・・(^^;)、301系、103系1200番台の3車種の乗覇は完遂です。

 とっとと帰っても良いのですが、せっかくなので営団地下鉄・千代田線を走る、もう1車種のJR
地下鉄乗り入れ型車両である203系にも乗っておく事にしました。

 つー事で、千代田線との乗り替え駅である大手町まで引き返し、そこで203系が来るのを待つ事
にしましょう。

 営団地下鉄・東西線における最新鋭車両の新05系で
す。在来の05系とはフロント・マスクの形状が異なり
ます。
【東京都・JR中野駅】
 新05系の車内です。昨今の新しい通勤型車両は、ど
うしてどれもこれもロング・シート両端の側板が高いの
でしょうか?
【営団地下鉄・新05系車内】

 営団の新05系で大手町まで戻った私は、駅の案内表示に従って千代田線のホームを目指しました
が、何と改札から外に出てしまうハメになりました。ホーム同士は繋がっていないのか、それとも出
る方向を間違えたのかな?

 大阪の市営地下鉄では、ほとんどの乗替駅で改札から外へ出る事なく連絡通路でホームからホーム
へ移動できるので、ついその感覚でいたのですが東京は違うのかな?

 いったん改札を出た私は、案内表示に従って千代田線を目指しましたが、それらしい改札が一向に
見えて来ません。

 それどころか、地下通路を延々と左、左へと回っているような気がして来たので、途中の壁にあっ
た案内図を見てみました。

 地下通路の壁にあった大手町の周辺案内図です。営団の東西線、
千代田線、半蔵門線、丸ノ内線、都営地下鉄の三田線などが井ゲタ
状に交わり、それぞれ改札が離れていると言う複雑さです。なんじ
ゃこりゃ?
【東京都・大手町】

 案内図を見ると、どうも私はわざわざ遠回りしているような気がします。東京の人は、もっと効率
的なルートを知っているのかも知れませんな。

 たっぷり10分は歩き回ってようやく千代田線の改札を見つけてホームに降りて見ると、いきなり
目標であるJRの203系が停車しており、まさに発車する寸前でした。

 東西線ではさんざん待たされたので、これを逃してはなるまいと思い、写真を撮る間もなく私は列
車に飛び乗りました。

 JRの地下鉄乗り入れ型車両のひとつ203系の車内
です。内装は通勤型である201系とほぼ同じなんだそ
うです。

 さて、とりあえず乗ったのはいいのですが何処まで行きましょうか・・・。この列車はたぶん我孫
子行だと思うのですが、そこまで行っているとけっこう時間が掛かりそうです。

 バッグから携帯時刻表を取り出して路線図を検討した結果、何となく聞き覚えのある地名である西
日暮里駅で降りる事にしました。

 10分程度の乗車で西日暮里に到着。同駅は山手線の乗換駅でもありますが、これまで訪れた事は
ありません。

 さっそく代々木上原方面行ホームに移動して203系を待つ事にしました。営団地下鉄・千代田線
には、JRの乗り入れ車両として203系の他に207系や209系1000番台などが走っていま
したが、不勉強な私の頭には203系の事しかありませんでした。

 西日暮里で待っていると、最初に到着したのは営団地
下鉄の06系でした。
【東京都・営団地下鉄・西日暮里駅】

 落合駅での経験から待たされるものと覚悟していた私は、06系を見送った後ものんびり構えてい
たのですが、何と次に入って来たのは203系でした。

 西日暮里駅に到着するJRの地下鉄乗り入れ型車両の
ひとつ203系です。アルミニウム製の車体で、メカニ
ズム的には通勤型である201系の物を多用しているそ
うです。営団地下鉄・千代田線とJR常磐線の相互乗り
入れ専用に使用されています。
【東京都・営団地下鉄・西日暮里駅】
 この100番台の車両は、203系の中でも台車を新
式に換装した増備車なんだそうです。
【東京都・営団地下鉄・西日暮里駅】

 再び10分の乗車で大手町駅に帰着。短い乗車でしたが、これで203系も乗覇しました。すべて
のJR乗り入れ車両に乗ったと勘違いしていた私は、満足して大阪へと戻る事にしました。

 時間的には、まだ10時半と早かったのですが、今回は土日での1泊2日ツアーだったので、翌日
からの仕事に備えて早く帰って休んでおきたかったのです。

 出口へ向かっていた私は、何気に見た列車案内板に「急行」の文字を見つけて思わず立ち止まって
しまいました。

 列車案内板に表示される唐木田行・急行の文字。営団
地下鉄って急行まで走っているのか?
【東京都・営団地下鉄・大手町駅】

 東西線の列車に乗っている時に車内放送で快速が走っていると聞いて少々驚いていたのですが、何
と急行まで走っているとは・・・。

 どんな車両で運行されているのか興味があったので、私は急行が来るのを待つ事にしました。営団
の千代田線は小田急とも乗り入れをしているので、ひょっとしたら小田急の車両が見られるかも知れ
ません。

 どんな車両が来るのかと待っていたら、やって来たの
は営団地下鉄の6000系でした。この車両は1971年か
ら走り続けているヴェテランです。
【東京都・営団地下鉄・大手町駅】

 唐木田行・急行を見届けた私は東京駅へと戻る事にしました。東京の地下鉄に乗り慣れていない私
は東西南北も分からないので、案内表示の言われるがままに進みました。

 東京駅へと向かう途上にあった長大な地下通路です。
大阪や名古屋の地下鉄乗り替え駅にも長い連絡通路はあ
りましたが、ここの通路の長さは、たっぷりひと駅分は
ありそうです。
【東京都・営団地下鉄・大手町駅】

 何だか分かりませんが、今回の地下鉄乗車では、さんざん歩かされました。よほど私は効率の悪い
ルートを通っているのでしょうか・・・?(^^;

 東京駅に辿り着いた私は、11:37発の新大阪行『ひかり215号』に乗る事にしました。たぶん自
由席でも座れるでしょうが、夜行列車明けで疲れており、並ぶのが面倒だったので指定席で行く事に
しました。

 東京駅に入線する新大阪行『ひかり215号』です。
【東京都・東京駅】

 到着した列車に乗り込むと、そこのデッキには何も積んでいない車販用カートが置いてありました。
てっきりカートは業務用の部屋みたいな所に仕舞われているものと思い込んでいたので、これはちょ
っと意外でした。

 列車が定刻に東京駅を出ると、二人の女性アテンダントがカートの所にやって来て準備を始めまし
た。新幹線には数多く乗っていますが、こんな光景を見るのは初めてです。

 彼女たちは、あらゆる物をテキパキとカートに詰め込み、ものの10分足らずで、いつも見る山盛
りのカートが出来上がりました。いやはや、大したもんですな。

 これまで私は、積載済みのカートを駅から乗せているものとばかり思っていたのですが、彼女たち
は、いちいち車内でセッティングし、終着駅では降ろしていたんですな。

 カートの件では感心させられたものの、乗り慣れた東京←→新大阪間の新幹線の車内では特に見る
ものもなく、居眠りしている内に新大阪に到着しました。

 新大阪に到着する今回の「ファイナル・トレイン」、
新三田行・普通1175Cです。
【大阪府・新大阪駅】

 これで今回の「旅」は終わりです。165系のオリジナル車には乗る事が出来ませんでしたが、そ
の代わりに未知のヴァリエーション車だった167系に乗れたので、まあ良しとしましょう。

 165系と時を同じくして、営団地下鉄・東西線で乗った103系1200番台車と301系も、
この6月で全車が退役し、最新鋭のE231系800番台車に置き換えられます。

 これまでならば新型車両の登場には心が躍ったものですが、経営面の効率化を図る為でしょう、J
R東日本では、ここのところ東京エリアの近郊型、通勤型の新造車両はE231系のヴァリエーショ
ン車で統一しており、この度のE231系800番台車もそのひとつなので何となく新鮮さに欠けて
しまいます。

 列車好きとしては、様々な車両に乗るのも楽しみのひとつなのですが、厳しい景気がそれを許さな
いのでしょうね。寂しい事です・・・。

 『列車まかせの旅』第14弾、おわり。


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