プロローグ |
今回の「旅」のメインは、大阪発・新潟行の夜行急行『きたぐに』に乗る事でした。例によって新
潟に着いた後の事は考えていませんでしたが、『JR時刻表』をめくりながらあれこれと考えた結果、
「旅行記」第3弾で乗った寝台特急『日本海1号』が秋田県の東能代駅に停車した際に見掛けた、五
能線と言う日本海沿岸を巡るローカル線に乗りに行く事にしました。
なぜこれらの列車に乗る事にしたかは、また本文の方で・・・。(^^;
第1部:「夜行列車愛好家への道」その6/急行『きたぐに』 |
私は単に列車の旅が好きなだけであって鉄道マニアではありませんし、今後もマニアになれるとは
思っていません。(鉄道の世界は奥が深すぎるのです(^^;)
しかし、今回乗る事にした夜行の急行『きたぐに』を語るには、まず583系と言う車両について
説明する必要があるかと思います。
鉄道ファンHPで「勉強」したところでは、かつて国鉄時代に輸送力の大幅な増強を迫られた時期
があったそうです。
輸送力の増強は、すなわち列車本数の増加ですが、それには当然、車両数を増やす必要があります。
が、しかし、事はそれだけでは済みません。
車両数を増加させるには、同時に車両基地の設備強化および基地そのものの増設をも考慮する必要
があったのです。
車両は単に購入すれば済みますが、基地の増設は、そう簡単にはいきません。そこで編み出された
のが、昼間は特急、夜間は寝台列車として使用可能な両用車両の開発でした。
この構想を元に、485系特急用車両をベースとして開発されたのが581系(50Hz電源専用車)
と呼ばれる車両であり、その50/60Hz電源両用化型が583系と呼ばれる車両です。
この583系の座席は、特急使用時にはボックス式のクロス・シート、寝台使用時には3段ベッド
のB寝台(2段のA寝台もあり)になるように設計されていました。
しかし、この両用型の車両は、特急として見た場合、リクライニングしないボックス式クロス・シ
ートは特急専用車両より快適性では劣っており、寝台車として見た場合も、狭い3段寝台は客車式2
段寝台よりこれまた快適性で劣っていました。それらが原因だったのでしょうか、583系の増備は
早々に打ち切られてしまったそうです。
それでも583系は全盛期には日本全国を走り回っていたそうですが、山陽新幹線や東北新幹線の
開業による特急/寝台列車の廃止や、583系既存列車が483系特急用車両や客車式寝台車へ車種
変更された事により次々と現役から外されました。
現在では、常設列車として残っているのは僅かに急行『きたぐに』のみ。その他、臨時列車として
寝台特急『はくつる81/82号』、スキーヤー専用列車『シュプール号』として運行されているだ
けとなりました。
余剰となった583系は、団体列車用の予備として残された車両以外は、改造されて419系や7
15系などの近郊型普通列車用車両として転用されたそうです。でと、583系の説明はこれぐらい
にして、次は急行『きたぐに』の説明です。
その583系車両で編成された急行『きたぐに』は、寝台車と座席車両の混成ですが、列車種別は
寝台列車ではなく急行となっています。
運行区間は大阪←→新潟間で上下各1本ずつの2本が運行されています。今回乗る事にしたのは、
23:26大阪発・8:30新潟着の下り列車です。
列車の編成は、2段式A寝台車1両、3段式B寝台車4両、座席グリーン車1両、座席自由席車4
両の計10両です。
『きたぐに』の特徴は、何と言っても電車式3段寝台を備えている日本で唯一の常設列車であると
言う事です。
今回、私が『きたぐに』を選んだのも電車式3段寝台に乗ってみたかったのが最大の理由ですが、
それ以外の理由として、老朽化した583系が、そう遠くない将来に新型車両に置き換えられてしま
う事が考えられたからです。
現在、常設の電車式寝台列車としては、『きたぐに』以外には『サンライズ瀬戸』、『サンライズ
出雲』、そして休日のみ運行される『サンライズゆめ』などがありますが、これらは新型の285系
車両で編成されています。
狭い3段式寝台の583系に対し、この285系は、すべての寝台が個室になっており、快適性の
点で583系は、かなり劣ってしまいます。
583系が置き換えられるとしたら、おそらくこの285系になるのでしょうが、それはすなわち、
常設の3段式寝台車の消滅を意味する事になります・・・。ちゅー事で、「こりゃ乗ってみにゃなん
めェベ」と言う事になりました。(^^;
さっそく鉄道ファンHPで583系の3段式のB寝台の事を調べたところ、下段は幅が客車2段式
B寝台より広いものの、中段、上段寝台は客車式と幅は同じ。高さは3段共に客車2段式の3分の2
以下しか無い事が分かりました。
よーするに、今まで乗ってきた客車2段式B寝台より狭いっちゅー事ですな。と、言う事は、真の
意味で『きたぐに』の乗車を「楽しむ」ならば、中段か上段、つまり狭い方の寝台に乗らにゃならん、
ちゅー事ですな。(←こーゆー意味不明なところにこだわるのが私と言う人間なのです(^^;)
で、事前に取れた切符を見ると、何と上段になっていました。3段式寝台「初心者」としては、中
段から始めたかったところですが・・・。(^^;
急行『きたぐに』の急行券・B寝台券です。何と3段 寝台の上段が当たってしまいました。 |
そして出発当日。遅めに夕食を済ませ、『きたぐに』が出る大阪駅11番ホームに上がりました。
以前、寝台特急『日本海1号』や急行『ちくま』に乗った時は10番ホームからの発車だったのに、
『きたぐに』は11番なんですな。
大阪駅11番ホームに入線してくる急行『きたぐに』 です。485系特急用車両をベースにして開発した車両 だけあって、正面から見ると485系と見分けがつきま せんな。 【大阪府・大阪駅】 |
『きたぐに』のB寝台車の車体側面を写したところです。窓の上 に小さな小窓がありますが、いちばん上の小窓が上段寝台用、その 下のが中段寝台用の小窓です。羨ましい事に下段寝台は普通の窓が 使えます。 【大阪府・大阪駅】 |
『きたぐに』の編成は、先頭となる新潟方向の車両が10号車、最後尾の大阪方面の車両が1号車
となっています。
車両構成は、ちょっと変わっていて、先頭から10〜8号車がB寝台車、7号車がA寝台車、6号
車が座席のグリーン車、5号車がB寝台車、4〜1号車が座席の自由席車となっています。これはた
ぶん、モーター装備車両の連結位置の都合によるものなのでしょう。
私が乗るのは、寝台車両群から1両だけ孤立している5号車のB寝台車です。この車両はグリーン
席車両と自由席車両に挟まれていました。見ると、グリーン車は、ごく普通の座席グリーン車でした。
自由席車両は見に行かなかったのですが、こちらは寝台を収納して特急時のクロスシートにしてあ
るはずです。鉄道ファンHPの記事によると、昔は自由席の乗客が無断で寝台を引っ張り出して使用
していた事があったりしたそうですが、今ではチェーンで固定して寝台を出せないようにしていると
か・・・。
5号車に乗り込むと、通路の両側は、一面、寝台のカーテンに覆われており、寝台ナンバーを表示
しているはずの柱やプレートの類はぜんぜん見えませんでした。
おいおい、こんなんでどうやって自分の寝台を探せっちゅーねん! と・・・、よく見ると、各寝
台のカーテンのド真ん中に「3・下」、「3・中」と言った刺繍の入った布が縫いつけてありました。
なるほど。
さて、私の寝台は「3・上」です。見ると、見上げるような高さにあります。床に立ったままだと
手を伸ばしても荷物を寝台に置けそうにありません。
私は梯子を数段登ってから、まず荷物を寝台に放り込みました。続いて梯子を登り、ベッドに片膝
を立てて潜り込もうとしましたが、何と背中が天井につかえてしまいました。せ・・・、狭い!(^^;
いったん身体を外へ戻して梯子を数段降り、今度は腰をベッドの縁に掛けて支点とし、上半身から
先にベッドに倒れ込みました。こうすると脚が通路にピョンと飛び出てしまうので、外から見ている
人がいれば、さぞかし滑稽に見えた事でしょう。
それから腕を動かしてズルズルと身体をベッドに引きずり込みました。なんか不細工やなぁ〜、も
ちっとスマートに乗れんもんかねぇ・・・。
ベッドの足元側です。掛け布団、浴衣、ハンガーが置 いてあります。シーツはすでに敷いてありました。 上段寝台は屋根のすぐ下にあるので、天井が屋根の形 状に沿って斜めになっています。 【急行『きたぐに』車内】 |
上段寝台は、ベッドから天井までいちばん高いところでも68セン チしかありません。対比用に置いた私のカバンは縦寸が約32センチ ですので、いかに低いかが分かると思います。 【急行『きたぐに』車内】 |
ベッドの頭側です。枕、そして左の壁には読書灯が付 いています。新潟行の『きたぐに』は北へ向いて走るた め、枕は大阪方向に置かれています。いちおう「北枕」 にならないように配慮してあるんですな。 【急行『きたぐに』車内】 |
先の車両を外から写した画像にもあった小窓です。い ちおうスライド式のカバーも付いています。 寸法は縦が15センチ、横が30センチしかなく、窓とし ては、ほとんど気休めです。窓の外を見るには、頭をベ ッドに付けなければなりません。 【急行『きたぐに』車内】 |
ベッドより窓側にある金属剥き出しのスペースです。荷物を置く のに丁度良い場所ですが、どうやら寝台収納時に折り畳まれる部分 のようですね。 【急行『きたぐに』車内】 |
寝台中央の天井部分に付いている何かの金具です。た ぶん寝台収納時に寝台を留める金具なんでしょうね。 【急行『きたぐに』車内】 |
ハンガーを壁のフックに掛けたところです。こんなに 低くちゃ服の下半分が床についてしまうっつーの! 【急行『きたぐに』車内】 |
B寝台車内の様子です。ご覧の通り、通路両側に寝台が並んでい ますが、カーテンと梯子しか見えません。 【急行『きたぐに』車内】 |
対面の中段、下段寝台を写したところです。下段寝台は広そうで 羨ましいです。 【急行『きたぐに』車内】 |
よく見ると、中段寝台には壁に棚が付いているようです。上段に は何も無いのに・・・。 【急行『きたぐに』車内】 |
寝台のカーテンの頭側には換気用に開けられる「窓」 が付いています。「窓」の中央には、「この部分は通風 のためあけられます」と表示が付けられています。 【急行『きたぐに』車内】 |
マジック・テープで留められていた「通風窓」を開け たところです。 【急行『きたぐに』車内】 |
車両内の寝台列より乗降口寄りには、共用の荷物置棚がありまし た。しばしば盗難があると言われる夜行列車で、ここを利用する人 なんかいるのかと思いきや、夜中にトイレに立った際に見てみると けっこう荷物が置いてありました。 【急行『きたぐに』車内】 |
荷物置棚よりさらに乗降口寄りには、蛇腹カーテンの付いた「更 衣室」がありました。今回、私自身が寝台の中で着替えるのに悪戦 苦闘した経験から言って3段寝台車では「更衣室」は必要ですね。 【急行『きたぐに』車内】 |
寝台上から荷物置棚や更衣室の写真を撮っていると、4〜5人連れの女の子が乗って来て後ろの自
由席車両の方へと歩いて行くのが見えました。
3連休ですから、友達と連れだって北陸の何処かに観光に行くんでしょうな。しかし、夜行列車を
使うとは、けっこう旅慣れているのかな?
車両間通路方向を写したところです。583系の天井が通常の車 両より高いのが分かるでしょうか? 【急行『きたぐに』車内】 |
小窓より外の大阪駅のホームの様子を写したところで す。カメラをベッドに置かなければまともに撮る事が出 来ませんでした。 人がこのようなアングルで窓の外を覗こうと思えば、 ベッドに顎をつけなければなりません。 【急行『きたぐに』車内】 |
ベッドでゴチャゴチャやっている内に何と検札が来ました。列車は、まだ大阪駅から発車していま
せん。発車前に検札があったのは、これが初めてです。
車掌は通路からカーテン越しに「3番上段の方、切符を拝見します」と声を掛けてきました。私は
カーテンを開け、下にいる車掌に切符を渡しました。
切符をチェックした車掌は、次の乗客の検札に向かいましたが、大阪駅でこの後から乗って来る人
の検札は発車してからするのかな?
『きたぐに』は、定刻の23:26に大阪駅を出発しました。私の下の中段寝台は、まだ乗っていませ
んでしたが、発車前の車両内の喧噪からして、けっこう乗客はいるようです。
発車して間もなく、チャイムの『鉄道唱歌』が流れ、案内放送が始まりました。ここらへんが旧式
らしいトコですね。
大津駅では、完全武装のハイカーが大勢『きたぐに』を待っていました。大津は、かつて『銀河』
や『日本海1号』、『ちくま』などの夜行列車でも停車しましたが、これほど大勢の乗客が待ってい
るのは初めて見ました。
大津駅から発車するとほぼ同時に、私の下の中段寝台で物音が聞こえました。どうやらここで乗っ
て来たようですね。それからほどなく、「3番中段の方、切符を拝見します」と車掌の声が聞こえて
きました。
車掌が去って間もなく、夜行列車得意の案内放送休止のアナウンスがありました。再開は直江津駅
到着前からだそうです。
今回は、車内で何かをするつもりも無かったので、私はさっさと寝る態勢に入るべくジャージに着
替えようとしましたが、天井が低いため上体を完全に起こす事が出来ない上に、腕を延ばそうとして
も壁や天井に当たって延ばし切れない為、上着を脱いだり着たりする度に悪戦苦闘させられました。
うーむ、やっぱ狭いっ!
着替えを済ませ、ベッドに横になって掛け布団を被った状態で改めて寝台内を見渡してみると、な
ーんか妙に落ち着きます。
以前、寝台急行『銀河』や寝台特急『あかつき』で乗った客車2段式B寝台は、寝台の四方の内、
壁があるのは窓側とブース外側の2面だけであり、通路側とブース内側の面は解放されていてカーテ
ンで仕切られているだけでした。
さらにブース内の対面寝台までの距離が近いので、カーテンを完全に閉めていても何か隣に気を遣
って落ち着けませんでした。
一方、「本棚」みたいな形状をした『きたぐに』の3段式B寝台は、寝台の四方の内、窓側と前後
の寝台間の3面が壁になっていて、解放されているのは通路側の一面だけでした。
さらに中央通路の幅が広くて対面寝台までの距離が離れているので、カーテンを閉めてしまうと寝
台はまるで個室みたいな雰囲気になり、とても落ち着く事が出来ました。
夜行列車のヴェテランの方が運営する、とあるHPで、管理者の方が『きたぐに』の事を「いちば
んのお気に入り」と書いておられましたが、何となく分かるような気がしました。
さほど眠気が来ない内に米原駅に到着しました。ベッドに顎を押しつけるようにして小窓からホー
ムの様子を眺めていると、何人かの乗客が降りたようです。
『きたぐに』は、大阪発・米原方面行の最終列車でもある為、普通の最終に乗り遅れた人達も利用
しているのでしょう。
長浜駅を出てしばらくすると、30秒程度でしょうか、車内の照明が消えました。かつて仕事で乗っ
たL特急『雷鳥』が湖西線を走っている時にも同じ経験をしたのですが、「停電」している間に、電
車の電源が大阪方の直流方式から北陸方の交流方式への切替が行われたのです。
あと、『きたぐに』に乗っていて気がついたのは、駅の発停時の衝撃が客車式より小さい事でした。
衝撃が無いと言うところまでは行きませんし、寝ていて気になるのは気になるのですが、客車式より
小さいのは確かです。さすがは電車式と言うところでしょうか?
電源切替を見た後、私は本格的に寝る態勢に入りましたが、またしてもなかなか寝付く事が出来ま
せん。寝台に乗るのはこれで5回目だと言うのに我ながら情けない・・・。(-_-;
寝心地はそれほど悪くなかったのですが、急行である『きたぐに』は、ほぼ30分おきに駅に停車す
るので、うとうとしている内に次の駅に着いてしまい、その際の発停の衝撃で眠りから引き戻されて
いたのは確かです。私もまだまだ未熟者ですな。
しかし不思議やなぁ。朝夕の通勤電車の中では、ロングシートに座った状態で熟睡出来ているのに
寝台列車で眠れないとは・・・。(^^;
夜中に一度だけトイレに立ちました。狭い寝台内で悪戦苦闘しながら上着を羽織り、苦労して梯子
を降りてデッキへ出ると、ハイカー風の身なりをした男性が横に大きなリュックを置いてしゃがんで
いました。自由席に空きがなかったのでしょうか?
トイレから戻ってそっと梯子を登り、今度は乗車した時よりスムーズに寝台に潜り込む事が出来ま
した。膝立ちで、もっと身体を折り畳めば良かったのです。
しかし、寝台内での着替えだけはどうにもなりませんでした。またしても少々イライラさせられな
がら上着を脱ぎ、ベッドに潜り込みました。
いつの間にか私は眠り込んでいて、気が付くと列車は新津駅を出発していました。新津から先、新
潟までの間、『きたぐに』の列車種別は急行から快速に変わり、自由席には乗車券のみで乗れるよう
になります。
新津から新潟までは約15分です。私は起きて降りる準備を始めました。壁や天井に腕をぶつけなが
ら着替えを済ませ、寝台内に広げていた私物をカバンに詰め込むと寝台に仰向けに寝ころんで新潟到
着を待ちました。
そして8:30、急行『きたぐに』は新潟駅に到着しました。新潟駅を訪れるのは、これが初めてとな
ります。
私の予想に反し、新潟の気温は過ごしやすい温度でした。かつて函館を訪れた際に薄着で震え上が
った反省から、今回は、ちゃんと上着を持って来ていたのですが、いささか拍子抜けしました。
新潟駅で、『きたぐに』が着いたのと同じ「島」の対 面ホームに停車していた113系もしくは115系の列 車です。しかしまぁ、地方地方によって様々な塗装があ るもんですな。 【新潟県・新潟駅】 |
陸橋上から写した新潟駅の在来線ホーム群です。新潟 は、信越本線、羽越本線、越後線、磐越西線、白新線の 各列車の起点駅です。 【新潟県・新潟駅】 |
さて、これから次の目的である五能線の列車に乗る為、秋田県の東能代駅まで移動しなければなり
ません。
次に乗る新潟発・秋田行のL特急『いなほ1号』が出るまで35分ばかしインターヴァルがあったの
で、その時間を利用して新潟駅の写真を撮るため、私は途中下車で改札を出ました。
新潟駅です。上越新幹線の起点駅でもあり、さすがに デカいですな。 駅前の広場では、「はっぴ」を着た二人の男性が民謡 らしき唄を大声で熱唱していました。観光客を歓迎する ための趣向なんですかね? 【新潟県・新潟駅】 |
新潟駅前には、駅舎と駅前ロータリーの間にこのよう な広大な駐車場と駐輪場があります。駅前のロータリー は、画像よりさらに右手にあります。 【新潟県・新潟駅】 |
新潟駅前をサラっと見た私は駅に戻りました。ぼちぼち『いなほ1号』がホームに入線しているは
ずです。
9:05新潟発の秋田行L特急『いなほ1号』です。車両 は、かつて函館から盛岡まで乗った特急『はつかり10 号』と同じリニューアル485系でした。 【新潟県・新潟駅】 |
『いなほ1号』の普通指定席の座席です。背もたれがリクライニ ングするのに加え、シート部分も前後に動かせます。 【L特急『いなほ1号』車内】 |
座席前正面に張られている座席操作の案内です。座席 の操作ボタンは肘掛け先端の内側側面に付いています。 【L特急『いなほ1号』車内】 |
『いなほ1号』は予定通り新潟駅を出発しました。新潟←→秋田間を移動する人々は少ないのでし
ょうか、私が乗った車両は、乗車率30%程度のまま終点の秋田駅に到着しました。
さて、お次は9分の連絡で青森行の特急『かもしか3号』に乗り換えです。たった9分ではウロつ
く事も出来ないので、列車の写真を撮っただけで列車に乗り込みました。
秋田駅に停車している12:48発・青森行の特急『かも しか3号』です。こちらの車両は、塗装こそ新しくなっ ているものの、オリジナルの485系でした。 【秋田県・秋田駅】 |
特急のツー・ショットです。左が新潟から乗って来た 『いなほ1号』。右が『かもしか3号』です。『かもし か』の方が奥に止まっているのは、同列車が3両編成と 短いからです。 【秋田県・秋田駅】 |
『かもしか3号』の座席です。収納状態のテーブルが座席の横に 剥き出しになっているところが何ともレトロです。 リクライニング・シートではないのですが、シート部分を前後に ずらす事が可能であり、それと連動して背もたれも多少傾きます。 私は正規のリクライニング・シートよりこちらの座席の座り心地の 方が好きですね。 【特急『かもしか3号』車内】 |
第1号車が製造されてから34年が経つ485系ですが この『かもしか』に使用されている車両は、ほぼオリジ ナルのものではないかと思います。(エアコンは新しく なっていると思いますが・・・) 3両の短編成ながら『かもしか3号』の乗車率は高く 検札に来た車掌曰く、今日は満席との事でした。 【特急『かもしか3号』車内】 |
『かもしか3号』に乗り込み、自分の指定席(通路側)まで行くと、窓側の席にはおばちゃんが座
っていました。
私が席に座ると、おばちゃんは急に落ち着きを無くして立ち上がり、「こっち(窓側席)ですか?」
と私に尋ねてきました。
私がキョトンとして「いいえ、こっち(通路側)ですよ」と答えると、「あ、そうですか」と呟い
て席に座りました。
どうやらこのおばちゃんは「とりあえず乗車」だったようですね。しかし、私が通路側に座ってい
ると言う事は、窓側席は空いてないと言う事ですが・・・。
ま、それはともかく、せっかく特急に乗ったのですが、実は45分後に着く東能代駅で私は降りる事
になります。秋田→東能代間は、普通列車でも1時間足らずで行けますから、わざわざ特急に乗らん
でも普通列車で行きゃいいじゃねェか! と、思うでしょうが、あいにく、目的とする13:43東能代発
・深浦行の五能線の列車に間に合う普通が無いのです。
だったら五能線の乗る列車を1本遅らせりゃいいじゃねェか! と、思うでしょうが、本数の少な
い五能線では次の列車は2時間17分後になってしまい、それに乗るとなると、帰りに乗る予定にして
いる青森発・上野行の寝台特急『はくつる』に間に合わなくなってしまうのです。
つー事で選択の余地は無くなり、誠にもったいない話なのですが僅か2駅(通過駅を含めると12駅)
の特急乗車と相成った次第です。
『かもしか3号』は、定刻の12:48に秋田駅を出発しました。発車してすぐに車掌が検札に来まし
た。車掌が私の切符をチェックしたところで、窓側のおばちゃんが車掌に「ここ座れますか?」と尋
ねました。
五十代も半ばと思われる白髪で物腰の優しい車掌は困った顔をしながら、「今日は満席なんですが
・・・、でもこの時間までに来ていないんなら、たぶん大丈夫でしょう。また後で来ますね」と言っ
てそのまま検札を続けて行きました。どうやら本来の座席の主は乗り遅れてしまったようですね。
ようやく落ち着いたところで車内前方を見ると、ホストみたいな格好をした、二十代と思われる、
めちゃめちゃイケてる青年が携帯を持ってデッキから入って来るのが見えました。どうやら秋田駅を
出た時からずっとデッキで電話していたようですね。
青年は自分の座席に座りましたが、5分と経たない内にまたデッキへと出て行きました。結局、こ
の青年は、私が乗っているあいだ中、席とデッキの間を行ったり来たりしていました。何だか知りま
せんが大変ですなぁ。
やがて、すべての検札を済ませた車掌が戻って来て窓側席のおばちゃんに「本来の主が現れたら席
を譲る」のを条件に暫定の指定券を発行しました。
それから20分と経たない内に列車は東能代駅に到着し、おばちゃんは私と共に降りました。なんや、
おばちゃんもここやったんかいな。
さてと、お次は五能線です。期待したとおりの日本海の景色が見られるといいのですが・・・。
第2部につづく・・・。
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