2007年12月15日掲載
『列車まかせの旅』第27弾(2005年4月10日)


「旅」の目的

 今回の目標は、東海道本線の支線である美濃赤坂支線、それに第三セクター鉄道の樽見鉄道、長良
川鉄道の3路線に乗りに行きます。

 これまでの私は、JRメインの乗車を行って来ましたが、今回の「旅」以降、全鉄道乗覇を目指し
始めたのでした・・・。


 その週末、私は土曜日に「旅」に出る予定でしたが見事に寝過ごしてしまい、日曜日の実施となり
ました・・・。(^^;

 4月も第2日曜日を迎え、世間では桜の見頃も今日までと言われていましたが、私は朝方の気温か
ら着ていく服に悩んでいました。今日は、そこそこ北の山間部に上るからです。

 しかも天気は下り坂でした。ひょっとしたら山間部では雪が降るかも・・・。自宅を出ると、案の
定、気温は低く少々涼しいくらいでした。

 今回は、事前に切符を用意していなかったので5:30に大阪駅の、みどりの窓口に行くと早朝にも関
わらず何と営業していました。もっとも、長いカウンターの並びで開いていた窓口は、たったひとつ
だけでしたが・・・。

 岐阜県の美濃太田までの切符を求めると「新幹線の切符は?」と聞かれました。まぁ名古屋に行く
のと大して変わりませんからな。

 まずは6:05発の長浜行・快速700Kで米原まで行きます。ホームで待っていると、大阪始発の同
列車は5:55に入線して来ました。

 大阪駅に入線する当駅始発の長浜行・快速700Kで
す。車両は223系。
【大阪府・大阪駅】

 列車は定刻に乗車率50%ほどで大阪から発車。1時間43分後、若干客が減った程度で米原に到
着しました。さて、名古屋方面行き列車に乗り換えましょう。

 米原の空模様は、どんよりと曇っていて気温は低く、少々肌寒さを覚えました。やっぱ薄着やった
んかな・・・?

 当駅始発の名古屋行・快速5302Fは8:07に入線して来ました。なぜか座席は、すべて逆方向に倒さ
れています。

 米原始発の名古屋行・快速5302Fです。車両は117
系です。ここから先の東海道本線はJR東海の縄張りに
入ります。
【滋賀県・米原駅】

 米原駅のホームでは弁当売りの売り子が「お弁当はいかがですか〜」と声を張り上げていました。
列車に乗り込んで待っていると、隣のプラットフォームに大阪方面からの当駅止めの列車が着くや、
ダッシュで我が列車に乗り換えて来る人々がいました。発車時刻が迫っていた分けではないので、た
ぶん席を確保するためでしょうな。

 さらに敦賀方面からの419系列車も到着し、同列車からの乗り換え客も迎えて名古屋行は70%
ほどの乗車率で米原から発車しました。

 快速5302Fは途中駅に止まる度に少しずつ客を増やしながら米原から34分で大垣に到着しました。
同駅では半分ぐらいが降りたようです。

 大垣では、過去の旅行記で夜行快速『ムーンライトながら』や臨時大垣夜行の乗り継ぎを行いまし
たが、まともに降りたのは今回は初めてです。

 大垣駅です。JR東海道本線、近鉄・養老線が通る他
に、JR美濃赤坂支線列車、第三セクターの樽見鉄道の
起終点駅でもあります。駅舎は商業ビル『アピオ』との
合造です。
【岐阜県・大垣駅】
 駅前ロータリーの片隅には、かつて貨物列車の最後尾
に連結され車掌が常務していた緩急車が静態保存されて
いました。かつて大垣駅構内からは、周辺の3工場に向
けて専用線が延びていたそうです。その頃の構内は、た
いそう賑わっていた事でしょうな。この緩急車は、その
記念なのでしょうか。
【岐阜県・大垣駅】


第1部:盲腸線探訪・その5/JR東海道本線・美濃赤坂支線

 さてと、それでは「旅」の本題に入りましょう。まずは東海道本線の美濃赤坂支線からです。同線
は大垣から美濃赤坂までの路線長5キロの盲腸線です。朝夕の通勤時間帯を含め本線からの乗り入れ
列車はなく、全列車が大垣←→美濃赤坂間の区間運転となっています。

 大垣の駅前をさっと見て9:10に駅に戻り、美濃赤坂行・普通4211Fの出る3番線に行くと、列車は
すでに停まっており、各車両に3つあるドアの内、中央のドアだけを開けていました。これは車内保
温のためです。

 大垣駅の欠取式の3番線に停車中の美濃赤坂支線・美
濃赤坂行・普通4211Fです。車両は、JR東海の主力近
郊形電車として大量増備されつつある313系の2両編
成でした。
【岐阜県・大垣駅】

 乗り込んで待っていると、発車時刻寸前の9:21、いったんすべてのドアを開けました。定刻、普通
4211Fは、列車全体の乗客4人で大垣から発車しました。

 動き出して間もなく、右手の構内に樽見鉄道の物と思しきディーゼル機関車が見えました。JRの
DE10形の同型機です。

 美濃赤坂支線で唯一の途中駅である荒尾到着前に東海道本線の「本線」が左に分かれて行きました。
すぐに荒尾に到着。

 同駅を出た我が列車は3分で終点の美濃赤坂に着きました。大垣からの乗車時間は、たった6分。
まさに堂々たる盲腸線ですな。

 美濃赤坂駅です。東海道本線・美濃赤坂支線の末端駅
ですが、ここから北と西に路線を持つ貨物専業の私鉄で
ある西濃鉄道との貨車譲受駅でもあり、小規模な貨物ヤ
ードを持ちます。
【岐阜県・美濃赤坂駅】
 美濃赤坂駅の構内スナップその1です。右端に駅舎と
ホーム、それにここまで乗って来た313系が小さく写
っています。左側の貨物ホームには、袋が整然と積み上
げられたパレットが重ねて置かれていますが、列車での
搬入出は行っていないはずです。
【岐阜県・美濃赤坂駅】
 美濃赤坂駅構内スナップその2です。上の写真から、
さらに左手(東側)を写したところで、右端に貨物ホー
ムがあります。左側の線路が北の市橋方面へと延びる西
濃鉄道・市橋線です。
【岐阜県・美濃赤坂駅】

 美濃赤坂周辺にはビルもなく典型的な田舎町でした。道を歩いていると、ご近所同士の立ち話が聞
こえて来たり、公園では子供たちが遊んでいたりします。

 同地に降り立った私は、すぐに折り返すのではなく、当地に路線を持つ貨物専業の西濃鉄道の路線
を見に行く事にしていました。

 西濃鉄道は、JRに貨車を受け渡す美濃赤坂を基点にして、北の市橋まで伸びる路線長2.6キロの市
橋線と、西の昼飯へと伸びる路線長1.9キロの昼飯線の2路線を持つ貨物専業の私鉄です。現在、営
業しているのは市橋線だけで、昼飯線の方は休止しています。

 同鉄道は私鉄ですが、全国にある貨物専業鉄道の多くは第三セクターであり、私鉄は岩手開発鉄道、
小坂精錬小坂鉄道、それに西濃鉄道の3社のみであり、鉄道ファンからすると、大変、貴重な鉄道な
のです。

 さてと、まずは北へと伸びる現役の市橋線に沿って歩き乙女坂駅に向かいましょう。駅前の道では、
背中に「祭」の文字が入った水色のハッピを着た20人ぐらいの集団が小さな神輿を担いで練り歩い
ていました。何ともこじんまりとしたお祭りですな。

 美濃赤坂の町内のスナップです。古そうな家屋なども
あり、何とも趣のある風景です。
【岐阜県・美濃赤坂】
 古びた角の商店の軒先には往年の丸ポスト。これも田
舎ならではですな。
【岐阜県・美濃赤坂】

 町中を歩いていると、あちこちで地元の人々の会話が聞こえます。皆さん顔見知りで、誰かが「○
○さんてどうしとるん?」と尋ねると話し相手が答えると言った具合に、近所同士の会話で誰もが住
人の動向をちゃんと把握しているのです。

 西濃鉄道における有名な撮影スポットのひとつ、石引
神社の敷地内を通る踏切です。遮断機もないこの踏切を
通る石灰石輸送列車を撮るのが、ここの定番なのです。
【岐阜県・美濃赤坂】

 どうせなら私も列車の写真を撮りたかったのですが、今回はダイヤを調べていませんでした。どの
みち行程の都合でゆっくり留まっているヒマはありません。私は踏切をを写すと引き続き乙女坂へ向
かいました。

 神社の境内には大きな桜の木があり満開でした。その
傍らには、お祭りの提灯が吊るされています。
【岐阜県・美濃赤坂】

 そこからさらに300メートルほど歩いて乙女坂に到着。そこには駅らしい施設もなく、工場敷地
内の積込線のように見えたので、最初は駅と気がつきませんでした。

 西濃鉄道の乙女坂駅です。矢橋グループの1社である
赤坂カロックスの工場が隣接しています。同社の積み出
し専用駅でしょうか?単線の本線と積込線と思しき側線
が1本あるだけで、駅と言うより信号場みたいですな。
【岐阜県・西濃鉄道・乙女坂駅】

 駅構内は工場の敷地内も同然なので立ち入る事は出来ず、私は南側に少し離れている踏切から眺め
るしかありませんでした。

 すると、どこからともなく白い野犬が現れ、工場敷地内にある線路をトボトボと横断して行くのが
見えました。

 私も構内に入ってじっくりと駅を観察したいのですが、あの犬と同じ場所に立ち入れば工場の従業
員に怒鳴られかねません。

 市橋線には、この先にまだ猿岩、市橋の2駅がありますが、時間的に見に行くゆとりはありません。
私は次に昼飯線の途中にあるスイッチバック駅の美濃大久保を目指しました。

 同駅までは、来た道を美濃赤坂まで戻って西に向かうのではなく、乙女坂脇の急坂を登って最短距
離で直接向かう事にしました。

 工場や事務所ばかりの道路を1キロばかり歩いて美濃大久保あたりまで来ましたが、手持ちの地図
では詳しい場所までは分からないので適当に探すしかありませんな。

 道路端を歩きながら駅のある左手に目を凝らしていると、道路からは一段低くなった場所に不自然
な空き地と草に埋もれた線路が見てとれました。たぶんここが美濃大久保でしょう。

 坂を下って駅に着いて見ると、ホームや線路には立ち入りを咎めるような看板も見当たらなかった
ので、線路内に入って構内をじっくりと観察しました。

 西濃鉄道の美濃大久保駅です。いつから使われなくな
ったのでしょうか、線路は草に埋もれています。右手の
ホーム上の倉庫も線路側は板で封鎖されており、もはや
廃駅の様相を呈しています。
【岐阜県・西濃鉄道・美濃大久保駅】

 ぼちぼち切り上げて美濃赤坂に戻らねばなりません。出来れば終点の昼飯まで行きたかったのです
が後の予定が詰まっています。私は線路に沿って美濃赤坂方面に向かいました。

 美濃大久保駅のすぐ南側にある線路分岐点です。左に
行くと美濃赤坂、右へ行くと昼飯です。
【岐阜県・西濃鉄道・美濃大久保駅】
 美濃赤坂へ向かう道中で、豊橋鉄道の社名が入ったハ
イキング・コースの案内標識を発見しました。なんでこ
んな所に?JRか西濃鉄道とタイアップでもして催して
いるのか・・・?
【岐阜県・美濃赤坂】
 沿道に立派な桜の木がずらりと並んでいる所がありま
した。これぞ桜並木ってやつですな。
【岐阜県・美濃赤坂】

 そのまま美濃赤坂へ向かって歩いていると、駅の手前に昼飯線の踏切がありました。

 JRの美濃赤坂支線と合流するカーブの手前で昼飯線
の線路には簡単な車止めが設置されていました。何とも
物悲しい光景ですが、いつでも取り外せるようにしてあ
るのがせめてもの救いです。
【岐阜県・美濃赤坂】

 踏切からさらに昼飯線に沿って歩いて行くと、美濃赤坂駅構内の南にある踏切に出ました。

 美濃赤坂駅構内を南側の踏切から見たところです。写
真左端で左に曲がって行くのが昼飯線の線路で、その向
こうに見える車庫は西濃鉄道のものです。車庫の中には
DD40形ディーゼル機関車が収まっていました。写真
右端で右に曲がっていくのが市橋線の線路です。構内に
はタンク車が2両見えるだけで、他に貨車はありません
でした。
【岐阜県・美濃赤坂駅】

 ふと時計を見ると、うおっ!列車の時間がヤバいっ!!私は走って駅に急ぎました。ここで乗り遅れ
ては、後の三セク乗車が出来なくなってしまう。

 美濃赤坂駅に停車中の大垣行・普通4212Fです。ホー
ムの右手にも桜が咲いています。
【岐阜県・美濃赤坂駅】

 必死に走った結果、何とか発車2分前に駅に戻りました。アブねぇ・・・。今にも出そうな大垣行
に乗り込んで待っていると、車内を通りかかった車掌からおっちゃんが切符を買おうとしていました
が、車掌は「あ、席でお待ちください」と告げると後方運転台に入って行きました。なんせ発車時間
ですから相手しているヒマはないわな。

 結局、私が乗る2両目は乗客5人で美濃赤坂から発車。改めて沿線を観察して見ると新築の住宅が
たくさんありました。ここは発展途上のようですな。

 おそらく、ここに住む人々は名古屋方面に向けて通勤していると思われるので、将来、人口が増え
た暁には、美濃赤坂支線にも直通列車が走るようになるかも知れませんな。

 列車が唯一の途中駅である荒尾に着くと20人ほどが乗り込んで来ました。同駅を出たところで車
掌に「美濃赤坂から大垣まで」と申告して切符を買いましたが、ハンディ端末で発券されたペラペラ
の切符を見ると荒井→大垣になっていました。ひょっとして運賃いっしょなんかな?

 車内で車掌から買い求めた大垣までの切符です。荒尾
→大垣となっていますが、美濃赤坂からでも運賃は同額
です。
【東海道本線・美濃赤坂支線・普通4212F車内】

 大垣で列車から降りた私は、次に乗る樽見鉄道の列車までの時間を潰すために市内を少しブラつく
事にしました。

 駅前の道をブラブラと歩いて行くと、300メートルほどで水門川のほとりに出ました。同川では、
かつては生活物資の川船輸送が行われ、一部は大垣城の、お堀として利用されていたそうです。

 大垣市では、水門川を「水都大垣のシンボル」と位置づけ、川を利用して観光客誘致の数々のイヴ
ェントが催されています。

 水門川に沿って歩いていると、何とタライ船が、ゆっ
くりとやって来ました。ひっくり返らんと、うまいこと
漕ぐもんですなぁ。
【岐阜県・大垣市】

 水門川に沿って少し歩いてから駅に戻りました。さて、お次は樽見鉄道ですが、それはまた次回と
言う事で・・・。

 第2部につづく・・・。


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