2007年5月26日掲載
『列車まかせの旅』第23弾(2004年7月18日)


第1部:「ちょっとこだわりの列車」その43/JRキハ65系

 ヘヴィーだった北海道ツアーから9日後の日曜日。今回はJRの希少車両のひとつに乗りに行く事
にしました。

 その車両とは国鉄時代に製造された急行型気動車のキハ65系です。同車は勾配線区で運行される
急行型列車を冷房化するため、キハ58をベースにして強力なエンジンとクーラー用発電機を搭載し
た車両であり、キハ58とペアを組んで使用されます。

 キハ65は、まず四国の路線に投入されて以降、中央本線(非電化時代)、高山本線、久大本線、
豊肥本線などの勾配線区にも投入されました。

 その後、全国で急行列車は減少して行き、国鉄からJRに移行後にはJR東海の快速『みえ』やJ
R西日本の急行『砂丘』などに使用されていましたが、やがてそれらの運用からも外されると多くが
ジョイフル・トレインに改造されたそうです。

 キハ65系には、私も旅行記第11弾の急行『だいせん』で乗りましたが、同列車に使用されてい
たのはジョイフル・トレイン『エーデル北近畿』に改造された車両でありオリジナルのキハ65では
ありませんでした。

 同車の事を知って以来、常々オリジナル車に乗りたいと思っていたのですが、ジェー・アール・ア
ール社が発行する、JRの全普通列車の使用車両を掲載したマニアックな資料本『普通列車編成両数
表』を調べて見ると、もはやJR四国の予讃線と土讃線でしか走っていませんでした。

 ただですら国鉄型気動車の廃車が進んでいる昨今、JR四国でも新鋭気動車への交代が進んでおり、
くだんのキハ65も、いつ退役しても不思議ではない状況です。つー事で乗りに行きましょう。

 『普通列車編成両数表』を調べたところ、キハ65で運行される列車は、高松駅発着では日に下り
が5本、上りが3本がありました。その中で今回は高松11:54発の阿波池田行・普通253Dに乗る
事にしました。

 で、当日。空は曇っていましたが、時々、日が差していたので雨は大丈夫でしょう。しかしニュー
スによると新潟方面では大雨で被害が出ているとか・・・。

 新大阪駅に着いた京都行の普通1110Bです。福知山線
から来た列車で、ちなみに平日は東西線/片町線経由の
京田辺行・普通4464Mとして運行されています。車両は
通勤型の207系です。
【大阪府・新大阪駅】
 新大阪駅に停車中の博多行『ひかり351号/レール
・スター』です。
【大阪府・新大阪駅】

 ホーム上を『ひかり351号』に沿って歩きながら車内の様子を見てみると、自由席よりも指定席
の方が混雑しているように見えます。

 夏休み中だし、広島や博多なんかに旅行するのに座れるかどうかわからない自由席よりも確実な指
定席で行く人が多いのでしょうか?

 定刻の8:46に新大阪を出た『ひかり351号』は9:38に岡山駅に到着しました。さて、高松行の快
速『マリンライナー19号』に乗り換えです。

 岡山駅に停車中の高松行・快速『マリンライナー19
号』です。2003年10月のダイヤ改正で車両はJR西日
本の213系から、JR四国の5000系とJR西日本の2
23系5000番台車の併結編成に変わりました。このロボ
ット・チックなマスクの先頭車両はJR四国5000系のダ
ブルデッカー車で、編成の高松方に連結されています。
【岡山県・岡山駅】
 5000系の中で5100型と呼ばれるこのダブルデッカー車
は、二階建て車両を得意としているJR東日本のE21
7系の二階建て車をベースに開発したそうです。座席は
2階がグリーン席、1階は普通指定席になっています。
【岡山県・岡山駅】

 ちなみに、JR四国の5000系は、先頭車の5100型以外はJR西日本の223系5000番台車と共通仕
様になっています。

 快速『マリンライナー』は、JR四国とJR西日本の共同運行列車のため、編成の四国方が5000系、
岡山方が223系5000番台車の併結列車となっており、車両の共通化を図るためJR四国がJR西日
本の223系5000番台車を自社形式5000系として採用したのです。

 せっかくなので今回は編成の5000系自由席車に乗りましたが、内装は関西の新快速でさんざん乗っ
ている223系そのものであり、目新しいところは何もないばかりか、これじゃ旅先に来ている気が
しませんな。

 車内で発車を待っていると新幹線からの乗り換え客がドっと乗り込んで来て、あっと言う間にほと
んどの席が埋まりました。

 これがあるので、私は確実に席が確保出来るよう『マリンライナー19号』の発車時刻の26分前
に着く新幹線を選んだのです。

 『マリンライナー19号』は定刻の10:04に岡山から発車しました。今回の高松までの移動ではJ
R四国の車両にも乗りたかったので途中の坂出でいったん降りました。

 同駅で予讃線の高松行・普通列車134Mに乗り換えます。『普通列車編成両数表』によるとJR
四国のオリジナル車6000系が来るはずです。

 坂出駅に到着する多度津始発の予讃線の高松行・普通
134Mです。車両はJR四国のみで使用される6000系
です。先頭車の前面形状はJR東日本やJR東海が所有
する211系や、先代『マリンライナー』車の213系
に類似していますが、先頭車は3つある乗降口のドアが
前から片引き戸、両引き戸、両引き戸になっているのが
特徴です。
【香川県・坂出駅】

 普通134Mの坂出発車時刻は10:55でしたが10:49に早々に到着しました。列車は、ここで後着の
特急待ちをするのです。

 乗り込んで見ると車内はガラガラでした。高松に急ぐ人は、たぶん8分後に来る快速を利用するの
でしょう。

 6000系の車内の様子です。座席はオール転換クロスで
色使いのせいか落ち着いた雰囲気でした。
【予讃線・普通134M車内】
 6000系の座席です。乗降口横の座席のみ固定式となっている他は
すべて転換式です。
【予讃線・普通134M車内】

 発車を待っていると、高知発の高松行・特急『しまんと2号』が後着して先発して行きました。ち
なみに同列車は、ひとつ前に停車した宇多津駅で併結していた岡山行の特急『南風8号』から分割さ
れた列車です。

 特急を先行させたあと、坂出から発車した134Mは、八十場に停車したあと鴨川駅に停まりまし
た。同駅は無人駅なのでしょう、車掌がホームで切符を集めていました。

 讃岐府中の停車を経て国分に到着。同駅のホームは長大な長さがありました。国分には普通しか停
まりませんが、これもかつての鉄道最盛期の名残ってやつでしょうか・・・?

 次に停車した端岡では後着の快速を先行させるとの事です。普通134Mは駅舎寄りのホームに停
車していましたが、この停車線には両側にホームがあり我が列車は両側のドアを開けました。

 ほどなく右のホームに高松行の快速『サンポート』136Mが到着しました。我が134Mが両側
のドアを開けたのは快速から降りた乗客が134Mの車内を通って駅舎に行けるよう便宜を図るため
でしょう。

 何気に右手の快速の方を見ると、それは、これまた未乗車のJR四国オリジナルの7000系でした。
これは乗っておかねば! 私は慌てて快速に乗り換えました。

 しかしながら、快速『サンポート』の次の停車駅は終点の高松であり、7000系に乗れたのは、わず
か8分間でした。

 7000系の車内です。座席は片側がボックス、もう片方
がロングで、これが車両中央を境に左右反転している独
特のレイアウトです。
【快速『サンポート』136M車内】
 高松駅に到着した快速『サンポート』136Mです。
同列車は折り返し伊予西条行の快速『サンポート』とな
ります。この7000系は、1990年11月の予讃線電化開業
に合わせて新製投入されたそうです。
【香川県・高松駅】

 さてと、そんでは28分の待ち合わせで、今回の主役である阿波池田行の普通253Dに乗り換え
ます。

 高松駅の券売機で買った阿波池田までの乗車券です。
JR七尾線の高松駅と区別するためか(讃)の文字が入
っていますな。

 高松に来たならうどんを食わねば、と、言う事で駅構内の立ち食いうどん屋で、ぶっかけうどんを
食べました。立ち食いであるためか出汁は薄味でしたが、やはり麺がちがいますな。

 11:37、普通253Dが4番ホームに入線して来ました。見ればホームで列車の写真を撮っている
オジさんがいました。

 高松から徳島へと伸びる高徳線が非電化であるため高松駅には気動車が頻繁に発着しています。つ
まり気動車が珍しいはずはないので、このオジさんの目標は急行型の気動車、もしくはキハ65とな
るわけです。つー事は「同業者」か?

 高松駅に停車中の阿波池田行・普通253Dです。前
がキハ65、後ろがキハ58の2両編成です。
【香川県・高松駅】
 キハ65は、1969年から1972年にかけて計104両製
造されたそうです。同じ急行型でも1818両も造られたキ
ハ58系と比べると、元々数が少なかったのです。
【香川県・高松駅】
 乗降口のドアは折り戸式でした。このタイプのドアはJR車では
特急型車両でしか見た事がありません。言わば国鉄時代の上級車両
の装備のひとつでした。
【土讃線・普通253D車内】
 キハ65の車内の様子です。端から端までボックス・
シートが並ぶ、これぞ急行型です。
【土讃線・普通253D車内】
 急行型の標準装備のひとつデッキ・ドアは健在でした。一般列車
に転用された急行型車両が、のきなみ近郊型化改造されデッキ・ド
アが撤去されている中で、実に嬉しい限りです。
【土讃線・普通253D車内】
 座席はボックスはボックスでしたが、バケット・タイ
プの物に換装されていました。
【土讃線・普通253D車内】
 キハ58は1枚窓でしたが、この車両は窓は2枚窓でした。一般
列車は全面禁煙のため灰皿は撤去されていました。
【土讃線・普通253D車内】

 お気に入りの急行型の写真を嬉々として撮りまくったあと車内で待っていると、列車は定刻の11:54
に高松駅から発車しました。1両目の乗客は10人くらいしかいませんでした。

 走り始めると列車はガタガタと揺れました。旅行記第13弾で高松から快速『サンポート』で坂出
に向かった時も激しい縦揺れに驚かされたのですが、この辺りは線形が良くないのでしょうか?

 2駅目の鬼無では鬼無桃太郎?

 再び端岡に停車。同駅では10分停車し、後着の快速『サンポート』133Mと特急『しまんと7
号』を先行させます。ホームの待ち客で普通253Dに乗る人はおらず、我が列車からは4人が降り
ました。

 後から伊予西条行の快速『サンポート』が着くとホームにいた全員が乗り込みました。見るとホー
ムにデカいカメラを抱えた小太りの兄ぃちゃんがいました。ひょっとしてキハ65狙いか?

 さらに高知に向かう特急『しまんと7号』が追い越すのを待って253Dは端岡から発車しました。

 小ネタですが、端岡の次に停車した国分では車体が大
きく左に傾いていました。
【土讃線・普通253D車内】

 高松から39分で坂出に到着。これが快速『マリンライナー』なら14〜15分、『サンポート』
なら16〜17分で着きますから、ま、普通にゃ乗りませんわな。

 坂出では高校生がドっと乗り、閑散としていた車内は一気に50%程度の乗車率となりました。続
く宇多津、丸亀では5〜6人ずつが下車。

 跨線橋の下にある讃岐塩屋の停車を経て多度津に到着。同駅では高校生の大半が降りて行きました。

 多度津駅構内の側線にはキハ32形気動車が停まって
いました。国鉄時代末期に地方線区の経営改善を目的と
して第三セクター鉄道用軽快気動車をベースに開発され
た車両です。
【土讃線・普通253Dの車窓より】
 同駅のホームには「弘法大師の誕生地」なる案内看板
が立てられていました。
【土讃線・普通253Dの車窓より】

 我が253Dは、多度津から土讃線に入りました。二駅の停車を経て琴平に到着。同駅では、ほと
んどの乗客が降り、代わりに熟年ハイカーが5〜6人乗りました。

 同駅では6分停車しましたが、列車交換や特急待ちをするでもなく、そのまま発車しました。何の
ための長停車だったんだろ?

 琴平を出ると車窓風景はローカルっぽくなりました。次の塩入で特急『南風14号』と交換。黒川
の停車を経て讃岐財田を出ると山間に入りました。すっかり山深くなった景色を眺めながら、

 <そう言やぁ土讃線にゃスイッチバック駅がなかったべか?>

と、ぼんやり考えていると、次は坪尻との自動放送が聞こえて来ました。おぉっ、ビンゴぉ!


第2部:「スイッチバッカーへの道」その2/JR土讃線・坪尻駅

 JR土讃線には、坪尻、新改の2つのスイッチバック駅があり、その事は、かつて読んだ鉄道雑誌
『鉄道ファン』のスイッチバック特集で知っていました。

 ・・・のですが、実は、その事はすっかり忘れていて、今回の「旅」のプランには入っていません
でした。(^^;

 長大な猪ノ鼻トンネルを抜け、短い坪尻トンネルを抜けると右に坪尻の駅が見えました。列車は、
そのまま通り過ぎると、その先で本線から左の折り返し線に入って停車しました。

 しばし折り返し線で停車したのち、ゆっくりバックで駅舎前の停車線に侵入して停車。見れば何と
ホームは大勢の熟年ハイカーでごった返していました。ここにハイキング・ルートでもあるんかな?

 坪尻駅に停車中にパチリ。左に見えるのは高松方から
下って来た本線です。この画像の少し先に左に分かれる
折り返し線と、列車が停まっている右手前の停車線に分
かれる分岐ポイントがあります。
【土讃線・普通253Dの車窓より】

 鉄道ファンらしき人物が降り、代わりに熟年ハイカー団が乗り込むと列車は坪尻から発車しました。
駅をじっくり観察したかったのですが、ハイカー団が邪魔でそれどこではありませんでした。

 坪尻を出た列車は下り勾配を快調に走り、次の箸蔵駅に到着。同駅で熟年ハイカー団が降りました。
ざっと見たところ70〜80人はいそうです。

 箸蔵では上りの列車と交換しましたが、この列車は多度津行の普通248Dでしょうか? ハイカー
団が去った車内を見ると、乗客は、たった6人しかいませんでした。

 箸蔵を出て右へ右へとカーブし吉野川を渡ると徳島線との分岐駅である佃に着きました。同駅では、
対向ホームに徳島へ向かう徳島線の普通4464Dが到着するのが見えました。

 佃から6分で253Dは終点の阿波池田に到着しました。高松から2時間10分の乗車でした。

 阿波池田駅には構内に多くの側線がありました。左の
ホームに停まっているのは、ここまで乗って来た普通2
53Dです。
【徳島県・阿波池田駅】
 阿波池田駅です。土讃線が通るほか徳島線列車の起終
点駅でもあります。土讃線の全特急が停車しますが、普
通列車は、上り下りともに昼間は2〜3時間に1本しか
ありません。
【徳島県・阿波池田駅】

 これでキハ65の乗車は完了です。今や貴重となった急行型の乗車車種を、またひとつ増やせたの
で大満足です。

 さて、お次は徳島線の乗り潰しと行きましょう。40分の待ち合わせで徳島行の普通468Dに乗
ります。

 本当は阿波池田始発で徳島線を走る特急『剣山』に乗りたかったのですが、253Dに乗って来る
と阿波池田で乗り継げる列車がなく、次は2時間13分待ちの『剣山10号』になってしまいます。

 別に2時間待っても良かったのですが、いずれまた別の「旅」で牟岐線に乗るために徳島を訪れる
つもりなので『剣山』には、その機会に乗る事にしましょう。

 乗り換え時間が40分あるので、私はいったん駅を出ました。少し町中をブラついて見ましょう。

 池田町の町は山間の幅1キロほどの狭い土地にありま
す。ふと見ると何と見上げるような山の斜面にまで建物
が建っていました。あそこに住むなら車が必須でしょう
なぁ・・・。
【徳島県・池田町】

 駅前には、そこそこ大きな商店街がありましたが3分の2の店は閉まっており人影もまばらでした。
果たして廃業しているのか今日は営業していないだけなのかはわかりません。

 商店街を通り抜け、車の往来がある通りまで出て、あとは適当に歩き回っていると、何か見覚えの
ある塗装のバスが止まっているのに出くわしました。

 何とまぁ阪急バスが止まっていました。後で調べたと
ころ阪急バスと四国交通の共同運行による大阪←→阿波
池田間のハイウェイバス路線があり、同区間を3時間4
8分で結んで日に6往復が運行されていました。
【徳島県・池田町】

 不思議なのは、今回にしろ、後の「旅」で特急で訪れた時にしろ、ここ阿波池田駅での乗降は非常
に少なかったのに、大阪とのバスが6往復も設定されている事です。

 池田町は平成の大合併で6つの町村が統合されて現在は三好市となりましたが、旧池田町の人口は
1万5000ほどで決して大きな町ではありません。

 バス会社だってトーシロじゃありませんから、きちんと需要調査を行った上で運行本数を決めてい
るとは思いますが・・・。

 気になったので少し調べてみたところ、鉄道側が新幹線と特急を利用する場合は所要時間は鉄道と
バスで大差なかったのですが、運賃はバスの方が鉄道のほぼ半額と圧倒的に安くなりました。

 鉄道側が一般列車のみを利用すると運賃の差はなくなりますが、その代わり所要時間が6時間近く
も掛かってしまいます。いずれにせよバスの方がお得なようですな。

 ひょっとしたら鉄道での乗降数が少ないのは、みなさんバスを利用しているからであり、それなり
に利用者は多いんでしょうかね・・・?

 ともあれ、この時の私は、そこまで深くは考えず、阪急バスに出会った事に少々感動を覚えつつ、
その傍らを通って散策を続けましたが、町中には特に見所もなかったので駅に戻りました。

 阿波池田駅に停車中の徳島行・普通468Dです。車
両はJR四国の1000形一般型気動車です。JR四国では
JR化後に新造された自社オリジナル車両の型番は国鉄
式を踏襲せず、電車も気動車も数字四桁の型番が付けら
れています。
【徳島県・阿波池田駅】
 1000形の車内の様子です。高松へ移動中に端岡から高
松まで乗った7000系と同じく片側ボックス、片側ロング
の座席が車両中央部を境に点対称に配置されています。
近郊輸送と通勤ラッシュの両方に対応可能なJR四国独
自のレイアウトですな。
【徳島線・普通468D車内】

 停車中の1000形は、引戸を手で引き開けて乗る方式でした。比較的新しい車両なんやから、ドア・
ボタン式にすりゃええのに・・・。

 車内で待っていると発車3分前の告知放送があり、同時にホーム側のすべてのドアを開けました。
車内保温のためにドアを閉めていたわけですが、3分も開けっパにしていたら、冬場やったら暖気が
抜けてまうんとちゃうかな?

 468Dは乗客7人で定刻に阿波池田から発車。5分で徳島線の起点駅である佃に到着しました。
同駅では多度津方からやって来たキハ65列車と会合しました。坪尻で降りた例の鉄道ファンらしき
兄ィちゃんはアレに乗っとるんかな?

 阿波池田から佃間は、ずっと町並みが続いていました。次の辻で交換停車。阿波池田行の普通45
3Dと交換。同駅では若干の乗車がありました。

 阿波加茂、三加茂、江口、阿波半田と停車する内の徐々に客が減りました。徳島線は吉野川と併走
しており、左手には大きな川が見えています。

 次に停車した貞光は名峰剣山の登山口となる駅です。同山は標高1,955メートルで西日本第2位の
高さを誇り、日本の百名山にも選ばれています。同駅では学生がほとんど降りました。

 貞光駅のホームには剣山の登山口を示す看板と石碑が
立っていました。
【徳島線・普通468Dの車窓より】

 小島(おしま)を挟んで穴吹に停車。同駅では阿波池田に向かう特急『剣山7号』と交換しました。

 穴吹で交換した特急『剣山7号』です。国鉄時代末期
に四国路線向けに製造されたキハ185系特急型気動車
です。新型の2000系特急型気動車の台頭により主力特急
車の座を譲り、現在は徳島線や牟岐線でのローカル特急
としての役割を担っています。乗りてぇなぁ・・・。
【徳島線・普通468Dの車窓より】

 徳島線においては、穴吹までが区間運行エリアであり、同駅から阿波池田方は普通列車の運行本数
が約半分になります。

 穴吹を出てすぐの河原には多数の車が止まっていました。ひょっとして、皆さん川で「水浴」って
やつか?

 次の川田では阿波池田行の普通457Dと交換。その次の阿波山川をを出たところの沿線には製材
所やら牛舎がありました。

 山瀬の停車を経て学へ到着。同駅では穴吹行の普通4459Dと交換しました。沿線の建物が徐々に増
えており、都会に近づいている感じがしますな。

 不思議なのは乗客が一向に増えない事です。てっきり徳島に近づくにつれて乗客が増えていくと思
っていたのですが・・・。

 西麻植(にしおえ)の停車を挟んで鴨島に着。同駅では阿波池田行の普通461Dと交換しました。
確かに穴吹を過ぎると交換列車が増えましたな。

 鴨島駅の周辺は町でしたが、同駅を出ると景色の半分は田んぼになりました。麻植塚(おえづか)、
牛島(うしのしま)、下浦に停車し石井に到着。同駅では阿波池田行の普通463Dとの交換があり
ました。

 府中(こう←とてもそう読めない(^^;)、鮎喰(あくい)を挟んで蔵本に停車。同駅では、スポー
ツ系の何かをやっているらしいグループが10人くらい乗りました。

 次の佐古に着く前に乗り換え案内がありました。我が468Dは高徳線に乗り入れて徳島まで行き
ますが、徳島線は次の佐古駅が東の起終点駅となるのです。

 佐古を出た468Dは3分で終点の徳島に着きました。到着時の乗車率は50%程度。阿波池田か
ら1時間44分の乗車でした。

 徳島駅です。高徳線、牟岐線の起終点駅であるほか、
徳島線、鳴門線の列車も同駅から着発しています。駅ビ
ルになっており、ショッピング施設『クレメント・プラ
ザ』やホテル『クレメント徳島』が併設されています。
【徳島県・徳島駅】

 さて、それでは帰路に入ります。次に乗るのは高松行の特急『うずしお24号』ですが、待ち時間
があるので、少し徳島市内を歩いてみましょうか。

 とりあえず駅前の目抜き通りを歩いて行くと、新町川に架かる橋の南側にある新町川公園の屋外ス
テージで何かのイヴェントが開かれていました。

 特に有名人がいるような雰囲気でもなかったのでそのまま通り過ぎると、その先には眉山(びざん)
ロープウェイの山麓駅がありました。

 眉山公園内にある眉山に登るロープウェイです。登ってみたいの
ですが、残念ながら時間がありません。
【徳島県・徳島市】

 眉山は徳島の観光スポットのひとつであり、山頂からは徳島市街が一望出来るうえ、夜景も綺麗な
んだそうです。

 また眉山は、シンガーソングライターの、さだまさし原作で犬童一心監督がメガホンを取った徳島
を舞台とした映画『眉山』(2007年公開)のタイトルにもなった山です。

 映画『眉山』は、松嶋菜々子、宮本信子、大沢たかおらの豪華キャストに加え、クライマックスの
阿波踊りのシーンでは何と2万人ものエキストラを動員したとの事です。

 しかしながら、映画から3年も前の「旅」当時の私は特に感慨を覚える事もなく、ロープウェイの
駅を撮っただけですぐに引き返しました。

 駅に戻る途中で見掛けた藍場浜公園です。綺麗な花が
咲いていました。こういった公共施設がちゃんと整備さ
れていると地元の心意気を感じますな。
【徳島県・徳島市】

 高松まで乗る特急『うずしお24号』は17:21発です。同列車では自由席に乗るため、余裕を見て
17:00に駅に戻りました。

 とりあえず券売機で高松までの乗車券を買いました。徳島→高松は近郊区間であり運賃は1,410円で
す。見れば券売機に特急券のボタンもあったので併せて購入しました。

 徳島駅の自動券売機で買った高松までの自由席特急券
です。乗車券と同じサイズの切符でした。

 特急券を券売機で気軽に買えるようにしているところは特急網が充実しているJR四国らしい配慮
ですな。

 切符を買ったところでふと見ると、何と『うずしお24号』は早くもホームに停まっているではあ
りませんか。いかん!

 <果たして座れるか?> と、焦りましたが、見れば車内はガラガラでした。

 高松駅に停車中の特急『うずしお24号』です。JR
四国オリジナルの2000系特急型気動車です。振り子式の
機能を備えたJR四国の主力特急型気動車であり、振り
子式気動車としては世界初、制御付振り子式車両として
は日本初なんだそうです。
【徳島県・徳島駅】
 2000系の車内の様子です。新型然とした車内ですが、
窓の縦寸が大きいのでしょうか開放的な感じがします。
【特急『うずしお22号』車内】

 『うずしお24号』は2両と短編成な列車で、1両は自由席車、もう1両も指定席は1番〜4番列
のみで後は自由席となっており、自由席主体の座席設定になっていました。

 編成が短いのは利用率の都合でしょうが、毎時1本の列車設定に自由席主体と言うのは、利用し易
さを狙った施策なのでしょう。

 ガラガラの車内で待っていると、後から続々と乗客が乗り込み、結局、80%程度の乗車率で『う
ずしお24号』は徳島駅から発車しました。

 佐古を過ぎ、その先の右カーブをクリアすると『うずしお24号』はターボの金属音を響かせなが
ら猛然と加速しました。まさに特急らしい走りっぷりです。

 徳島を出て8分で最初の停車駅である池谷に到着。同駅は鳴門線との分岐駅であり、線路が分岐し
た先に各線のホームが別々にあるため、駅のホーム配置はハの字形になっていました。

 池谷を出たところで検札がありました。さらに6分走って板野に停車。同駅には当駅始発の徳島行
・普通363Dが停まっていました。ちなみに徳島←→板野間には1時間半程度の間隔で区間運転列
車が運行されています。

 板野を出ると列車は山間に入りました。いよいよ振り子式車両の本領が発揮される区間に入った分
けです。

 次の阿波大宮は停車駅ではありませんが、下りの特急との交換で停車しました。ほどなく徳島へ向
かう『うずしお19号』と交換。

 阿波大宮を出て香川県に入り、引田、三本松の停車を挟んで志度に到着。同駅は地元の私鉄である
琴平電鉄・志度線との乗り換え駅です。志度では引田行の普通369Dと交換しました。

 ここからは琴電・志度線と並行しながら走り屋島に停車。同駅は名勝屋島の最寄り駅ですが下車客
はありませんでした。

 屋島の登山口へは、北側を走る琴電の琴電屋島駅の方が600メートル以上も近く、もし電車で訪
れるのならば琴電の方が便利でしょうな。

 屋島を出て木太町をパスすると高松の街中に入り栗林に停車。同駅では10人以上が下車しました。
同駅を出て栗林公園北口、昭和町の2駅をパスして『うずしお24号』は終点の高松駅に到着しまし
た。徳島からは1時間5分の乗車でした。

 徳島←→高松間を普通列車で行くと2時間程度掛かりますから、自由席特急料金1,150円を払って
特急に乗るかどうかは個人的な都合によるでしょうな。

 高松駅でいったん改札を出ると何か騒がしい。見れば予讃線で特
急『しおかぜ24号』が車と接触したため、18:38発の特急『いし
づち27号』が高松〜多度津間の運転を取りやめるとの事でした。
【香川県・高松駅】

 次に乗る岡山行の快速『マリンライナー56号』は宇多津の手前まで予讃線を走りますが、事故が
起こったのは、そこからだいぶ先の観音寺←→豊浜間なので今のところ影響はないようですな。

 高松駅に停車中の岡山行・快速『マリンライナー56
号』です。こちらは岡山方となるJR西日本の223系
5000番台車編成の先頭車です。
【香川県・高松駅】
 JR西日本223系編成(手前)とJR四国5000系編
成(向こう)の連結部です。要するに両方とも同じ車両
であり、車体側面のJRロゴ・マークが白なのがJR西
日本車、水色がJR四国車です。
【香川県・高松駅】

 223系を見ると関西にいるような錯覚に陥りますな。JR西日本の近郊型電車のエースである同
車は、関西圏以外で運用されているのは快速『マリンライナー』だけであり、JR西日本が、いかに
同列車に力を注いでいるかが伺えるようです。

 223系、5000系のどっちに乗っても車内は同じですが、せっかくなので5000系の方に乗りました。
223系は関西に戻ればいつでも乗れますからな。

 車内で発車を待っていると、例によって次々と乗客が乗り込んで来ました。まだ比較的空席がある
内に、なぜか女性が私と相席しました。なんでやろ?

 ともあれ、『マリンライナー56号』は、予讃線の事故の影響を受ける事なく定刻に高松駅から発
車しました。

 坂出付近の車窓から見えた「讃岐富士」です。正式に
は飯野山と呼ばれる標高421.9メートルの小さな山です
が、見事なまでの富士山スタイルです。
【快速『マリンライナー56号』の車窓より】

 快速『マリンライナー56号』は、道中、何事もなく(つまりネタにするようなイヴェントもなく)
岡山駅に到着しました。

 後は大阪まで帰るだけですが、時間もまだ遅くないし急ぐ必要もないので新大阪までは『こだま6
47号』に乗ります。

 岡山駅に停車中の新大阪行『こだま647号』です。
車両は古豪の0系でした。今やすっかり数を減らした0
系が来て嬉しかったのか、ホームでは父子連れが写真を
撮っていました。そう言う私も同車に乗るのは、旅行記
第11弾以来1年半ぶりとなります。
【岡山県・岡山駅】
 JR西日本では「こだま」用の0系や100系のサーヴィス向上
を図るため座席を古いグリーン車用の物に換装しているため乗り心
地は非常に快適です。この座席と比べると700系の普通座席は硬
くて疲れてしまいます。
【山陽新幹線『こだま647号』車内】

 「こだま」の自由席車に乗り込むと例によってガラガラでしたが、面白い事に指定席の方が客は、
たくさんいました。

 確実な着席を必要とする団体ツアーなんかが「こだま」を利用すると、このような状況になるんで
すかねぇ?

 『こだま647号』の車中で、岡山駅の売店で買った
駅弁『下津井旅情』で夕食にしました。幕の内風の弁当
で悪くはないのですが、岡山らしさを感じる物がありま
せんでした。

 下津井と言えば、かつてJR宇野線(当時は国鉄)の茶屋町駅から下津井まで軌間762ミリの軽
便鉄道規格の下津井電鉄と言う私鉄が走っていたのですが、同鉄道もモータリゼ−ション化の波に押
されて利用者が減り、1972年には茶屋町←→児島間が廃止され、残った児島←→下津井間も1991年に
廃止となってしまいました。

 岡山駅の新幹線ホームで買った地元山陽飲料の『ブレンド・コー
ヒー/リラックス・テイスト』です。長ったらしい名前にしてはシ
ンプルなデザインの缶ですな。コクがあり甘さは控え目でした。

 コーヒーや、一緒に買い込んでいた「冷やしあめ」などを飲みながらのんびりしていると、『こだ
ま674号』は定刻の21:25に終点の新大阪駅に着きました。

 新大阪駅に到着した新三田行の普通1225Bです。車両
は207系でした。これが今回の最終列車となります。
【大阪府・新大阪駅】

 これで今回の「旅」は終了です。今や希少な存在となったキハ65が末永く走り続ける事を祈るの
みです。

 『列車まかせの旅』第23弾、おわり。


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