第1部:「ちょっとこだわりの駅」その4/名鉄・新名古屋駅 |
ひょんな事から、名鉄の三河線の末端線区が廃止されると言う情報を聞きつけました。三河線は名
古屋本線の主要駅のひとつである知立を挟んで東北方面と南方面に延びる路線であり、この度廃線と
なるのは北東方面末端部分の猿投←→西中金間、および南方面末端部分の碧南←→吉良吉田間の2区
間です。
当時の私は、まだJRの列車に乗る事に力を入れていて私鉄の方にはさほど興味がなかったのです
が、両廃線予定区間が気動車で運行されていると聞いて、がぜん興味が沸いて来ました。
私鉄の気動車は別に珍しくありませんが、全国の私鉄で近鉄に次いで2番目の総路線長を誇る天下
の名鉄は電車しか走らせていないと思っていたからです。これは廃止前にぜひ乗りに行きましょう。
と、言う事で、旅行記第18弾に続いて私鉄ツアー第2弾の発動と相成りました。今回は私鉄ツアー
なので、名古屋までの往復は近鉄で行く事にしましょう。
・・・で、当日。どうもカゼをひいたようなのですが、それでも行きます。(^^;
地下鉄・梅田駅に到着する5:55発のなかもず行です。 新20系と呼ばれる新しい車両です。 【大阪府・大阪市営地下鉄・梅田駅】 |
ふぁ〜、ねむ・・・。さすがに朝6時前の列車とあって、私が乗った車両には20人ほどしか乗客
はいませんでした。8分で、なんばに到着。
近鉄の近鉄難波駅です。同駅は地下にあるので地上に は出入口しかありません。 【大阪府・近畿日本鉄道・近鉄難波駅】 |
ちなみに、近鉄難波駅着発の一般列車は奈良線の列車であり、同駅を着発する大阪線方面行の列車
は特急だけで、大阪線の一般列車は、ふた駅向こうの上本町を起点としています。
近鉄難波に停車中の7:00発・名古屋行・特急『アーバ ンライナー』です。現在、近鉄は、この21000系特急型 車両のアップグレード工事を順次施工していますが、こ の車両は改装前の車両でした。 【大阪府・近畿日本鉄道・近鉄難波駅】 |
アップグレード前車両のデラックス・シート車です。 座席はやはり2+1の3列配置でした。 【特急『アーバンライナー』車内】 |
座席は一般車よりは上等ですが、簡易リクライニング・タイプで した。旅行記第18弾でアップグレード後の電動リクライニング式デ ラックス・シートに座った事があるだけに、ずいぶんと落差を感じ てしまいます。 【特急『アーバンライナー』車内】 |
肘掛け下にはサウンド・サーヴィスのボタンが装備さ れています。このサウンド・サーヴィスは利用者が少な いらしく鉄道業界全体で廃止が進んでおり、21000系で もアップグレードされたデラックス・シートには付いて いませんでした。 【特急『アーバンライナー』車内】 |
定刻の7:00に『アーバンライナー』は近鉄難波から発車しました。デラックス・シート車の乗客は
私を入れても8人しかいませんでした。
列車は途中、上本町、鶴橋、大和八木の3駅に停車して、あとは名古屋までノン・ストップとなり
ます。
「列車まかせの旅」を始める以前から『アーバンライナー』には何度も乗っているので今さら見る
べきところもなく近鉄名古屋に着きましたが、車内ではオバちゃん二人組と老夫婦が、名古屋までず
っとしゃべり通しでした。朝からずっと一緒にいるやろうに、よーそれだけ話すネタがあるもんやな。
さてと、それでは名鉄に乗り替えて知立まで行きましょう。その前に、旅行記第18弾でも書きまし
たが、名鉄の新名古屋(現・名鉄名古屋)をこだわりの駅として少しピックアップして見ましょう。
新名古屋駅では、ホーム対面上方に行先別の乗車位置 を表す色分けされた表示があり、次の列車の乗車位置の 所が点滅するようになっています。ちなみに東方面行ホ ームの各行先は下記の通りです。 緑:河和、内海、常滑 黄色:鳴海、豊明 水色:太田川、大江 青:岡崎、豊橋 乗車位置表示の上にはLED式の停車駅案内表示板があ り、次列車の停車駅が表示されます。 【愛知県・名古屋鉄道・新名古屋駅】 |
この駅は、複数方面行の特急から普通列車までを、上り下り各1線ずつのホームでサバいているた
め、列車は数分間隔で次々と入っては慌ただしく出て行くのですが、いざ行きたい方面の列車はと言
うと20分ぐらいは待たされる事もあります。
ホームには肉声による親切な案内放送がDJさながらの流暢な「じゃべり」で流れており、列車ご
とに停車駅から途中の乗り継ぎ列車までを案内してくれているのですが、私自身がかつて列車を乗り
間違えた経験があるように、初心者には少々難解な駅と言えます。ホームで待っている間に観察して
いると、駅員に尋ねる人が次から次にいました。
ホーム対面にある乗車位置表示と停車駅案内板を見れば必要な情報は得られるので慣れてしまえば
どうって事はないのですがねぇ。
ともあれ、これほどの特異な大幹線駅は他でお目に掛かった事がないので、今回、こだわりの駅に
選びました。
新名古屋に到着する9:51発の急行・西尾行です。名鉄 の近郊型5300系です。この列車で、まずは知立まで 移動します。 【愛知県・名古屋鉄道・新名古屋駅】 |
23分の乗車で三河線との乗換駅である知立に到着しました。
第2部:「ちょっとこだわりの路線」その14/名鉄・三河線廃線予定区間 |
名鉄・三河線は知立を中心に南北に路線が延びており、北から西中金←→猿投間、猿投←→知立間、
知立←→碧南間、碧南←→吉良吉田間の4区間に分かれて列車が運行されており、各区間を通し運行
する列車はありません。
それではまず北側の廃線予定区間である西中金←→猿投間に乗りに行きましょう。
知立駅に停車中の10:20発・普通・知立行です。77 00系と呼ばれる近郊型ですが、ネットで仕入れた情報 によると元祖パノラマ・カー7000系の増結車として 製造された車両なんだそうです。 【愛知県・名古屋鉄道・知立駅】 |
7700系の車内です。クロス・シートは転換式で背 もたれに厚みがあり座り心地は良好でした。乗降口付近 のロング・シートは、ロングと言うよりクロス・シート が横向きに据えられていると言う感じであり、ご覧の通 りまるでソファーです。 【名古屋鉄道・三河線・普通・知立行車内】 |
2両編成の猿投行はワンマン列車でした。途中、近くに座っていた国籍不明の外人から「オカモロ」
とか言う駅を尋ねられたのですが知りまへんがな。
後で調べたところ、豊田市のひとつ手前に上挙母(うわごろも)と言う難読駅があり、たぶんその
事を聞いたのでしょうが、こっちゃ三河線に乗るのは、今日が初めてなんやからねぇ。
列車が豊田市駅に着くと大勢降りて車内はガラガラになりました。例の外人もこの駅で降りて行き
ました。
豊田市は豊田線との乗換駅であり、同線は名古屋市営地下鉄・鶴舞線と相互乗り入れを行っている
ので直接名古屋市内に行く事が出来ます。
豊田市を出た列車は途中3駅に停車し、10分ほどで終点の猿投に到着しました。同駅では20分
の連絡で西中金行に乗り換えます。
この先、廃止対象となっている猿投←→西中金間は路線長8.6キロで、途中には三河御船、枝下
(しだれ)、三河広瀬の3駅があります。
同区間は元々は電化されていたのですが、利用率の低迷から気動車運行に切り替えられ、現在では
架線は撤去されて架線柱のみが残っているそうです。
ホームで待っていると、やがて西中金からの折り返し列車が到着しましたが、何と電車が停まって
いるホームに入線して来ました。ホームには手旗を持った名鉄の駅員がいて、赤旗で停車位置を示し
ていました。
猿投駅に到着した折り返し11:14発の普通・西中金行 です。何と電車が停まっているホームに入線して来まし た。手前に停まっている電車は知立行で、この西中金か らの列車の連絡列車のようです。 【愛知県・名古屋鉄道・猿投駅】 |
西中金行列車に使用されていた車両は、名鉄のキハ3 0形と呼ばれる気動車でした。見たところ地方の第三セ クター鉄道で使われている軽量型気動車(鉄道業界用語 で言うところの「軽快気動車」)と同じタイプの車両み たく見えます。 【愛知県・名古屋鉄道・猿投駅】 |
何とこのキハ30形は3ドアでした。変な話なのです が、この旅行記当時の私は、まだ第三セクター鉄道の一 般列車の乗車経験がほとんどなかった(北近畿タンゴ鉄 道で、ひと駅乗っただけ)のですが、この記事を書いて いる時点では24社の三セク乗車経験を積んでおり、軽 快気動車で3ドア車は一度も見ませんでした。たぶん名 鉄の特別仕様なのでしょう。 【愛知県・名古屋鉄道・猿投駅】 |
キハ30形の車内です。オール・ロングの座席を含め 内装は軽快気動車そのものでした。 【名古屋鉄道・三河線・普通・西中金行車内】 |
車内で待っていると、対面ホームに知立方面からの気動車が到着し、降りた乗客が我が列車に乗り
換えて来ました。へー、ここから知立方面の電化区間にも気動車を走らせているのか。
西中金行は定刻の11:14に猿投から出発しました。ざっと見たところ乗客は30人程度で、ハイカ
ー姿の人がけっこういます。
最初の停車駅となる三河御船ではひとり降りました。同駅を出ると周囲の景色は早くも木々が多く
見えるようになりました。
枝下(しだれ)の停車を経て三河広瀬に到着。同駅では8人降りました。車内には、鉄道ファンと
人物がひとりいました。彼も記念の乗車に来たのでしょうかね?
そして列車は猿投から15分で終点の西中金に到着しました。猿投から距離にして8.6キロ、さし
て長い区間ではありませんでした。
全国的にも大手私鉄が気動車を走らせているのは名鉄だけでしょうから出来れば存続して欲しいの
ですが、鉄道離れが進む世の中では名鉄にも余裕はないのでしょうね・・・。
名鉄・三河線の北側末端となる西中金駅です。無人駅 ですが昔ながらの味がある駅舎ですな。 【愛知県・名古屋鉄道・西中金駅】 |
西中金駅周辺の様子です。目の前に国道153号線が 走っており、そこそこ交通量もありますが駅の前後共に 丘が迫っていて、すっかり田舎の景色です。 【愛知県・名古屋鉄道・西中金駅】 |
駅前には雑貨屋みたいなお店があり、その看板には、お酒、たば こ、FOODS、おでんの下に西中金駅と小さく書かれていました。 【愛知県・名古屋鉄道・西中金駅】 |
駅周辺を撮っていると、駅前のバス停に名鉄東部交通 の足助行小型バスが到着しました。足助町までは、ここ から約9キロほどあります。 【愛知県・名古屋鉄道・西中金駅】 |
列車から降りた人数は、それほど多くありませんでしたが、ほとんどの人が足助行のバスに乗り込
んで行きました。
と、言う事は、この路線の利用者は、周囲に余り人家のない西中金よりも足助からの人々が多いと
言う事なんでしょう。
元々、この路線は足助まで延長する予定だったのが用地買収がうまく行かずに頓挫してしまい、西
中金と言う中途半端な場所が末端となってしまったのですが、もしこの路線が足助まで延びていれば、
もう少し利用者が多かったのではないかと素人ながらに想像してしまいます。
さて、それでは次の目的である南部の廃線予定区間に乗りに行きましょう。しかし、ここでトラブ
ルが起こりました。
西中金からの折り返し列車に乗る前に私はデジカメのフロッピィ・ディスクを入れ替えたのですが、
碧南への車中で、このディスクが記録不良を起こしている事が判明し、西中金からの戻り列車の貴重
な写真が失われてしまったのです。
そんな事は露知らず、私は折り返し列車となる11:43発の猿投行に乗りました。車内には往路で見
掛けたファンの兄ぃちゃんを含め全部で8人の乗客がいました。私とファン以外は、さっきの足助か
らのバスで着いたのでしょう。
西中金を出た列車は、三河広瀬でふたり、枝下で3人、三河御船でふたりを乗せ、終点の猿投に着
きました。それなりの利用はあるようなんですが、これは今日が休日だからで平日はさっぱりなんで
しょうかね?
猿投では2分の連絡で12:00発の普通・知立行に乗り換えです。この列車はロング・シートの60
00系と呼ばれる車両でした。
再び知立に戻り、8分の連絡で12:47発の普通・碧南行に乗り換えました。乗車率は70%と言う
ところです。
ふと思いついて車中でデジカメの画像を再生して見たところ、何とファイルが壊れていて読み出せ
ませんでした。
くそっ! なんてこったい! よりによってこの「旅」の主目的のひとつだった西中金からの列車の
画像が飛んじまうとは!
私のデジカメはフロッピィを記録メディアとして使用するタイプであり、FDが安価に入手出来る
事と、パソコンに読み込む際にコンパクト・フラッシュ・メモリみたくアダプタなどを使用する手間
が掛からないのが売りなのですが、ごくたまに記録に失敗する事があり、しかも不思議な事に二度と
撮れない貴重な写真を撮る時に限って失敗するのです。
再生画面に表示される「ファイルが壊れています」のメッセージを見た時は、一瞬、脳がフリーズ
しましたが、悩んでいてもしょうがないのでFDを交換して車内の写真を撮り直しました。
碧南行の普通は、セミ・クロス・シートの7100系 と呼ばれる近郊型でした。 【名古屋鉄道・三河線・普通・碧南行車内】 |
三河線は単線のようです。重原の次の刈谷はJR東海道本線との乗換駅です。その次の刈谷市を出
ると沿線には田圃が見えるようになり郊外の趣になりました。
三河高浜では上り列車との交換がありました。大手私鉄での列車交換と言うのは、これが初体験に
なります。
普段、関西で乗っている大手私鉄路線は複線の幹線がほとんどであり、列車交換などと言うものに
はお目に掛かる機会がないのです。
知立から31分の乗車で終点の碧南に到着。17分の連絡で廃線予定区間を走る13:35発の吉良吉
田行に乗り換えます。
碧南駅に到着した知立発・普通・碧南行です。名鉄の 7100系と呼ばれる近郊型車両です。前面の行先表示 は、今では関西では見られなくなった看板で、運転士が 知立行に入れ替えるところです。 【愛知県・名古屋鉄道・碧南駅】 |
名鉄・三河線の碧南駅です。この旅行記当時は、三河 線南部線区の電化・非電化区間の境界駅でしたが、現在 は南側の末端駅になっています。 【愛知県・名古屋鉄道・碧南駅】 |
碧南駅構内には留置線があり、電車と気動車の両方が 留置されていました。西中金への往復で乗ったキハ30 形の姿も見えます。 【愛知県・名古屋鉄道・碧南駅】 |
駅の写真を撮って吉良吉田までの切符を買い、すぐにホームで吉良吉田行が来るのを待ちましたが
なかなか到着しません。くだんの列車がようやく到着したのは発車時刻の数分前でした。
碧南駅に到着した折り返しの吉良吉田行です。キハ3 0形より古いキハ20形の2両編成でした。 【愛知県・名古屋鉄道・碧南駅】 |
キハ20形の車内です。座席はオール・ロング・シー トでした。何やら両替機の調子が悪いらしく運転士が具 合を見ていました。 【名古屋鉄道・三河線・普通・吉良吉田行車内】 |
乗降口付近には、クッションなしの薄っぺらい座席が 取り付けられていました。これって折り畳めるのかな? 【名古屋鉄道・三河線・普通・吉良吉田行車内】 |
ドアはバスと同じ折り戸式で運転室も半室タイプでし た。まさに「レール・バス」そのものですな。 【名古屋鉄道・三河線・普通・吉良吉田行車内】 |
到着して数分後の13:35、吉良吉田行は碧南から出発しました。別に乗客が増える時間帯でもなか
ろうに、なぜか列車は2両編成でした。出発時の乗客は私を入れても7人だけです。
この先、廃止対象となる碧南←→吉良吉田間は路線長16.4キロで、途中には玉津浦、棚尾、三河旭、
中畑、三河平坂、三河楠、寺津、西一色、三河一色、松木島の10駅があります。
名鉄の車両について事前リサーチはしていなかったのですが、西中金への往復で乗ったのとは違う
キハ20形に乗れたのはラッキーでした。こっちの方が古くて希少性の高い車両だと思いますしね。
玉津浦、棚尾での乗降はなく、三河旭でふたり乗って来ました。このキハ20形の古そうなエンジ
ン音は非常にうるさく聞こえました。
三河平坂でもふたりが乗りました。見れば沿線には住宅がたくさんあるのでそれなりの利用者はい
そうに見えるのですが・・・。
寺津で3人降り、西一色ではふたり降りてひとり乗りました。前方を見ると、ここの路線も猿投←
→西中金間と同様に架線柱は残っていましたが架線は撤去されていました。実に物悲しい光景です。
三河一色ではふたり降りて3人乗り、最後の停車駅となる松木島ではひとり降りてふたり乗り、結
局、碧南を出発した時と同じ乗客数の7人で終点の吉良吉田に到着しました。碧南からは26分の乗
車でした。
実際に乗ってみると線区内利用者がそれなりにはいるようですが、採算に見合うだけの人数はいな
いのでしょうねぇ・・・。
吉良吉田駅に到着したキハ20形です。この姿も今は 見る事は出来ません。 【愛知県・名古屋鉄道・吉良吉田駅】 |
これで廃線予定2区間の乗車は完了です。採算が合わないのは分かるのですが、鉄道ファンとして
は、やはり廃線になってしまうのは悲しいですな・・・。
吉良吉田駅です。三河線、西尾線、蒲郡線3路線の起 終点駅ですが、駅員は窓口にひとりいるだけでした。 【愛知県・名古屋鉄道・吉良吉田駅】 |
三河線は吉良吉田が末端駅ですが、西尾線と蒲郡線は区分上は別路線ながら線路は1本に繋がって
おり吉良吉田は途中駅のように見えます。
同駅のホームは、西尾線/蒲郡線用と三河線用のホームがV字型を成しており、駅の南側で3路線
が合流しています。
3路線の合流点です。公式にどうなっているかは知り ませんが、手前からの線路が西尾線、左奥へと延びてい るのが蒲郡線、右から来ているのが三河線です。 【愛知県・名古屋鉄道・吉良吉田駅】 |
さてと、それでは名古屋に戻りましょう。せっかくなので今回は西尾線の特急に乗る事にします。
駅の、たったひとつしかない窓口に特急券を買いに行くと、前にいた中年男性がパノラマ席を所望す
るのが聞こえました。どうやらパノラマ席を選ぶ事も出来るようですな。
吉良吉田駅に停車中の佐屋行・特急です。8800系 と呼ばれる特急型車両で、名鉄得意のパノラマ・カーの 第2弾です。初代パノラマ・カー7000系は運転室が 屋根上で1階がパノラマ席でしたが、この8800系は 何と2階がパノラマ席で1階が運転室になっていて業界 初として話題になったそうです。そしてその構造は後発 の1000系にも引き継がれています。 【愛知県・名古屋鉄道・吉良吉田駅】 |
8800系に関する余談ですが、この車両は名鉄特急車のグレードアップを目的に製造された車両
であり、既存の7000系がリクライニングしない転換クロス・シートだったのに対してリクライニ
ング・シートやセミ・コンパートメント・シートなどの豪華な内装を備えていました。
ただし、その車体は、すべてが新製で造られたものではなく、走行装置は廃車になった7000系
の物を流用しており、3両編成が4本だけ造られました。
しかしながら、ネットでファンの方が書かれた8800系の紹介記事を読むと、その豪華装備は利
用者からの評判が芳しくなかったようです。
名鉄の特急は長くても1時間程度しか走らないので、スペースを取るセミ・コンパートメント席な
どよりも普通のリクライニング・シートで充分だと思われたのではないでしょうか・・・?
その低評価が災いしたかどうかは知る由もありませんが、2005年に中部国際空港開港に伴って空港
連絡特急用に新造された最新鋭の2000系や2200系が就役し1000系以降の特急型車両に余
力が生じると8800系はあっさり廃車になってしまいました。
先代の古い7000系が一般列車として現役でガンバっているにも関わらず8800系が先に廃車
されたのは、中古部品を使っていたのと車両数が少なかったからであり、車両運用の効率化の面から
判断されたものなのでしょう。
この旅行記当時の私は8800系に関して何のこだわりも持っていなかったのですが、奇しくもこ
れが最後の乗車になったのでした。
8800系の車内です。他社の有料特急車と比べれば 水準レベルと言えますが先代の7000系の転換クロス ・シートと比べれば快適性は、かなり上がったと言えま す。中間車にはセミ・コンパートメント席やひとり掛け 席などがあり、1000系が登場するまでは特急料金よ り高いデラックス料金を取っていたそうです。 【名鉄・西尾線・特急・新名古屋行車内】 |
車内に乗り込み席まで行くと、そこには先客が座っていました。車内を見渡すと全部で8人しか乗
っていないのに、なぜか私の席は窓側、通路側の相席になっていました。通常ならば空いている時は
窓側席から優先的に割り当てるでしょうに・・・。
定刻の14:23、何の放送もなくいきなり発車しました。リクライニング・シートの座面は柔らかく
て座り心地は良好でした。
最初の停車駅である西尾で十数人が乗り、次の停車駅でも同じくらいの乗車がありました。この列
車に乗る人々は、ほとんどが名古屋に向かうものと思いますが、吉良吉田から新名古屋まで乗り通し
ても所要時間は54分しか掛からないのに、わざわざ別料金を払ってまで特急に乗るんですな。
次の停車駅でも5〜6人が乗り、同駅を出たところで検札がありました。右から名古屋本線が合流
すると新安城に停車しました。同駅から名古屋までは急行でも30分程度で行けるので、さすがに乗
車はありませんでした。そして列車は定刻の15:17に新名古屋に着きました。
これで名鉄・三河線のメモリアル乗車は完了ですが、まだ時間が早いので、前々から乗って見たか
ったJRの『セントラルライナー』に乗りましょう。
第3部:「ちょっとこだわりの列車」その35/ライナー『セントラルライナー』 |
『セントラルライナー』は、JR東海が中央本線の名古屋←→中津川間で運行するホームライナー
ですが、通勤通学を目的とした他のライナーの多くが平日の朝夕のみの運行であるのに対して『セン
トラルライナー』は平日・土日休日を問わず1時間間隔で運行されています。
同列車のもうひとつの特徴は専用の車両が使われている事です。運賃とは別料金が必要となるライ
ナーの多くには快適性を考慮して特急型の車両が充当されていますが、『セントラルライナー』には
近郊型車両をベースにした専用車両をわざわざ新造して走らせているのです。
JR東海自身、『セントラルライナー』以外にも多くのライナーを運行していますが、専用車両が
充当されているのはくだんの列車のみであり、その力の入れ具合からして、このライナーは、よほど
需要があるんでしょうな。
さてと・・・、それでは15:30発の中津川行『セントラルライナー13号』に乗る事にしましょう。
名古屋駅に停車中のライナー『セントラルライナー1 3号』です。JR東海の313系近郊型電車のライナー 専用車ヴァージョンで313系8000番台と呼ばれる車両 です。JR6社の中でライナー用に専用車両を製造した のは現在のところJR東海だけです。 【愛知県・名古屋駅】 |
とは言ったものの、まだライナーの乗車経験は小旅行記第2弾の『はんわライナー1号』以来、2
回目です。
さて、乗車整理券はどこで買えばいいのだろう?『はんわライナー』の時も、わからずに探し回っ
たんですよねぇ・・・。と、思ったらホーム中ほどに券売機がありました。
名古屋駅のホームに設置されている、ライナー乗車に 必要な乗車整理券専用の券売機です。310円入れると 次に出る『セントラルライナー』の整理券が買えます。 尚、座席は選べません。 【愛知県・名古屋駅】 |
『セントラルライナー』の乗車整理券です。指定券で はなく、あくまで整理券なので、座席は2号車6番とし か書かれていません。6番の列であれば、どこに座って も良いと言う事なのでしょうな。 |
整理券を買って、さっそく乗り込んで見ました。さて、ライナー専用車とやらの内装が見ものです。
313系8000番台車の車内の様子です。内装はノーマ ルの313系よりアップグレードされており、一見して 特急車と見紛うほどです。まぁ、運賃に加えて310円 を徴収しておいて普通車に乗せられたのでは利用者も納 得いきませんわな。 【ライナー『セントラルライナー13号』車内】 |
座席はノーマル車と同じく転換クロス・シートですが、背もたれ が若干高く、前席との間隔も少しだけ広くなっています。特急型車 両で運行されている他のライナーと比べてさすがに快適性では劣り ますが、それほど悪い座り心地でもありませんし、運行区間である 名古屋←→中津川間をフルに乗っても1時間そこそこなので、個人 的にはこれで充分です。 【ライナー『セントラルライナー13号』車内】 |
乗降口付近の天井には、テロッパーが設置されていま した。その向こうには吊革も見えますが、これはこの車 両を一般列車として走らせる場合を考慮してのものなの でしょうか? 【ライナー『セントラルライナー13号』車内】 |
座席に座って待っていると、車内放送でしきりに、この列車は特急『しなの』ではないので乗り間
違えないようにと案内されていました。
名古屋←→長野間で運行されている特急『しなの』は中央本線の看板列車であり、『セントラルラ
イナー』と同じく1時間間隔で同じ10番ホームから出ているので、他の地方から来た人は、うっか
り乗り間違えるかも知れませんわな。
定刻の15:30、『セントラルライナー』は名古屋駅から発車しました。パっと見て乗車率は60%
ほどですが、休日でこの乗車率は悪くありませんな。
この列車には車掌が乗務しているはずですが、案内放送は、新幹線のものと同じように聞こえる自
動放送でした。
名古屋を出た列車は快速運転で金山、千種、高蔵寺と停車しましたが、これらの駅での乗降はなく、
名古屋から27分で多治見に着きました。
多治見で初めて下車客があり、入れ換わりに5〜6人が乗りました。乗車整理券が必要なのはこの
駅までで、ここから先、中津川までは一般の各駅停車となります。
多治見を出て途中6駅に止まりつつ、16:33に中津川に着きました。到着時の乗客数は、名古屋を
出た時の半分ほどでした。
JR中央本線の中津川駅です。中央線・一般列車の運 行境界駅でもあり、ここから名古屋方面は、ほぼ30分 間隔で列車が運行されていますが、松本方面は、ほぼ2 時間に1本と激減します。 【岐阜県・中津川駅】 |
中津川は、かつて仕事で何週間も滞在した事がある馴染みの街です。その期間中の休日に1度だけ、
中津川駅から普通列車に乗って塩尻まで行った事がありました。
当時の私は鉄道には入れ込んでおらず、単に暇つぶしで行っただけであり、目的地を塩尻にしたの
も券売機で買える切符が塩尻までだったからです。
本当は松本まで行きたかったのですが、そうなると、みどりの窓口で切符を買わねばならず、暇つ
ぶしでそこまでするのも大袈裟ですしね。
そして乗り込んた松本行の普通は、いま思い返すと元急行型の165系オリジナル車だったようで
す。もしいま乗っていれば狂喜乱舞して写真を撮りまくっているところですな。
『セントラルライナー13号』から降りた私は、小腹が空いていたので駅の待合室にある立ち食い
そば屋に向かいましたが、そこには一杯やっているおっちゃん達がいました。
酔っ払いと隣りあわせでそばを食べるのも嫌だったので近場を散策しに行く事にしました。にして
も、"あて" のない立ち食いそば屋で酒を飲まんでもよかろーに・・・。
久々に訪れた駅前の風景は、さほど変わっていませんでした。駅前通りを500メートルほど行く
と左手にある大型店舗『アピタ』は駐車場にたくさんの車が停まっており、けっこう流行っている様
子でした。
しばらくぶらついて駅に戻り、再びそば屋をのぞくと飲んでいたおっちゃんはいなくなっていたの
で、天ぷらそば(400円)を注文しました。
そばが出てくるまでの間、店内を見回すと、酩酊状態の客には酒を売らない旨の張り紙がしてあり
ました。
出てきた天ぷらそばには嬉しいことにカキ玉も入っていました。一般的な立ち食いそばと同様に汁
は薄味で物足りませんでしたが、お客の大多数を占めるであろう中高年サラリーマンは高血圧に気を
つけねばならず、味がしっかり付いた塩分の高いそばでは食べてもらえないんでしょうな。
さてと、適度にお腹も膨れたので帰るとしましょう。
中津川駅に到着する名古屋行の快速『ナイスホリデー 木曽路』です。土・休日のみに運行される臨時列車で、 朝に名古屋→塩尻行、夕刻に塩尻→名古屋行の1日1往 復が運行されています。使用車両は近郊型の311系で した。 【岐阜県・中津川駅】 |
乗車率は60%程度でしたが、クロス・シートに相席するのもなんなんで立って行く事にしました。
ちなみに、『ナイスホリデー木曽路』の1号車は指定席なんだそうです。
快速とは言え、中津川→名古屋間で通過するのは18駅中でたった4駅だけであり、中津川から1
時間11分掛かって列車は名古屋に到着しました。
今回の旅行記は私鉄メインなので、名古屋からの帰りも近鉄の『アーバンライナー』に乗る事にし
ました。
近鉄名古屋駅に停車中の19:00発・近鉄難波行の特急 『アーバンライナー』です。往路で乗ったのと同じ 21000系ですが、この車両はリニューアル車でした。 【愛知県・近畿日本鉄道・近鉄名古屋駅】 |
帰りも少し贅沢してデラックス・シートにしました。自分の席に行くと、そこにはおばちゃんが座
っていました。
おばちゃんは、そそくさと移動して行きましたが、一般車も空いているだろうに、なんでわざわざ
デラックス・シート車に「とりあえず乗車」すんのかねぇ?
道中、特に書く事もなく近鉄難波に到着。
大阪市営地下鉄・なんば駅に到着する21:20発の中津 行です。 【大阪府・大阪市営地下鉄・なんば駅】 |
これで名鉄・三河線のメモリアル乗車ツアーは終了です。
『列車まかせの旅』第20弾、おわり。
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